税理士・税理士科目合格者の転職先はどんなところがある?

税理士の転職先

従来は税理士の資格を取ると会計事務所で数年間働いてそのまま独立開業するケースが一般的でした。

しかし、最近では税理士のキャリアパスが多様化しており、転職事情は大きく変わってきています。

独立をしない税理士が増えている他、転職において会計事務所で働く以外の選択肢を選ぶ税理士も増えています。

こうした働く方々の志向性は時代と共に変わっていくものですが、ここ数年は国際情勢の影響による経済の先行きが不透明な点なども影響し、リスク回避の動きが少し強くなっているかなという印象を受けます。

ただ、世界情勢は依然として不透明な部分が大きいものの、転職市場は相変わらず売り手市場が続いており、特に税理士業界の転職マーケットは超売り手市場が続いておりますので、転職により希望は叶えやすい状況であると言えるかと思います。

ここでは、税理士や税理士科目合格者の方が転職して活躍できるフィールドにはどのようなところがあるのか、各フィールドのメリット・デメリットなど税理士の転職先について簡単にご紹介します。

目次

税理士の転職先

税理士や科目合格者の転職先は主に、税理士法人・会計事務所、事業会社、コンサルティングファーム等が一般的です。
それぞれ見ていきましょう。

総合型の税理士法人(BIg4や準大手)

税理士法人の規模は、Big4と呼ばれる大手の税理士法人から中堅税理士法人までさまざまあります。大手になればなるほど業務が細分化され、ある分野に特化した経験や知識を身につけることができます。また、大きな規模の案件に携われる機会が増えます。

Big4を始めとする大手税理士法人では、グローバル展開しているような大手企業のクライアントが多いため、移転価格を始めとする国際税務に関する業務やクロスボーダーM&Aに係る税務関連業務に強みを持っており、グローバル色の強い業務や大型案件を経験したい人にとってはオススメの転職先となります。

一方、中堅の税理士法人では、クライアントも上場企業から上場準備中の企業、成長中のベンチャー企業という感じで様々な規模の顧客を抱えているため、企業のステージに合わせて税務に関するアドバイスを行っています。

そのため、中堅の税理士法人では税務に関する全般的な知識やスキルを身につけられると言えるでしょう。

最近では採用のハードルは下がってきており、ご年齢とスキルのバランスにもよりますがBig4でも税理士試験2科目合格程度でも転職が可能となっています。
※科目合格者の場合はBig4税理士法人などの大手税理士法人が税理士試験勉強をするにあたって良い職場であるとは言い切れないため何を重視するのかよく検討の上転職先を決定して一定ください。

その他の中堅・大手の税理士法人では、税理士試験科目合格者はもちろん1科目の合格もしていない方や未経験の方でも採用された事例はございますので、チャレンジしやすい市況と考えられます。
Big4への転職をお考えだという方は以下の記事も参考にしてみてください。

市況により転職難易度は変わる部分も多いのと、必ずしも大手税理士法人が転職先として良いとは言えないケースも多いため、転職エージェントから情報は聞いておいた方が良いです。

小規模〜中堅規模の会計事務所・税理士法人

会計事務所もさまざま規模のところがあります。

個人会計事務所では一般的に中小企業や個人事業主に対して税務顧問などの業務を行うケースが多いですが、中には個人事務所でも大手企業の顧問税理士をしているケースがあります。

所長が税理士の場合は、中小規模の企業のクライアントを持ち、所長が公認会計士の場合は中堅~大手企業のクライアント持つという傾向が見られます。
※あくまで傾向であり絶対ではありません。

公認会計士が所長の会計事務所の場合は単に町の会計事務所として税務申告などを行っているというわけではなく、少数精鋭でレベルの高い財務会計コンサルティング業務を行っているところもありますので、小規模の会計事務所への転職を検討されるのであれば求人票等をしっかり確認の上自分が目指すべきスタイルの事務所なのかよく確認の上応募すると良いでしょう。あなたにとって必ずしも難易度の高い業務を取り扱っている事務所が良いとは限りません。

税理士が中小規模の会計事務所や税理士法人へと転職する理由としては、大手税理士法人だと案件の規模が大きく分業制となっているところが大半であることからある一分野の業務には強くなれるものの全体を俯瞰した業務がし難いこともあり、もっと全体が見渡せて横断的に業務に関わりたいとお考えの税理士の方が転職するケースも多くなっています。

大手税理士法人の業務だとどうしてもクライアントの顔が見え難く、自分がやっている業務がどの程度お客さんに感謝されているのかわかり難いという問題もあるため、お客様の顔がもっと近くで見える仕事がしたいということで転職を検討する税理士が多くなっています。

ただ、小規模・中規模の会計事務所への転職の場合は所長の人柄がその事務所の雰囲気を決定づけると言っても過言ではないため、転職にあたってはあなたと所長との相性が良さそうかどうかしっかり見極めることも重要です。
面接時の感覚で判断していくことも重要ですが、事前にどういった人柄かもある程度押さえておきたいとお考えの方は会計事務所の内情を自身でサーチするのは難しいケースもあるため、このような場合は転職サービスなども有効活用していきましょう。

なお、小規模~中堅規模の会計事務所・税理士法人への転職では求人数もかなり多く、尚且つ各事務所の違いというのは求人票やHPからだけではわからないことが多いです。
こうしたケースでは、士業向けの転職サービスとして盛り上がりを見せているHUPRO(ヒュープロ)などの転職サービスを使ってみるのが良いかと思います。
会員登録は必要になりますが、求人内容・事務所内容がしっかりと細かいものがサイト上で見られるようになっており、エージェントに相談しないと知れないような情報もしっかりと記載されているので参考になります。エージェントの方にも相談できる他、独自AIやアルゴリズム等のテクノロジーで希望にあった求人がすぐに見つかるという点で優れています。
これら以外にも転職サービスはありますが、情報収集は昔と比べるとかなりしやすくなっているのでこうしたものを有効活用していき、ミスマッチを減らしていきましょう。

小規模~中堅規模の会計事務所への転職をお考えでエージェント利用をご検討の方は以下もご参考ください。小規模会計事務所に詳しいエージェントはそんなに多くありません。

税理士の転職サイト・エージェントを紹介!

資産税(相続・事業承継)特化型の会計事務所

昨今税理士・税理士科目合格者の方から人気の転職先となっているのが資産税(相続・事業承継)特化型の会計事務所です。
高齢化や税制改正など様々な要因によりこの分野の需要は大きく伸びており、それに比例して求人数も増加傾向です。

この分野の求人は通常実務経験者を求める傾向にありますが、昨今の売り手市場も手伝って経験の浅い方や未経験の方でもチャレンジできる求人が増えております。

今後も伸びて行く分野の仕事であることは間違いありませんので、資産税(相続・事業承継)に強みのある税理士を目指したいという方にはチャンスの時期と言えます。

以下に資産税(相続・事業承継)に興味のある税理士向けの転職お役立ち記事を掲載しておりますので、資産税に興味のある税理士の方は是非ご覧ください。
資産税(相続・事業承継)の転職・求人について

SPC特化型の税理士法人・会計事務所

ニッチな分野になりますがSPCに特化して伸びている会計事務所も複数あります。
主に不動産や債権の証券化業務を行っています。大手の金融機関や不動産会社がクライアントであることが多く、利益率も非常に高いため、比較的給与は高い傾向にあります。

SPCはその業務の特殊性からつぶしがきかない分野と思われがちです。確かに、法人税務等を中心に行っている会計事務所が多いので、そうした事務所への転職という意味では、難しくなってしまう可能性もありますが、不動産投資ファンドや証券界社、金融機関への転職というものを視野に入れた場合、むしろその他の一般的な会計事務所に勤務する場合に比べて転職がしやすくなる傾向にあります。ご自身がどのようなキャリアを歩んで行きたいのかよくよく考えてみるのがよいでしょう。

また、ビジネスマインドを持った先生が事務所を経営しているケースも多いので、職人的に税務のプロフェッショナルもいいけど、ビジネスセンスも磨きたいなどといったケースでも見方によっては面白い転職ができるかと思います。

一般企業

税務が中心となる会計事務所に比べて、一般企業は財務会計や経営企画といった幅広い分野に携わることができるのですが、税理士の方の場合は経理部門と税務室に人気が集まっています。
経理部門では連結決算対応等の各種決算業務や有価証券報告書の作成などの業務を中心に行って行くことになりますので、税務だけにとらわれず会計に関する幅広い業務経験をしたい場合には良いかもしれません。
また、福利厚生やワークライフバランスを重視したい場合でも一般企業で働くことは魅力的に見えるケースが多くなっています。

大手上場企業の場合は税務室という税務を専門的に扱う部署を持っている場合があります。
税務のリスク分析や移転価格等の国際関係の税務を取り扱う部門となります。こうした部門で税務の専門家として働く道もありますが、募集もそれほど多くないため狭き門となります。
特に大手企業の場合は事業自体は複雑化し、それでいて国家間の取引も増加傾向なので難解な税務会計処理が必要となることから税理士などの専門職種を要するケースも増えています。

企業への転職に際しての注意点として、税理士が一般企業の経理へ転職した場合は税理士としての業務が中心となるわけではなくその企業の経理部門における様々な業務を行う必要があるということです。
税理士じゃなければできない仕事以外の業務が増えることは認識しておきましょう。
ただ、一般企業の経理でも様々な業務経験がつめますのでスキルの幅を広げていきたいとお考えの税理士の方には良いでしょう。

企業への転職といっても様々な業界・規模があり、それらによって求められること、経験できることは大きく異なります。しっかり事前に情報収集して転職活動をするようにしてください。

事業会社の経理部門などへの転職に興味のある税理士の方は、以下の記事も参考になりますので、ご覧ください。

医療・福祉や飲食等の各種業界特化型の税理士法人

ここでは代表的に医療や福祉を記載しましたが、その他にも飲食や芸能など〇〇業界に特化した税理士法人というものが多くあります。
医療は特殊ではあるものの需要が多く、独立して大きく稼ぎやすい分野でもあります。

ただし、注意が必要な点としては特殊なスキルが多くなるので、一般的な法人税務等の税理士としての普通の業務に戻り難くなる可能性があることは覚えておいた方が良いかと思います。
特定の特殊な業界へ専門特化するというのは強みでもある反面特殊性もあるので、キャリアとして臨む方向なのかどうかは今一度確認しましょう。

特に飲食特化は確かにビジネス目線で見ると儲かる路線ではあり、開業支援や経営的な支援、マーケティング支援など様々な役立つスキルが身に付く半面、普通の税理士とは異なる道を歩むことも多いので、しっかり情報収集して転職しましょう。

国際税務専門税理士法人

近年国際の分野でも特化型の税理士事務所が伸びてきています。
これまで国際と言えば大手企業相手に業務を行うことが中心だったのでBig4税理士法人等が中心でしたが、ここ数年は中小企業の国際展開も普通なこととなっており、大手だけでなく中小規模の企業に向けた国際サービスも必要となっていることから、こうした切り口で事業を展開し大きく伸びている事務所が増えています。
グローバルでの経済活動が自粛された期間はあったものの、そうしたことを除けばグローバル展開は避けて通れない課題であり、当然税理士業界でも対応できる人材を増やすことは不可欠です。
そして国際に対応できる税理士はまだ少ないことから、非常に大きな穴場となっており大きく稼ぐことができるジャンルと言えるでしょう。
ただし、Big4税理士法人等で一定の経験を積んでいないとキャリア的には厳しいかと思いますので、まずはBig4での経験を積み、そこから将来の独立に向けてこうした国際特化の税理士法人へ転職したり、あるいは専門特化型の小さな税理士法人で国際の経験を積み、逆にその後Big4等の大手で経験を積むのも良いのかもしれません。
いずれにせよ、国際をやるのであればBig4での経験、語学力が必須となることから勉強は必要となります。
また、国際といっても、アジアなのかヨーロッパなのか進出国で違うでしょうからそのあたりもしっかり考えていく必要はあるでしょう。

グローバル

外資系企業

企業の中でも外資系企業で働くことも選択肢として考えられます。

外資系企業の場合は、日本法人から本国へのレポーティング業務が中心となりますが、財務計画の立案や財務データの分析やキャッシュマネジメントなどの業務に携わることもあります。

企業の規模によって管理部門全体にかかわることも珍しくありません。また、スムーズに業務を遂行できるだけの英語力も必要です。

金融機関へ転職する

税理士が金融機関で働く場合、大手の銀行や証券会社に勤務する場合と、信託銀行に勤務する場合とで業務内容が異なります。銀行や証券会社などで働く場合は、会計税務の専門家として、クライアントへのアドバイザリー業務を行うケースが多くなっています。一方、信託銀行で働く場合は、富裕層の個人を中心に、遺産分割や相続財産の評価方法といった、相続・贈与に関するアドバイスを行うことが多いと言えます。

コンサルティングファーム

税理士法人が展開するコンサルティングということではなく、いわゆるコンサルティングファームへ転職される税理士も一定数います。
M&Aに係わる税務処理や国際・海外進出に伴う税務など様々ですが、一般的には事業再生を中心に扱うコンサルファームでは税理士が多く求められ、これまでの業務とも親和性があり活躍がしやすい転職先です。

経営コンサル等を手掛ける税理士もいらっしゃいますが、いわゆる世間がイメージするコンサルというものではないケースも多く、転職の際は注意が必要です。

なんとなくコンサルがやってみたい、という税理士の方はまずはどのようなコンサル領域で活躍の場があるのか、他の方はどのようなキャリアを歩んでいるのか転職エージェントからしっかり情報仕入れた方が良いかと思います。

税理士試験勉強に適した転職先について<税理士科目合格者は税理士試験を重視した転職が多い>

税理士試験勉強に適した転職先

現在税理士試験勉強中の方、これから資格勉強を始めるという方も多いかと思いますが、昔と比べると税理士試験勉強を後押ししてくれる事務所は非常に増えており、キャリアと勉強を両立させやすい環境ではあります。

ただし、基本的に転職先は「会計事務所」に限られます。
一般企業勤務では税理士資格取得に向けたサポートをしてくれるところは皆無といっていいので、税理士を目指す方は相応の覚悟は必要となるでしょう。
いっそのこと会計業界へ転職した方が税理士への道のりは早いかなと思います。

ねらい目としては「他にも受験生がいることをアピールしている事務所」「税理士試験休暇がしっかり用意されている会計事務所」「学費補助してくれる会計事務所」等となりますが、いずれも税理士試験勉強応援事務所としてアピールしているはずですので見つけやすいかと思います。

後はエージェントサイト等へ登録することで税理士試験との両立が可能で実務経験もしっかり積める事務所の紹介等が受けられるのでそうした転職サービスも有効活用すると良いでしょう。

昔は求人広告サイトの人材ドラフト利用が多かったのですが、最近はそのような傾向もなく、会計事務所では総合型の転職サイト等も広く活用して人を集めるようになってきているので、いくつか利用してみると良いかと思います。
税理士を目指す若者が減っているという背景もあり、未経験者や経理経験者等を採用する動きもあるので、幅広く採用できる転職サービスの利用が増えています。
なお、税理士試験勉強やキャリアと勉強時間とのバランスを考えての転職であればレックスアドバイザーズHUPROの双方が良いでしょう。どちらもタイプが違う転職エージェントです。

エージェント情報について詳しく知りたい方は別途エージェントについて解説した以下ページ等ご参照ください。

税理士試験と転職について
税理士の転職サイト・エージェントを紹介!

税理士・税理士科目合格者の転職・求人動向

税理士の転職・求人動向
税理士・税理士科目合格者の転職マーケットは、引き続き売り手市場が続くと考えられます。
転職先別に簡単に見ていきましょう。

税理士法人等の会計業界の転職市況について

会計業界の市場規模は依然として伸びている一方で、税理士試験受験者数は減少傾向にあり、若手の税理士の数は減少し続けています。

そのため、会計事務所は、より一層人材獲得へ積極的になってきており、これまでは税理士3科目合格以上を応募要件としている事務所が多かったのですが、1科目や2科目、あるいは未経験の方でも応募可能な求人が増えています。
また、若手人材を育てていく必要があるので、研修制度や福利厚生を整える等、働く環境にも力を入れ始めている事務所が多くなっているため、働く側にとっては良い市況と言えるでしょう。
その他、経験値にもよりますが、比較的年齢が高め(50代以上等)の方の転職も増えているため、あらゆる層で転職がしやすい状況となっております。

ただし、新型コロナウイルス以降、基本的に採用意欲は高いものの、事務所によっては採用の要件を上げてきているところも出てきていたりするので、転職サービス等に登録し、状況把握をまずは行うと良いかと思います。
むしろ待遇が良くなっている事務所、働きやすくなっている事務所も増えているので意外と転職するには良くなっていたりします。

一般事業会社の経理や税務室への転職市況について

新型コロナ以前は積極採用していましたが、それ以降は、経理への転職は求人はやや減り、採用のハードルは高くなりました。コロナ禍が落ち着いて以降は国際情勢の不安定化などもあり、先行き不透明ということもあり、企業によっては採用意欲は落ちています。
ただ、以前として人手不足であることに変わりはありませんので、特に不足しているマネージャー層(課長レベル)の求人は多く、特にIPO準備企業でIPO経験のある20代後半~30代中盤くらいまでの人材が欲しいという企業は依然として多いです。
マネージャーがとにかく不足しており、何かしらのマネジメント経験、もしくはマネジメントもやっていきたいとお考えの税理士の方は転職がしやすいです。
事業会社の経験がなくてもOKな求人はあるので、事業会社への転職を検討している税理士・税理士科目の方も積極的に動いて問題はない時期です。

なお、税務室の求人というものはそもそも少ないので、気になる方は転職エージェントに登録し、出てくるのを待つというスタイルになるでしょう。

ただ、税務室ではありませんが、グローバル展開している企業では、移転価格税制や国際税務関連の業務経験のある方を募集する求人もあり、一定数需要があるので、事業会社でのキャリアもお考えであれば視野に入れて見ても良いかと思います。

コンサルティングファームの転職市況

M&Aに係わる税務コンサルティング等の税務の延長線上にあるコンサルという視点では求人・採用意欲は比較的高い傾向です。
ただ、一般的に言う戦略コンサルや総合コンサル、経営コンサル等においては税理士の活躍の場はさして多くはありません。

例えば上記までで飲食特化の会計事務所について記載しましたが、飲食店新規開業コンサルといったことをやっている事務所はありますが、そうした所謂税理士事務所だからこそできるコンサル、というものであれば採用意欲は高いと言えますが、世間一般が想像するコンサルティングファームという視点では税理士が転職することは可能であるもののコミュニケーションスキル等その他スキルで大半の方が不採用になる傾向です。

会計事務所のパート・アルバイトの求人動向

主婦の方や学生の方がパート・アルバイトで勤務するケースが増えています。主婦の方の場合、未経験の方はもちろんのこと、かつて大手の税理士法人でバリバリ働いていたものの、当時はまだ福利厚生や所員のための働く制度がしっかりしておらず、ライフイベントを機に辞めざるを得なかった方がたくさんいるようです。しかし、昨今、事務所の運営制度をしっかりと整え、所員が働きやすい環境を整えているところが増えており、あらゆる勤務体系を認める事務所が増えていることから、活躍の場が増えてきております。
パート・アルバイトでの勤務を検討する際、会計事務所で働くというものも一つ選択肢に入れてみるのも良いでしょう。

税理士は公認会計士と並んで難易度の高い資格であり、どのようなフィールドでも活躍できる資格であると言えます。自分の目指したい方向性をしっかり考え、どこでどう働きたいのかについて検討することで、転職成功の可能性が高まるでしょう。

税理士の年収は転職先により異なるか?

税理士の年収は転職先により大きく異なるのか?
税理士の年収は勤務先により大きく異なります。
Big4税理士法人にお勤めの方は恐らく税理士が貰える年収としてはもっとも多い勤務先の一つとなるため、Big4からの転職の場合、多くのケースで年収が下がります。

ただし、キャリアの積み方によっては大きく年収を伸ばすこともできるでしょう。

また、年収のみならず福利厚生や労働時間という観点から待遇を見てみる必要もあるかと思います。
その他資産税をはじめとする専門特化型の会計事務所に勤務する税理士の年収は比較的高い傾向にあります。

そのため、年収をUPさせたい税理士は大手の税理士法人に勤務するか専門領域のある会計事務所へと転職されるのが良いでしょう。
いわゆる記帳代行業務を中心とした一般的な税務申告業務を行っている会計事務所の場合、年収は比較的低い傾向にあります。

税理士の年収についてはいくつか解説していますので、興味のある方は以下を参考にしてみてください。

市場価値の高い税理士になるには転職先選びが重要?

市場価値の高い税理士になるには?転職でキャリアアップやスキルアップを狙う
法人税務を一通り経験したので、プラスアルファで何か強みや得意分野を広げて市場価値を上げていきたい、
という声をよく頂戴します。

市場価値を高めていくという点においては間違いない考え方だと思われます。

税理士としての基本業務である「法人税務」を一通り一人でこなせるようになったら、現在お勤めの会計事務所でも良いとは思うのですが、高度な税務案件を経験すべく、次のステージへに身を置くべきでしょう。
最近の傾向ですと、資産税に興味を持たれる方が多かったのですが、その他にも組織再編・連結納税など、法人税務にプラスしてスキルを高めていくことで必要とされる税理士へとステップアップしていくことができます。

現在においても税理士の転職マーケットは売り手市場なので、新しい分野やプラスアルファの経験を積むために転職することはそれほど難しくありません。
現在お勤めの会計事務所では難しいということであれば転職を検討してみても良いと思います。

ただ、法人税務は一通りこなせるようになっておくべきです。

また、税務に関するスキルのみならず、最近はAIやRPAの台頭により税理士として求められるスキルにも変化が出てきています。
不安を感じている税理士の方も多いようですが、AI等をうまく業務に取り入れてより付加価値の高いサービスを提供できている税理士はむしろ仕事が増えているように感じます。
AIが発達して単純業務がなくなったとしても、経営者の悩みは減らないものです。
そのため、こうした不安を取り除けるコンサルティング力やコミュニケーション能力というのは今後一層重要になってくることでしょう。

何を経験できるか、何が身につくかはどこで働くかということが重要であり、転職先である事務所選び(もしくはコンサルや企業等)が重要となります。

自身の税理士としての現状を知り、市場価値を高めていくための転職先選びも

現在、零細企業や小規模事業者を相手に業務を行っている税理士も多いかと思いますが、そうした方が、大手や中堅規模の税理士法人へと転職したいというお話も良く聞きます。

中堅・大手の税理士法人のクライアントは確かに大手企業が多いのですが、中には小規模事業者もあります。
そのため、小規模事業者の税務の経験しかなかったとしても、こうした大手税理士法人への転職は可能でしょう。

小規模事業者の業務を行いつつ徐々に大手企業の業務をこなし、ステップアップしていく形をとります。

こうしたステップアップを考えたケースでの転職においては、転職エージェント等に相談することで、最適な転職先を紹介してもらうことができます。

また、その他にも面接が苦手、キャリアパスが描けない、ワークライフバランスに理解のある環境で働きたいなど様々な悩みがあるかと思いますが、
そうした悩みや不安を解消するために、転職エージェントを活用してみるのも一つの手です。
転職エージェントは登録したら絶対に転職しないといけないと思い込んでいる方も多いのですが、ただの情報収集目的で利用することも問題ありません。
上手に活用しましょう。
当サイトでは中小規模の税理士事務所から大手税理士法人への転職に関する記事やワークライフバランスに関する記事も記載しておりますので、興味のある方はご覧ください。

ワークライフバランスがとれる税理士法人・会計事務所へ転職

税理士や税理士科目合格者の方は転職エージェントを活用して転職する傾向も増えていますので、ここでは税理士の転職に強い転職エージェントの紹介もしておきます。

税理士・会計事務所の転職に強い転職エージェント・転職サイトの紹介

MS-Japan
税理士・会計事務所業界の求人数がトップクラスの転職会社で東証プライム上場企業の転職エージェントのMS-Japan
税理士をはじめとする士業全般の転職に対応したエージェントです。

事業会社の経理や税務室への転職のイメージが強い方が多いかも知れませんが、古くから会計業界での転職支援を行っており、会計事務所の転職実績も恐らく業界ではトップクラスでしょう。当然求人数は非常に多く保有しています。

保有求人数のみならず、各会計事務所の特徴もしっかり押さえてくれているので、ミスマッチの少ない転職がしたいという方にもおすすめです。

また、特化型の会計事務所を志向される方も昨今は増えていますが、同じ特化型(例えば資産税等)でも、取り扱う顧客の属性等により経験できる業務等は異なりますので、そうした細かい情報などももらいながら転職活動ができます。

HUPRO(ヒュープロ)

大学との共同研究による独自開発の「AI」や「アルゴリズム」を用いた転職診断が行えます。

数万件以上のデータに基づいた解析を行っており、有給消化率や残業時間、休日日数等のデータも踏まえているので、「キャリアアップ志向」の方にはもちろん「ワークライフバランスを意識した職場へと転職したい」とお考えの方や「税理士試験勉強と仕事の両立ができる会計事務所へ転職したい」方などそれぞれの希望にピッタリマッチした求人の紹介が受けられます。

会計事務所はもちろん事業会社やコンサルティングファームの求人も豊富なため、幅広い選択肢の中からあなたに合った求人をスピーディーに見つけることができます。

非常に効率的に転職活動が行えるので、転職エージェントから自身にマッチしない求人を大量に紹介されてウンザリしているという方や繁忙期で忙しく転職活動に割く時間が取れないという方にもおすすめです。

単にAIを用いたマッチングを行っているのではなく、
税理士や会計事務所スタッフの転職支援実績のある専門のエージェントにLINEやメール、電話で24時間相談ができるので、しっかり相談しながらじっくり転職活動したいという方にもおすすめのサービスです。

転職相談を重視したいというよりは、素早くマッチする求人先を見つけて転職したいと言ったケースでの利用に適しています。

レックスアドバイザーズ
レックスアドバイザーズ

各税理士事務所の違いについてもしっかり説明してくれるので、情報収集に役立ちます。

税理士試験勉強中の方にあっては税理士試験勉強をするのに適した求人先を見つけることにも長けているだけでなく、その後のキャリアも見据えた転職先探しという視点でも有用です。

ジャスネットキャリア
大手・中堅税理士法人の転職に強いジャスネットキャリア
会計分野には特に強い転職エージェントで、一人ひとりのキャリアステージに合った最適なキャリアプランの提案が受けられるのが特徴です。面接対策や書類の書き方等に関する指導はもちろん、資格者向けの実務に関するお役立ちセミナーなど様々な取り組みを行っており、転職ありきではなく、キャリア全体を俯瞰したサポートが受けられます。
サポートの質と紹介してくれる求人の量のバランスの良いエージェントです。
会計事務所業界での転職にも強いのですが、事業会社の経理などへの転職に興味のある税理士の方にもおすすめです。
また、転職相談を重視したいという方にはおすすめの転職エージェントです。

基本的に、中堅~大手税理士法人への転職をお考えの際におすすめとなります。

doda
大手の転職サービスで税理士法人の求人が非常に増加傾向にある総合型転職エージェントのdoda
総合型の転職エージェントです。税理士に特化しているわけではありませんが、会計業界への転職実績も多数あります。会計事務所の求人数も近年大きく伸ばしており、大手や中堅クラスの会計事務所への転職を検討中の方や、会計事務所含め、事業会社やコンサルティング会社など幅広い可能性を視野に入れて転職活動を行いたい方は登録しておくべきでしょう。

BIZREACH(ビズリーチ)
税理士の利用者はそこまで多くないがハイクラス求人が多いビズリーチ
ハイクラス求人が多い転職サイトです。
特にBig4税理士法人に勤務している方がハイクラスポジションへと転職される際に登録される方が多いように感じます。
あなたの経歴・スキルに興味を持った事業会社やコンサルティングファーム、ヘッドハンターからスカウトが届きます。
経営に近い仕事がしたいという方や事業会社の税務室、経理・財務部門の責任者ポジションへと転職したいとお考えであれば必ず登録しておくべきサイトです。
ただし、年収が750万円程度ないと良い求人の紹介をうけるのが難しくなりますのでご注意ください。
また、会計事務所の採用でも一定数使われているようですが、数は少ないため、会計事務所への転職を考えているのであれば、ビズリーチというよりは税理士業界の転職専門サイトの方が良いでしょう。最近ですとHUPRO(ヒュープロ)が最も会計事務所求人の幅が広く転職しやすいサービスとなっています。

税理士や会計事務所向けの転職エージェントに関する解説をした記事もございますので、転職エージェントに興味のある方は以下もご覧ください。
税理士科目合格者の転職
税理士の転職サイト・エージェントを紹介!

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グローバル

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新型コロナや国際情勢の乱れによる影響で税理士の転職市況や転職先、採用に変化はあるか

新型コロナ以降の税理士の転職市況や状況について

コロナに関しては現在は影響はなくなっているものの、出始めのころは間違いなく採用は減少しました。現在は採用需要自体は戻ってきています。
ただし、経済見通しの先行きの不安からむしろリスクを避けて転職者が少ない傾向です。

また、打撃を多く受けたクライアントを持つ一部の会計事務所では採用をストップする動きもあります。

ただ、全体的に見れば採用需要は依然として高く、むしろコロナをきっかけにリモートワークを取り入れ、クライアントとのやりとりもIT化が進むなど意外と良い面も多くあります。

働きやすくなった、リモートOKになったから良かった等の声もあり、うまくこうした事態を利用できた事務所も多いようです。

ただ、業務内容的に出社した方がどうしてもやりやすいことも多いということで、いろいろ所員の意見を取り入れながら働く環境を整えている事務所が多いです。

税理士の働く環境は良くなりつつある面もありますが、社会構造の変化も早くなっているので、時代の変化を見ながら変化して行ける事務所へ転職するのが良さそうだと感じます。

また、デジタル化の影響により直接対面せずにWebでのコミュニケーション機会が増えておりますが、Webだからこそコミュニケーション能力の高さというものは重要になってきています。相手に与える印象がオンラインなのかそうでないのかで違ってきているので、このコミュニケーションスキルに関しては今後も変わらず最も重要なものとなるでしょう。
業務効率化も進んできており、付加価値の高いサービスを提供できる税理士が求められている状況が加速しています。

転職をお考えの税理士の方はテクノロジーの進化に合わせてコミュニケーションスキルもやはり磨いていく必要がある状況に変わりはない傾向です。

会計ソフトメーカーのテクノロジーの発展と記帳代行支援サービス等の台頭により税理士のキャリアや転職先に変化はあるか

テクノロジーの進化で税理士の仕事・キャリアは変わってくる

だいぶ前から言われていることですが、テクノロジーの進化により記帳業務などはほとんどなくなっていくと言われており、実際に現在は無くなりつつあります。

まだ発展途上ではありますが、各種会計ソフトメーカーでは、スキャンしたら自動で仕訳してくれる機能やサービスは当たり前となっており、各社記帳代行支援を行うサービスラインを整えています。

これらを利用することで、人が記帳していたときよりも業務時間が三分の一以下となり、尚且つ人が入力するよりも圧倒的に単価が安いということで、こうした業務は徐々に自動化へと移行されています。
完全になくなることはありませんが、こうした単純業務しかできない税理士は間違いなく需要がなくなる未来が近づいています。

こうしたことから、各会計事務所では付加価値業務と呼ばれるプラスアルファの価値提供を意識しており、当然採用する人材もそうした方向性の意識がある人材が必要とされている傾向となります。

そして、本来もっとゆっくりとIT化・テクノロジー化が進むはずだったのが、新型コロナにより一気に整いつつあり、スピードが増しています。
なので、若い人は大丈夫だと思いますが、IT・テクノロジーを活かしていくという考えはきちんと持ち、そして作業ではなく価値提供ができる税理士が求められていくということを理解してキャリアを積んでいくのが良いでしょう。

こうした状況は、特に若手(20代~40代前半)の税理士には逆にチャンスなのではないかと個人的には思います。

そのため、一歩進んだキャリアを歩みたい方は最近対等してきている若手が運営する税理士法人を転職先として選ぶのも面白いかと思います。

若手税理士が少ないため20代~40代までの税理士・科目合格者は転職先はかなり選べる

良いことか悪いことかの議論はさておき、税理士業界は若い人が少ないです。

平均年齢65歳以上の業界であり、20代は全体の0.6%以下です。
合格するのに時間がかかる資格であり、それでいてこの先税理士の将来性は無く、キャリアパスも微妙という印象を持たれている税理士という資格に魅力を感じる人は少ないようで、これからも多分あんまり増えないです。

税理士業界の啓蒙次第だとは思いますが、少なくとも私の周りで税理士目指したいという人は少ないです。

そのため、いつまでたっても人手不足はおさまらず、ずっと転職がしやすい業界が続くと考えられます。

ただ、若い人が少ないというと魅力がないように感じるかもしれませんが、一つお伝えすると意外とおいしい業界です。

税理士はコミュニケーション力が低い人が多く、営業できない人が多いので、税理士としての能力が低くても実は顧客が取れます。
ベンチャー~中小規模の企業は顧問料なんてそんなにお金払えませんので、極力安くて面倒なことやってくれるところをいつでも探しているので、意外と顧客は簡単に奪えたりします。

そこに気づいた一部の人、例えば会計士だけど税理士登録して税務やってる人は多いのですが、このパターンで顧客をがさっと持っていく人も多いです。

税理士はなくなる職業なんて言われていますが、むしろある程度営業力やビジネスセンスのある人なら結構まだ儲けるチャンス多いので、個人的にはおすすめの資格なんだけどなと思っています。

起業して税理士に仕事を頼めばわかりますが、そうたいしたことしてもらってません。
資格無くてもできるだろって業務が多いのですが、まあそれでも良い金額とられます。
税理士目指すのもありだなと個人的に思ったこともあるぐらいなので、結構おすすめです。

何が言いたいかというと、どのようなところへ転職するにしろコミュニケーション力・営業力身につけておくだけで一気に他の人と差をつけられる資格・業務だなと思います。

税理士はおすすめです。

税理士・会計事務所スタッフの転職先別の事例

税理士・会計事務所スタッフの転職事例

税理士や会計事務所に勤務する方の転職事例を各転職先ごとに一部紹介したいと思います。
税理士科目合格者の方であれば、税理士試験勉強が出来る環境を求める方は当然多いのですが、加えて実務経験といものを気にされる方も多いです。
やはり結局のところ資格の有無だけでなく実務やったことあるかどうかというものが重要になるというところになります。
なので、そうした視点も見ながら転職先は選んでいく必要があります。

税理士試験に理解があり尚且つ一定の業務経験が積める会計事務所への転職(20代税理士科目合格者Aさん)

Aさんは税理士試験2科目合格し、準大手の税理士法人に勤務していました。
元々大学時代に科目合格していたこともあり新卒で税理士法人へ就職した経緯がありますが、入社した税理士法人は確かに幅広く業務の経験が積めて仕事も責任感も必要な業務内容ではありましたが、とても忙しく残業も多いので、税理士試験を目指しながら働くには不向きな環境でした。

20代も後半に差し掛かり、就職してからは1科目しか合格できていない環境に不安を覚えたものの、業務経験としては良いものが積めていると思ったので転職するかどうか迷っていました。
ただ、最終的には税理士資格を取り税理士として仕事がしたいと思っていたことと、30代後半、40代になってもまだ勉強を続けている方が多いという現実も頭の中ではわかっていたので、早いうちに合格してしまいたいという思いもあったことから、ある程度税理士試験勉強に理解があり尚且つ一定レベル以上の業務経験が積める税理士事務所への転職を検討しました。
英語は得意でなかったことと、大手企業を相手にするよりは中小企業規模を相手に幅広く業務が出来る方が合うなと感じていたので、Big4のような税理士法人ではなく中小規模への転職を検討。転職エージェント等に登録し情報収集を行いました。

結果的に転職エージェントからは10名前後規模の会計事務所の求人を紹介され、年収も大幅ダウン(100万円程度)したものの、勉強の時間がかなり確保できる点、単に記帳代行をやっているのではなくコンサルティング(税務・資金調達・経営・M&A)にも力を入れており、経営者や担当者と接しながら業務していくことができる環境が良いと感じ、転職しました。
一時的には確かに大きく年収が落ちることは懸念したものの、先々独立することも視野に入れていたので、小規模事務所での実態を見つつ資格も取れる環境に身を置きたいと思い転職を決断されました。

税理士試験と実務経験の双方のバランスが良い環境で働けていて満足されているようでした。

求人媒体等でもこうした転職先は見つかりますが、エージェントに希望を伝えることで、あなたの状況に合う転職先が見つかるものですので、転職をお考えの方はエージェントや転職サービスを利用されるのも良いかと思います。

税理士試験を辞めて別の領域へ転職したい・・・(30代税理士科目合格者)

長年勉強を続けてきたけど、正直会計事務所の仕事や事務所が肌に合わないしやる気もないけど惰性で働きながらなんとなく勉強を続けている、といった方もいらっしゃいました。
そのようなケースでは、自分は会計業界以外では働けないと思っている方もいるのですが、そのようなことはありません。
会計・経理・税務に関連した業務そのものに全く関わりたくない、ということであれば確かに転職先選定は非常に難しいものとなりますが、事業会社の経理に関連した部門であれば会計事務所経験が評価される職場も多くあります。

例えばとある東証プライム上場企業では会計事務所出身者が多く在籍している部門があり、経理実務経験はないが税務関連・会計関連業務経験のある方を求めている採用案件等があったりします。

少し偏った経験をお持ちの方であれば、不動産業界、飲食業界、医療福祉業界など各業種ごとにおいて会計事務所経験者を求める求人は多く、それでいて会計事務所よりも福利厚生や年収などを含めた待遇が格段に良いものが結構多いです。

税理士の資格が取れず税理士科目合格者のままだとなかなか良いポジション・仕事が出来ないケースも多いことから、いっそのこと情熱がなくなたったのであればフィールドを変えつつこれまでの経験を活かせる転職先へと行くのも悪くないでしょう。

なお、このケースでは転職先企業が求人募集をするタイミングが常にあるとは限らないので転職エージェントや求人サイトに登録し、求人を待つのが良いかと思います。
定期的に募集されています。

私の知っている範囲で行くと、20代は全く問題ありませんが、30代~40代後半の科目合格者で一定度の会計事務所経験・スキルがあれば事業会社へ転職されるケースもあります。
50代を超えてくると相応の経験がないと厳しいです。

いずれにせよ、税理士資格者・科目合格者双方ともに活躍できるフィールドは幅が広いと思っていただければと思います。

子育てと両立・ワークライフバランスに優れた転職がしたい女性税理士も多数

転職にあたりワークライフバランスを重視される方も一定数いらっしゃいます。
女性の税理士や会計事務所スタッフの方の要望として、産休育休制度がきちんと機能しており、子育てとキャリアの両立が可能なところへと転職したいといった要望が一昔前は特に多かったように思います。
一昔と記載したのは最近は割とよくなってきているからです。
事務所によるとしか言えない状況ではありますが、女性に限らず男性に対してもワークライフバランスに優れた体制を作っているところは増えていて、在宅勤務・リモート勤務を推奨するところも増えてきました。

デジタル化・IT化が進み、どこにいても業務ができる環境が整い、それと同時に顧問先でもIT化が進んでいるので無駄な訪問機会も減り、働きやすくなったところは多いです。

そのため、現在勤めている事務所が時代遅れだなと感じるようであれば転職を検討しても良いかと思います。

今ならキャリアもライフもしっかりできるところはあります。
※もちろん転職できるかはあなたのスキルや意気込み次第という部分もありますが。

なお、税理士におけるリモートワークや在宅勤務転職に強みがある転職サイトとしてヒュープロが昨今実績をあげており、税理士試験勉強中の方や子育て中に正職員の方でも働きやすい環境へのアプローチを得意としているので参考にしてみてください。リモートワーク関連のページをご覧いただけます。

資産税(相続・事業承継)のより高いレベルの経験が積みたいという税理士(科目合格)の転職例

昨今の事情もあり、先々資産税分野が伸びると踏んでいたことから、資産税分野での就業経験を積んでいた20代税理士科目合格者の方がこの分野でキャリアアップをしたいということで転職された事例があります。
無資格ですので税理士としてではなく補助者として相続申告補助業務を通して申告業務のスキルはかなり高い状況となりつつありました。

ただ、ひたすら数をこなす系の案件が多く、申告業務はあくまで申告だけですので、もっと顧客の目線にたったコンサルティングに近い業務経験等も積んでいきたいとお考えになり転職エージェントに相談に行きました。

資産税といっても法人・個人なのか富裕層なのか等クライアントの属性により求められる能力や案件も異なります。

そのため、どういった税理士になりたいのかよくよく考えたうえで相談業務が多く経験できる会計事務所へと転職を決めました。

教育環境が整っていてキャリアアップ、あるいはキャリアチェンジも可能な税理士法人へ転職し、希望するスキルが身に付く先へと転職ができたということで満足してらっしゃいました。
資産税(相続・事業承継)が経験できる事務所といっても、スポット案件しか取り扱っていないようなところもあれば、個人向けの相続申告業務をこなす事務所もありますし、経営者向けに法人・個人の視点から様々な提案を行うものまであります。

資産税分野に限りませんが、どのようになっていたいのかを転職エージェントなどと共有し最適な税理士事務所へと転職できるようにしましょう。

法人顧問業務にプラスアルファの経験・スキルが身につけられる税理士法人へ転職したい

会計事務所に勤務して数年が経ち、法人業務が一通り一人でこなせる様になったあたりからやや業務に飽きが出てきたという税理士の方が、プラスアルファの業務経験をするための転職先を探したいと転職エージェントに登録されました。

法人業務を軸に考えたいとのことでしたので、プラスアルファで事業承継・組織再編などの業務に携わることができる中堅の税理士法人への転職を検討。

昨今後継者不足により事業承継ニーズは増しており税理士事務所が果たす役割も大きくなっています。
事業承継や組織再編に対応できる税理士は意外と少なく今後も需要が増えていくことから大きな強みとすることが出来ます。

一方で単に税制や制度について詳しければ良いというものでも無く話し合いによるコミュニケーションスキルも求められるため、総合的な能力が求められるので簡単ではありませんが、今後も必要とされるスキルを身につけることが出来ます。

そのため、コミュニケーションスキルを磨いていきたい、もしくは活かしていきたいといった税理士の方にもよい業務となります。

税理士の転職失敗例を転職先別に紹介

税理士・会計事務所スタッフの転職失敗事例

ここまでで税理士の方の転職先が多岐にわたることをご理解いただけたかと思いますが、転職に失敗してしまったというケースも少なからずあります。
各種転職先別に失敗事例も見ることで、転職に役立ててください。
また、転職先という軸ではなく、一般論として税理士が転職に失敗するケースについて解説していますので、合わせてご覧ください。

転職先の税理士事務所の所長と合わずに退職・・・所長との相性による転職失敗

面接時になんとなく感じていたけど、という方は多いのですが、所長とそりが合わずに退職されるケースは多いです。

特に税理士事務所は少数で運営されているので、必然的に所長の性格が事務所の雰囲気を作ることから所長と合わないと地獄というケースも少なくないです。

業務内容云々以前の問題となってしまうので面接時に所長とちょっと合わないなと思ったら注意する方が良いでしょう。

ただ、面接の場だけで判断するのも難しいので、職場見学の機会をもらう、あるいは転職エージェントから情報をもらっておけばこのようなミスマッチは減らせます。
転職エージェントでは各事務所の所長の性格なんかも押さえていたり、離職率なんかも把握していたりします。

税理士試験勉強ができる環境じゃなかった・・・職場環境のミスマッチによる転職失敗

税理士事務所の中には所員の税理士試験に受かってほしいと思っていないところはいまだにそこそこあります。
合格したら辞めてしまう、合格したら給料をあげなければいけないのでなるべく受かってほしくないと思っているところは実は未だに存在しており、小規模事務所の場合は特に事務所を大きくしていこうと思っていないケースも多いことから、そういった事務所にうっかり転職してしまうと税理士試験勉強への理解が無いうえに、大したキャリアもつめないといったことも考えられます。

そういったことは今どきの時代でも起きているようですので税理士試験勉強ができる環境とそれなりの業務経験が積める会計事務所への転職をお考えであれば必ず事前に情報収集してから転職するようにしてください。

会計事務所は一見すると同じようなことを行っているように見えますが、業務内容の質は事務所ごとで全然違いますし、どのようなルートで案件を獲得しているかでクライアントの質も異なります。

きちんとしたところへ転職するようにしましょう。

自分で情報を取ることが出来ない方は先ほど記載したようにエージェント利用をおすすめします。

業種特化型の税理士法人へ転職し、キャリアの点で失敗

早期退職が多いパターンとなります。
なんとなく業種特化型が良さそうだということで、飲食や医療等何かしらの業界に特化した事務所へ転職される方がいらっしゃいます。
業種特化型の場合専門性の高いスキルが身に付くので独立しやすかったり、大きな収入が得られたりといったメリットがある反面、汎用性が無く、元のキャリアに戻りにくいといったデメリットがあります。

特に飲食関連は転職して税務や開業コンサルに携わってみたもののどうも合わないといったケースも多いので、業種特化型の会計事務所へ転職される場合はしっかり面接の場などで質問したりすると良いかと思います。

不安な気持ちは当然求人企業側も良く理解しているので質問しても大丈夫なケースが多いです。

事業会社の経理へ転職したもののなじめずに税理士業界へ出戻り転職することに

税理士資格者のみならず科目合格者の方にも多いのですが、資格取得を諦め事業会社経理へ転職されるケースも多いです。
ただ、事業会社の風土・雰囲気になじめず早期退職される方も少なくありません。

税理士業界はコミュニケーションスキルに難のある方が多い業界なので、事業会社へ転職した際にコミュニケーションを必要とする業務が多くなることから合わずに辞める方も少なくないです。
経理というと黙々と作業をするイメージをお持ちの方もいらっしゃるようなのですがそのようなことはありません。

また、事業会社そのものの風土に合わないという方も多く、体育会系風土の企業も多いのでイベントが多い企業が多いです。
そういったものに合わずに退職される方も一定数いらっしゃいます。

事業会社への転職を目指すケースでは転職エージェントなどから転職先企業の雰囲気等をしっかり情報収集しておくと良いでしょう。

ここではあくまで失敗事例を記載しましたが、当然事業会社へ転職して楽しく、雰囲気良く働いている税理士の方もたくさんいらっしゃいます。

なお、経理ではなく税務室への転職というケースでは事例が少ないので割愛させていただきます。

求人広告だけでなく転職エージェントの利用も税理士の転職ではおすすめである

会計事務所のHPを見ていてもどこの事務所もさして違いが無いように見えます。
実際同じような業務をやっているというケースは多いのですが、クライアント規模や属性の違い、案件獲得ルートの違いにより顧客の質が違ったりするので、経験できる業務に違いがあったりはします。

後は所長の人柄、一緒に働く従業員の人柄なども求人広告や事務所のHPだけではわかりません。

そういった総合的なものを知ることは転職するうえではとても重要です。

そのため、転職エージェントの利用も検討されると良いかと思います。

税理士の転職サイト・エージェントを紹介!

税理士の求人

一部当サイトにも税理士や科目合格者向けの求人を掲載していますのでご紹介です。

上場企業から中小企業まで様々な法人顧問業務を担当
特徴 税理士だけでなく、弁護士や公認会計士、司法書士などその他のプロフェッショナル・専門家と一緒に業務を進めていくからあなた自身も大きく成長できる環境です。
業種 税理士法人
募集職種 税務会計スタッフ※法人顧問業務を担当して頂きます(金融機関出向含む)
雇用形態 正社員
仕事内容 上場企業・非営利法人・医療法人等のクライアントに対して事業承継や連結納税等の法人税務業務を行うほか、金融機関の社員の方々と共同でコンサルティング業務を実施していただきます。
単に税務の知識が身につくだけでなく提案スキル等のコンサルティングの能力も大きく伸ばすことが可能です。
応募条件 ・税理士試験2科目以上合格
・税理士事務所での業務経験が3年以上
※税理士事務所での業務経験が無くても事業会社での経理経験がある方もご相談ください。
給料 年収700万円~1,000万円
※能力スキル経験により決定します。
福利厚生
待遇
休暇
各種社会保険完備(労災・雇用・厚年・健保)
交通費支給
残業手当支給
退職金制度(確定拠出金制度を含む)
社員旅行
税理士会費負担
定年退職60歳
完全週休2日制(土・日)
祝日
年末年始休日
有給休暇
慶弔休暇
税理士試験準備休暇

※詳細はお問い合わせください。
勤務地 東京都千代田区五番町
応募 求人詳細・応募ページへ
相続申告、相続コンサルティング業務を担当
特徴 様々な業態の法人をクライアントに持つほか、税理士以外の各士業も所属しているから刺激をもらいスキルアップが可能な環境です。
業種 税理士法人
募集職種 相続申告・コンサル(マネージャー候補)
雇用形態 正社員
仕事内容 相続申告、相続コンサルティング業務を実施頂きます。
応募条件 ・税理士資格必須
・相続申告経験3年以上
給料 年収600万円~1,000万円
※能力スキル経験により決定します。
福利厚生
待遇
休暇
福利厚生等はお問い合わせください。
勤務地 東京都
応募 求人詳細・応募ページへ
法人税務顧問・事業承継・組織再編・国際税務等幅広い経験が出来る税理士法人 税理士試験勉強中の方にもおすすめ!
特徴 税理士試験前の休暇や専門学校通学のためのサポート制度等があるから勉強中の方も安心です。
それだけでなく、業務経験も質の良いものがつめます。
業種 税理士法人
募集職種 税務会計スタッフ
雇用形態 正社員
仕事内容 事業承継や組織再編などのスポット案件にも携わることができるため、早い段階からコンサルティング能力を養うことができます。
海外展開もしていることから希望があれば国際税務の経験も可能です。今後どういった税理士を目指したいのか、これまでどういった経験があるのかなど総合的に判断しお任せする業務を決定します。
応募条件 ・税理士試験勉強中の方
・会計事務所での業務経験のある方
・何かしら税務実務経験のある方
※いずれかに該当する方
給料 年収500万円~700万円
※能力スキル経験により決定します。
福利厚生
待遇
休暇
・税理士試験勉強専門学校通学サポートあり(専門学校・大学院など)
その他福利厚生に関しては詳細ページをご確認ください。
勤務地 東京都港区
応募 求人詳細・応募ページへ

その他の求人は以下よりご確認ください。

税理士として働く方々の就業データ(参考)

参考として税理士として働く方々の就業データを掲載します。
データは厚生労働省職業情報提供サイトのデータを活用しています。
人数と平均年収、労働時間から見るに勤務税理士だけでなく開業税理士も含まれたデータになってしまっているものですが、参考として公式的なデータを参考に記載しておきます。

税理士の転職先や活躍の場は広いのですが、以下の数値からわかる通り、独立するか大手税理士法人へと転職すれば高い年収が得られますが、事業会社の経理に転職したり、小規模会計事務所に勤務すると年収400万円台で止まることも多々あります。

そのため、ご自身が何を重視されるのかにより転職先は変わってこようかと思いますのでしっかり考え検討のうえで転職先を決められるのが良いでしょう。

税理士就業者データ(厚生労働省より)
税理士の就業者数 59,770人
※税理士登録者数ではありません。
労働時間平均 144時間
平均年収 958.4万円
平均年齢

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樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
公認会計士・税理士・経理などの士業・管理部門の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズで勤務し、転職エージェントや会計専門メディアの事業の立ち上げを経験。その後、株式会社インテグラルベース(厚生労働省特定募集情報等提供事業者51-募-000806)を創業。現在は転職・採用・人事に係わるコンサルティングや求人サイトの運営を行っています。 士業JOBでは、これまで培った人脈と10年弱に及ぶ転職や採用に関する業務経験・実績を活かして転職に役立つ情報の配信を行っている他、多数の人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。また、行政書士として事務所を開設しており、自身も士業として活動しております。 執筆者・監修者・編集者情報へ