【司法書士の仕事内容】債権譲渡登記ってどのようなことをするの?

債権譲渡登記制度は、平成10年6月に成立した「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」によって創設された制度です。民法が定める債権譲渡の対抗要件の特例として、法人が行う指名債権である金銭債権の譲渡について、登記をすることによって対抗要件とすることを認めたものです。

債権譲渡の対抗要件とは

債権は、債権の性質上譲渡が許されない場合や、当事者間で譲渡禁止の特約がある場合を除き、債務者に断りなく、譲り渡すことができます。債務者としては、二重弁済とならないように、債権が譲渡されたことを知らされる必要があります。また、債権が二重に譲渡された場合の優劣を決めるルールを定めておかないと不都合が生じます。
  
民法は、指名債権(債権者が特定している債権)の譲渡を債務者その他の第三者に対抗するための要件として次のいずれかによることとしています。

① 債権の譲渡人(元の債権者)から債務者への債権譲渡の通知
② 債権譲渡についての債務者の承諾

債権の譲渡が行われたとしても、①の通知または②の承諾がなければ、債務者は元の債権者に弁済すれば債務は消滅します。逆に①または②があれば、新しい債権者(債権の譲受人)に弁済すればいいので、二重弁済を防ぐことができます。

なお、①の通知または②の承諾は確定日付のある証書(内容証明郵便等)によってしなければ、債務者以外の第三者、例えば債権を二重に譲り受けた者や、元の債権者の債権を差し押さえした差押債権者などに対抗できないこととされています。

民法の定める対抗要件具備方法の問題点

民法の定める対抗要件ではいろいろと問題が生じることがあります。まず、債務者以外の第三者にとっては、債務者に確認して、債務者が正直に答えてくれない限り債権譲渡の事実を知ることができません。債権の二重譲渡などの不都合が生じます。

また、債務者にとっても困る場合がでてきます。債権譲渡の通知は確定日付のある証書によって行われ、債務者に到達した日が対抗要件の備わる日とされますが、債権の二重譲渡が行われて、それぞれの債権譲渡の通知が同時に債務者に到達したときの優劣が問題となります。

債権の譲渡通知と差押通知が同時に届いた場合も同様です。債務者にすればどちらに支払うべきか迷うことでしょう。いずれのケースも訴訟となっていますが、優劣について明確に判断されているわけではありません。債務者としては弁済供託するのが無難です。

さらには、債権の譲渡人にとっても、例えば、会社が金銭債権を流動化して売却し、資金の早期調達を図ろうとする上で、民法の定める対抗要件では使いづらい場合がでてきます。

多数の債務者がいる場合に手続や費用の負担が重く、債務者に直接債権譲渡を知らせることで信用不安を引き起こすのではないかという懸念もあります。また、将来の売掛金債権など債務者が特定していない将来債権の譲渡については、民法の定める対抗要件を利用することができません。

債権譲渡登記制度の概要

債権譲渡登記制度は、不動産の登記と同じように、債権譲渡について登記を対抗要件とすることを可能にすることによって、上記の問題を解決しました。債権譲渡登記では、登記の年月日に加えて、登記の時刻も記録されます。

民法上の債権譲渡の対抗要件と債権譲渡登記制度による対抗要件との違いは、前者が、債務者への通知または債務者の承諾という行為によって、債務者に対しても債務者以外の第三者に対しても対抗要件を具備できるのに対して、後者は、債務者対抗要件と第三者対抗要件を切り離していることです。

債権譲渡登記制度では、まず、債権譲渡の登記をすることによって、第三者への対抗要件を備えることができます。これに債務者の関与は必要ありません。



次に、債務者に対しては、債権譲渡人からの通知または譲受人からの債権譲渡の登記事項証明書の交付を伴う通知によって対抗要件を具備することができます。債権の譲渡及びその登記をしたことについての債務者の譲渡人または譲受人に対する承諾によっても、債務者対抗要件とすることができます。

債権譲渡登記は、法人が行う指名債権である金銭債権に限って行うことができる制度です。

債権譲渡登記申請の手続き

債権譲渡の登記は、譲渡人と譲受人の共同申請により行います。債務者の同意は必要ありません。債権譲渡登記を取り扱う登記所は東京法務局です。全国の債権譲渡登記の事務をここで取
り扱いします。電子証明書を取得すればオンラインによる登記申請も可能です。

債権譲渡登記が完了すると、譲受人に登記完了通知書が送付されます。司法書士が代理人として申請した場合には、司法書士あてに送付されます

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