社会保険労務士は、人事労務管理、給与計算、労働問題などの法律に精通した国家資格です。
社会保険労務士は専門家として独立開業することもできますが、独立するのではなく、資格を活用して企業の労務管理や給与計算などを行っている人事や総務部門へ就職・転職できないか考える場合もあるでしょう。
ここでは、社会保険労務士の資格を有することが一般企業の就職・転職にどのように作用するかを分析していきます。
※本記事では社会保険労務士事務所へ転職・就職することは想定しておりませんので、社会保険労務士事務所への転職に興味のある方は以下の記事も参考にしてみてください。
社会保険労務士事務所であれば資格を持っていれば転職に有利に働くこともあります。また、資格を持っていなくても転職できるケースもあります。
目次
社会保険労務士の難易度はかなり高い
社会保険労務士の資格を活用するためには、まずは試験に合格して資格を取得する必要がありますが、試験自体はかなり難しいものになっています。
社会保険労務士の試験は毎年1回実施されます。試験科目は労務や保険に関する法令についての知識や、業務に関連する一般常識などが問われます。
合格するためには、全ての科目で一定以上の得点を得たうえで、総合点についても一定以上の点数を獲得する必要があります。
試験内容が専門的で範囲も広いため、未経験から合格できるレベルに達するためには、かなりの勉強量が必要になります。独学で勉強するのは難しいですが、予備校などに通う場合には、費用や時間も更に必要になってきます。
合格率は毎年数%程度で、資格試験としてはかなりの高難易度になります。合格するまでには3~4回ほど受験するのが平均的なため、資格を取得するために数年かかるのが一般的です。かなりの努力と根気が必要な資格になっています。
社会保険労務士の資格が就職や転職で有利に働くか?
企業などの求人募集においては、社会保険労務士自体を募集しているものはあまりありません。社会保険労務士の有資格者を優遇する求人がたまにある程度です。
資格者を優遇する場合でも、社会保険労務士に関連性のある業務について、ある程度の実務経験を要求されるケースがほとんどです。そのため、資格はあくまでプラスとしての意味を持つのみになります。
こうした状況からは、社会保険労務士の資格についての企業におけるニーズはあまり高くはないことが伺えます。ニーズが高い場合には、その資格を有することを必須とする求人も多くなってきます。
そのため、社会保険労務士の資格が転職に直結するかという問いは、残念ながらイエスにはならないようです。
社会保険労務士としてのキャリアや知識、スキルによっては転職に有利になることもありますが、
資格があるからといって絶対に有利になるということではありません。
社会保険労務士の資格が就職や転職で有利にならない理由
社会保険労務士の資格が転職に直結しない理由としては、資格に関連する業務の中核となる労務と給与計算が、資格がなくても経験さえあればこなせる業務内容になっているためです。
そのため、総務や人事部門における労務管理や給与計算に関する求人を募集する場合は、資格よりもまずは業務自体の経験が重視されることになります。
そうした事実を踏まえると、転職のために社会保険労務士の資格を取得することは、勉強のための時間や試験の難易度を考えると、あまり効率のよい方法ではないかもしれません。
ただ、最近の転職マーケットは超売り手市場が続いており、未経験の方でも転職が可能な状況が続いています。
給与計算や労務管理などの事務系の求人は非常に人気のため、
こうした未経験者を採用する企業への転職という点においては、社会保険労務士の資格が転職で有利に働くこともあるでしょう。
新卒採用や未経験者の応募を受け付けている転職先の場合は社会保険労務士の資格で転職・就職が有利になる?
もっとも、特定の場合には社会保険労務士の資格が活躍する機会はあります。1つは、新卒をポテンシャル採用する求人に応募する場合に、他者との差別化を図るためです。
社会保険労務士の資格は取得難易度が高いため、新卒の時点で資格を保有しているのは非常に稀なケースになります。
人材の潜在的な能力が重視される新卒の採用においては、高難易度の資格を保有していることは、評価の面でかなり有利に働くこともあります。
また、将来人事などの管理部門のスペシャリストになりたいという明確な目標を持っていたりすると、なお評価は高いでしょう。ただし、新卒の場合は総合職での採用になるため、新卒で早々に人事部門に配属されるとは限りません。
また、先ほど記載しましたが、新卒と同様に、未経験者でも応募ができる転職先であれば、社会保険労務士の資格を持っていることで、有利に転職活動が進められる可能性が高いです。
年齢にもよりますが、事務系の仕事がしたい20代の若手であれば社会保険労務士の資格を持つことで、企業の総務部門等への転職の道が開かれる可能性はあります。
業務経験にプラスして社会保険労務士資格も持っている場合は転職で有利になる?
資格を活用できるもう1つのケースは、労務管理や給与計算についての業務経験がある場合に、それにプラスする形で社会保険労務士の資格を保有している場合です。
これらの業務は、ある程度の規模を有する企業であれば必ず必要になってくる業務のため、経験者の人数も必然的に多くなります。
その一方で、経験者の中で社会保険労務士の資格も持っているというケースは、あまり多くありません。求人に応募する多くのライバルの中から頭一つ抜き出るためには、資格は強力なアドバンテージになります。
そうした観点からは、単に就職や転職を有利にするために社会保険労務士の資格を取得するよりも、業務の経験者が自分のキャリアを高めるために取得するというケースのほうが、資格の持つ価値を十分に活用できます。
そのため、今後を見据えたキャリアアップのための資格取得であれば十分に効果があると言えるでしょう。
また、社会保険労務士事務所や会計事務所などで社会保険労務士として勤務されていた方の場合、
給与計算や労務管理の業務経験は当然お持ちかと思いますので、
この場合、企業への転職という点では有利、とまではいかないかもしれませんが、十分に価値のあるものとなります。
なんとなく社会保険労務士資格でも取ってみようかな、と考えていた方は、簿記3級や2級などと違い気軽に勉強して合格できるような資格ではありませんので、ご自身のキャリアプランや今後挑戦してみたい仕事など、よく考えて資格取得に臨みましょう!
また、既に社会保険労務士資格をお持ちの方でキャリアアップ転職をとお考えの方は、これまでの業務経験や自身の強みの棚卸をし、自分に合った転職先を見つけられるように情報収集を行っていきましょう。
また、ご自身のスキルと資格を活かして効率的、効果的に転職活動をしたい方は転職エージェントの活用も視野に入れてみるといいでしょう。
転職マーケットに関する情報や実際の面接対策はもちろん、
ご志向の整理から今の自分がどのようなフィールドで活躍することができるのか?など幅広い視点でサポートを受けることができます。
人事や総務などの企業の管理部門での転職となると、社会保険労務士資格を保持しているとはいえ、「士業」として転職するというよりは一般的な総合職としての転職になるかと思いますので、一般企業の転職に強いエージェントの活用がよいでしょう。管理系の職種にも比較的強く、多くの転職ノウハウを持っているdodaもおすすめの転職エージェントの一つです。
私も一回だけ転職相談をしたことがありますが、転職に役立つ様々な情報を頂けました。転職を促されることもなかったので落ち着いて転職活動をすることができたように感じています。
また、企業の管理部門の転職に特化しているMS-Japanもおすすめです。
管理部門系ではトップクラスの実績を誇る転職エージェントです。とにかく求人数が豊富で、様々な可能性を視野に入れて転職活動をしたい方にはおすすめとなります。
これから社会保険労務士資格を取得しようと考えていた方、
あるいは資格をすでにお持ちで、キャリアアップしていこうとしているかた、
いずれにしても、転職・就職を考えた際は業務経験が最も重要な要素であり、資格を取ったからといって必ず就職できる魔法の資格ではないことを念頭にご判断いただければと思います。
社会保険労務士 安く抑えて合格を狙う!<資格スクエア>
企業の人事や総務へと転職したい社会保険労務士はどうすればいい?
社会保険労務士の資格を持っているからと言って、必ずしも転職で有利になるわけではありませんが、
転職すること自体は可能です。
あなたのこれまでの業務経験やスキルによるところもありますので、転職エージェント等で転職できそうな先があるかどうか確認してみるのも良いでしょう。
以下に企業の人事や総務への転職を考えている方や社労士資格を持つ方におすすめの転職エージェントをご紹介します。
社会保険労務士事務所を始めとする士業事務所への転職にも強いため、社会保険労務士資格をお持ちの方にはおすすめの転職エージェントの一つです。
社会保険労務士事務所での勤務経験のある方が、企業の総務や人事へ転職するケースにおける転職事例も豊富ですので、
転職をお考えの社会保険労務士の方は、是非こちらのエージェントに相談してみると良いでしょう。
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