会計事務所スタッフの転職・求人動向

今年もあっという間に時間が過ぎようとしていますが、採用シーズンの到来前に今年の会計業界の動向が気になるところです。
そこで、まずは会計業界の求人事情について知っておきましょう。過去の動きを知ることで今後の動向もつかみやすくなります。

会計事務所業界は明るい?転職市場はまれにみる売り手市場!

業界全体が売り手市場として動いており、転職するには絶好のタイミングです。以下に2017年8月までの事務系の有効求人倍率を表にまとめましたのでご覧ください。

正規・非正規含む 29年1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
事務的職業 0.45 0.48 0.47 0.40 0.39 0.40 0.42 0.44
 一般事務の職業 0.36 0.39 0.38 0.31 0.30 0.31 0.32 0.34
 会計事務の職業 0.73 0.76 0.76 0.71 0.69 0.70 0.71 0.72
 生産関連事務の職業 1.66 1.78 1.76 1.69 1.67 1.73 1.77 1.84
 営業・販売関連事務の職業 0.88 0.90 0.90 0.82 0.81 0.84 0.88 0.90
 外勤事務の職業 4.40 3.79 3.73 3.15 3.32 3.42 3.77 4.55
 運輸・郵便事務の職業 3.43 3.64 3.52 3.20 3.28 3.27 3.41 3.50
 事務用機器操作の職業 0.63 0.65 0.63 0.59 0.58 0.58 0.59 0.60
正規のみ 29年1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
事務的職業 0.40 0.41 0.40 0.36 0.36 0.37 0.38 0.40
 一般事務の職業 0.31 0.33 0.31 0.27 0.27 0.28 0.29 0.30
 会計事務の職業 0.61 0.64 0.64 0.61 0.60 0.62 0.62 0.63
 生産関連事務の職業 1.27 1.34 1.32 1.29 1.29 1.34 1.38 1.44
 営業・販売関連事務の職業 0.81 0.83 0.82 0.76 0.75 0.79 0.81 0.82
 外勤事務の職業 5.39 4.00 3.55 3.06 3.25 3.60 4.22 5.05
 運輸・郵便事務の職業 2.77 2.85 2.74 2.54 2.69 2.71 2.81 2.88
 事務用機器操作の職業 0.45 0.45 0.44 0.39 0.41 0.41 0.40 0.41
非正規のみ 29年1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
事務的職業 0.57 0.64 0.62 0.50 0.47 0.47 0.50 0.53
 一般事務の職業 0.46 0.53 0.52 0.40 0.37 0.37 0.39 0.42
 会計事務の職業 1.21 1.28 1.27 1.11 1.03 0.99 1.04 1.08
 生産関連事務の職業 3.12 3.43 3.42 3.14 3.00 3.10 3.14 3.28
 営業・販売関連事務の職業 1.23 1.26 1.28 1.08 1.07 1.09 1.19 1.27
 外勤事務の職業 3.44 3.58 3.93 3.26 3.39 3.22 3.32 3.99
 運輸・郵便事務の職業 6.66 7.31 6.80 5.61 5.38 5.30 5.88 6.11
 事務用機器操作の職業 0.90 0.95 0.92 0.88 0.83 0.81 0.84 0.87
【出典:厚生労働省 職業別労働市場関係指標(実数)(平成23年改定)(平成24年3月~)】

 
少しデータは古いのですが、2019年1月現在も会計事務所スタッフの転職マーケットは超売り手市場が続いています。
基本的に事務職全般での有効求人倍率は0.4倍ほどで推移していますが、会計業界では0.7倍と労働者側に有利な倍率で推移しています。非正規単体で見た時には会計業界では1倍を超える倍率となり更に有利な状況だといえます。
会計業界が売り手市場と言われる理由は以上からも明白であり、その専門性も相まって一般事務よりも遥かに優遇された状態です。
では、業界全体が売り手市場だと理解した上で、次に業界の規模別に見ていきましょう。

大手会計事務所やBig4税理士法人の転職・求人動向は

大手の会計事務所、いわゆるBig4と呼ばれる規模の会計事務所はどうでしょうか。いくら売り手市場と言われてもやはり転職は難しいのでしょうか。
実は今、大手会計事務所の採用基準は下がっているのです。従来だと資格持ちや、税理士試験なら4科目持ちでないと採用されなかった大手も、ここ数年は2~3科目で採用されるケースが増えています。
これは一概に売り手市場だからというわけではなく、昨今のコンプライアンス意識の高まりから社員の残業を抑えるためにも人手を増やしている状態にあるからです。
大手の税理士法人にて経験を積むチャンスですので、転職市況が活発な今の時期に転職を検討するのも良いでしょう。

中堅会計事務所の転職・求人動向は

中堅会計事務所も大手と同じく、採用基準が下がっており、正規・非正規共に採用されやすくなっているのが現状です。
大手よりもフットワークが軽く、かつ中身もそれなりに濃い案件を扱うため、Big4税理士法人に勤務していた方が中堅規模の会計事務所へと転職するケースも多いです。

中でも資産税(相続・事業承継)などの専門分野を取り扱っている会計事務所は依然として人気で、法人を一通り覚えたから新しい領域として資産税にチャレンジして成長したいといった方の転職も多くなっています。

小規模、零細会計事務所の求人動向は

この規模になると、ある程度の経験か資格を有していると事務所側から来てくれと手招きされるレベルです。そのため労働者にとっては働き先を選びやすくなっており、特に給料よりもプライベートな時間を大切にしたいという人にはこの規模の会計事務所で探すと良いでしょう。

コロナ以降の会計事務所業界の転職状況は?

採用を控える会計事務所も無いことは無いのですが、基本的に採用意欲は高めの業界です。
そのため、税理士試験勉強中の方が転職するケースなどでは特に問題ありませんし、
スキルアップ、キャリアアップを目指す転職においても現在のところは問題ないでしょう。
Web面接も当たり前になりつつあります。
※事務所によりますが。

採用されてから後悔しないために

誰しもが自分が希望するような職場で働けるわけではありません。しかし、働けるようになる確率を上げる方法はあります。
「給料」と「時間」の2つで考えますが、給料を第一に考える人は基本的に中堅以上の会計事務所を狙ってください。現在、給料の未払い問題(残業)が業界問わず騒がれているため企業側も慎重にならざるを得ません。中堅以上でコンプライアンスを意識しているような会計事務所であれば希望の金額に届く可能性があります。

逆にプライベートな時間を大事にしたいという方は小規模、零細会計事務所もおすすめです。所内の雰囲気が所長の人柄に影響されるため、面接時に「働きやすそうだ」と感じたならば、空気も穏やかで丁寧な仕事ができます。

ただ、そうは言っても自身の希望に合った会計事務所を見つけて転職するのはとても大変です。
ひとくちに中堅・小規模といっても、結局のところ様々な会計事務所があり、一つひとつを見極めるのは大変です。
小規模の会計事務所が所長先生の雰囲気に左右されるということは、逆を言えば所長先生次第であなたにとって劣悪な環境になることもあるのです。

会計事務所は所内の情報をしっかり発信しているところは少なく、どのような人が働いているのかといった会計事務所の実態が掴みにくいので、情報を探るのが大変です。

そのため、会計事務所の転職においては、会計事務所の内情に詳しい転職エージェント等を活用して転職されるケースがとても多いです。
会計事務所に精通した転職エージェントというのはそれほど多く存在しておらず、大手の転職エージェント等に登録してもほとんど求人は出てきませんし、担当エージェントも業界知識がないので、あなたにマッチした会計事務所を紹介してくれる確率はとても低いでしょう。

そのため、転職エージェントをご利用される際は、必ず会計事務所の転職に詳しい転職エージェントに登録してください。

転職市況はとても良いので転職すること自体はそれほど難しくありませんが、正社員として働くにしても、パートや派遣で働くにしても、各会計事務所の内情をしっかり理解した上で転職しないと後々後悔することになりますので、しっかり情報収集してから転職してください。

以下に会計事務所の内情に詳しい転職エージェントを紹介しますのでご参考ください。

MS-Japan

企業の管理部門への転職イメージが強い同社ですが、会計事務所スタッフ向けの求人もかなりたくさん持っています。業界でもトップクラスです。
各会計事務所の特徴もしっかりおさえていて、一人ひとりの経験値にあった会計事務所を紹介してもらえるので、
会計事務所への転職を考えているのであればこちらの転職エージェントはおすすめです。
幅広い求人の中からあなたにピッタリ合う転職先を見つけることができるでしょう。
HUPRO(ヒュープロ)

大学との共同研究による独自開発の「AI」を用いた転職診断が行えます。

膨大なデータに基づいた解析を行っており、
有給消化率や残業時間、休日日数等のデータも踏まえているので、「キャリア志向」の方にはもちろん「仕事と家庭を両立しつつキャリアアップをしたい」とお考えの方や「税理士試験勉強と仕事の両立を目指している受験生」の方などそれぞれの希望にピッタリマッチした求人を素早く見つけることができます。
会計事務所はもちろん事業会社の経理の求人も豊富なため、幅広い選択肢の中からあなたに合った求人が見つけられます。

AIによる転職診断だけではなく、
多くの会計事務所スタッフの転職支援実績のある専門のエージェントにLINEやメール、電話で24時間相談ができるので、転職相談を重視したい方にもおすすめです。

たった5分のAI転職診断であなたにぴったりの転職先を見つけることができるので、この機会に転職診断をしてみてはいかがでしょうか。
※転職診断等のコンテンツは会員登録後に閲覧・利用可能と変更になりました。

ジャスネットキャリア

公認会計士の方が創業したということもあり、会計業界の動向については非常に詳しいです。
税理士科目合格者を始めとする会計事務所のスタッフの求人も豊富で、税理士試験勉強をサポートしてくれる会計事務所等も紹介してもらえます。
また、転職相談には定評があり、丁寧に対応してもらえるので、安心して転職相談をすることができます。
いろいろと相談したい人には良いでしょう。
ジャスネットスタッフ

紹介予定派遣・派遣サービスとなります。日常的な経理のお仕事から、公認会計士、 税理士などのエキスパート向けのお仕事まで幅広く案内しているため、正社員ではなく、派遣等での勤務を検討している方には特におすすめです。
派遣で働く場合でも、派遣先の職員や所長先生の性格次第で職場の運域はガラリと変わるものなので、
会計事務所業界の内情に詳しい派遣会社を活用することをお勧めします。
こちらのジャスネットスタッフさんは、上記で説明したジャスネットキャリアさんと同じグループのサービスで、
会計業界には強い会社となっています。

転職エージェントに興味のあるという方は以下の記事も参考にしてみてください。

税理士の転職サイト・エージェントを紹介!

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樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
公認会計士・税理士・経理などの士業・管理部門の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズで勤務し、転職エージェントや会計専門メディアの事業の立ち上げを経験。その後、株式会社インテグラルベース(厚生労働省特定募集情報等提供事業者51-募-000806)を創業。現在は転職・採用・人事に係わるコンサルティングや求人サイトの運営を行っています。 士業JOBでは、これまで培った人脈と10年弱に及ぶ転職や採用に関する業務経験・実績を活かして転職に役立つ情報の配信を行っている他、多数の人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。また、行政書士として事務所を開設しており、自身も士業として活動しております。 執筆者・監修者・編集者情報へ