給与計算は、毎月必ず行う大切な業務です。源泉所得税の控除があるので税理士事務所や会計事務所で行なっている所も多くあります。しかし、給与計算事務を正しく行うには、税法だけでなく社会保険の仕組みや労働法令などの幅広い知識を持った社会保険労務士のスキルが必要なのです。特に残業などの労働時間の集計や社会保険料に関してはとても難しく、間違ってしまうと大きなクレームにも繋がります。
では、社会保険労務士事務所では、どのように給与計算事務を行なっているのでしょうか。
給与支払の仕組みについて
給与は、労働基準法で毎月1回以上一定の期日に支払わなければならないと定められています。月給制の会社だけではなく、年俸制の会社であっても毎月1回は給与の支払いが義務付けられています。
また、給与だけでなく賞与を支給する場合も、所得税や社会保険料を控除する必要がありますし、社会保険の諸手続きも必要となってきます。
給与と賞与を支給した場合は、給与明細書を作成し従業員に渡します。そして、会社では賃金台帳や源泉徴収簿をきちんと保管しておく必要があります。
これら全ての業務を社会保険労務士事務所で行っているのです。
給与計算の1年間スケジュール
毎月の給与計算だけでなく、賞与や退職金、年末調整を行っている事務所もあります。
賞与も給与と同様に社会保険料と所得税を控除する必要があります。また、賞与を支給した場合、賞与支払届という手続きが必要となります。
給与計算ってどうやって行うの?
社会保険労務士事務所では、担当制をとっている所が多くあります。会社の規模によって担当する人数は異なりますが、担当した会社の給与計算と社会保険事務を同じ人が行っています。というのも、社会保険の手続きは給与計算に付随してくる物が多いからです。
例えば…
社会保険料や住民税の控除に気をつける必要があります。
② 被扶養者の追加と削除
税法上の扶養の追加と削除で所得税が変わります。
③ 怪我のため、長期お休み中
給与が発生しなくても、会社に在籍し社会保険に加入していれば、社会保険料を控除する必要があります。
④ 産休・育休中等
社会保険料の控除が免除になります。
給与計算事務の流れ
では、給与計算事務の具体的な流れをご紹介します。
残業時間や欠勤、遅刻、早退、有休などの勤務状況の集計を行います。
タイムカードを会社で使用していれば、タイムカードを会社で集計して頂く場合もあれば、事務所で集計することもあります。これはお客様との契約によって行う業務が異なります。勤怠システムを導入している会社は、会社で勤怠集計を行いそのデータを事務所へ送ってくれます。
② 変更事項の確認
基本給、諸手当に変更があるかの確認や社会保険事務で変更があった部分を再確認し給与計算に反映します。
③ 控除項目の確認
社会保険料、所得税、住民税を控除します。特に社会保険料は控除開始するタイミングや等級が変わった時などに注意が必要となります。
④ データ作成と納品
1度給与計算を行ったら再度ダブルチェックをし、間違いがなければデータを作成しメールで会社へ納品します。
⑤ 給与明細書の作成
給与明細書を作成して郵送したりWEB上にアップします。
これで給与計算は完了です。
間違いやすい!社会保険の仕組み
給与計算で最も間違いやすいと言われるのが、社会保険料です。控除開始や等級変更のタイミングが一番難しく、社会保険の仕組みを分かっていないと正しく給与計算に反映することができません。この仕組みを十分に理解している社会保険労務士だからこそ、お客様に納得してもらえる給与計算が出来るのです。
給与計算事務の達成感と充実感
会社の規模によって給与計算の困難さは異なってきます。しかし、大きい会社でも小さい会社でも、会社から求められるのは正確性です。
会社から送られてくるデータに間違いがあれば、それをきちんと正してあげるのも社会保険労務士の仕事です。会社の担当者の方から、「これは知らなかった。気付かなかった。ありがとうございます!」と言われると、とても嬉しく充実感を得ることができます。
又、毎月給与計算が終わると、またひとつ自分がステップアップ出来たと達成感を得ています。
給与には、締め日が設けられていて、最も多いのが「月末締め翌月25日払い」です。
金融期間に振込の会社がほとんどですので、遅くとも支給日の4営業日前にデータを確認し、渡す必要があります。