ワークライフバランスの取れる会計事務所へ転職したいとお考えの税理士や税理士科目合格者はかなり多い傾向です。
というのも、比較的ブラックな環境の会計事務所は多く存在しており、悩む方が少なくないからです。
ただ、ここ数年でIT/デジタル化が進み、急速に会計事務所の就業環境が改善されつつあります。リモート環境で働くこともできるなど、ワークライフバランスの取りやすい会計事務所自体は多くなってきている状況です。
そのため、現在ちょっと就業環境が悪いなと思っている方は転職により希望を実現できる可能性は高まっていると言えるでしょう。
目次
- 1 あなたにとってのワークライフバランスとは?定義をしっかりしておく必要性
- 2 子育て・出産など家庭と仕事をバランスよく両立できるワークライフバランスに優れた会計事務所への転職を希望する税理士は多い
- 3 税理士試験勉強中の方はワークライフバランスが取れる事務所への転職は必須
- 4 コロナ禍で在宅ワーク・リモート勤務を取り入れてワークライフバランスの実現がしやすい環境を作る会計事務所が増加
- 5 IT化を毛嫌いしないことがワークライフバランスに近づく
- 6 ワークライフバランスの取れる会計事務所・税理士法人へ転職するにはどうすればいい?
- 7 税理士の転職先ごとのワークライフバランスの取りやすさの傾向について
- 8 ワークライフバランスを実現するなら転職エージェントの利用もおすすめ
- 9 税理士がワークライフバランスが取りやすい環境は増えている
- 10 税理士や会計事務所への転職に役立つ記事
あなたにとってのワークライフバランスとは?定義をしっかりしておく必要性
ただ、ワークライフバランスといっても人により大きく定義が異なります。
残業時間が月平均30時間未満であればワークライフバランスが取れていると感じている人もいればそうでない人もいます。
また、残業時間などの労働時間というよりは、労働時間の融通が利く(出勤時間が柔軟・休みが取りやすい・リモート環境がある等)ことを重視される方もいらっしゃいます。
それらに対する対応に関して、全てが完璧という会計事務所はそれほど多くありませんが、各事務所で力を入れている事項が違うケースが多いので、各種施策に大きく差がでてきている印象です。
会計事務所独特の項目をあげると、所長との人間関係などの精神的な面や確定申告時期の異常な忙しさを避けるための転職などがあります。
何を重視するかが人により違うので、定義は事前にしっかり固めておくことをおすすめします。
ここでは、ワークライフバランス転職におけるよくある事例をもとに見ていきたいと思います。
子育て・出産など家庭と仕事をバランスよく両立できるワークライフバランスに優れた会計事務所への転職を希望する税理士は多い
結婚を機にもう少しワークライフバランスに配慮のある会計事務所へ転職したいとお考えの女性税理士・会計事務所スタッフの方は多いです。
女性であれば、出産後のことも意識して転職をお考えになるケースが多くなっています。
具体的には、極力自宅勤務が可能な環境が整えられていたり、復帰を見据えた道筋がしっかりと見えている体制になっている、子供の送り迎え・急な病気等への対応による柔軟な出勤あるいは欠勤の対応など、そういった家庭の都合に関わる調整がしっかり整えられている会計事務所へ転職したいといった希望をお持ちの方は多いかと思います。
大手の会計事務所であればロールモデルとなる所員が何名かいたりして具体的にどういった対応ができて、こんな感じで働けたといった具合に紹介されているケースが多いのですが、多くの方が勤務する中小会計事務所ではなかなかこうも行きません。
どちらかというと、HPなどを見ても細かくそうした制度が紹介されていないことが大半です。
ただ、そうしたことが紹介されていなくても柔軟な対応をしてくれる会計事務所は増えています。
昔は会計事務所というと労働環境を始めとして従業員が働きやすい職場づくりというものを意識してこなかったところがほとんどで、結婚や出産などを機に退職せざるを得ないという環境が非常に多かったかと思います。
しかし、昨今は日本全体で働き改革を推し進める機運が広がっており、会計事務所でも人事・労務制度をしっかり整え、所員が長く働ける環境を構築していくようになってきています。
また、コロナをきっかけにIT化に取り組む会計事務所が増えており、オンラインでのコミュニケーション(所内・所外含めて)やデータのやりとりなど様々な業務が良い意味で改革されており、税理士法に違反しない範囲で在宅ワークも可能となっているので子育てしながら働ける環境も整いつつあります。
ただ、こうしたことがしっかりアピールできている会計事務所ばかりではないので求人を探す際に苦労するケースが多いです。
また、中小会計事務所の場合、制度としてしっかり整っているというよりは、個々人の状況に合わせて調整してくれるといった感じのところも多いので、良くも悪くもわかり難い傾向にあります(制度が整っていないからこそ働きやすいというケースもあります)。
そのため、なかなか良い事務所が見つからないとお悩みのケースではレックスアドバイザーズなどの税理士に強い転職エージェントに相談してみるのも良いでしょう。
先ほど記載したように、柔軟な対応をしてくれる会計事務所そのものは増加しており、多くの事務所で労働環境という点ではかなり整備されてきている印象はありますので、もし現在お勤めの事務所がこうしたことに無頓着なのであれば、転職することを視野に入れて良いかと思います。
また、現在勤務している会計事務所が他の会計事務所と比べてワークライフバランスの整い具合がどうなのか気になるという方もいらっしゃるかと思いますが、そのようなケースでもエージェントに相談してみるのも良いです。
多くの会計事務所の内情をしっているので、客観的な目線で意見(ワークライフバランスという視点で転職すべきかどうか、現状恵まれているかどうか等)がもらえます。
リモートワークや時短勤務など柔軟な対応をしてくれる会計事務所も多くなっていますので、先を見据えてどのような会計事務所があり、どのような制度があるのか、しっかり情報収集を行っておくのも悪くないかと思います。
また、最近は男性でも結婚等を機にワークライフバランスを意識される方が増えております。
家庭と仕事のバランスがとれる職場への転職をお考えであれば、自身で求人をサーチするのは大変な作業になりますので、相談してみても良いでしょう。
税理士試験勉強中の方はワークライフバランスが取れる事務所への転職は必須
税理士試験合格を応援してくれる会計事務所も増えています。
上記でも記載しましたが、会計事務所では各所員の業務バランスを考えて仕事を割り振るようになってきており、慢性的な残業体質が残る会計事務所は減少傾向にあります。
加えて、税理士資格取得を目指す若者が減ってきていることもあり、資格取得を目指す若者を応援する会計事務所も増えてきている状況です。
全ての会計事務所がこのような傾向にあるかと言われるとそうではないのですが、こうした配慮のある会計事務所は増えているので、現在勤務している会計事務所ではなかなか税理士試験勉強と仕事のバランスが取りにくいということでしたら転職を検討しても良いでしょう。
こうした勉強と実務のバランスで悩む税理士試験受験生は多く、転職エージェント等にも相談される方は多いことから、エージェント側にもどのような会計事務所であれば試験勉強と両立しやすいのかなど情報を多数保有しています。このケースでもエージェント等に相談してみても良いかも知れません。
コロナ禍で在宅ワーク・リモート勤務を取り入れてワークライフバランスの実現がしやすい環境を作る会計事務所が増加
コロナの影響は経済はもちろんのこと、転職市場にも大きな影響を与えました。
現在の転職市場は売り手市場(求職者有利)へ戻っていますが、一時期は間違いなく求人が減少し、求職者に厳しい状況となっていました。
ただ、このコロナの影響は悪いことばかりではありませんでした。
今まで進まなかったIT・デジタル化が一気に進み、会計事務所においても環境はかなり整備されたように感じます。
業務上フルリモートは難しかったとしても、顧問先とのやりとりは基本的にオンラインで完結し、記帳等も一定の自動化が出来るような仕組みづくりが整い、実質的な労働時間・残業減や無駄な時間の削除ができており、非常に働きやすくなった事務所は増えています。
その空いた時間で、例えば子供が生まれてライフを重要視しなければならない人は家庭の時間を増やしたり、新しいことにチャレンジしたい人は今までやってこなかった新規の提案を行ったりとキャリア的にもライフ的にも良い方向に動き始めています。
ただ、こうしたITをうまく取り入れている事務所は良い方向に変化しつつあるのですが、そうでない事務所が相変わらず多いのも事実です。
そのため、現況をしっかり押さえつつ転職活動をすることで、ワークライフバランスを実現するための転職は可能と言えるでしょう。
IT化を毛嫌いしないことがワークライフバランスに近づく
これはごく一部の方のみが対象となる記述になりますが、税理士事務所で勤務される方の中にはITツールなどの導入を嫌がる方も一定数いらっしゃいます。
業務スタイルがこれまでの慣れた方法から大きく変化することを嫌がる方がいらっしゃるのです。
税理士事務所が働きやすい環境にするために積極的にITツールなどを導入しようと思っても、意外と所員から反対されてうまく導入が進まないというケースも何件か見ています。
確かに新しいツール・業務のやり方を導入すると当初は混乱し、結果的に効率が悪化し、業務時間は長引く傾向にあります。
ただ、うまくフィットしてくると圧倒的な業務効率が実現できる傾向も有り、記帳業務などは労力が半分以下で済むケースも多いので、かなり労働時間を削減することができます。
このようにIT導入などの新しい物事を積極的に受け入れられるマインドを持つことも重要ですので、少し抵抗があったという方は前向きに考えてみてはいかがでしょうか。
ワークライフバランスの取れる会計事務所・税理士法人へ転職するにはどうすればいい?
上記はワークライフバランスの一例となります。
求人を探すにしろ転職エージェントに相談するにしろ、冒頭で記載した通り、まずはワークライフバランスという言葉の定義をあなた自身がしっかりする必要があります。
参考までに国が掲げるワークライフバランスの定義を見てみると、
「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」
参考:仕事と生活の調和とは(定義)
となっています。
例えば私であれば、毎日19時までに退社できれば家庭の問題も個人の問題も特になく、趣味の時間も取れるためワークライフバランスが取れているという感覚になるので、残業が1日1時間未満程度の環境へ転職できればワークライフバランスが取れていると感じられます。
しかし、1日1時間の残業でも人によっては残業の多いブラックな環境と捉えます。
そのため、あなた自身が思うワークライフバランスが取れているということがなんであるのか、しっかり整理し人に説明できる状態にするところから始めましょう。
転職エージェント等に相談するケースにしても、ここを曖昧にしておくとあなたが理想とする求人と出会える確率は低くなってしまいます。
彼らは、多くの方の転職事例を見ているので、あなたと同じようなケースの方がどのようなところに転職しどのような働き方をしているのかなど参考となる意見を聞くことができるため、極力自身の頭の中は整理しておくようにしましょう。
税理士業界の転職と言えばレックスアドバイザーズが転職支援実績も高くおすすめではありますが、このほかにも会計事務所に詳しい転職エージェントをまとめた記事もございますので、もっとエージェントについて知りたいという方は以下をご参考ください。
有給消化傾向や残業時間の数値など参考になる情報はもちろんですが、所長の人柄、会計事務所の雰囲気など総合的な部分での情報収集でも役に立つと言えます。
税理士の転職先ごとのワークライフバランスの取りやすさの傾向について
ここまでで会計事務所のワークライフバランス概況について簡単に記載してきましたが、転職先フィールド(事務所規模や種類、その他フィールド)ごとに見てみましょう。
会計事務所・税理士法人
おさらいになりますが、会計事務所は基本的にワークライフバランスはとりやすい業界になってきています。
もちろん確定申告や法人決算期などの繁忙期は忙しいのですが、それらの時期を含めてもIT投資などがしっかりできている事務所であればかなり働きやすくなってきていると言えます。
税理士試験勉強時間確保から子育てまで広く柔軟な理解のある事務所への転職も可能です。
ただ、各会計事務所ごとで方針が結構異なり、小規模事務所などでは所長の気分次第といったこともあるので、転職をする際は当該事務所の内情まで含めて情報収集し比較検討してください。
事業会社
事業会社(経理)も会計事務所同様会社によるとしか言いようがない部分もありますが、一定以上の規模の会社であれば、会計事務所よりもワークライフバランスが優れている傾向にあると言えます。
特に上場企業の場合は年間の業務量がある程度見えているので、余程人手不足という状況でなければ休みも計算しやすいです。
ただ、事業会社の求人募集において税理士が求められるケースは少ないので、良い求人案件があったとしても転職実現性という意味では会計事務所より低いです。
なお、税理士としてプロフェッショナルな特殊な業務を任されるケースで勤務する、あるいは幹部としてのポジションに就いているといったケースでは良くも悪くもこの限りではありません。
先ほど記載した通り、基本的に税理士(科目含)であるならば転職難易度は会計事務所よりも高い(需要の観点から)ので、特別な理由が無いのであれば会計業界でワークライフバランスを目指す転職をする方が希望が叶えやすいかと思います。
コンサルティングファーム(税理士法人系)
コンサルティングファームと言っても様々ありますが、ここでは税理士法人系列等の会計税務関連コンサルティング会社を前提に記載します。
基本的にワークライフバランス向きの転職先ではありませんが、オンオフがハッキリしているファームも多いので、プロジェクトが走っていない時期に長期休みが取りやすいといった傾向にあるところも多いことから、そういった意味ではワークライフバランスが取りやすいと言えるところもあります。
ただ、残業が多い時期も当然あるため、あなたの言うワークライフバランスが何なのかその定義次第で転職するファームも違ってくるかと思います。
また、M&A関連なのか、資産税領域のコンサルなのかなど取り扱うジャンルによってもワークライフバランスの傾向が異なってきます。
個別性が強いので、この辺りはエージェントさんに相談した方が良いでしょう。
ワークライフバランスを実現するなら転職エージェントの利用もおすすめ
途中でご案内しましたが、ワークライフバランスを実現するためには、各会計事務所の内情まで含めてしっかりとした情報の収集を行う必要があります。
そのため、各会計事務所の特徴をしっかり押さえてくれている転職エージェントを利用しましょう。
具体的には、本文中で記載したレックスアドバイザーズの利用は一つおすすめできると考えます。
大手税理士法人などのわかりやすい求人先のみならず、中小規模の会計事務所、老舗の古くからやっている小規模な会計事務所などとも付き合いがあり、広い選択肢の中からあなたが思うワークライフバランスの実現に近づける求人のご案内が頂ける可能性があります。
税理士がワークライフバランスが取りやすい環境は増えている
税理士の主な勤務先である会計事務所内はもちろんそれ以外のフィールドでもワークライフバランスはとりやすくなってきています。
後はワークライフバランスだけでなくキャリアパスという視点も同時に叶える必要があるかと思いますので、その事務所でしっかりキャリアも積んでいけるのか等あらゆる角度で検討し、転職を決定するようにしてください。
また、転職を考えるばかりではなく、思い切って所内改革を提案してみるとかもありかもしれません。
税理士や会計事務所への転職に役立つ記事
ワークライフバランス含め、税理士の方の転職や転職先に関して総論的に解説した記事がございますので、
税理士としてどのようなところに転職できるのか興味のある方は以下のページもご参考ください。