現在社会保険労務士として働いている方はもちろん、これから社会保険労務士として仕事をしたいと考えている人は求人動向について気になっているのではないでしょうか。
また、昨今は社会保険労務士試験に合格したものの、社労士としての実務経験が無い故に転職ができなくて困っているというケースも有ろうかと思います。
ここではそんな社会保険労務士の転職・求人動向に関する事項や転職サイト、転職先について解説していきます。
目次
社会保険労務士におすすめの転職サイト・転職エージェント
まず初めに社会保険労務士におすすめの転職サイト・エージェントの紹介をします。
社会保険労務士の活躍の場は広く、転職先は多岐に亘りますが、いわゆる士業としての活躍を目指すのであれば社労士事務所やそれらに準ずる転職先(コンサルや他士業事務所)への転職が必須となります。
そのため、社労士を含めた各士業の転職に精通しつつ、一般企業の管理部門やコンサルティング会社への転職にも強い転職エージェントを活用するのが良いでしょう。
MS-Japan:労務人事などの管理部門や社会保険労務士などの士業系に強いエージェント
企業の管理部門(人事・総務・経理・法務等)への転職と士業事務所の転職に強い転職エージェントです。
面接対策等はもちろん、書類の書き方に自信の無い方向けに、添削なども行ってくれるため、安心して転職活動をすることができるでしょう。求人数も豊富で、幅広い角度から求人やキャリアの提案を受けることが可能です。
社会保険労務士事務所を始めとする各士業事務所への転職やコンサルティング会社への転職にも強く、幅広い視野で転職先・キャリアを探っていくことができます。
社労士事務所に拘らず、幅広い視点で転職先を探っていきたい社労士の方にはとても良い転職エージェントでしょう。
リクルートエージェント:職種に関わらず登録必須のエージェント
最大手の転職エージェントで、社労士に関わらず全職種の求人を取り扱っています。
そのため、特徴が無いとも言えますが、取り扱い求人は非公開求人も入れると20万件以上となっており、当然社労士の求人保有数もかなり多いです。
リクルートに求人を出す社労士事務所は優良事務所であることが多いので、待遇を改善したいといった社労士の方や未経験で教育制度がきっちり整っているところで働きたいといった社労士の方が転職先を探すのにおすすめのエージェントとも言えます。
ただ、エージェント自身は社会保険労務士のキャリアに精通しているわけではないので、キャリア相談という意味では士業に強いエージェントを使った方が良いかもしれません。
DODA:総合型の転職エージェントで士業も含めて全方位に満遍なく強い
総合型の転職エージェントです。
大手ということもあり、応募書類の書き方から面接対策、退職交渉まで、しっかりとしたノウハウを持っているため、安心して転職活動をすることができます。
大手が多くなりますが、社労士法人・社労士事務所の求人も意外とたくさん保有しており、比較的大きめの社労士法人やコンサル系の転職をお考えであればとても良いでしょう。
もちろん、一般企業の求人はたくさん保有しておりますので、企業への転職をお考えの社労士の方の転職にも強いです。
ただ、特別士業の転職に精通しているわけでは無いので、キャリアの相談というよりは求人をたくさん見たいという方に良いでしょう。
社会保険労務士なら登録済みの方が多い転職サイトのヒビコレ
社会保険労務士なら多くの方がご存じの転職サイトかと思いますが、社労士に特化している自分で応募するタイプの転職サイトです。
ここまでで紹介したエージェントとは異なり、キャリアの相談などはできません。
ただ、エージェントを利用しない社労士事務所も多く、特に小規模な社会保険労務士事務所へ転職したいケースでは登録しておく必要があるかと思います。
リクナビネクスト
こちらもほとんどの人がご存じかと思いますが、業界最大手のリクルートが運営する転職サイトで、ヒビコレ同様に自分で求人を探して応募するタイプの転職サービスです。
社会保険労務士に強い転職サイトというわけでは無いのですが、社労士事務所や企業人事含めて幅広く社労士が活躍可能な求人を保有しているので、可能性を上げていくという意味において、登録しておいて損は無いかなとというところでのご案内です。
なお、社会保険労務士の求人を探す際に資格者として求人サーチをすると人事系の求人がヒットしないので、キーワード検索などを駆使しながら求人を探すと良いものがヒットすることもあります。
特別に社労士を対象としているわけではないのである程度仕方ない部分もありますが、良い出会いがあるといいですね。
社労士向け転職サイトどこを利用するか迷ったら
現状、社会保険労務士の方におすすめの転職エージェントというのはかなり数が少ないのですが、上記で気になったところを2社程度登録しておけば社労士の転職という意味では問題ありません。
迷ったらとりあえずMS-Japanが求人の幅・実績ともに高いので、まずは利用してみると良いかと思います。
なお、社労士の場合、求人先である社労士事務所が転職エージェントを利用する文化が無いケースも多いので、求人網羅という意味では求人広告サイトの利用も合わせて検討しましょう。
繰り返しになりますが、求人広告サイトは最大手であるリクナビnextを利用すると良いです。社労士事務所求人もかなり多いですのでこれだけでも問題ありません。ヒビコレなどの社労士特化の求人サイトもありますが、登録済みかと思いますが念のため記載しておきます。
社会保険労務士の現状は?
社会保険労務士の業務内容を見ると、社会保険の加入手続きや社会保険の保険料の計算などが主になっています。
まさに社会保険全般におけるスペシャリストといった職業と言えるでしょう。
しかし、社会保険労務士資格者の半数は、企業の総務や人事部門で働いている方がステップアップのために資格を取得するケースも多く、必ずしも「士業」としてのキャリアを歩んでいるわけではありません。
もちろん、社会保険労務士事務所やコンサルティング会社でプロフェッショナルとして働いている方もたくさんいらっしゃるので、ひとくちに社会保険労務士といっても、バックボーンや希望する転職先はまちまちです。
そのような中、働き方改革の実践によって労働を取り巻く環境は大きく変化していっており、それに伴ってこれまで浮き彫りになってこなかった新たな労働問題が次々と浮上してきています。
したがって、社会における社会保険労務士のニーズは高まる傾向にあり、同じ社労士資格保持者でもバックボーンによってその転職先は様々となります。
社会保険労務士の求人は少ない!?探し方に問題があるかも
社会保険労務士はせっかく難しい試験に合格して資格を取得しても正社員として就職すること自体がなかなか難しいとよく言われます。
その最大の理由は社会保険労務士という職業に対する世間のニーズの高まりと就職先の求人数が比例していないことが挙げられます。
社会保険労務士という職業に対しては先ほども少し触れたとおり、過労死や派遣切りといったこれまであまり表に出なかった新しい社会問題がたくさん出てきていることや、社会保険労務士は不況にも強い専門職という事もあって、人気の職業になっています。
幅広い年齢層で社会保険労務士の格を取得しようと考える人が出てきているため、資格を持っている人の数は以前よりも増えました。
ところが、社会保険労務士のメインの就職先である社労士事務所は少人数で経営しているところが多いですし、募集している場合も即戦力となる人材を求めているケースがほとんどで、資格を取得したばかりの社会保険労務士には厳しい求人動向となっています。
しかし、社会保険労務士の就職先は社労士事務所だけではありません。なかなか就職できない原因は探し方に問題がある可能性もあります。
社会保険労務士の就職・転職先は主に7つ!
社会保険労務士の就職先・転職先は大きく分けると7つあります。
これまでなかなか就職先を見つけられなかった人もこの7種類の就職先をくまなく探すことで自分の就職先を見つけることができるかもしれません。
社会保険労務士事務所へ転職
少し触れましたが、社会保険労務士の就職先として最もポピュラーなのが、同じ社会保険労務士が開業している事務所に入社することです。
社会保険労務士の事務所は個人で事務所を開設し、企業や個人から仕事や社会保険におけるさまざまな悩み事や問題について相談を受け、それらを解決することによって収入を得ます。
なお、社会保険労務士の求人はハローワークや求人サイトでたまに見かけることがありますが、それらはパートの募集が多いです。
社会保険労務士に専門特化した転職サイトというのはほとんどありませんので、士業(税理士・会計士等)全般に強い転職サイト・転職エージェントを活用することで、社会保険労務士事務所の転職先が意外と見つかります。
会計事務所・法律事務所等の他士業の事務所
社会保険労務士が活躍する場は社会保険労務士の事務所だけではありません。
例えば、法律全般についての問題を解決する弁護士の場合は賃金形態や労働環境、労災の認定の是非や年金についての相談を受けることもあります。
そういった問題を解決するために社会保険労務士が求められるケースも実際にあるため、他士業の事務所へ就職するといったことも可能ではあります。
最近では会計事務所・税理士法人が社労士法人を併設するケースも多くなっており、会計事務所が母体の法人に勤務する社労士の方も増えています。
しかしながら、このケースにおいては即戦力が求められるケースも多いため、転職にあたっては事前にどの程度のスキルが必要になるか確認が必要でしょう。
企業の人事や総務部
冒頭で記載した通り、社会保険労務士資格をお持ちの方の半数は企業での勤務者と言われています。
そもそも社会保険労務士の資格をとる理由として、企業の人事・総務部門で働いている方がステップアップの一つとして取得するケースが多いため、既に企業で働いているという方が多いでしょう。
そのため、ここでは現在社会保険労務士事務所等で「士業」として働いている方を前提として記載します。
社会保険労務士という肩書にこだわらないのであれば、社会保険労務士としてではなく、あくまでも企業の人事部や総務部へいち社員として入社するという転職も選択肢の1つとなります。
企業が社会保険労務士へ相談する最大の理由は社内にそういった問題を解決する能力を持った人物が居ないからにほかなりません。
自分の会社でそういった問題を解決する人物が居れば社外へ依頼せずとも済むので、社会保険労務士の資格を持っている人は優遇される傾向にあります。
ただし、資格の有無の重要性よりも業務経験が重要となりますので、これまでの経験が活かせる職場なのかどうか、転職エージェントを通じて確認する必要はあるでしょう。
アウトソーシング会社
アウトソーシング会社の主な業務内容は企業から依頼を受けた従業員の給与計算や社会保険手続きを代行することですが、そういった業務は社会保険労務士の業務の1つでもあるため、アウトソーシング会社にも社会保険労務士の需要はあります。
しかし、メインの業務である社会保険や労働に関しての問題解決といった業務はアウトソーシング会社ではできません。
したがって、事務的な仕事ばかりでも苦にならない人に向いている就職先です。とは言え、1人で数十社の業務を担当するためスピーディーになおかつ正確に行わなければならず、未経験者では厳しいかもしれません。
コンサルティング会社
コンサルティング会社は人事や労務に関しての問題を抱えている会社に対して問題解決のアドバイスをおこなって、雇用におけるコスト削減や社会的信用を得やすい企業の体制づくりをサポートしていくことです。
これら人事の問題解決は社会保険労務士の業務の1つでもあるため、コンサルティング会社にも社会保険労務士のニーズは存在します。
また、コンサルティング会社に就職すると仕事を通じて企業の経営に間接的に関わることができるというメリットがあります。
将来個人的に事務所を立ち上げるときにその経験が役立つでしょう。
独立して開業する
社会保険労務士の資格を取得した時点で「全国社会保険労務士会連合会」に登録しさえすれば、自分自身で事務所を立ち上げて独立開業することも可能です。
しかしながら、なんの実績や人脈もないままに個人事務所を立ち上げてもなかなか仕事の依頼がこないため、苦労することが多いでしょう。
本格的に事務所を立ち上げたいのであればやはり社会労務士事務所に就職し、ある程度実務経験を積んでおいたほうが経営はしやすいです。
予備校講師
資格を取得した際に身につけた知識や身を持って体験したことを、資格取得を目指している予備校生に教える講師といった立場で就職することも可能です。
予備校講師ならば実務経験がなかったとしても就職できる可能性はあるでしょう。
社会保険労務士の転職先・求人は幅広く探そう!
社会保険労務士は社会を取り巻く情勢が大きく変化しているため、ニーズが高まっている職業です。
しかし、それに反して一般的な求人サイトやハローワークをチェックしても求人数がとても少ないと感じるでしょう。
良くも悪くも社会保険労務士の活躍の場は広がっているので、転職先を探す際は転職エージェントに登録し、求人サーチを行ってもらうのが良いでしょう。
また、転職エージェントの利用の際は、総合型の転職エージェントの利用もいいのですが、士業全般に強い転職エージェントを利用することで、良い転職先が見つかるものですので、転職をお考えの方はエージェントの利用も検討してみてはいかがでしょうか。
しっかり情報収集を行い後悔の無い転職を
転職エージェントを利用するメリットとしては、あなたが思いもよらなかった求人先・キャリアの提案が受けられる可能性があるという点、希望に合致した転職先を簡単に見つけられるという点、転職活動に不安があるケースではサポートが受けられるというものがあります。
いずれにせよ、転職エージェントを利用することで情報はたくさんもらえますので、ミスマッチのリスクを極力減らすことが出来ます。
そのため、是非一度利用してみることをおすすめします。
ただ、そうはいっても転職エージェントではなく、求人サイトを利用される方も多いかと思いますので、求人サイトから応募される際は、しっかり求人票の内容をお確かめの上、ミスマッチが起こらないよう慎重に情報収集を行い、転職先選定を行うようにしてください!
- 社労士の活躍できるフィールドはかなり広いため、可能性を広く探るのであれば士業と管理部門の転職に強いエージェントを利用するのが吉
- 士業と管理部門に強いMS-Japanの利用を検討すると良い
- 社労士事務所へ限定しての転職であればリクナビnextなどの求人広告サイトなども併用した方が良い(エージェントを利用しない事務所もあるため)