会計事務所から一般企業の経理への転職は難しい?税理士・会計事務所スタッフのキャリアチェンジ

会計事務所から事業会社の経理に転職したいと考える方が増えているように感じます。

また、企業側でも経理・会計系人材の不足から会計事務所勤務経験者を採用する動きは多くなっています。

会計事務所に勤務する方の志向性として、十数年程前までは税理士資格を取得して「将来は独立」という考えの方が比較的多かったと思うのですが、昨今は良くも悪くもサラリーマン志向の方も増えており、税理士や税理士科目合格者の方が安定を求めての事業会社への転職を目指すというケースもそれなりに増えています。

また、税理士試験の勉強をしてきたものの、何らかの理由により税理士試験を諦めて企業経理等へ転職するというケースもあります。

純粋に税理士に向いていないと思って諦める方もいますし、会計事務所の業務・内情が思っていたものと違ったということで諦める方も多くいますが、それら以外の傾向として、日本という国自体の成長性の問題や会計事務所業界の将来性の不安、税理士資格そのものの将来性、ワークライフバランスも含めた社会全体の価値観の変化、AIの出現によるキャリアの不安など様々な要因があるかと思います。

理由はどうあれ税理士試験を諦める方の中には税理士試験は諦めるけど会計事務所で培った「会計」「税務」の業務経験を活かして一般企業の経理に転職できないか?といった希望を持つ方は多く、相談は増えております。

実際のところ会計事務所から企業の経理への転職は可能なのか?

それに対する答えとしては可能であると言えます。

決算や税務申告など、企業の経理業務に活用できる経験が豊富な会計事務所出身者は、事業会社の経理への転職を成功させるために十分な力を持っているといえます。

もっとも、転職をスムーズに成功させるためにはあらかじめ押さえておくべきポイントをいくつか把握しておくことが重要です。

ここでは、会計事務所から企業の経理に転職するために重要なポイントについてご紹介します。

なお、会計事務所といっても小規模会計事務所から大手税理士法人まで様々ありますが、最も勤務者が多い中堅中小規模の会計事務所に勤務しているケースを想定して記載させていただきます。

大手会計事務所(Big4税理士法人やそれらに準ずる規模の会計事務所)からの転職といったケースにおいてはBig4税理士法人から転職したいが年収で折り合いがつかない税理士の転職についてなどの記事もあわせてご参考ください。

※社会情勢が目まぐるしく変化している状況です。実際に転職をお考えの際は逐一最新の求人募集概況や情報等を提供してくれる最前線で活動して生の情報を持っているエージェント等からも収集することをおすすめします。
※税理士試験を諦めて会計事務所からの転職を考えるケースについても後半で記載しています。
※近年リモートワークに関する質問が増えたため後半で加筆しております。

一般的な会計事務所からの転職であれば中小規模の企業の経理への転職がおすすめ

一般的な会計事務所からの転職なら中小企業がマッチしやすい

会計事務所から一般企業の経理部門に転職したいという希望を持つ方の中には取り扱う業務の規模・内容や福利厚生、待遇などの側面から大手企業の経理部門への転職を希望される方が多くいらっしゃるように感じます。

しかし、一般的な会計事務所の顧問先は中小企業や零細企業、あるいは個人の確定申告業務であるケースが多く、これまでの経験と大手企業の業務内容との親和性が低いケースが多いことから経験値におけるミスマッチによる不採用となることが大半です。

中小会計事務所の場合、小規模な業務の経験しかつめないケースが多いので、20代などのポテンシャルが評価される年齢の方を除いては一定度の業務経験を求める大手企業への転職は難しくなる傾向にあります。

ただし、中小企業だからといって諸条件が必ずしも大手より悪いとは限らないため、そういった意味においては決して転職で悪い結果になるわけでもありません。むしろ中小の方が融通がきき、働きやすいケースもあるため、転職において何を実現したいか次第によっては良い転職ができると考えます。

会計事務所から大手企業へ転職させる人の傾向

大手企業が気になるという方が多いので大手企業への転職について最初に少し触れておきたいと思いますが、会計事務所から大手企業の経理へ転職を成功させる方の傾向としては、大手企業の税務会計実務の経験を持つ税理士(科目合格者含む)、公認会計士などです。

公認会計士であれば大手上場企業の監査業務経験は評価されますし、連結決算や開示関連業務等において力を発揮することが期待されるため比較的採用されやすい傾向にあります。

大手税理士法人での勤務経験があるケースでは当該領域の税務や海外進出に伴う国際税務の領域で重宝されるケースも多いです。
特に最近は国際領域の業務経験・知見を欲する求人は多い傾向にあります。

大手企業ならではの悩みを解消するための専門知識を有しているケースでないと転職が難しいことが多いです。

会計事務所から中小企業へ転職されるケース

一方で、中小規模の会計事務所での勤務(顧問先が中小企業)となると、大手企業が求める業務経験をお持ちでないケースが大半なので、必然的に中小企業経理へ転職をせざるを得ないケースが多くなってきます。

中小企業は中小企業で独特ですので(業務の進め方から中小企業ならではの経営者の癖など様々な意味で)、会計事務所時代に同じ規模の会社の決算や税務、相談業務を多く経験していることがプラスとして評価され、採用されやすくなる傾向にあります。

経営者の癖という部分に関してですが、中小企業には「変わった癖の強い経営者」もそれなりに多くいらっしゃり、そういったところを数多く担当してきた方の場合は中小企業への転職を躊躇されるケースもありますが、変な癖のある方ばかりでなく良い癖のある経営者も多くいますので自分に合った経営者がいる中堅企業は見つかると思います。そのため、中小企業へ転職するにあたってはそれほど心配しなくてもいいのかなと思います。

また、待遇や福利厚生面から大手企業を志望するケースにおいても、一概に大手の方が待遇が良いとは限らず、中小規模の企業の経理職でも福利厚生や待遇の良い隠れホワイト企業はたくさんありますので、こうした面が気になっているから大手事業会社を希望していたというケースにおいても、求人サーチをしっかり行えば中小でも条件にマッチする転職先が見つけるケースはそれなりにあります。

待遇や働きやすい中小企業の経理は人気も高いので競争にはなりますが、税理士との付き合いが多い中小企業の社長の中には会計事務所での実務経験を高く評価される方もいらっしゃるので、うまくマッチする企業が見つかれば転職はしやすいと言えます。
経理ポジションで会計事務所経験者を優遇する求人も時折出てきます。

後は、特殊なケースになりますが、専門特化型の税理士事務所(業界特化型あるいはジャンル特化型)や特徴ある業界の税務を行っていたようなケースでは当該業界の大手企業などへ転職できるケースもあります。
医療福祉に強い会計事務所に勤務していたケースであれば当該領域における事業会社への転職では有利に働きますし不動産領域に強い会計事務所に勤務していたような方ですと大手不動産会社の管理部門へ転職されるケースも多くあります。

また、最終的に大手企業を志望する場合でも、まずは中規模の企業に採用されて経理の実務経験を積むことで大手企業へのステップになるケースもありますので、最終的に大手企業を目指すケースにおいても中小企業を経由することでチャンスが生まれるケースもあることからそうした経路が無いかエージェントと相談して探っていくのも良いでしょう。

いずれのケースにせよ、一般企業へ転職するにあたってはこれまでの実務経験・キャリアの棚卸を行い、あなたにどんなアドバンテージがあるのかをしっかりまとめることが重要です。

会計事務所の出身者が一般企業経理への転職時にアピールすべきこと

会計事務所から経理に転職を希望する場合に最もアピールすべきポイントは、決算業務についての経験があることとなります。

決算業務に携わった社数やその企業の特徴などを、自分の経験や活躍と絡めた具体的なエピソードとして語れるようにしておくと、高評価につながります。

企業の経理との関連性が高いその他の業務としては、税務調査への対応や銀行の融資交渉の立会いなどが転職を希望する場合に評価されやすい経験になります。

特に中小企業では資金繰への対策が重要となる場面が多いため、経営者のそうした不安を少しでも軽減することができる経験・知見を持っているということだけでもプラスに作用するケースはあります。

また、会計事務所での経験については、携わった業務の内容だけでなくどんなクライアントを相手にしてきたかも重要なアピールポイントになります。

個人事業主のクライアントを相手にしてきた経験よりも転職を希望する企業と同規模の法人のクライアントとやり取りをしてきた経験を有する場合のほうがより高い評価が期待できます。

こうした経験が不足している場合は、会計事務所に在籍している間に必要な経験を得られるように意識して行動することが将来の転職の成功につながります。

年齢によっては会計事務所から一般企業への転職が難しいケースもある

募集するポジションにもよりますが、転職においては年齢が若い方が有利であることは確かです。

管理職も不足していますが、どちらかというと経理実務(手を動かす業務)も行うポジションでの求人募集が多くなっていますので、そうなると20代の若手から管理も実務もこなせる30代が欲しいという要望が多くなります。

40代を超えてくると税理士資格者且つ管理職あるいは専門的な高い実務スキルを求めてくるケースが多いため、転職の難易度は上がると言えます。

そういった中において、例えば昨今は中小企業も海外取引・海外進出がかなり多くなってきていますので、国際や海外取引に関わる税務などに関しての知見があるケースなどでは転職がしやすいケースもあります。

国際というとBig4など大手税理士法人の業務内容であると思われがちですが、昨今は中小企業の海外進出に伴って中小会計事務所でも一部国際税務は取り扱っているケースもあるため、そうした経験が現職で積める可能性がないか探ってみるのも良いでしょう。

国際はあくまでも一例です。中小企業と一口にいっても様々ですので、あなたの経験値で何か目を見張るものがあればマッチする求人先が見つかる可能性もあります。

このあたりは経験値と年齢とのバランスも重要なので会計事務所と経理の双方に強い転職エージェントなどに相談してみることもおすすめしたいです。
経理におすすめの転職エージェントのページにて経理・会計事務所双方に強いエージェントの紹介なども行っていますので興味のある方はご参考ください。

経理未経験枠での応募?それとも経理経験者枠での応募?

会計事務所から企業の経理への転職を希望する場合、基本的には経理経験者を募集している枠に応募するのが一般的です。

そもそも会計事務所での就業経験しかないのに経理の経験者として応募できるのか?という疑問もあるとは思いますが、会計事務所での決算業務や各種税務申告、資金繰り等のコンサルティング業務は十分に経理経験があるという扱いで転職をすることが可能です。管理職での採用も視野に入れて活動することができるでしょう。

逆に、企業の経理部門で未経験者を募集する場合は、経理そのものではなく、銀行口座の管理や伝票整理など、経理に関する事務を担当する人員を希望している場合が多いため、応募の際によく求人票の業務内容の項目をチェックしたほうがよいでしょう。

決算や税務申告などの実務経験を培ってきた会計事務所出身者にとっては、せっかくの経験を活用することができず、スキルに見合った待遇も期待できません。

会計事務所出身者のキャリアを活用することができる募集内容としては、決算業務、銀行との折衝、経理スタッフの取りまとめ、などを主な業務内容とする経験者枠になります。

また、経験者枠の場合は経理分野における将来の幹部候補を募集するケースも少なくないため、自身のキャリアアップの観点からも有効な選択肢になります。
ただし、こうした求人は非公開求人として募集するケースも多く、一般の求人媒体などに掲載されないケースもあります。

そのため、実際に転職活動する際は、求人広告サイトをチェックするのはもちろん、企業の経理に強い転職エージェントを利用しつつ、その中で会計事務所業界にも精通したところをうまく活用していくと良いでしょう。

具体的に転職サービスをお探しのケースでは、基本的にMS-Japanの利用が良いと考えています。

理由としては、税理士事務所の転職に強いことに加えて事業会社の経理等の管理部門転職に非常に強く実績が高いため、会計業界から事業会社へ転職するにあたってのノウハウ・注意点などを豊富にお持ちであることから、まずはこちらに相談しておくのが良いでしょう。

ただ、登録済みの方が多いかと思いますので、それ以外の選択肢をご検討の方は、中小規模の会計事務所の転職実績が高く、それでいて事業会社経理の求人も多く取り扱う経理向けの転職エージェントなどをいくつか登録してみるとよろしいかと思います。先ほどの経理向けのエージェントのページに士業と経理双方に強いエージェントも記載してありますのでご参考ください。

税理士試験を諦めたケースでの転職では企業からの印象は悪い?

税理士試験を諦めた方を対象に採用する企業も多くあるので必ずしもそのような悪い印象を持たれるとは限りません。

なぜ税理士を目指したのか、なぜ諦めるのか、そのうえでなぜ似たような職種の経理への応募なのかなど面接まで進んだ際はいろいろ質問させる可能性はありますが、税理士試験を諦めて企業へ転職成功されるケースは多くありますし経験を求める企業はたくさんあります。

例えば大手の不動産会社などでも税理士試験を諦めた層を採用するケースが多くあり、待遇などもその辺の会計事務所より良かったりするケースは多いです。その他の業種でも上場企業などでも会計事務所出身者が多く所属する経理部門というのもあるので、そうしたところが良いタイミングで募集していたりすると転職がしやすいです。

後は、通常の中小企業経理では、そもそも経理が採用できず困っている企業は多いので、どの程度の規模の会計事務所で実務をやってきたかにもよりますが一定度の経験・スキルがあるのであれば採用したいといったところも多くあり、転職できないということはありません。

この税理士試験を諦めて事業会社へ転職するケースでは若ければ若いほど転職がしやすいので、早期の判断も重要です。

税理士試験を諦めるケースでも科目合格していない状況だと厳しいことも

税理士試験を諦めるといっても仮に同じ年齢だとして1科目も合格しておらず早々に諦めるケースと5年近く頑張って3科目合格しているけど諦めるケースでは転職難易度が異なってくると言えます。

基本的には簿記論・財務諸表論の2科目程度は合格していることが望ましいと考えます。
※もしくは会計事務所での相応の実務経験がある等。

逆に会計事務所での実務経験が1年程度しかなく、それでいて科目合格にもしていないといった状況であるならば、会計事務所勤務経験者というアドバンテージも得にくいです。
早々に諦めるケースでは転職時にそのあたりの理由もしっかりと整合性をもってしゃべれるように準備しておきましょう。

会計事務所から一般企業の経理へ転職するにはどうすればいい?

最近の転職市況であれば中小規模の会計事務所の勤務経験しか無くても転職が可能ですが、特に20代や30代前半などの若手であれば経理・財務部門への転職も叶えやすいです。

一方で、先程記載した通り30代中盤から40代に差し掛かってくるとこれまでの経験次第という側面が強くなってきます。

一般企業の経理部門は人手不足が続いており、転職のハードルは以前と比べるとかなり下がっていますので転職は可能ですが、40代に近い年齢などの一定以上の年齢であるならば実務面・マネジメント面の双方で相応の経験が求められると考えておきましょう。

20代・30代の若い方であれば転職すること自体はそう難しいことではないものの、会計事務所と企業とでは雰囲気も大きく異なりますし、ひとくちに一般企業の経理といっても様々な企業があり、求められる経験や待遇、身につくスキルも企業ごとで大きく異なってきますので、企業の内情を知るためにも一度は会計事務所と経理の転職に事情に詳しい転職エージェント等から情報を仕入れておくと良いでしょう。会計事務所から企業へ転職した方の失敗事例、あるいは成功事例などを共有してもらうことで転職後のイメージも湧きやすくなるかと思います。

後は、企業の経理求人は求人広告サイトで募集するケースよりも転職エージェントに採用依頼をかけることが多いので、そもそも転職エージェントに相談しないと求人が見つかり難いという問題もあります。

エージェント利用を検討する中においては、会計事務所業界と企業の経理の転職の両方に精通した転職エージェントを使うことであなたが会計事務所で培ったスキルが活かしやすい企業の求人の紹介が受けられるなど、あなたにピッタリ合う転職先が見つけやすくなります。

会計・税務・経理等の職種で最も有名な転職エージェントは、先ほども記載しましたがMS-Japanになろうかと思います。

ほとんどの方がご存じなのでそれほど説明はいらないと思いますが、一般企業の経理等の管理部門と会計事務所等の士業事務所に強みを持った転職エージェントです。

最近こそ企業の管理部門への転職の色が目立つようになってきてはいますが、古くから会計事務所の転職サポートも行っており、会計事務所に勤務する方のキャリアやスキルに関しても当然に詳しいので、会計事務所から経理へ転職する際にはあなたに合ったキャリアの提案と求人の提案を行ってくれる可能性はとても高いです。

求人の数がとにかく豊富なため、幅広い選択肢の中から最適な求人先を選ぶことができますし、会計事務所から一般企業の経理職への転職事例もたくさん持っており、とにかくたくさんの求人を見たいという方や、多くの転職者の事例を聞いてみたいという方におすすめです。場合によっては転職をしない方が良いケースも見受けられるため、MS-Japanのように企業・事務所双方に詳しいところから情報取得しておくことをおすすめします。

先ほど記載した通り、会計事務所と一般企業とでは働く環境も雰囲気も仕事の進め方も全く異なりますし、求められるスキル(コミュニケーションスキル等)も大きく変わってきます。

転職してから思っていたのと違ったということで後悔されるケースも多々あるため、イメージだけで転職するのではなく、しっかり情報収集してから転職されることをおすすめしますので、慎重な性格の方はいくつか登録して意見を聞いておくことをおすすめします。

会計事務所から経理への転職に関するマーケット傾向について

ここ最近は会計事務所から企業への転職がしやすくなってきていますが、マーケット情報についてまとめておきたいと思います。
特にここ数年は社会情勢の変化が本当に激しく、転職市況も数年前と全然異なってきている他、働き方も随分様変わりしてきています。

大手・準大手税理士法人・会計事務所に勤務していた方であれば経理経験がなくても大手上場企業へ転職も可能

クライアント規模の大きい業務を行っていた場合やグローバル企業のクライアント(国際税務)を担当していたようなケースでは、大手上場企業の経理への転職は可能で需要は以前と比べても高いです。

税理士法人時代の業務も大きく活かすことができます。

求人募集はおそらくかなり増えていると言えます。

例えば大手企業の税務室ポジションなどで募集があればフィットしやすい募集の1つと言えるでしょう。ただ、このポジションは募集枠が少ないので転職は簡単ではありません。競争となります。これは以前までと同じです。

また、グループ企業の移転価格税制を初めとする国際税務や管理の仕組みを構築していくようなポジションも大手では多いので、そういったケースでは採用が見込まれます。
後は通常の純粋な経理ポジションへの応募も可能で、求人募集は非常に多いです。

求人の紹介を受ける場合は会計事務所勤務経験者に詳しいエージェントを使っておく必要がある

経理への転職にあたってはエージェント利用がおすすめであることを記載しましたが、利用するエージェントを間違うと応募できないケースもあるので注意が必要です。

たいていの経理求人は「経理経験○年以上ある方」という募集要件になっています。

そういったケースにおいて、税理士や会計事務所勤務経験者に詳しくない一般的な転職エージェントに相談すると、企業での経理経験がないから応募は無理です、と言われてしまう可能性があり、経験値的に問題無く応募できるケースでも税理士のことをよくわかっていないがために無理と言われてしまうケースもあるので、税理士等の特性に詳しい担当がいるエージェントに相談をして求人の紹介と転職準備を行う必要があります。
「会計事務所勤務経験者歓迎」といった形で示してくれている求人ばかりではないので、双方の知見を持ったエージェント経由で無いと痛い目を見る可能性もあります。

求人募集の際に表向きは経理経験〇年以上などとなっていますが、大手税理士法人でどういった業務をやっていたかしっかりと理解できる人が間に入ってくれれば選考通過の可能性は高まります。

また、書類選考は人事が行うケースが多いのですが、人事は機械的に書類選考を行っていくケースも多いので募集要件に当てはまらないとそのまま弾かれてしまうケースもあるため、経営者と直で繋がっているようなエージェントだと尚良いでしょう。

これらはあくまで一つの例にすぎないのですが、どのようなケースにしろ会計事務所から経理へ転職するのであれば税理士(会計事務所での経験)に関する知識を有する人に相談するようにしてください。

ベンチャー企業の経理で会計事務所経験者を求める求人も増加

会計事務所勤務者の場合、性格的な側面からそもそもベンチャー企業の風土に合わないというケースが多いのですが、一定数会計事務所からベンチャー経理ポジションへと転職されるケースも出て来ています。

ベンチャーの場合、経理職が採用できずに困っている企業が多いのですが、その一方で月次・年次決算まである程度一人でこなせる方を募集するケースが多いため、応募は多数あってもスキル不足ということで採用に至らないというケースが多いのです。

その点、会計事務所経験者であればたとえ経理としての勤務経験が無くても知識・スキルとしては基本的に問題無く業務に入っていけるケースも多いため、採用候補に乗ることは多々あります。

ただ、ベンチャーの場合若手を好む傾向がある(そもそも社長が20代・30代)ため、20代・30代中盤まででないとカルチャーに合わないということで不採用になるケースが多い他、少数精鋭で事業を行っているのでマインド面もしっかり見られます。

上記はあくまで傾向の話なので、そうではな企業も多々ありますが、ベンチャーという選択肢も有りだなと思っている方は転職エージェントに相談してみたり、ウォンテッドリー等のサービスで話を聞いてみるのも良いかと思います。

この辺に興味がある場合は税理士・会計事務所だけに強いというよりは、経理を含めた企業への転職とにも強いエージェント利用の方がマッチするかと思います。

ワークライフバランスを求めて事業会社経理への転職を希望するなら会計事務所でも実現可能なケースがある

例えば、子育てとキャリアを両立させたいけど会計事務所は福利厚生が整っていないし厳しそうだから制度が整っている事業会社へ転職をしよう、といった考えを持つ方も一定数いらっしゃるのですが、昨今の会計事務所は働き方が柔軟に選べるようなケースも増えており、リモートワークOKや出勤時間が選択できたりと幅広い方々がしっかりキャリア構築できるような環境になってきています。

大手税理士法人だけでなく、中小会計事務所でも整ってきています。

コロナ禍以降、各会計事務所でIT/デジタル化が進むと同時に制度見直し等も行われて来たので求人広告やエージェントを使って人材を採用する規模の会計事務所であればそれなりに希望が叶えやすくなってきていると言えます。

特にリモートワーク希望の方はやや上昇傾向にあり、勤務環境が整った一般企業の方がやりやすいと思い込んでいる方もいらっしゃるので、こうした希望をお持ちのケースでは、それこそエージェントから話を聞いておいた方が良いです。

ヒュープロ(会計業界でのリモートワーク関連)にもリモート勤務を希望する方の転職支援を行っており、実績もあがっているので、同社以外も含めていくつか相談しておくと良いかなと思います。

こうした求人は人気なので募集を締め切るのも早いので、良い求人が出た際に動き出せるよう準備することも重要です。

ただ、いずれにせよ、経理にしても会計事務所にしてもフルリモートというのは難しく、出勤はついて回るかと思いますので、ワークライフバランスが転職の軸になっているのであれば、企業なのか会計事務所なのかという視点だけでなく、どのような状況を作り出せていれば良いのかをしっかり整理し、それを基にエージェントさん等へ相談すると昨今は叶えやすくなっている印象です。

経理でもリモートワークが可能に

経理はリモートワークができない職種の一つと言われていたのですが、ここ最近は経理のリモート勤務求人も増えてきています。

そのため、先程記載した会計事務所と経理の双方の求人でリモート環境を探っていくことができるようになったと言えます。

柔軟な働き方への対応により人材確保を目指す企業は多いため、リモート求人含めたワークライフバランスの改善という意味での求人は見つかりやすくなっています。

ただ、経理のリモート求人を積極的に打ち出す転職サービスは現状そこまで多くないため情報の収集が難しいところとなっていますが、ヒュープロにて経理のリモート求人や実績などについて上がってきていると見受けられるため、参考情報として相談するエージェントの候補に入れてみるのも良いかと思います。

会計事務所経験者が派遣で企業の経理へと転職するケースも

転職ではなく家庭の都合やライフイベントを機に派遣という選択をとる方もいます。
その際に、会計事務所で派遣をするよりも企業に派遣で行った方が条件が良いこともあり、派遣も人気となっています。

一般企業の経理や会計事務所への派遣という双方の選択肢を考えた場合、ジャスネットスタッフが良いのかなと思います。

私自身実は派遣としての経験はないのですが、こちらはジャスネットコミュニケーションズ株式会社という公認会計士が創業した企業が運営しているサービスです。

公認会計士が創業したということもあり、経理・会計事務所双方の事情に詳しいので、あなたの悩みに合わせた最適な派遣先が提案いただけるのではないかと想定されます。
大手人材派遣等も経理の求人はたくさん扱っていますが、経理や会計に絞って動くのであれば特化型の派遣会社も良いかと思います。

会計事務所から経理へ転職した後後悔し、結局会計事務所に出戻りする人も多いので情報収集はしっかりと

会計事務所から一般企業経理へ転職したいという方は少数派ですが、近年は徐々にそうした方も増えています。

ただ、情報収集不足による会計事務所への出戻り転職も多いので、後悔が無いようにしっかり準備してから転職してください。

会計事務所から経理への転職に関するポイント
  • 一般的な会計事務所勤務者の場合は扱うクライアント規模と同じような企業への転職がフィットしやすい
  • 一般企業といっても多種多様で社内の雰囲気や仕事の進め方などそれぞれごとに違うため情報収集をしっかり行う必要がある
  • 転職エージェントを利用するなら会計事務所(税理士)と企業双方に熟知しているMS-Japanなどの会計事務所と経理双方に強いところを利用すると良いです。
  • 時代の流れにより採用状況は変わっているが、現在であれば大手からベンチャーまで広く転職チャンスはある
  • コロナ禍以降も経理転職市場は人手不足で売り手市場が続いている

本ページでは中小規模の会計事務所勤務の方を対象としましたので、冒頭で記載した通りBig4などの大手会計事務所から企業経理などへの転職を検討するケースでは以下記事もご参考ください。

Big4税理士法人から転職したいが年収で折り合いがつかない税理士の転職について

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転職エージェント経験者や経理・財務・人事等の管理部門職として勤務経験のある者が執筆を行っています。管理部門職種の方が転職失敗を避け、成功させることに焦点をあてて情報配信を行っています。また、管理部門職種だけでなく、士業の方々が一般企業の管理部門へ転職するケースの情報提供など、様々な需要に応えることを目指しています。
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