相続税申告とはいったいどのようなことをするのでしょうか。
通常縁遠い方が多い相続ですが、会計事務所では身近なものです。
ここでは相続が発生してから申告・納付されるまでの流れと、会計事務所における意義などを解説いたします。
相続のスケジュール
まず相続が発生してから相続税を申告・納付するまでの流れを追っていきましょう。
被相続人が死亡したことを相続人が知って相続が開始されます。まず通夜です。関係者への連絡や葬儀の手配をしなければなりません。死亡の事実を知った日から7日以内に死亡診断書を添付して市区町村長に提出します。
そして葬儀が行われ、そして初七日や、香典返し、四十九日などの諸法要が執り行われます。葬式にかかった費用の領収書を整理し、保管しておかなければなりません。さらに被相続人の財産と債務を調査し、相続人を確定させるために被相続人の出生から死亡までの全戸籍を取り寄せます。あわせて遺言書の調査も行います。相続放棄は死亡を知った日から3ヶ月以内に行う必要があります。もし債務のほうが多そうなときは、財産の調査を早めに行わなければなりません。
また、被相続人の死亡した年の1月1日から死亡した日までの所得を、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告しなければなりません。これを準確定申告といいます。
調査した財産のうち、土地や株式等評価が必要なものを評価し、遺産分割協議をまとめなければなりません。
これだけのことをやったのち、はじめて相続税の申告書を作成し、税務署に申告、金融機関で相続税を納付します。
また、これは期限のあるものではありませんが、不動産や預貯金、有価証券の名義も書き換えておいたほうが良いでしょう。
上記のように被相続人が亡くなってからやらなければならないことは想像以上に多く、この間法事等には関わりませんが、会計事務所は相続税申告に向けて各段階で相続人に代理して業務を行います。これが相続税申告業務一連の流れです。
相続税申告業務とは
計画
前項で述べたように、相続発生後会計事務所が取り扱う業務だけでも相続人の確認や、調査や評価、分割協議の取りまとめ等多岐にわたります。
10ヶ月という申告期間は想像以上に短いものとなります。
その上、依頼人=相続人は業務で相続をしているのではなく、生活をしている一個人です。被相続人が亡くなって法要等諸事取り仕切らねばならず、なかなか遺産分割や相続税の申告・納付のことまで対応するのが難しくなっています。会計事務所はそこを考慮に入れ、逆算して計画を立て動かなければなりません。
報酬
おおよそ遺産総額の0.5%から1%のあいだで報酬が請求されることが多いです。
もし遺産が1億円であれば50万円から100万円の請求になります。法人の月額顧問料が数万円であることを考え合わせるととても高額です。
意義
相続税は事務所によって取り扱っているところと、取り扱っていないところがあります。
それは、相続税申告業務が大変専門性の高い業務であり、たとえ税理士であっても、おいそれとは手出しが出来ない分野だからです。取り扱っている事務所はそれだけ専門性を備えているといえるでしょう。
相続税業務に対し安定した技術や知識を事務所に提供できる人材になることで、存在感を発揮することができます。
注意点
相続税は税務署による税務調査が入る確率がとても高い税目といわれています。
法人税や所得税は一定期間のフローに対し課税されるため、売り上げを除外したり、使途秘匿金をつくったりしない限り、たとえある期間に税務上否認される費用があったとしても、次の期間で取り戻せてしまうことが多いのです。
これに対し、相続税はある時点のストックに対し課税するため、そういった取戻しはありませんし、少なくとも相続税が発生するだけの何らかの財産はあるはずなので、税務署としては目のつけやすいところです。
このような税金を正しく申告するためには、聞き取りが重要です。
依頼人は会計事務所が自らの代理人であり税務署に対し隙のない申告をしようとしているだけだと頭ではわかっていても、財産を隠そうとしたり、あやふやに答えたりします。
ここを越えるには信頼しかありません。会計事務所というと、単に机の前に座ってのデータ入力がどれだけすばやいかといったことが重視されるように思われがちですが、そもそも入力すべきデータをそろえるための、お客様とのやり取りが重要です。
相続税申告業務のまとめ
相続税の計算は大変複雑で、グレーな部分も多く、お客様とのやり取りのなかで信頼を得ることが重要になる業務です。また、その報酬は他の税目に比して高いです。
相続税に通暁することで、勤めている事務所へ自らの有用性のアピールできるばかりでなく、専門性を備えた人材となることができます。大変やりがいのある業務といえるでしょう。
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