エンジニアから別の職種への転職をお考えの方も一定数いらっしゃいますが、人事関連職との相性は非常によく、エンジニアとしてのキャリア・知見も大きく活かせる職種であることから人事へと転職される方は意外と多いです。
ただ、人事以外にも様々な可能性はありますので、ここでは、エンジニアから別の職種へ転職する際にどういった可能性が考えられるのかに触れつつなぜ人事への転職が良いのかを見ていきたいと思います。
※エンジニアといってもIT/Web系、ものづくりエンジニアなど様々な種類のエンジニアがありますが、ここでは広く総合的に見つつも、便宜上IT/Web領域のエンジニアを想定した記載が多くなっています。ただ、多くの領域のエンジニアに該当する内容でもありますのでご参考ください。
目次
エンジニアから転職する際に考えられる可能性
エンジニアとして働いた経験は様々な職種で活きるので、コミュニケーションスキルさえ何とかなる様であれば、基本的に転職先に困ることは無いと考えられます。
まず初めにエンジニアから転職するにあたって考えられる可能性を見てみましょう。
※なお、別領域へのエンジニアへ転職することはこのページでは考慮しておらず、エンジニアから全く別の職種へ転職することを前提として見ています。
- エンジニアから営業職へ転職
- エンジニアからコンサルタントへ転職
- エンジニアから人事へ転職
- エンジニアから士業(会計士・税理士・社労士等)へ転職
ザックリとした分類ですが上記のようなものが考えられます。
一つずつ見ていきましょう。
エンジニアから営業へ転職
エンジニアから営業へ転職することは可能であり、特に同業界(IT・web等)の営業職としてエンジニアから転職するといったケースでは比較的親和性が高く転職しやすいです。
専門領域のセールスにおいては技術知識が不可欠であり、お客様から信頼を得るためには非エンジニアであっても勉強が必要となります。
その点元エンジニアであればこうした技術要素の面においては非常に強いものがあるのでアドバンテージがあると言えるでしょう。
実際にあなたもエンジニア時代に営業同行などをして客先で説明する機会があったかと思いますが、そうした経験からもわかる通りエンジニアとしての経験・知識は営業現場でもかなり活きます。
商材は無形であれ有形であれご自身の技術領域と親和性が高い領域であれば評価されるでしょう。
ただ、エンジニアから営業への転職を検討するケースでは、IT等の同業界での転職ではなく、全く異なる業界へ転職したいという要望も多くなっています。
そうした場合は、転職したい業界の営業職としてどういった能力やスキル、経験が活きるか考えアピールしていくことで転職が可能となります。
例えば、エンジニアとしてサービスの開発あるいは修正作業を行うというのは、結局のところ依頼してくれるお客様あるいはユーザーの要望を満たす(解決する)ことにあるかと思います。
その目的を達成するために「何をクリアしなければならないか?」等を一つひとつ突き詰めて機能開発や修正などを行っているかと思いますが、こうした一連のプロセスは営業職も全く同じであり、お客様が何に悩んでいるかを把握し、どんな問題があってどう解決していくかをヒアリング及び提案していくのが営業職であり、それはエンジニアとして間接的に顧客に接しているのか営業として直接的に接しているのかの違いとなります。
従って、エンジニアとして間接的に検討してきたフローも営業としては活かせることとなり、対面するお客様のことだけでなく、広く自社のことも視野に入れた問題解決思考を持っているとも言うことは可能で、広い視野を持って営業活動が行える人材であることを言い様によってはアピールすることが可能です。
上記はあくまで一例ですが、まず営業として何が求められるのかを突き詰めつつ、何が活かせるのかを考えると良いでしょう。
この辺りの問題は心配であれば転職エージェントに相談すると良いかと思います。
営業として転職するケースでは、広い意味でのコミュニケーションスキルが重要となる他、数字目標の達成がマストになるので、数字への意識等も重要となり、面接時にそういった志向性があるのか等もチェックされることが多いかと思います。
エンジニアからコンサルへ転職
あなたの周りでも一定数コンサルへ転職されるケースはあるのではないでしょうか?
ITコンサル、業務改善コンサルなど様々ですが、エンジニアとしての経験を活かしてコンサルとして活躍することは可能です。
特にコンサルは人手不足なので一部を除いてかなり転職しやすいです。
なお、言うまでもなくコミュニケーションスキルは必須となります。
コンサルへの転職はイメージが付くかと思いますので、さして説明しなくても大丈夫かなと思いますのでここでは簡単な記載で終わらせていただきます。
エンジニアから人事へ転職
企業側からの需要としても意外と高いのがエンジニアから人事への転職です。
様々な側面があるのですが、基本的に企業が一番困っているのがエンジニア採用とエンジニア部門の組織設計です。
まず、採用という面で見ていくと、エンジニア自体がそもそも日本国内で足りていないという問題の他、技術がわかる人事がいないということです。
採用業務においては、書類選考はもちろん面接や入社前の環境説明(開発環境含)などにおいても技術知識と開発現場の最低限の知識が必要となり、一般的な職種とはポイントが異なる特殊な領域のため、開発系分野が弱い人にとってはかなり難易度が高い仕事なのです。
IT企業等であれば人事もそうした知識を備えていることは当たり前かもしれませんが、昨今は全ての企業がIT化(社内にエンジニアを抱えるケースが多い)しているので、そうした企業においてはエンジニア理解がない(まだできていない)人事も多く、課題があるところが多いです。
そのため、人事が現場のことをわかっていないから書類選考から面接まで全部開発部でやっているという企業も多いかもしれません。
ただ、これは人事が一概に悪いわけではなく、人事は人事で様々な仕事がありますし、人事として覚えなければならないことが山のようにあるので、専門技術に詳しくなるというのは酷な話でもあります。
なので、企業ではエンジニア採用に強い担当者を一人は欲しいと思っているところが多いです。
そうした視点からエンジニアとしての経験を有する方は重宝されます。
また、人事部門の効率化(IT化)という課題も企業は抱えており、そうした業務においても開発に詳しい方がいるというのは心強く、重宝されます。
この他、VPoE(Vice President of Engineering)と呼ばれるエンジニア組織のマネジメントを担うポジションも昨今注目を集めていますが、需要が高く、CTOと協力してエンジニア組織を作っていく側のポジションで人事に近いと言えます。
CTOが最高技術責任者としてエンジニア組織のトップであるのに対し、VPoEは組織をマネジメントする側のトップなので、例えば採用や組織編制の企画などが主な業務となります。
必ずしもエンジニア経験が必須ではありませんが、エンジニアとしての経験も活きるポジションです。
少しザックリとした説明にはなりましたが、こうした背景もあり、エンジニア経験は人事でかなり活きます。
なので、企業側からの需要も高いのです。
業種に関わらずIT化が当たり前の時代なので、これからも需要は高まると考えられます。
エンジニアから士業へ転職
士業として活躍している元エンジニアも結構周りにいます。
相性は結構良く、まず士業の仕事自体が職人的(技術より)で、スキル重視の傾向もあるのでエンジニアと通ずるものは多少あります。
加えて、IT化に弱い士業が多いので、IT関連に強いというだけでアドバンテージが高い他、士業の仕事はエンジニア(技術)と関連することも多く、例えば特許もそうですし、国に提出する書類の作成なども技術的な知識や専門的な知識が必要となることも多いので、実は意外と相性が良かったりします。
私自身もゴリゴリのエンジニアではありませんが、一定度ITに詳しいことも有り、この領域では結構稼げています。
ただ、国家資格(会計士や司法書士、行政書士など)を取るのに1年から2年程度は最短でもかかるので、エンジニアとして仕事をしながら資格試験に合格するのを目指すのが良いでしょう。
個人的にエンジニアからの転職を考えているのであれば意外と良い選択だと思っています。
エンジニアから転職するなら人事がキャリアを活かしやすいからおすすめ
あくまで私的な提案になりますので一概に言えないと前置きしますが、エンジニアとしてのキャリアも活かせて相乗効果が高い転職というのはエンジニアから人事かなと思います。
人事への転職項目で記載させていただいた通り、技術知識・技術力、経営的目線など総合的な能力が必要とされつつ、それらが身につくのでやりがいはかなり大きいと思います。
採用や組織に関する事項は経営に直結するので仕事も面白みがありますし、将来起業などを考えるケースでも良い経験となります。
もちろんそのまま会社に居続けるケースであっても技術のわかる人事はこの先も重宝されることは間違いないので有用なポジションと言えるでしょう。
そのため、エンジニアからの転職をお考えであれば人事という目線を強めに入れてみてはいかがでしょうか。
転職にあたってはエージェントを利用した方が良いのか?
転職にあたっては様々なサービス・ツールを活用することをおすすめしています。
エージェント利用もした方が良いですが、それ以外に求人媒体やウォンテッドリー等のSNSに近しい物も登録しておくと良いでしょう。
ただ、いろいろ利用するのは面倒というケースもあるかと思いますので、最低限利用した方が良いのがリクルートエージェントとリクナビNEXTの誰もが思いつく転職サービスです。
リクルートエージェントはエージェントサービスで、リクナビNEXTは求人媒体サービスとなり、両社は異なります。
この2つの理由としては、圧倒的に求人数が多いことです。
ベンチャーから大手まで人事系求人及び営業系、コンサルファームの求人数はトップクラスであり、逆にここに無ければ他にもないでしょう、というぐらいに求人数が豊富な他、リクナビNEXTにしっかり登録しておけば他のエージェント(もしくは一般企業含)からスカウトが届くので、リクルートで見つけられなかった求人を保有しているエージェントも自動的に発掘できるので楽だからです。
なので、まずどこに登録しようか迷っているケースではこの2つを最初の軸とすると良いです。
ただ、転職活動やったことがない、応募書類等のデータ類の書き方も全く分からん、というケースでは、そのあたりもいろいろ教えてくれるdodaも登録しておきましょう。
20代や30代であればおすすめです。
なお、エージェント利用に際しては人事などの管理部門専門のエージェントを使うよりも総合型のエージェントを使った方が良いです。
管理部門特化型のエージェントはエンジニアに対する理解度が無いのでミスマッチすることが多いからです。
そのあたりは注意しておきましょう。
エンジニアから転職するなら若い方が良い?
基本的に20代もしくは30代中盤までに転職した方が良いかと思いますが、エンジニア部門の管理職等であるケースでは一定以上の年齢でも問題無いケースもあります。
ただ、営業系(IT以外)へやコンサル系への転職の場合は恐らく20代や30代前半でないと厳しい印象はあります。
逆にエンジニアとしての経験そのものが大きく活きる、技術系業界の営業や人事(エンジニア採用や組織構築等)であれば、エンジニア職のときの管理職経験等も評価されるため、一概に年齢が若いから有利、あるいは年齢が上だから不利ということはありません。
しかし、未経験職種にチャレンジするということを考えると、若いうちに転職した方が内定が得られる確率的には高いと想定されます。
なお、士業への転職というケースに関しては、例えば税理士等であれば30代、40代でも受け入れ土壌はあります。
会計士なども監査法人へは30代でも未経験で入所できます。知っている範囲ですとBig4等のこだわりがなければ50代で会計士試験受かった監査法人入所した方もいます。
※現在の市況であればという前提。
逆に司法書士や社労士の場合は30代中盤超えてくると意外と求人なかったりするので、早い方が良いというのはあるかもしれません。
ただ、士業の場合、自力で這い上がる(例えば社労士であれば実務要件は研修等で満たし実務未経験で独立等)人も結構多いので、このあたりは人によるというものはあります。
行政書士等はほとんどの人が未経験から独立するので、稼げないという噂とは裏腹にうまくいく人は多いです。
また、士業として食えない間は受託の開発案件で食いつなぐことができるのも強みです。
エンジニアの転職と違い技術力勝負にならないので相応の面接対策はした方が良い
エンジニアの場合技術力があれば人柄やコミュニケーションスキルはそこまで問わないというケースが多いのですが、その他の職種の場合、逆にコミュニケーションスキル(定義が企業により異なる)を重要視されるケースが大半なので、面接等の前に対策は立てておいた方が良いです。
カルチャーフィットを重視する企業が多いので、どういったマインド(感覚)を持っている人を欲しがっているのか等総合的に情報を入手して自分に合いそうなところを選びつつ、面接時も気を付ける必要があります。
この辺りは心配であれば先ほど記載したようにエージェントに頼っておいた方が無難です。
エンジニアから転職しつつもエンジニアとして副業することも可能なのでキャリアの幅が広がる
エンジニアから転職するにあたり、人事であろうと営業であろうと副業OKなケースが多いので、当該企業の利益を損なわない限りはエンジニアとしてのキャリアも捨てずにキャリアアップを図ることも可能です。
そのため、幅広いキャリアの可能性を残しながら新しいことにチャレンジすることができ、リスクヘッジにもなります。
エンジニアの副業案件はもんのすごいたくさんありますし、土日稼働だけでOKとかそもそも稼働時間を指定されないものも多いので結構良いなと感じます。
エンジニアから別職種へ転職することはメリットが大きく、特に人事は良い
エンジニアから転職することについて解説してきましたが、基本的にメリットが大きいと感じています。
特に人事領域は相性が良いのでお勧めと言えるでしょう。
- エンジニアから転職は可能で営業、コンサル、人事、士業など選択肢は様々
- エンジニアから人事への転職が特におすすめ(主観有)
- コミュニケーションスキルが求められるため人によってはエンジニアのままの方が良いケースも
- 転職にあたっては求人数が多いリクルートエージェントとリクナビNEXTは必ず登録しておく
- 転職活動に不安があればdodaも合わせて利用しておく
- エンジニアから転職しても副業でエンジニアができるのでキャリアの幅とリスクヘッジの観点から見ても有効な手段と言える