所長と合わないから別の会計事務所へ転職したい

会計事務所に勤務する方の転職理由で多いのが、所長との関係性がうまくいかないというものがあります。

純粋に相性が合わないといったこともありますが、パワハラ、セクハラなどが原因のケースも過去は多くありました。

所長と合わない理由はさまざまですが、いずれにせよ所長が嫌いで我慢できずに転職といったことは会計事務所業界ではよくあります。

ここでは、所長との相性などが悪くて転職したいとお考えの会計事務所勤務者向けの転職のポイントを紹介します。

我慢して働き続ける会計事務所職員は多いが得策ではないと考えられる

所長と相性が悪くて居心地が悪いと思っていても、ずっと辞めない会計事務所スタッフの方はそれなりに多くいらっしゃいます。

ストレスをため込んでも良いことはないので、傍から見ていると転職した方が良いのにと思うのですが、意外と頑張って働き続ける方が多い印象です。

理由を聞いてみたところ、以下の3点がよくあがりました。

  • 退職回数が増えると転職で不利になると思っている。
  • 他の人に迷惑がかかる、他の人に悪い気がする。
  • 自分の能力では他の会計事務所に転職できない。

というようなネガティブな発想をされる方が多い感じがしました。

ストレス等から後ろ向きな気持ちになってしまっていることも要因の一つなのかもしれません。

年齢やスキル等にもよるため一概に断定はできませんが、上記のような不安・心配は現在の転職市況であれば大きな懸念事項にはなりません。

転職回数が増えることを気にするより働き続けるリスクを考える

まず、退職回数等が増えると転職で不利になるのではとお考えの方もいらっしゃいますが、余程でなければあまり関係ありません。

理由もなく何回も何回も転職していたり、早期退職を繰り返していたりするようなケースだとこの限りではありませんが、30代で、3回とか4回程度ならそこまで大きな問題になりません。また、キャリアに一貫性のある方やしっかり理由が説明できる方であれば転職回数が多くても大きな問題になりません。

あまりにも転職回数が多いケースでも、なんとかなるケースも見てきているので、ネガティブにならず、チャレンジする姿勢を持ちましょう。

それよりも、スキルが身につかない環境で働き続けるリスクの方が高かったり、ストレスなどで心身を病んでしまうリスクの方がよっぽど大きかったりするので、よく考えてみてください。

所長との関係性は悪いがその事務所でしか経験できない貴重な業務があるなど、何かしら深い理由がない限りは別のところで経験を積んだ方が良いケースも多くあります。

人に迷惑を掛けたくないという人が多い

次に、他の人に迷惑がかかるという部分ですが、これは確かに迷惑はかかるでしょう。

ガマンして働いてしまう方には良い人が多い傾向にあり、他の人のことが気になって退職に踏み切れないというケースもあります。
損をしている方が多いのではないでしょうか。

所内の他の社員、クライアントに迷惑がかかるなど様々な角度でお考えになるため、このケースが一番転職に踏み切れない方が多いのですが、退職において、一切迷惑をかけないというのは不可能ですので、ある程度割り切って行動する必要があります。

特に所長が嫌い、所長と相性が合わないと感じている方の場合、あなたの「良い人」という性格を所長に付け込まれているケースもあり、どうせあいつは辞めないだろうと思われていることもあるので、注意が必要です。

また、あなたの人生においても無意味にガマンし続けても時間の無駄ですので、見切りをつけ、引継ぎ事項などはしっかりやったうえで退職されるのが良いと考えられます。

その他、単に気が弱くて辞めると言い出せない方も多いようですが、意思を表示しないと辞めることはできませんので、ここは勇気を出して伝えましょう。

所長と仲が悪いなど、相性が悪いケースでもほとんどのケースで問題無く辞められています。
万が一不当な引き留めや過度な引継ぎ期間(3か月以上等)を設定する場合は労基署などに相談しましょう。

最近は労働問題は大きな問題になるので、まともな思考回路をしている所長先生であれば変なことはしないはずです。

自分の能力じゃ他の会計事務所へ転職できないと思っている

自分の能力じゃ転職できないと思い込んでいる会計事務所スタッフの方もいらっしゃいます。

真面目な方の場合、自己評価がかなり低い傾向も見て取れ、損をしていることもあります。

実際のところ現在の転職市況であれば多くの方が転職が可能です。

もちろん年齢・スキル等にもよるところもありますが、多くを望まない転職であれば、20代や30代の若手であればほとんどの方がそれなりに希望を叶える転職を実現できていると感じます。

むしろ本当にスキルが身についていなかったり、成長している実感が得られないのであれば、現在の職場にいても先々詰んでしまうので、早めに転職した方が良いです。現状の自分に自信が持てないといったケースでも同様です。

とにかく今の環境を変えたいとお考えの方は一度転職エージェントや転職サービスに登録して反応を見てみると良いでしょう。

古くから会計事務所業界でキャリア支援を行っているエージェントであれば各会計事務所の所長先生の人柄なども把握していることが多いので、スキル面だけでなく、相性といった点でもマッチするところを紹介してくれるので、転職活動における情報収集で役に立つものと考えます。

所長の性格が良い方向へ変わることはほぼない

所長が若い場合は変化を期待することもできますが、一定以上の年齢(40代以上等)の場合、それはあまり期待できないと言えるでしょう。

また、相性の問題だけでなく、所長が悪人(コンプライアンス意識が無い等)、というケースもあるかと思います。

ドラマ等ではあくどい上司が改心して良い上司になる等の展開も見かけますが、現実にはほとんど起こりえないです。

なので、環境が変わることを期待して居続けても基本的に状況は好転しないどころか、ストレスにより身体を壊すといったことや、何か不正行為などに巻き込まれるリスクもあるので、本当に嫌だなと感じているのであれば早々に辞めた方が良いです。

働きやすい良い所長の事務所は結構ありますので外の世界をもっと見るようにしてはいかがでしょうか。

会計業界でもわざわざ退職代行を利用して辞める人も出てきた

ニュースなんかでも退職代行サービスがどうのこうのと見かける機会がありましたが、先ほど記載したように会計業界でも利用する人がちょこちょこ出てきました。

基本的に退職代行を使うのはおすすめしませんが、ただし、もう所長の顔すら見たくないといったケースも多いので、そのようなケースではやむを得ないかなと思います。

人によっては本当にもう職場のことを考えたくない、上司(あるいは所長)のことを想像するだけで具合が悪くなるなどの症状に見舞われる人もいるようですので、そうした場合は検討してみましょう。

とりあえず辞めることで気分が一新して前向きな志向になることも多いようですので、本当に精神的にまずいなと思っている方は辞めることを優先しても良いかもしれません。
※退職代行について調べてみたので退職代行サービス選び方や料金と業者を紹介!をご参考ください。

ただし、会計事務所業界はかなり狭い業界なので、業界で働いていくことを考えるならば普通に辞めた方が良いかなとは個人的に思います。

所長の事務所運営方針によっては給与が上がらない可能性も

相性などとはまた少しベクトルが違うかもしれませんが、給与等を気にされるケースでは、所長の事務所運営方針を知ることはとても重要です。

というのも、小規模会計事務所の中には事務所を大きくしていくつもりもないところも多くあり、そうしたところに勤務してしまうと事務所の売上が上がらないので必然的にあなたの給与も上がっていきません。

そのため、あらゆる面でしっかり情報収集して転職されることをお勧めしております。

情報収集のためにエージェント等を活用されることを検討している方は会計事務所各社や中の人の情報(所長や偉い人)にも詳しい税理士向けの転職エージェントを利用するとよろしいかと思います。

一例として、会計事務所業界での転職であればレックスアドバイザーズが有名ですが、こうした昔から会計業界で転職支援を行っているエージェントを活用することで、各事務所の特徴、所長の人柄なども含めた情報収集が可能となります。

逆に新規の転職サービスなどは情報が蓄積されていないケースが多く、表面上の情報によるマッチングからのミスマッチも結構見かけますので、会計事務所領域での転職という意味では、どちらかというと老舗の方がいいかなと感じるところです。

エージェント利用に関して検討している方は以下の記事をご参照ください。

税理士の転職サイト・エージェントを紹介!

現在の事務所に残って中での関係性をなんとかしたいとお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、なかなかうまくいかないケースも多いため、転職を視野に入れておくことをお勧めします。

令和になっても昭和以前の古い価値観の所長は多い

会計業界で働く方ならある程度ご存知かと思いますが、会計事務所業界は超高齢化しており、残念ながら古い価値観をお持ちの高齢な所長先生もたくさん現役で働いていらっしゃいます。

税理士の平均年齢は65歳以上となっており(国税OBがたくさんいるというのもありますが)、未だに旧態依然とした体質を引きずっているところもとても多いのです。

転職活動における面接において、椅子にふんぞり返って座り、上から目線で転職者を査定し、貶すような態度をとる所長先生もいらっしゃいます。

採用してやるという態度ですね。

こうした態度ではまず入所したいと思いませんし、パワハラと思しきことも起こりますので、働くスタッフも辞めてしまいます。

また、こうした会計事務所では、仕事は盗んで覚えるものだという価値観を持っている傾向もあるので、教育制度も整っておらず、成長が遅れてしまうことから、そういった面でも離職に繋がっているケースがあります。

上記はほんの一例ですが、このような所長とそりが合わず、ストレスをため込んで辛いを思いをしているという会計事務所勤務者は未だに結構多いですので、転職にあたってはしっかりと内部情報を含めた情報収集が必要となります。

そのためには、ある程度古くから会計事務所領域で転職支援を行っている老舗の転職エージェントサービスなどを利用するなど、所長の人柄なども押さえてくれているサービスを利用していくのがおすすめです。

このページではレックスアドバイザーズを例としてあげましたが、いくつか登録して比較検討してみるのも悪くないでしょう。

小規模会計事務所は所長先生の人柄がそのまま会計事務所の雰囲気になるので転職時には注意を

所長と合わないから他の会計事務所に転職したいという相談は、多くの場合小規模会計事務所に勤務している方が多いです。
会計事務所に限りませんが、規模が小さい会社はトップの人柄がどうしても職場の雰囲気に反映されていきますので、逆に言うと所長と合わないのであれば、その事務所に馴染むことができないということになります。

そのため、小規模会計事務所に転職されるケースでは必ず事前に所長の人柄や評判などを調査しておくことをお勧めします。

所長が嫌い、相性が合わないといったケースでは職場を変えてしまいましょう

所長との相性が悪くて精神的・肉体的にもおかしくなりそうなど、心身に支障をきたしてしまいそうなケースでは早めに転職するのが良いでしょう。

自分の性格に合う所長の税理士事務所は必ずあるはずです。

身体を壊してしまってからでは手遅れになるので、そうなる前に職場を変えることをおすすめします。

そこでしか経験できない何か、があるのでもない限り職場を変えた方が良いことが多い傾向にあるため、ストレスをため込む前に転職することも検討してみてください。

なお、本記事と似たような設定で、ブラック会計事務所への転職を避けるためのポイントなどをまとめた記事もありますので、具体的に転職を検討しているケースではそちらも合わせてご覧ください。

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樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
公認会計士・税理士・経理などの士業・管理部門の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズで勤務し、転職エージェントや会計専門メディアの事業の立ち上げを経験。その後、株式会社インテグラルベース(厚生労働省特定募集情報等提供事業者51-募-000806)を創業。現在は転職・採用・人事に係わるコンサルティングや求人サイトの運営を行っています。 士業JOBでは、これまで培った人脈と10年弱に及ぶ転職や採用に関する業務経験・実績を活かして転職に役立つ情報の配信を行っている他、多数の人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。また、行政書士として事務所を開設しており、自身も士業として活動しております。 執筆者・監修者・編集者情報へ