社会保険労務士の需要が高まっているって本当?社会保険労務士の転職事情

働く人たちを労働法や社会保険に精通しているというプロの立場から支えてきた社会保険労務士。

働き方改革が叫ばれている中、専門家である社会保険労務士の需要は高まっているのでしょうか?

また転職に必要なスキルについてもご紹介します。

社会保険労務士資格の需要は高まっていく!?

日本におけるいわゆるブラック企業の割合は7割近いと言われています。

その多くが長時間労働を強いていることによるもであったり、コンプライアンスの低さが影響しているものであったりします。

近年の働き方改革によって労働時間の見直しがされる中、改めて法令に則った就業規約を作成するにあたって社会保険労務士の知識は必要不可欠といえるでしょう。

いわゆる社会保険労務士の3号業務という仕事です。

これまでも企業の相談役としてコンサルティングなどを行っていた社会保険労務士も数多く存在しますが、それだけではなく根本から見直さなければならなくなっている働き方のために、専門知識を学べる社会保険労務士資格の需要はこれからも高まっていくと考えられます。

社会保険労務士の仕事はAIにどんどん置き換わっていく?

AIの台頭は様々な分野で役立ち、日常生活をより豊かで便利なものにしてくれるのではないかと多くの人が期待を寄せました。

その一方で、現在ある様々な仕事がAIに取って変わられるのではないかと考える人も増えてきました。

オックスフォード大学でAIなどの研究を行う、マイケル・A・オズボーン准教授が、AI化されることにより700以上もの職業がなくなるという論文を発表したこともあり、不安はより鮮明になり始めました。

社会保険労務士に会社の問題を相談しようと考えるのは、比較的年齢層の高い社長や担当者であることが多いようです。

しかしその数は決して多いとは言えないのが現状です。若い世代になってくると、給与計算などわざわざ社会保険労務士に頼まなくても…と考える人も多いようです。

これからますますAIが身近になってくれば、それはもっと顕著になってくるかもしれません。

しかしAIにもまだ難しいと言われることがあります。それは、微妙な表情や言葉のニュアンスを伝えあう、人と人とのコミュニケーションです。社会保険労務士が担当する人事や労務における相談、年金に関する相談はまさにコミュニケーションの上に成り立っています。

これらの相談業務はAIが普及してきてもなくなることはないと考えられています。

社会保険労務士が今後転職するために必要なスキルは3つ!

AIの登場により、人とのコミュニケーションを大事にした業務に力を入れるべきであることがわかってきました。

これからの時代を見据え転職を考えるなら、次のようなスキルを強化しておきましょう。

依頼主の業界をしっかり把握し問題点を社労士の視点で分析するスキル

依頼主の仕事内容がどんなものか知ろうとすることは、社会人として当たり前のスキルかもしれません。

しかし社会保険労務士にとっては依頼主のニーズに応えるための重要な要素であるとも言えます。

事前にどれだけ把握しているかで依頼主からの心象も変わってくるでしょう。

また、深く把握しておくことで問題点をより明確にすることができるだけでなく、様々な準備をしておくこともできます。

そして問題に対しては常に客観的であることが大切です。

社会保険労務士としての知識と経験から冷静に分析することで、問題点に対して納得のいく答えを示すことができます。

問題点が複雑であればあるほど、しっかりとした社会保険労務士としての意見が求められます。

より良い対応策を見つけるためにも、このスキルは大切と言えるでしょう。

問題点を分かりやすくまとめて提案するスキル

依頼主が社会保険労務士に相談をするとき、明確に問題点をまとめてあることはあまりないでしょう。

どういった事でそうなったか、何が問題なのか、きちんとヒヤリングしなくては社会保険労務士としてのアドバイスは何もできません。

ハラスメントの問題や労働紛争の場合など問題が複雑であったりデリケートな場合、とくにしっかり理解する必要があります。

多方からの言い分がある場合など、話が広がりすぎて収拾がつかないこともあるかもしれません。

様々な角度からヒヤリングしたら、誰にでもわかりやすいようにまとめることが重要です。

ここで明確にまとめられていなければ、言いたいことが伝わっていないと依頼主側は不満に思うかもしれません。

また、簡潔にまとめることで、依頼主自身も、何を解決していけばいいのか理解しやすくなります。

他人を巻き込んでいけるリーダーシップ

これまで社会保険労務士の仕事は、どこか待っていればやってくる受け身な部分がありました。

しかし、これからの時代はそれだけでは生き残っていく事は難しいでしょう。

それは待っているだけではなく、自ら仕事を作り出していけるようになったと考えることもできます。

いままで社会保険労務士に相談したことがなかった人に必要だと感じてもらうためには、そのニーズに応える必要があります。

どんなことができるか自ら発信することで社会保険労務士の需要を増やすことができるかもしれません。

まだ知らない人を動かすのにも、問題を解決するのにもかなりのリーダーシップが必要です。

新たな問題にも対処できるよう多方面にアンテナを向けて、リーダーシップを発揮できる社会保険労務士になっていく必要があるのです。

社会保険労務士の将来・未来は明るい!?理由は3号業務!

給与計算などの単純作業はすでにITツールやAI、RPAで代行できるようになるなど、社会保険労務士でなくても成り立つ仕事が増えてきつつあります。

AIが誰にでも扱えるようになれば、様々な単純計算の業務はほとんどAIでまかなえてしまうでしょう。

しかし、AIにはデーターベースが必要です。昨今社会保険労務士の労務における相談業務は複雑化しています。

労働環境の問題は労働時間だけでなく、様々なハラスメントや新人教育、適材適所の人事配置、クレーマー問題など多種多様です。

過去の事例をもとにデーターベース化したとしても、背景や事象の異なる問題が次々と出てくればAIには対処が難しいのです。

AIに置き換えられる業務がある一方、人と人が向き合わなければ解決しない問題はこれからも増え続けていくでしょう。

こういった問題を解決していくのが社会保険労務士の3号業務と言われるものです。企業で働く人がいる限り3号業務は必要とされるはずです。

社会保険労務士のニーズや需要を知ってAIに負けない社会保険労務士になろう!

これから先AIがもっと身近になっても、社会保険労務士が全ての仕事を奪われるわけではなさそうです。

企業にはこれからますます複雑化するであろう労務などの問題を解決してほしいというニーズがあります。

そして社会保険労務士にはそれに応えるだけのスキルがあります。

そのスキルをさらに磨き自ら需要を生み出すことで、AIにも負けない存在となる事ができるでしょう。

社会保険労務士としてスキルアップ・キャリアアップを目指した転職をするのであれば転職エージェントを活用してみるのも良いかと思います。

社労士の転職先は多岐にわたり、自身では気づくことのできなかったキャリアパスを知ることができるかもしれません。

様々な可能性を探る意味でも転職エージェントの活用を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
以下に社労士が転職する際におすすめの転職エージェントを紹介しておりますので是非ご参考ください。

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樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
公認会計士・税理士・経理などの士業・管理部門の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズで勤務し、転職エージェントや会計専門メディアの事業の立ち上げを経験。その後、株式会社インテグラルベース(厚生労働省特定募集情報等提供事業者51-募-000806)を創業。現在は転職・採用・人事に係わるコンサルティングや求人サイトの運営を行っています。 士業JOBでは、これまで培った人脈と10年弱に及ぶ転職や採用に関する業務経験・実績を活かして転職に役立つ情報の配信を行っている他、多数の人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。また、行政書士として事務所を開設しており、自身も士業として活動しております。 執筆者・監修者・編集者情報へ