外資系企業の法務職への転職を考える際には国際系企業と外資系企業の法務職との違いなどを理解しておく必要があります。本記事では、外資系企業の法務の役割や転職の際に必要とされるスキルなどについて、解説していきます。
目次
外資系企業の法務の役割とは?
はじめに、外資系企業やその法務の役割について解説します。
外資系企業の特徴
外資系企業に対しての明確な定義はありません。ただし、経済産業省の指標によると、その企業の株式の3分の1以上を外国人または外国の法人が所有している場合は外資系企業であるとみなされています。
しかしこれに該当する企業でも日本の会社というイメージが強く、外資系企業と呼ばれない会社もたくさんあります。一般的には経営方針などを決める立場にある人が、外国人になっている企業が外資系企業と呼ぶことが多いです。
外資系企業の法務の役割
外資系企業には日本に進出してきた海外の企業なども含まれます。ですから、外資系企業の法務の役割は、日本国内におけるビジネスの成功を法的な観点からサポートすることです。日本国内の法律、商習慣などの知識を駆使して業務にあたります。
ちなみに、転職市場で外資系企業の法務と混同されやすいのが「国際法務」です。国際法務は、外資系企業の法務とは異なり、日本国内から海外へ進出するときに法的なサポートをします。日本国内は人口減少などの影響から市場の減退がみられます。
そのような状況のもとで、海外進出を検討する企業が増えてきています。今後は国際法務の転職市場も活発化するのではないでしょうか。
外資系企業の法務に転職するときに必要なスキル
先に解説した通り、国際企業に勤める法務職の役割と外資系企業に勤める法務職の役割とは似ているようで大きく異なります。
したがって外資系企業の法務へ転職する際に必要となるスキルも国際企業の法務に求められているものとは別のものです。
マネジメント経験
法務職に限らず、外資系企業が中途採用で求める人材というのは即戦力となる人たちです。募集の内容を見てもポジションが管理職だったり将来の管理職管理職だったりを想定したものが多いです。
それなりのマネジメント経験を持っている人のほうが転職の際には有利となるでしょう。外資系企業の法務へ転職を視野に入れている人は、転職活動をするまでにできるだけたくさんのマネジメント経験を積むようにしましょう。
会社法関連の知識や経験
国試企業が日本国内に進出するためには、新たに会社を設立することになります。そのサポートをする法務の人たちには会社法関連の知識や会社設立に関わった経験が求められます。
そのような経験がなければ実際に会社を設立する際に、大きなトラブルの元になります。とはいえそれほど高度なスキルが求められるわけではなく。非公開会社の取締役会や株主総会を運営できる程度の知識や経験があれば十分でしょう。
M&Aの知識や経験
外資系企業というのは海外の会社の子会社という立場です。親会社下請けの企業や競合他社などをM&Aで買収するというのはよくあります。
子会社である外資系企業が日本の会社を買収するという事例はほとんどありません。国際企業の法務職であればM&Aに関する知識や経験は求められますが、外資系企業の法務職の場合、M&Aに関しての知識や経験はあまり必要とされない傾向にあります。
英文契約を含めた契約審査業務の実務経験
外資系の法務が担う役割は国際企業の法務とは少々異なりますが、メインとなる業務は各種契約に対しての審査業務です。そのため契約審査実務の経験がどれくらいあるかは重要です。
さらに外資系企業が扱う契約書は英文である場合がほとんどなので、英文で記載されている契約書の審査業務の経験がある人は有利になるでしょう。
外資系企業の法務にはどれくらいの英語力が必要か
外資系企業は扱う書類だけではなく、会社内や出張に行った時にも日常的に英語が飛び交う環境で仕事をします。
そのため、外資系企業に転職や就職をするのであれば英語力は必要です。外資系企業の法務になるには、最低限日常会話が難なくこなせる程度の英語力は必要になってくるでしょう。
外資系企業で働くメリットやデメリットは?
外資系企業のイメージとして給料の高さがあります。ここからは、給料の高さなども踏まえて、外資系企業で働くメリットやデメリットを紹介します。
外資系企業のメリット
実際に外資系企業に勤めている人たちに外資系企業のメリットについてアンケートをとってみたところ、メリットとして最も意見が多かったのは年収など給与面でした。(マイナビ転職を参考)やはり世間のイメージ通り外資系企業は一般企業と比べると給料は高いようです。
そのほか、労働時間や休暇制度が充実しているという意見も多くありました。また自然と語学力がアップできるという意見や、様々な国の人と接することで異文化に触れることができて刺激になるといったという意見も見られます。
外資系企業のデメリット
一方、外資系企業に勤めることによって感じるデメリットとして最も多かった意見が「安定性」です。外資系企業というのは完全に成果主義で成果を上げられない人は解雇される可能性があります。
安定した収入を得るためにはそれなりの努力が必要です。また外資系企業はその体質から能力がある人を厚遇する傾向にあります。力を発揮できない人にとっては、福利厚生もさほど充実していないという意見も多いです。
外資系企業の法務に転職するには?
外資系企業の法務に転職するには、これから紹介する2つの方法があります。自分で企業を見つける方法とエージェントに企業を紹介してもらう方法があります。
企業サイトで求人情報を得る(自己流転職活動)
転職したい企業がすでに決まっているのであれば、その会社のサイトを見て求人情報がないかチェックしてみましょう。
企業サイトでは求人情報をチェックすると同時に、会社の企業理念や方針なども同時に確認しておきましょう。面接の際に自分の志望動機をはっきりと答えることができるようになります。
在職中などで時間がないなら転職エージェントを活用する
働きながら転職活動をしたいという人の場合、なかなか転職活動に割く時間を確保しにくいです。そのため、満足に企業情報を収集できないことも多いです。
そんな時には転職エージェントの利用を検討してみましょう。エージェントに自分の希望や得意分野などを伝えることによって、エージェント側か自分に適しているとされる企業を紹介してくれます。
外資系企業の法務に転職するにはこれまでの経験が重要!
外資系企業の法務に転職するためには一定の英語力が必要です。企業は即戦力を求めていますので、どのような経験をしてきたかがとても重要となります。
今のうちにさまざまなマネジメント経験を積んでおきましょう。