年収が低い・高いは何で差がでる?税理士・会計事務所の年収はクライアント属性で変わってくる

昨今、会計事務所に勤務する税理士や税理士科目合格(税理士試験勉強中)の方から、正直年収が低くて、、、という相談を受けることが多くなってきました。
そこで、税理士の年収についての情報をネットで調べてみたのですが、公認会計士と税理士の切り分けをせず年収を紹介していたり、単に規模別に年収を紹介しているにすぎず、実態とは少し違うなと感じる場面も少なくありません。

実際のところ、公認会計士と税理士は仕事内容も年収もキャリアも全然違うので、混ぜて考えるのは危険です。一般的に、公認会計士と税理士を比較した場合、公認会計士の方が年収は高いです。

また、税理士や会計事務所スタッフの年収を事務所の規模だけで判断するのも危険です。特化型なのかそうでないのか、何に特化しているのかなど、クライアントの属性・傾向を加味して考える必要があります。

また、年代別で税理士の年収を解説しているページも多い(当サイトの記事にもありますが。。。)のですが、確かに年齢で年収が変わってくる部分もあるのですが、税理士の場合、所属する会計事務所の規模や分野によって大きく変わってくるのが実情です。
そのため、自身が所属するフィールド・年齢・スキル等を総合的に見て、年収相場を考えていく必要があるのです。
そこで、ここでは、税理士の年収がなぜ低くなってきているように感じるのかという点とどうやったら年収が上がるのかについて、フィールド・年齢・スキルを軸に考えてみたいと思います。

会計事務所の規模・分野ごとの税理士・税理士科目合格者の年収の違い

はじめに、会計事務所の規模や分野ごとの税理士と税理士科目合格者の年収についての一般論をお話します。
最近は会計事務所によってバラツキが出てきてしまっているのですが、概ね以下のような年収になります。
賃金構造基本統計調査と独自データを加味していますが、賃金構造基本統計調査は大きなくくりでの調査であり、あくまで参考レベルです。個人的にはあまり参考になるデータではないと感じます。

税理士と税理士科目合格者の年収
会計事務所規模・分野 税理士の年収 科目合格者の年収
Big4・大手税理士法人 700~1000万円以上 500~700万円
中堅税理士法人 500~1000万円 350~550万円
小規模・個人事務所(少数精鋭高難度案件のみ取り扱う事務所除く) 400~600万円 250~450万円
資産税特化型 700~1000万円以上 400~600万円
SPC特化型 700~1000万円以上 400~600万円
※事業会社の場合、企業の賃金テーブルにより大きく異なるため比較ができませんでした。
Big4税理士法人は昔から変わらず比較的高い年収が期待できます。
参考までに、Big4監査法人に勤務する公認会計士とBig4税理士法人に勤務する税理士の年収の差はおよそ100~150万円程度で、公認会計士の方が年収が高めです。

また、ここ数年は資産税分野の需要が高く推移していることもあり、資産税特化型の会計事務所では比較的高年収が期待できます。
データにはありませんが、国際税務を専門とする会計事務所も年収が高くなりつつあります。

逆に、記帳代行業務などを中心とした一般的な会計事務所に勤務する税理士の年収は下がりつつあり、年収面で見た場合に、税理士業界は二極化しつつあるかもしれません。

年収の上がっている税理士は国際税務などの専門性が高く、顧問先に対して付加価値を提供するスキルを持っている

昨今比較的高い年収を得ている税理士の特徴としては、資産税やSPC等の「高度な専門スキル・知識」を活かして働いているといったものや、国際業務を中心にグローバルに活躍している税理士が目立つようになってきています。
特に国際に関する業務に関して、これまでBig4を始めとする大手税理士法人の独壇場となっていたのですが、最近の傾向として、中小企業の海外進出が増えてきた背景もあるのか、中小企業向けの国際税務をサポートする会計事務所が増えています。

Big4に頼むとフィーが高すぎて払えないし、でも今お願いしている税理士さんでは国際対応できないしどうしよう、といった悩みを抱えている中小企業は多いのですが、そうした中小企業が国際税務に対応できる税理士に依頼を切り替えるケースが増えています。
そのため、国際税務に強い税理士は比較的高い報酬を得ることができ、年収も高い傾向にあります。
現在、国際税務に対応できる税理士の数が少ないことも要因としてあげられるでしょう。

税理士の国際税務に関する転職情報は下記にまとめておりますので、国際税務に興味のある税理士の方は参考にしてみてください。

グローバル

税理士の年収が低いと感じるのは、記帳代行などの単純業務がメインの会計事務所に勤務する税理士が多いから

クラウド会計などのテクノロジーの発展により、記帳代行業務などの単純業務で生計を立てていた会計事務所は低単価なところも増えています。
そういった安売り路線の会計事務所に勤務すると年収は低くなりがちです。

安売り路線にすると、顧客の質もそれほどよくない場合が多くなっています。金額の安いお客様に限っていろいろ文句を言ってくるものです。

そのため、利益率も低くなるうえに、手間が増え、結果的に給料は安くなりがちです。

この低単価路線は、現時点ではそこまで大きな問題はありませんが、AIの発展が著しいため、今すぐということではありませんが、テクノロジーに代替されていく流れは止められないかと思います。

税理士としての知見・経験を活かして何を提供するのか?という部分を考えられる人が高い年収を得られる時代になっていくでしょう。

クライアント属性を見極めて高い年収を実現する

一般的な会計事務所へ勤務するということを考えるならば、やはり誰がお客様なのかに注目すべきでしょう。

資産税領域は比較的年収が高くもらえると記載しましたが、この領域でも経営者などの富裕層をターゲットにしているのか、それとも一般市民をターゲットにし、申告がメインになっているのかでも異なってきます。

富裕層をターゲットに商売をしていた方が儲かるので、高い年収が得られます。

総合型の大手税理士法人でも、所員数の数の原理で低単価のお客様を多数こなす路線のところがありますが、そのあたりはやはり年収が低めになりがちです。

年収という1面だけにこだわるのであれば、そうした顧客属性まで目を通しておきましょう。

あなた自身のスキルも必要

良いお客様を抱えている会計事務所は、やはり良い所長、従業員が多いです。

あなた自身はどうでしょうか?

自分自身も一定の能力がないとそういった会計事務所で働くことは難しいですし、人柄も重要です。

このページでは、会計事務所を見極めていくためのポイントについて記載しましたが、あなた自身がそれにふさわしくなることも重要です。

年収が気になるなら税理士や会計事務所に精通した転職エージェントに聞いてみるのも手

現在年収が低くて、今後年収をあげていきたいとお考えの税理士・税理士科目合格者の方は、どのようなスキルを習得していくべきなのか?どのようなキャリアプランを構築していくべきなのか?先を見据えたプランニングが重要になってきます。

また、顧客属性を知るといっても、自分でそれを調べるのは困難です。

転職エージェントがすべてを把握しているというわけではありませんが、データを持っていることは多いです。

顧客をどこから獲得しているのか、そういったルートを知ることで顧客の質もわかります。そういったことも含め、エージェントを利用するメリットはあります。

参考までに一部のエージェントをご案内します。

レックスアドバイザーズ
レックスアドバイザーズ

スキルや経験を一定度積んで来ると自身の待遇面が気になってくる方も多いかと思います。

税理士の年収はスキルの高低の他にどの事務所に所属しているのかでかなり差が出ます。
ただ、一定以上のスキルがあれば条件の良い事務所への転職というのは今の転職市況であれば叶いやすい状況ですので、年収が気になるようでしたら一度転職エージェントに相談してみるのも良いかと思います。
そういった意味で、レックスアドバイザーズは多くの会計事務所との付き合いがあり、データや事例も豊富です。
相談してみるのに良いと考えます。

MS-Japan
税理士・会計事務所業界の転職に精通した東証プライム上場企業の転職エージェントのMS-Japan

会計業界はもちろん事業会社の経理や財務、税務室等に転職したい税理士にもおすすめの転職エージェントです。
転職成功実績も豊富なエージェントなので、年収が気になる方は、高くしていくためにどうすればいいかなどの相談もできるでしょう。

また、数多くの税理士や税理士科目合格者が利用しているので年収に関するデータも数多く保有しており、自身の年収が適正かどうかなどの判断材料や意見ももらえます。

会計事務所・事業会社など税理士の求人がフィールド問わず豊富なので、待遇UPの転職を狙うケースでの利用にも適していると考えます。


HUPRO(ヒュープロ)

大学との共同研究による独自開発の「AI」を用いた転職診断が行えます。
あなたの現在の年収や経歴・スキルなどを基に、年収UPが実現できる会計事務所や一般企業の求人の提案がスピーディーに受けられます。
年収が気になる税理士・税理士科目合格者の方は一度試してみると良いでしょう。

また、残業時間や有休消化率等のデータも用いているので、単に年収だけでなく、例えばワークライフバランスも考慮しつつ年収も考慮した転職を考えているという方にもおすすめです。

HUPROではAIによる転職診断だけではなく、多くの税理士や会計事務所スタッフの転職支援実績のある専門のエージェントにLINEやメール、電話で24時間相談ができるので、転職相談を重視したい方にもおすすめです。

AI等のテクノロジーと人間の良い部分を活かした転職サービスとして会計業界での実績は近年非常に高くなっており、評判も良いことから、この機会に一度利用してみてください。

年収の高いBig4税理士法人で経験を積みたいなら今はチャンス

いま現在、将来的に、双方の視点で年収をあげていくことを考えるなら、Big4税理士法人に勤務しておくことも悪くないでしょう。

20代であれば、大手税理士法人に勤務していたという事実が邪魔になることはありません。

当然どういったキャリアを実現したいのか、そこにもかかわるので絶対的にBig4税理士法人に勤務した方がいいわけではありません。

ただ、今なら転職がしやすいという背景もあるので、興味のある方はチャレンジしてもいいでしょう。

Big4税理士法人は今なら転職しやすい?Big4税理士法人への転職についてのページで詳しく記載しております。

ご参考ください。

ここでは税理士の活躍フィールドや状況による年収事例を紹介させていただきましたが、税理士としてどのようなところへ転職できるのか、どのようなキャリアが歩めるのか、年収も含めて気になる方は以下の記事もご参考ください。

人気記事税理士が転職して活躍できるフィールドは?税理士の転職先と転職事情を考える

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樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
公認会計士・税理士・経理などの士業・管理部門の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズで勤務し、転職エージェントや会計専門メディアの事業の立ち上げを経験。その後、株式会社インテグラルベース(厚生労働省特定募集情報等提供事業者51-募-000806)を創業。現在は転職・採用・人事に係わるコンサルティングや求人サイトの運営を行っています。 士業JOBでは、これまで培った人脈と10年弱に及ぶ転職や採用に関する業務経験・実績を活かして転職に役立つ情報の配信を行っている他、多数の人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。また、行政書士として事務所を開設しており、自身も士業として活動しております。 執筆者・監修者・編集者情報へ