ベンチャー企業の人事へ転職すると職務範囲も広く、単に採用だけ労務だけといったように決まった仕事だけをやっていれば良いわけでは無く、様々な業務をやらなければならないから大変だよ、というようなことを聞いたことがあるのではないでしょうか?
確かに大手企業等と違い、会社組織そのものが日々大きく変化しているので大変な側面はあります。精神的なプレッシャーも強い場合も多いため、負荷がかかるケースもあります。
ただ、その分スキル・能力はUPします。また、会社が大きく成長し、一定の貢献・評価を得ていれば良いポジションでそれなりの経済的な待遇を得られるチャンスがあったりもします。
もちろん全ての事柄がベンチャー企業だから、大手上場企業だから、といった形で画一的に言い表せるわけではありませんが、ベンチャー企業の人事へ転職するに際して多くの方が感じる失敗例であったり成功例であったりといった部分での共通項のようなものはあったりします。
そこで、人事労務職の方がベンチャー企業へ転職する際のポイントやどんなことに気を付けることが必要なのか、大手企業との違い等についても触れつつ説明していきたいと思います。
目次
ベンチャー企業には人事部がないことも!?働くにあたっては向上心が必要!
ベンチャー企業の中には、人事部がそもそもないという会社も少なくありません。
採用を企業の代表が自ら行っているという場合もあります。労務も外注丸投げで社内に誰も何も把握している人がおらずグチャグチャといった状況も結構多いです。そういった状況の中において自分がその企業にとって、初めての人事担当になるなんてこともあります。
そのため、社内に相談できる人間がおらず、一人で様々なことを決め、処理していく必要がありますので、知らないことも自分で調べて業務を遂行していくといった形になることも多いので、そういった状況を楽しめるかどうかというのもベンチャーに合うかどうかの分かれ道になるかと思います。
また、ベンチャー企業のように少数の人数しかいない組織だと、人事に係わる事項以外も含めた管理部門関連のほとんどの課題に人事が関わるという企業も多く存在します。
そのため、人事の責務は大きく、人事に関する実績が企業の経営に直結するケースが多くなります。
採用人事として入社しても採用だけやっていれば良いというケースは少ない
ベンチャーの人事というと採用業務というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、オフィス環境の整備や評価制度、教育、研修等様々なことに目を向けていく必要があるケースもあります。
入社時の面接などで、当該企業の代表から「採用に力を入れていきたい」といった形で採用中心に行っていく予定で入社したものの、現実問題に目を向けると採用後の管理業務の方が多くなるケースも多々あるので、採用がやりたいと思って入社してもなかなか思うようにはいかないことも想定されます。
大抵の場合、入社準備から入社後受け入れに係わる手続き(社保手続などの労務関連)までやらざるを得ないといったことも多く、後はエンジニア採用などを行うにあたっては外国人採用等もあったりして、海外関連の手続きを行ったりと、結構そんなの知らないけど、見たいな業務が発生することもあるので、転職目的と照らし合わせておく必要はあるでしょう。意外とミスマッチは多いです。
もっとも、全てのベンチャーがこうであるというワケではありませんので、入社前に現状管理部門の体制がどうなっていて何名ぐらいいるのかなど、各種役割分担がどうなっているのか、経営陣に管理部門業務に理解のある人がいるかなど確認して、ご自身の性格・スキルなどとマッチしそうか判断しておく必要があります。
経営陣も良く分かっていないケース多いです。
裁量権をもって人事業務にあたり大きな権限が持てる
上記のようなケースは一見デメリットに見えますが、自ら積極的に取り組み、成果・評価を上げることで信頼に繋がっていき、大きな裁量を持って人事業務を行っていくことも可能なのがこうしたベンチャーの良いところです。早いと数カ月・半年ぐらいで大きな権限を持つケースも多いです。
ベンチャー企業の場合、経営陣が未熟なケースは多く、それと同時に従業員もそのような傾向にあることも多いのですが、伸びるベンチャーの場合は総じて勉強熱心で、互いにスキルアップする姿に感化されて良くなっていく傾向にあるので、あなたが頑張る姿勢を見せることで、信頼・実績・会社の成長とリンクすることから、やりがいという視点でも良いものが得られるケースもあります。
そうして成長を続けているというケースもあります。
ベンチャー企業への転職を考えているのなら、常に向上心を持つことが大切です。
ですが、どのように向上心をアピールするのが良いのでしょうか。単に黙々と仕事をしていて伝わることもありますが、最低限のアピールは必要です。
それは、積極的に意見(提案)を述べる、ということです。
逆に言えば、自分の意見を言わず、言われたことだけをやっていたいのであれば、ベンチャー企業に向かないことが多いですし、自身の成長・評価にも繋がりにくいです。
根拠を持って提案を行い、実行し、成果を積み上げていきましょう。
ベンチャー企業の人事は基本的にマルチタスク
ベンチャー企業の業務は上記で記載した通りマルチタスクが基本となっています。
マルチタスクというのは、複数のタスク(仕事)を同時に行う作業のことです。
人数が限られているベンチャー企業では、人事に限らず多岐にわたる業務をこなすために一人が複数の業務を掛け持ちすることもあります。
やらなくてはならない業務が増える上に、どの仕事も正確にこなさなくてはなりません。
カッコいい仕事ばかりではなく、オフィスの清掃やレイアウト変更、事務用品の管理などとにかくありとあらゆる幅広い業務を行う必要が出てくることも有ります。
そのことがストレスになるということも考えられます。
待遇が良かったり、魅力的な条件を提示されていたとしても、その忙しさから職場を離れるという人もいるのは事実です。
人事の仕事をあまり理解していない経営者の場合は、人事職の仕事がどこまでなのか分からず、給与計算実務や総務職との区別がつかないということもあります。
そのため、無理な仕事を頼まれるということもあるかもしれません。
人事の仕事もしつつ他の仕事までこなすとなると、かなりの重労働です。
そのため、無理な時には、ハッキリできないことを伝えることも重要です。
積極的に様々なタスクをこなす姿勢は必要なものの、仕事に対するラインを経営陣に主張することが出来ないのなら、ベンチャー企業への転職は考え直した方が良いのかもしれません。
大切なのは自分にできることを把握し、どこまでの業務を行うことができるのかを知っておく、話をすることとなります。
そうすることで、オーバーワークになることを防いでくれます。
また、組織構築していく上でも重要です。
多くの業務経験や組織を一から作っていく経験はとても魅力的な反面、過多になってしまうと潰れてしまうこともあるので、入社前だけでなく、入社後もしっかり相談することは重要です。
ベンチャー企業と言ってもどのステージにいるかで労働環境は異なる
ここまでで記載した事項はどちらかといえばIPO等がまだ視野に入っていない程度レベルの規模のベンチャー企業の場合です。
昨今はベンチャー企業と言っても当初から大型資金調達をするケースも多いので、ベンチャーと一口にいっても様々です。
ベンチャーっぽい雰囲気が好きなだけなら既にIPOが視野に入っている大型資金調達を行うベンチャー企業を狙うのもありでしょう。
資金調達済みのIPOを目指す大型ベンチャーは分業制のことが多い
IPOを目指すベンチャー等では労務管理の重要性や組織人事の重要性も理解し整備を進めているので、意外と働きやすいということもあります。
人事部門も細分化されていて、採用担当・人事企画担当・労務担当といった形で3つの区分に分けているケースも多いので、ベンチャーの良い雰囲気と大手のような安定した業務というものを感じ取れる職場もあります。
ベンチャーに転職したい理由によって、どのステージにあるベンチャーを狙うべきかは変わってくるため、転職に際しては事前に情報を取得しておくとともに、面接などでどのような経営方針を今後取るつもりなのか(資金調達して一気に伸ばしていく予定なのか等)、どのような方針で組織構築しているのかしっかり見極めるのも重要でしょう。
経営者の性格により組織は大きく変わってくるからです。
ベンチャーの人事へ転職するにあたってはエージェントの利用も検討する
ここまでで、ベンチャーと大手との違いやどういった方に向いているかと言った一般論的なことを記載してきましたが、最終的にはその企業の文化・風土次第という側面もあるため、個別の情報収集も必要となります。
人事としての経験の浅い方や未経験の方などは情報収集に自信が無いというケースもありますし、個別に目的意識を持って転職されるケースが多いかと思いますので、そういった意識にマッチするエージェントを利用するのが得策です。
また、ベンチャー企業界隈は独特なので、これまであまり縁が無かったという人はエージェントからベンチャーで働くという事について簡単に情報を取得しておくと良いでしょう。
そのうえで、ベンチャーから大手まで含めて幅広く求人の集まるMS-Japanにまずは登録しておくことをおすすめします。
ベンチャーに強いエージェントなどの利用も良いのですが、情報が偏ってしまい、ベンチャーの良い部分ばかりが頭に入ってきてしまうので、フラットに情報を聞くことが可能な管理部門特化大手のエージェントをまずは利用して情報と求人の取得を行っておくことをおすすめします。
同社の場合は管理部門の転職支援ばかりでなく、公認会計士などのプロフェッショナル職の転職支援も行っているので、IPO準備企業などの求人がそれなりに多くあるのもポイントです。
そういったトータル的に情報取得ができるエージェントを利用し、そのうえでプラスアルファをするのであれば、例えば識学キャリアなどのベンチャー界隈で特殊な人脈を持つ転職サイトの利用も検討していきましょう。
識学キャリアは組織人事コンサルで多くのベンチャーに入り込んでいるので、求人によってコアな情報が取得できます。
ベンチャーへの転職はいろいろなところから情報を収集しましょう。
- なぜベンチャー企業へ転職するのかその目的の整理を行う
- ベンチャーといってもおかれているステージごとに内情が大きく異なってくる
- 経営者の性格・方針などを把握して転職することがミスマッチを防ぐ
- 情報収集にあたっては転職エージェントの利用も検討(最低限MS-Japanは登録しておく)
- 特定の業務範囲のみを行っていたいタイプの方はベンチャーにマッチしない傾向
転職エージェントについて記載しましたが、人事向けの転職エージェントをまとめたページもございますのでご覧いただければと思います。
ベンチャー企業の人事と大手の人事の違いは何?
ここまでで記載した通り、業務が多岐に亘るかどうかといった視点における違いは記載してきました。
それ以外にもベンチャー企業と大手企業で人事の仕事は何が違うのでしょう。
そこには、働き方・業務内容に大きな違いがあります。そこで、ベンチャー企業と大手企業の人事の違いについて説明します。
スペシャリストとゼネラリストの違い
スペシャリストというのは、ある分野についての知識や経験が豊富な人という意味です。
つまり専門職の人のことです。この2つの違いは、仕事をする領域の範囲です。
スペシャリストというのは、ある分野の知識に特化し専門的な能力に優れています。
対してゼネラリストは、領域が広いので多くの部署と連携をとりながら、幅広い業務を行うことが可能となるのです。
スペシャリストを目指しているなら分業体制をとっている大手企業が最適ですし、ゼネラリストを目指しているならベンチャー企業が向いているでしょう。
大切なのは、どちらの働き方が自分に合っているのかを事前に調べておくことです。
大手の人事はルーティンワークが多い
大手企業の場合は、人事職の仕事は、ルーティンワークが中心になります。
ですが、同じ内容のように見えて、実は違うということもあるのです。
企業にとって、良い人材を確保するためには、成果が出た時の方法を何度も繰り返します。
ですが、例えば新卒や中途採用の業務も時代の変化等に合わせて企画をアレンジすることも必要になってきます。
大手企業の人事は、社員1人1人の個性を分析して、より成長することが出来るためのプログラムを組むことです。
人事の役割は、企業がより成長するための人材を育成することなのです。
ベンチャー企業では積極的にチャレンジすることが大事!
ベンチャー企業では最新テクノロジーを用いて業界を変革するようなビジネスに取り組んでいるところが多くあります。
従来の企業が思いもつかなかったようなアイデアを繰り出し、様々な商品やサービスを提供します。
そのため、ベンチャー企業では積極的にチャレンジし、その結果を受けて改善していく努力、新たな施策を打ち出す姿勢が重要です。
新しいことにどんどんチャレンジするという向上心は、自身の成長にも繋がりますが、企業の成長にも繋がるので高く評価されます。
また、積極的に様々な業務をこなすことによって、スキルを上げることも可能です。
ある種、やらざるを得ない環境であるともいえるのですが、いずれにせよチャレンジすることで、自然と成長することができるようになるのです。
また、ベンチャー企業には年功序列という概念も少ないのが特徴です。
新しい企業が多いため、勤続年数や年齢での判断よりもシンプルに企業に貢献したかどうかなのです。
例えば、入社したばかりでも企業の成長に大きく貢献したり、ポテンシャルがあると判断されれば、すぐに活躍することも可能です。
マニュアルがない分、自由な発想が認められる企業も多いので、自分のアイデアを形にしたいという人には最適なのではないでしょうか。
自身で考えて実行していけるというのは大きな魅力です。
ベンチャー企業の人事と大手の人事はかなり違う!どちらが向いているのかチェックしよう
ベンチャー企業の人事と大手の人事の業務内容には、かなりの差があります。
ベンチャー企業では、人事の仕事をしながらも様々な業務を兼任するケースも多くあります。
大手ではかなり細分化されているので、特定の分野に詳しくなる可能性がありますが、それしか出来ないということにもなります。
どちらが自分に向いているのかを振り返ってみるというのも良いのではないでしょうか。
また、同じベンチャーでもやはり企業により求められるスキルや仕事内容は異なってきます。
転職エージェントを活用することで、自分がどちらに向いているか、また各企業でどのような役割が求められるのか情報を得ることができますので、転職エージェントに相談してみるのも良いでしょう。