令和4年度行政書士試験合格発表 合格率高め

行政書士

2023年(令和5年)1月25日に令和4年度の行政書士試験の合格発表がありました。

合格率は前年度よりやや上昇しており、どちらかと言えば合格率が高い年度となりましたが、合格率以外の数値も含めて行政書士試験の結果について各種数字を見ながら分析していきたいと思います。

行政書士試験の合格者数を属性別に見る

令和4年度の行政書士試験の結果を各種属性ごとに見てみましょう。

行政書士試験合格発表の全体感の数値

2022年度の行政書士試験結果基本データは以下のとおりです。
※参考文献:令和4年度行政書士試験結果概要など公式に公表されているデータを利用しています。

2022年行政書士試験合格発表
  • 受験者数:47,850人(男性32,627人、女性15,223人)
  • 合格者数:5,802人(男性:4,296人、女性:1,506人)
  • 合格率:12.13%(男性 13.17% / 女性 9.89%)

受験者数は昨年度よりも20人減少しましたが、コロナ禍以降かなり増えてきています。
また、令和に入ってから合格率が10%以上をキープしており、比較的高い数値が維持されている状況です。

直近5年の行政書士試験結果概要

 

2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
受験者数(人) 39,105 39,821 41,681 47,870 47,850
合格者数(人) 4,968 4,571 4,470 5,353 5,802
合格率(%) 12.70% 11.48% 10.72% 11.18% 12.13%

コロナ禍以降難関国家資格に挑む方が増加傾向にあるようですが、その中でも行政書士試験は比較的人気となっており、受験者数を順調に伸ばしています。

一昔前は「カバチタレ」の影響等で知名度が上がり、受験者が一気に伸びていた時期がありましたが、近年はそこまでいかないまでも受験者が多い国家資格となっています。

ここ数年受験者数が伸びている背景の一つとして、在宅ワークが進んだことから自分のために使える時間が増え、何かスキルアップのために資格の勉強をしようということで始める方が増えたようなのですが、行政書士は資格取得の難易度がそこまで高くないことや受験資格が無いので誰でもチャレンジできることなどを背景に伸びている状況です。また、即独立が可能という事で魅力的に映る様です。

もっとも、難易度が高くないとは言ってもそれはあくまで弁護士や司法書士、税理士、公認会計士などの他の難関国家資格と比較した場合の話であり、一般的には難しい試験に位置づけられますから資格取得を目指す方は相応の覚悟が必要です。

また、即独立が可能だからと言って資格を取れば絶対的に稼げるようになるわけでもありませんので、独立を考える際は慎重に検討しましょう。

年齢別行政書士試験合格者に関するデータ

どういった方々が行政書士試験を受験し、合格しているのでしょうか?

属性ごとに見ていきましょう。

令和4年度の年齢別行政書士試験合格発表状況
合計受験者数 合計合格者数 男性受験者数 男性合格者数 女性受験者数 女性合格者数
10歳代以下 570 56 344 43 226 13
20代 7,810 1,178 4,712 845 3,098 333
30代 10,117 1,611 6,445 1,128 3,672 483
40代 12,430 1,513 8,166 1,091 4,264 422
50代 11,138 1,058 8,130  842 3,008 216
60代以上 5,785 386 4,830 347 955 39
合計 47,850 5,802 32,627 4,296 15,223 1,506

受験者の年代におけるボリュームゾーンは40代前後の年代になります。

これは昨今どの資格も似たような状況にあり、高齢化している傾向にあると言えます。

行政書士試験が他の国家資格と大きく異なるのが10代での試験受験者・合格者が多くいらっしゃることでしょう。

受験資格が無いので小さな子供でも受けることができます。

参考として、令和4年度の最年少受験者は8歳の男の子のようです。合格者で見ると15歳となっています。

■令和4年度行政書士試験参考データ
① 最年長合格者 78 歳(男性) 1 名
② 最年少合格者 15 歳(男性) 1 名
③ 最年長申込者 98 歳(男性) 1 名
④ 最年少申込者 08 歳(男性) 1 名

試験は易化傾向にあるのか?

令和3年度に続き、令和4年度も択一式の平均点が高かったことが伺えます。

公式的に発表されているわけではありませんが、LECやTACが公開する採点の平均点を見てみると、この2年は択一式の平均点が高いです。

令和3年度は法令科目で得点しやすく、令和4年度は法令科目は難化したものの一般知識の問題が易化し、結果的に平均得点が高めの傾向となりました。

その結果、令和3年度は記述式の採点基準が厳しくなり、択一の平均点の高さの割には合格率はいつも通りという結果でした。令和4年度は比較的普通の採点だったようですが、論点間違いや訴訟類型間違えなどはバッサリ減点といった形の一部で厳しい採点もあり、結果的にいつも通りの合格率となっています。

ここからわかることは、問題そのものが簡単かどうかは合格のしやすさに影響せず、結局受験者の中の上位10%に入らないといけないという事です。
合格者数を記述式の採点で調整していることは明らかでしょうから各年度の難易度の差を気にしてもあまり意味が無いと言えます。

そのため、試験の難易度はあまり気にする必要はないでしょう。

基本的な問題を正解できるようにすることで合格に近づく

受験後の予備校の講評データ等を見ると、基礎的な論点の問題をしっかり正解することが重要な試験であるとわかります。

合格点が180点(6割)であることを考えても、基本を押さえることが重要であることが伺えます。

後は、現場思考型の問題が多いのも特徴となっており、単に知識を当てはめるというよりは、文意を理解し、検討して答えを出す必要のあるものが多いことから、日ごろから文章に慣れ親しんでおくと合格しやすいのではないかと考えます。

行政書士試験合格発表まとめ

令和4年度の行政書士試験はほぼ例年通りの合格率(ちょっとだけいつもより高い)となりました。

今後も10%前後の合格率が続くと考えられますので、これから行政書士試験勉強を始める方はしっかり上位に食い込めるよう勉強をおこなってください。

なお、私も行政書士試験に合格しており、勉強のポイントなどを解説しているので、良かったらそちらの行政書士試験に関する記事もご覧ください。

本記事が行政書士を目指す方のお役に立ちましたら幸いです。

 

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樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
公認会計士・税理士・経理などの士業・管理部門の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズで勤務し、転職エージェントや会計専門メディアの事業の立ち上げを経験。その後、株式会社インテグラルベース(厚生労働省特定募集情報等提供事業者51-募-000806)を創業。現在は転職・採用・人事に係わるコンサルティングや求人サイトの運営を行っています。 士業JOBでは、これまで培った人脈と10年弱に及ぶ転職や採用に関する業務経験・実績を活かして転職に役立つ情報の配信を行っている他、多数の人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。また、行政書士として事務所を開設しており、自身も士業として活動しております。 執筆者・監修者・編集者情報へ