営業職の経験を活かして人事へ転職できないか画策される方も結構多くいらっしゃいます。
実際に募集求人を見ると、営業経験者を求める人事求人というのは少ないながらも一定数存在しており、その経験を活かして転職することは不可能ではありません。
ただ、狭き門であることと、求人募集自体はそこまで多くないので、しっかり考えて転職活動をする必要がある他、人事と言ってもどういった領域で営業経験者が求められるのか見ておく必要があります。
ここでは、そんな営業経験者で人事への転職に興味がある方向けに人事への転職について解説します。
なお、転職エージェントの営業(コンサルタント)経験者というケースでは人材転職エージェントから人事へ転職することは可能?転職後のギャップは大きい?も合わせてご覧ください。
目次
転職は可能。営業経験者を求める人事求人にはどういった類のものがあるのか?
結論から行くと営業から人事への転職は可能です。
ただ、そこまで求人自体は多くないのが実情です。
それでは営業経験者を求める人事求人はどんなものがあるでしょうか。
- 採用担当(新卒採用担当もしくは中途採用も場合により)
- 採用広報(ブランディング要素が強いポジション)
- 教育研修・育成関連(企業内で研修の担当あるいは企画等も行います)
あくまで入社時点での仕事内容となりますが、上記のようなものが多い傾向です。
採用関連業務は営業力が大きく活きる場面も多い
採用業務といっても様々な工程があり、例えば新卒採用であれば「説明会」や「インターン関連」業務、「面接」、「入社前フォロー」「入社後フォロー」など様々な業務があります。
ざっくりとした特徴として、人事採用担当の中でもコミュニケーション能力が大きく求められる工程を担当する要素が強いポジションにおいては営業経験者がマッチすることも多いため、営業経験者を募集(営業経験者でも可)とする募集が多くなります。
そのため、採用関連業務に興味のある営業担当者は入社のチャンスがあると言えるでしょう。
また、昨今は採用広報と呼ばれるブランディング的業務要素が強い仕事内容の募集もあります。
採用業務と兼務するケースが多くなりますがこちらも営業経験が大きく活かせる仕事でありニーズはあります。
ただし、こうしたポジションは数が多いわけではありませんので、エージェント等に登録しつつ機会をうかがう必要があります。
また、入社後は各企業によりキャリアパスが異なりますが、人事として最低限身につけなければならない事項(法規の勉強や制度構築・設計、労務等)も出てきますので、入社後も勉強は必要となります。
人事の中でも育成・研修関連部署での採用もある
人事の中には研修等を実施・企画する部門もあります。
教育研修育成といっても様々な領域がありますが、代表的な例ですと新入社員育成研修などがありますね。
専門職種であろうと総合職であろうと一般的な基礎的知識を身に着ける必要があるため、最低限のスキルを身に着けるためにそうした合同的なトレーニングを行ったり、専門職向けトレーニングの前段階の研修など様々ありますが、そうしたものの企画から現場レベルでの担当など様々です。
この他にも中途採用、中堅社員向け、管理職向けなど様々な研修プログラムが企業によってはあるかと思いますが、こうした従業員のレベルアップを目的とした各種研修の企画や設計、研修者としての役割など様々な視点での採用があり得ます。
ただ、この役割での採用の場合、営業としての経験が評価されての採用もありますが、特殊な業界(専門性が高い等)での業務経験が必要であったり、研修企画企業におけるセールスの経験といった形で募集要件が狭いケースも多いので、そう多くないと思ってください。
ただ、募集としてはゼロではありません。
営業から人事労務への転職は可能か?
採用以外の人事業務でもう一つわかりやすいポジションとしては労務がありますね。
給与計算や社保手続など労務面を専門に行う仕事です。
このケースでは、営業経験者が欲しいといったケースでの採用募集はほぼありません。
ただ、営業経験者の中には事務的な業務がやりたいということで人事労務への転職に目をつけるケースもあります。
こうしたケースで転職に成功した事例としては、20代のうちに社会保険労務士に合格し、それが評価されて未経験で人事労務に採用されたケースや同様に若いうちに社労士試験に合格し、社労士事務所や会計事務所などで給与計算等に関する業務に携わった後事業会社の人事へ転職といったケースはゼロではありません。
とはいえ社労士試験に合格するのは大変なのでよく考えて臨むようにしてください。
基本的に営業から労務への転職は難しいことが多いということはご認識ください。
営業から人事へ転職するなら採用職関連が最も相性が良い
営業として働いている方が人事への転職を目論むのであれば、基本的に採用関連ポジションを狙って入社すると選考通過の確率は高まります。
そして人事として入社すれば社内で様々な経験を積むことも可能となるため、そこからキャリアアップやキャリア構築を図っていくのが近道と言えるでしょう。
ベンチャー人事はねらい目
ベンチャーの採用人事ポジションはねらい目です。
ベンチャー人事の場合採用活動で困っているケースが多いのですが、採用以外にも様々な仕事をやって欲しいというケースが多いので器用にいろいろこなせつつコミュニケーションスキルが高い方を好まれる傾向にあります。
※もちろん企業やポジションにもよりますが。
そのため、営業経験者を人事として採用募集するケースは比較的多いです。
ただし、ベンチャーの場合いろいろやらないといけない(総務庶務的な仕事から何から何まで)ケースが大半なので大変ではあります。しかし、その分経験は得られます。
基本的に20代のうちに転職しておく必要がある
絶対の条件ではありませんが、営業と人事職とでは職務内容が大きく異なりますので覚えるべきことはたくさんあります。
なので、情報のキャッチアップ等の視点から、未経験者を採用にするにあたっては若い方の方が圧倒的に有利です。
なので人事に興味のある方は早めにアクションを起こしておきましょう。
転職エージェントは利用した方が良いか?
営業から人事へ転職したいのであれば個人的にはエージェントの利用はもちろんあらゆる求人媒体に登録しておくべきだと考えます。
まず、募集自体がそう多いわけではないので、アンテナを広く張っておく必要があるからです。
ただ、闇雲に転職サイトに登録しても面倒なので、ポイントを絞って登録することをおすすめします。
まず、リクルートエージェントとリクナビNEXTは必ず登録しておいてください。
どういうことかというと、求人数が圧倒的だからです。
両社の違いはエージェント(エージェントさんに求人を紹介してもらう)か求人媒体(自分で応募)かの違いとなりますが、こうした人事職の募集は求人そのものが少ないので、求人が圧倒的に多い会社を利用する必要があります。
リクルートは求人数が日本でトップの企業なので登録しないという選択肢がそもそも無いと思ってください。
そして、企業側はエージェントに採用を任せるケースもあれば、媒体で募集するケースもあるため、両方に登録しておくことで、広く求人をサーチすることが可能となります。
また、エージェント利用の場合はエージェントさんにお任せしておけば問題ありませんが、求人媒体に登録するメリットとしてスカウトが受けられるというものがあります。これまでの経験・スキルと希望をしっかり書いておくことで、それに合致した求人案件が勝手に企業側あるいはヘッドハンターから送られてくるので、必ず登録しておきましょう。
リクルートエージェントとリクナビNEXTに登録しておくだけで他のエージェントに登録する手間が省けるとお考え下さい。
なお、転職活動自体が初めてだからその辺にそもそも不安があるというケースではdodaも合わせて登録しておきましょう。
こちらはエージェントタイプの転職サービスですが、求人数も多いことに加えて、転職活動に関する初歩的なアドバイスもしっかりしているので安心です。
この3つ押さえておけばベンチャーから大手企業までだいたいカバーできます。
この辺りを基本としてまずは活動してみてください。
人事へ転職する際に営業経験で評価されるポイント
実際に転職活動を始めた後のことについて簡単に解説しておきます。なお、ここでは採用関連職であることを前提に記載させていただきます。
上記までではザックリコミュニケーションスキルの有無等が評価されるといった趣旨のことを記載しましたが、それ以上に評価されるポイントがあり、それは「達成力」です。
目標達成意識は評価される
営業には目標予算(売上目標)が必ず設定されているかと思いますが、その達成のためにどういった計画を立て、どういったアプローチをし、どういった結果になったのかなどを繰り返してきたかと思いますが、人事職にも当然目標数値が設定されており、「〇名採用する」といった具体的な目標があります。
それらを達成するために必要なアクションプランをたてて実行していくわけですが、そうしたプロセスは営業と全く同じです。
そして、営業職の方は数字目標に対する意識が高い方が多いので、こうした点は非常に評価されます。
逆に管理部門の経験しかない方の場合、この目標達成意識が低いケースが多いので、営業経験者はこうした視点でも重宝されます。
なので面接の際はコミュニケーションスキルの他に、この目標達成に対する意識というものは根拠を持ってアピールできるようにしておきましょう。
折衝能力・調整能力
コミュニケーション能力の一つとなりますが、人事職は多くの方とコミュニケーションをとりながら仕事を進めていきます。
採用担当であれば求職者とのコミュニケーションもあれば社内各部門の責任者などとも話を進めていく必要があります。
そのため、あらゆる人との調整・折衝が必要となり、その点は営業で培ったスキルが活かせると言えるでしょう。
思いやりがある、気配りができる
第一印象が良いと言った方が良いかもしれませんが、相手のことを考えた行動が人事職には必要となり、とにかく良い印象を持ってもらうことが重要です。
会社の顔として表舞台に立つことも多い職業なので、相手に良い印象を持ってもらうための言動・行動が必須です。
それは営業職にも通じるものがあるかと思いますが、こうした視点は非常に重要であり、アピール材料となるでしょう。
営業から人事へ転職した後のメリット
営業から人事へ転職した後のキャリア的な視点等を踏まえてそのメリットを簡単に説明しておきます。
迷っている方は参考にしてみてください。
キャリアの幅が広がる
人事を経験することでキャリアの選択肢に幅が出ます。
まず、営業職に戻りたいと思った際も可能な他、人事として経営に近いポジションで経験を積んでいたり、組織構築や制度設計などまで踏み込んだ経験もしておくことで、経営企画への道や組織人事コンサルタントとしての転職可能性なども出てきます。
もっとも、コンサルへ転職したいという方は稀ですが、営業と人事を経験することでキャリアの幅が広がるのは間違いないので、損はありません。
経営的目線が身につく
経営において「人」がいかに重要で重視されている事項なのかよくわかるようになると思います。
年次が上がっていけば経営戦略に基づいて人事戦略を練るポジションにもなっていくかと思いますが、経営に密接した仕事内容というのは結構多いので、知識欲やスキル欲も満たされる良い仕事だと個人的には思います。
人脈が広がる
これは営業マンも同じかもしれませんが、人事をやっていると様々な人と話をする機会があるので人脈も広がります。
経営レベルの相手から学生、スタッフレベルの若手など多くの人と交流を持つ機会があるので、良くも悪くも人とのつながりは増えるでしょう。
以上簡単にメリットについて紹介させていただきました。
人事業務に関する知識やトレンドを事前に押さえておくことも重要
転職活動において昨今の人事関連のトピックス・トレンドを押さえておく必要があると言えるでしょう。
採用にあたっては人事職に挑戦したいという「意欲」やそれらに至る「動機」の整理も重要になってきますので、人事関連の情報収集が出来ているかどうかといったことや昨今企業が抱える人事関連の悩みを押さえつつ、ご自身がそれらに対してどう考えるのかといったことをまとめておくことも重要です。
昨今は人事情報のWebメディアもかなり増えているのでこうした情報は取得しやすくなっています。
参考:digireka!HR人事ニュースサイト21選!特徴を徹底比較します!
上記のサイトでは人事領域ごとに各種メディアがまとめられているので情報収集にあたっては便利なことからご参考ください。
また、転職後に人事業務が思っていたものと違ったと言った形でミスマッチを起こすケースが多いですので、そういった視点でも情報収集をしておくと良いでしょう。
営業から人事へ転職したいなら早めに動いた方が良い
人事への転職自体は可能であり、営業経験が活きる場面も多々ありますが、とはいえ別職種になるので若いうちに転職した方が良いです。
今すぐ転職するかどうかは別にして早めにエージェント等に相談しておきましょう。
- 転職は可能だが求人数はそこまで多くないため広くアンテナを張る
- 採用関連ポジションでは営業経験者ニーズがある
- 労務への転職はかなり厳しいが迂回ルートを検討することで可能性はある
- 転職にあたっては求人数が多いリクルートエージェントとリクナビNEXTは必ず登録しておく
- 転職活動に不安があればdodaも合わせて利用しておく
- キャリアの幅が広がるため人事経験は有用であると考えられる