社会保険労務士の資格を取得したけれどまだ業務経験はないという人もいるでしょう。
その資格を活かして転職することはできるのでしょうか。
この記事では求人の状況や雇用側の考え方、そして転職先を見つけるための方策を紹介します。
目次
社会保険労務士は未経験でも転職できる?
社会保険労務士は業務未経験であっても転職先を見つけることは可能です。
なぜなら、労務や社会保険に関するプロとして必要とされている現場が確かにあるからですが、業務経験がある社会保険労務士に比べると不利になることは否めません。
例えば、社労士事務所で働きたいと考えた場合には大手で採用してもらうのは困難です。
大手の社労士事務所は人気が高くて業務量も多い状況があるため、優秀な実力者を集めている傾向があります。
また、個人事務所レベルの小さなところでは一人か二人程度で運営しているので求人がそもそも見つからないというケースも多いです。
可能性があるのは中小規模の社労士事務所で、経験者を集めるのではなく未経験者を雇って育てる方針を立てているところを見つけ出せば採用してもらえると期待できます。
未経験者でも転職すること自体は可能ですが、少し幅を広げて求人を探す必要があるのが現状です。
未経験が社会保険労務士へ転職する場合、年齢制限があることも!?
未経験の人が社会保険労務士に転職するときにはポテンシャル採用になります。
ただ資格があって専門的な知識を持っているだけなので、これから本当に業務を的確にこなせるのかは雇用側としても未知なのです。
採用してから成長することを期待せざるを得ないため、年齢制限を設けていることも多いのが実態です。
若手を求めている場合には30歳未満、中年まで募集対象としているときでもせいぜい45歳未満となっています。
あまり年齢を重ねてしまっていると実務に慣れるのが遅くなりがちなことに加え、せっかく現場で教育しても働いてくれる期間が短いと考えられるのが厳しい年齢制限を設けている理由です。
このため、できる限り若いうちに社会保険労務士への転職に踏み切るのが重要と言えるでしょう。
ただ、社会保険労務士としての業務経験はなかったとしても、一般企業での業務経験が評価されることは十分に考えられますので、ご年齢・バックボーンにより転職の可能性はマチマチです。
未経験の社会保険労務士を歓迎しない就職先はこちら
社会保険労務士の就職先の中でも未経験者をあまり歓迎しないところはどこなのでしょうか。
代表的なものが四つあるので、それぞれが持っている根拠を簡単に確認しておきましょう。
税理士事務所(税理士法人系列の社労士法人)
社会保険に関わる知識は税務を行う上でも重要なことに加え、顧客から見れば税務の相談をしたときに社会保険に関するアドバイスももらえると嬉しいでしょう。
その観点から税理士事務所は社会保険労務士を雇用しているケースが増えているものの、未経験者は基本的に歓迎していません。
その本音の根拠として挙げられるのが基本的に即戦力を募集する求人が多いということとノウハウを奪って逃げられてしまうのを避けるためです。
社会保険労務士としての実務経験をする足場とされてしまう上に、独自に培ってきたノウハウを持って次の職場に行かれてしまうと大きな損失になります。
そのため、特に若い年齢で未経験の社会保険労務士は採用しないという方針を立てているケースが少なからず存在しています。
ただ、あくまで未経験者を募集する求人が少ないということであって、必ずしも不可ということではありませんので、税理士法人系列の社会保険労務士事務所等に興味のある方は求人サイト等に登録して未経験の求人が無いかサーチを続けてみると良いでしょう。
社会保険労務士事務所
社会保険労務士事務所も未経験者を採用して育て上げようという方針を立てている中小規模のところを除くと基本的に経験者しか歓迎していません。
根拠となる考え方は税理士事務所の場合とほとんど同じで、ノウハウを持って出て行かれてしまうのを懸念しているからです。
特に社会保険労務士事務所の場合には数年勤務して実力を付けた後に独立するケースも過去は多く、自分の事務所を開かれ、顧客までも持って行かれてしまうことも過去には多かったため、心配される方もいらっしゃるのです。
年齢を重ねてから資格を取得した人は資格を活かして成功したいと考えていることが多く、独立開業のための踏み台にされるリスクがあります。
そのため、長年社会保険労務士として働いてきた人の方が安心して雇える、という事情もあります。
ただ、そうは言っても上記はあくまでそうした考え方もあるということですので、未経験者を採用する社労士事務所もあります。
社労士業界でも採用を強化している事務所も多いので、未経験でも応募が可能な求人を探して応募するようにしましょう。
一般企業の総務
各企業の総務でも社会保険労務士の求人を出していることはありますが、積極的に歓迎しているところはあまりないのが実態です。
歓迎と記載されている場合には、目的は労務関係の業務を外部委託しているときに社内で実施できるようにしてコストダウンや柔軟性の確保をすることという場合が大半を占めています。
したがって、速やかに労務関係の業務をこなせる即戦力の人材が求められるのです。
また、労務だけでなく総務の業務についても担当することになるので、両方の実務経験者が対象となっているのが一般的です。
未経験では外部委託している業務を理解するのすら難しいこともあるため、あまり採用されることはありません。
人事
各企業の人事にも社会保険労務士の資格を持っている人に向けた求人が出ていることがあります。
ただ、この求人もかなり希少なもので、多くの企業では社会保険労務士の資格を持っていない人を採用しているのが実態です。
人事は給与や評価制度に関わる業務を主に行い、労務に関してはその関連である程度の管理に携わるというのが基本です。
そこで社会保険労務士として専門的な知識を持っていると、法律や事例に基づいて厳しい制度を作り上げてしまい、柔軟性の低い状況を生み出してしまうと懸念されています。
人事は労務と切り分けておきたいという考えで、むしろ社会保険労務士ではない人を雇うことが多いのです。
未経験の社会保険労務士が転職するなら社労士に強い求人サイトや転職エージェントに頼ろう!
実務経験のない社会保険労務士が転職するときには、経験者を採用したいと考えている事務所や企業からの求人は除外して考えなければなりません。
無数の求人の中から未経験の人を採用して成長させていきたいという意図を持っているものを探し出すのは大変でしょう。
転職に成功したいなら転職エージェントのサポートを受けるのが肝心です。転職エージェントは転職したい人と、人材を探している雇用者のニーズをマッチングするサービスを提供しています。
未経験でも希望の条件で採用してくれる雇用者と結びつけてもらえると期待できるのです。
また、転職エージェントに相談するとこれからのキャリアプランを構築することもできます。未経験で転職して実務経験を積んだら次はどうしたいのかを考えたことがあるでしょうか。
その先にどんなキャリアの可能性があるかを示してもらえるのが転職エージェントを使うメリットです。
そして、そのキャリアパスを進むために魅力的な求人を探し出して紹介してくれるので安心して転職活動を進められるでしょう。
以下に社会保険労務士向けの転職サイトを紹介しておりますのでご参照ください。
未経験が社会保険労務士に転職するならポイントを押さえて転職エージェントを活用しよう!
未経験の人が社会保険労務士に転職するのは決して簡単ではありません。
あまり歓迎していないところが多いことや年齢による制限がかかっている場合もあることを念頭に置いて対策を立てましょう。
転職エージェントに相談して探すと雇用者側のニーズとマッチングを行ってくれるので、希望の条件で働ける職場を見つけられるでしょう。