Big4税理士法人から転職したいが年収で折り合いがつかない税理士の転職について

Big4税理士法人に勤務する税理士の方から、転職はずっと前から考えているが、Big4税理士法人から転職してしまうと大きく年収が下がってしまうので、転職を躊躇してしまうというお話を聞くことがあります。

Big4税理士法人から転職したい理由としては、

縦割りの業務が多くつまらない、
顧客の顔が見えない、
激務なのでワークライフバランスを検討したい、
将来独立に備えて、
ずっといる場所ではないので、
等があります。

ワークライフバランスを考えた転職をお考えの方は年収が下がることを許容される方が多く、転職先を探すのにそれほど苦労することはないのですが、その他の理由で転職を検討したケースでは、いざ転職活動を始めてみると想像以上にその他の企業やコンサルティング会社の年収が低く、転職を踏みとどまってしまうケースが多いです。

Big4税理士法人は税理士にとって年収という面では最も優れた勤務先の一つとなるため、年収を気にされる方にとっては次の転職先がなかなか見つからないものです。

しかし、一時的な年収に惑わされず、将来まで見据えた年収の伸びなど様々な要素を検討した結果例えば事業会社等へ転職し、キャリアも待遇も伸ばしている税理士の方もいらっしゃいます。

例えばBig4税理士法人から企業への転職を考えた場合、企業の賃金体系というのは大手上場企業であったとしても緩やかに上昇していくケースが多いので、転職した段階では下がることもありますが、長期的なスパンで見れば、福利厚生等も含めるとむしろ高くなることも多いです。

また、Big4税理士法人から転職するにあたって、税理士に強い転職エージェントを利用している方も多いかもしれませんが、こうした専門特化型の転職エージェントを使うと税理士向け求人案件しか出てこないケースが多いため、Big4税理士法人よりも待遇が良い求人が出てこないケースがそれなりにあり、良い先が見つからないというケースもあります。

税理士じゃなければならない求人の紹介には強いのですが、ハイクラス案件の場合は「税理士でも応募可能(税理士としての経験が活かせる)」な求人にあたっていく必要があるので、一概に税理士のキャリアに詳しいエージェントだけに登録するのが正解とは言い切れません。

高い年収をもらおうと思ったらコンサル以外だと経営に近いポジションでの求人に応募する必要もあるため、税理士としての知見・スキルを活かしたハイクオリティーな業務が要求される先へと転職する必要があります。

こうしたチャレンジングな転職活動を行えるかどうかもポイントになってきます。

転職により一時的に年収は下がっても良いが最終的にはBig4税理士法人と同程度の年収や待遇を得たい税理士の場合

Big4税理士法人から一般企業やコンサルティング会社への転職を考えた際に、目先の年収だけを見たら年収が下がってしまうため、躊躇してしまう方も少なくないでしょう。

同程度もしくはそれ以上の年収を保とうと思った際はコンサル(大手FASなど)への転職ぐらいしか選択肢が無いと考えられますが、当該領域は税理士をピンポイントで欲しいという採用ニーズがそこまで高くないので転職実現性という視点では難易度が高いです。ただ、年収という視点だけで見れば転職が可能なのであれば待遇は良いものが得られると言えます。

一方で、比較的転職がしやすい事業会社や税理士事務所系列のコンサル会社等の場合は基本的に年収は落ちるケースが大半です。

ただ、事業会社へ転職すると給与ダウンは避けられない問題ではあるのですが、長期的に見れば待遇面では事業会社の方が良くなるケースもあり、企業の給与の伸びしろ等も考慮して考えれば必ずしも悪いことばかりではないと言えます。

例えば経理部門への転職したケースを考えてみると、転職当初数年から10年近くは大きく年収が上がらず、低い年収が続く可能性は高いのですが、経理・財務部門の有力ポジションへとステップアップしていくことで、仮に転職当初の年収が700万円程度だったとしても、成果や勤務年数により大きく上がっていくケースもあります。

福利厚生が充実しているケースも多いので、長い期間での目線にはなってしまいますが、人生レベルのトータルで見るならば一概にBig4税理士法人の時より年収が下がるとは言えません。

また、募集はそう多くありませんが、大手上場企業の税務室などのポジションにうまくマッチするケースがあれば転職当初から割と良い待遇での転職も可能です(企業・ポジションによります)。

ただ、そうした求人情報はそこまで数が多くないことと、基本的に表立って募集することはなく、エージェントなどを利用して非公開で募集することが大半ですので、転職サービスに頼らざるを得ないという現実がありますので、エージェント登録し、相談しておく必要があります。

なので、そういった希望があるケースでは、税理士業界と事業会社双方で高い実績を持つ転職エージェントに登録し、情報収集を始めるのがまずはよろしいかと思います。
こうした悩みを持つ転職者はそれなりに多いので、事例を交えて参考となるアドバイスや求人案内が受けられるかなと思います。

注意点としては、税理士向けの転職エージェントの多くが事業会社への転職支援が得意でないという事実があり、事業会社の求人数・実績という視点で見た際に弱点を抱えているケースが多いことから、事業会社の税務室や経理等まで転職先を視野に入れるのであれば税理士と事業会社双方に強い転職エージェントを探して利用する必要があります。一例としてはMS-Japanがあげられますが、こうしたエージェントを利用して転職先などのサーチを行う必要があるかと思います。税理士を始めとする有資格者の一般企業への転職実績が豊富ですので、情報を取得しておきたいところです。

ちなみに、レックスアドバイザーズは事業会社への転職支援にそこまで強みはないのですが、税理士特有の事業会社案件は良いものを持っていることも多いので、合わせて利用しておきたいエージェントです。相談や情報提供力も強い傾向です。

また、参考情報として、昨今ではヒュープロなどの新興サービスを利用される方も増えています。

膨大なデータとAIを活用して、あなたのキャリア・スキル・希望を加味した求人の提案がスピーディーに受けられ、会計事務所のみならず事業会社やコンサルティングファーム等税理士が活躍できる求人先を多数保有しており、幅広い選択肢の中から最適な転職先候補を見つけることができます。

キャリアやスキル、年収という軸だけではなく、休日日数や有休消化率、残業時間等のデータも踏まえた解析を行っているので、年収・待遇と仕事量のバランスを取りたいとお考えの方にもおすすめの転職サービスです。

新興的なサービスなので現状アドバイザーの質が安定しないといった声も聞かれますが、サービスの機能としては良いものがあり、年収が気になるという方はもちろん年収以外の要素も加味しつつどのような求人があるのか探ってみたいという方はこの機会に新しいサービスを参考までの利用してみるのも良いでしょう。

いずれにせよ、どこの領域まで対象にして求人先を探っていきたいかにより合うサービスが変わってくるかと思うので、それを理解しておいてください。

年収UP、もしくは年収を下げずにBig4税理士法人から転職したい税理士はどうすれば?

Big4税理士法人から転職をして年収維持、もしくは即年収UPを狙うのであれば、ハイクラスポジションへの転職をするかFASなどのコンサルへ転職する必要があります。

企業のハイクラスポジションという視点で行けば、Big4税理士法人からの転職の場合、企業からの受けも良く、うまくハマるポジションがあればハイクラスポジションへの転職を実現される方も一定数いらっしゃいます。

Big4税理士法人で税理士として5年以上の勤務経験があれば年収UP、ハイクラスポジションへの転職は十分に可能でしょう。
特に、近年であれば国際業務を経験している方は需要も大きく、比較的高い待遇の求人が多い傾向です。

こうしたハイクラスポジションへの転職ということであれば広く可能性を探っていくことも重要なので、エージェントサービスに加えてハイクラス向けのスカウティングサービスの利用も検討してみてください。

こうしたサービスは税理士に向いている転職サービスということではないのですが、税理士向けの求人もあり、コンサルティングファームから事業会社の税務室や財務の責任者ポジション、海外子会社コントローラーポジションなど様々なハイクラス案件があります。
これまでのスキルを活かしてレベルの高い業務に就きたい方向けの求人サイトです。
※スカウトサービスは経歴等を登録し待つタイプのサービスとなります。細かく自身の情報を入力する必要があります。

登録すると企業やヘッドハンターなどからスカウトが届きます。
ヘッドハンターは多くの企業の経営者と繋がりを持っているため、知り合っておくと今後のためにもなります。
彼らは特別税理士の転職に特化しているわけではありませんが、ハイクラスのポジションにつくために必要なスキルやマインド、情報などをたくさん持っているため、彼らの意見を参考にするのも良いでしょう。
今すぐにうまく転職できなかったとしても、今後に生かすことは十分できます。
Big4税理士法人に勤務していれば心配は無いかと思いますが、現年収が750万円に満たない場合、少々厳しい結果になりますので、ある程度スキル・年収が高いことが前提にはなります。

後は先ほども記載しましたが、エージェント利用という点ではレックスアドバイザーズMS-Japanが税理士向けの求人保有は多い傾向にあり、特にBig4税理士法人からの転職というケースでは事業会社まで含めて求人をサーチして欲しいというケースも多いので、求人の量・幅の広いMS-Japanは登録しておくことをおすすめします。

その他税理士向けの転職サービスではないのですが、年収という側面でBig4税理士法人と折り合いをつけるのであれば大手グローバル企業の相応のポジションあるいは税務室なども検討する必要があり、そうした場合は税理士のキャリアに詳しいというエージェントの利用ではなく、当該領域の求人を保有しており、その領域への転職支援に強いところを利用する必要がありますが、JAC Recruitmentはグローバル企業・外資企業への転職に強く、ハイクラスポジションの求人が豊富です。所属するエージェントコンサルタントのレベルも結構高いです。なので、こうしたサービスの利用も検討してください。求人との巡り合わせの問題が大きいので、求人接触機会を増やし、確率を高める動きをするように努めてください。

ただ、いずれのサービスを利用するにしても、これまでの経験がトータルで評価されるので、税理士法人での勤務経験しかないとスキル不足でなかなか厳しい結果が突きつけられるケースも想定されます。

同じBig4税理士法人勤務といってもどのような案件をこなしているのか、過去にどのような職場へ勤務してどんな仕事をしていたのかにより転職可能性は大きく変わるので、仮に現状良いオファーが無かったとしたならば、現実を受け止め、不足する能力・スキルが身につく業務あるいは勤務先への移転を検討するなどキャリアプランを考えてみる良いきっかけとして捉えるのがよろしいかと思います。

率直に、Big4税理士法人勤務の場合、現年収は高くても税理士業界以外で見ればそれほど求められる能力ではないケースも多く、受けは良くても最終的に評価されないケースもあるため、現実を知り、ステップアップしていくためにどんな能力・スキルが必要なのかを知る機会になったと思い、次のステップに向けた行動を起こすようにしましょう。

人脈を活用してBig4税理士法人から転職されるケースも多い

人脈や伝手を使って転職される方もいます。
人脈の構築などは意識して取り組む必要がありますので、日々の業務で知り合った方との縁を大事にするのはもちろんですが、積極的に会合や経営者の集まりに参加する必要があります。
人脈をつくるのは手間がかかるので面倒ですし、関わり合いになりたくない人と接点ができたりすると面倒なので個人的にはあまりやりたくないなと思うのですが、長い人生を見た場合、どこで誰が役に立つかわからないものです。
私自身、過去に知り合った方と10年後にビジネスでご一緒することになるということもあります。
こうしたこともあるので、無理にとは言いませんが、出来る範囲で人付き合いはやっておいても損は無いのかもしれません。

Big4税理士法人から少数精鋭でハイクオリティーな業務を行っている会計事務所へ転職するのも手

会計事務所業界の中には、少数精鋭でレベルの高い業務を行っているところがいくつかあります。
こうしたところは非常に単価の高い仕事を行っている関係で、年収が高くなる傾向にあります。
ただ、HPを持っていないところも存在しており、自身で求人を見つけるのは難しいでしょう。
そして、少数精鋭でやっているので、常に求人が出ているとも限りません。

こうした会計事務所(もしくは会計系コンサル)では、人材採用を行う際に、人脈、あるいは転職エージェント等を活用することもあります。
このような事務所と出会うには、タイミングが合うかどうかが最も重要ですので、常に情報収集をしておく必要があります。
この場合、転職エージェントに登録し、そういった案件が出た際にすぐに連絡してもらうようコンサルタントの方に伝えておきましょう。

また、こうした会計事務所の創業者はBig4出身者であることが多いので、伝手を使った転職活動も視野に入れてみてください。

Big4税理士法人から転職したい税理士の転職についてのまとめ

Big4税理士法人から転職をされる場合、多くの場合で年収が下がります。
しかし、長期的なスパンで考えることで、懸念を払拭することもできます。目先の年収に拘るにもいいのですが、一つ深呼吸して長期的なビジョンも考えてみてはいかがでしょうか。

また、Big4税理士法人出身だと、一定の方々に対しての受けは良いです。スキルに係わらずです。そのため、焦らずにいればチャンスが出てくる可能性もありますので、日ごろからエージェントなどに協力してもらって求人情報に対してアンテナを張っておくとよろしいかと思います。

いずれにせよ、現在の転職市況は上向きで、チャレンジしやすい傾向にあります。
また、万が一転職に失敗してしまったとしても、会計業界への出戻り転職は容易です。
もしチャレンジしたいとお考えの方は是非この機会にチャレンジしてみると良いでしょう!

Big4税理士法人からの転職まとめ
  • Big4からの転職だと年収ダウンの可能性は高いことを知っておく
  • 転職サービスの利用を検討するのであれば、税理士の転職支援実績がとても豊富で様々な事例を持ち合わせており、会計業界と事業会社の双方にある程度詳しいエージェントの利用をまずは検討することで情報が手に入って良いかと思いますので、代表例としてMS-Japanがあげられます。
  • 目先の年収だけでなく長期的に見たケースも検討してみる
  • 税理士専門エージェントで満足いかない場合やグローバル企業を検討するケースではJAC Recruitmentを検討する(求人サーチという意味で)

転職エージェント等に相談したいとお考えの方は以下の記事もご参考ください。
以下よりご確認いただけます。

税理士の転職サイト・エージェントを紹介!

事業会社の経理等が気になる方は合わせて以下もご確認ください。

Big4税理士法人からの転職に限らず、税理士が転職してどのようなところで活躍できるのかもっと知りたいという方は以下の記事もご参考ください。

税理士の転職先

Big4税理士法人からの転職ではなく、Big4税理士法人へ転職したいと言ったケースでは以下もご覧ください。

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樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
公認会計士・税理士・経理などの士業・管理部門の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズで勤務し、転職エージェントや会計専門メディアの事業の立ち上げを経験。その後、株式会社インテグラルベース(厚生労働省特定募集情報等提供事業者51-募-000806)を創業。現在は転職・採用・人事に係わるコンサルティングや求人サイトの運営を行っています。 士業JOBでは、これまで培った人脈と10年弱に及ぶ転職や採用に関する業務経験・実績を活かして転職に役立つ情報の配信を行っている他、多数の人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。また、行政書士として事務所を開設しており、自身も士業として活動しております。 執筆者・監修者・編集者情報へ