税理士がFASへ転職する場合は事前の情報収集を大切に

税理士のfasへの転職

税理士法人で数年業務経験を積む中でFAS業務に興味を持つ税理士の方も少ないながら一定数いらっしゃいます。

一定規模以上の税理士法人の場合、M&Aに関連した業務を行うケースも多く、それを契機にFAS領域に興味を持ち、転職を実現させる税理士の方もいます。

税理士法人でM&Aに関与するケースとしてはほぼ税務に関する部分のみであり、具体的には税務DDがほぼ全てであるため、この領域で税務以外も含めてもっと幅を広げていきたいと考えFASへの転職を希望されるケースがあります。

特に将来独立を考えているケースではFASでの経験は非常に役立つものが多いため転職して活躍していくことができれば有用な経験になることは間違いないと思います。
ただ一方で、税理士がメインで活躍するフィールドでは無いことから、転職のハードルの高さ、転職後の業務に関するギャップなど各種注意点等もあるため、しっかり情報収集の上転職されることをおすすめします。

その辺りの理由や背景を見ていきましょう。

税理士がFASへ転職するのはハードルが高い

税理士がFASへ転職することは可能ですが、結構ハードルは高く難しいです。

特性上基本的に会計士の業務経験の方が親和性が高く、戦力性が高いので、会計士と税理士を比較すると会計士の方が採用されやすいというのが現実です(一般的な税理士と会計士の比較であれば)。

税理士の場合、強みが組織再編税制、法人税務などの「税務」に関する部分だけというケースが大半であり、M&Aに係わる「会計」に関する論点に弱点を抱えている人もいるので、そのあたりの強みの部分と弱みの部分のバランスが重要となってきますが、財務会計回りの知見が大きく弱いケースが多いことから、採用難度は高くなっています。

このあたりの採用要件に係わる部分は転職市況に関連する部分でもあり、例えばコロナ禍前の転職市況であれば経験が浅くても(税務中心でも)比較的転職が可能だった時期があるのですが、コロナ禍及びその後の不安定時期に入るとややハードルが上がり、一定以上の経験が無いと門前払いというケースも増え、その時々で変わる部分も多いので、最新の情報を転職エージェントから仕入れて転職可能性を探っておく必要もあります。

つまり、一定の経験が不足することが多い税理士がFASへ転職しようと思うとタイミングも重要になってくるということです。

仮に現時点ではハードルが上がっていて転職が難しくても、時期によっては税務中心の経験でも可能といった形で緩くなるかケースもあり、微妙な部分も多いので、エージェントに登録し、準備しておく必要があります。
※ちなみに税務を中心に行いたいということであれば税務特化ポジションへの転職で可能なケースも多いでしょう。

そして、こうした採用されるのが厳しい転職においては複数のエージェント利用を検討した方がよく、各社で懇意にしているファームが違ったりするので細かい情報での差異や応募に関する最新の情報が違ったりすることもあり、例えばAエージェントではこのぐらいの要件無いと無理と言われたがBエージェントでは問題無い行けるということで応募して内定まで行けたという事例も多いので、複数登録しその確率を上げておくのが良いです。

単純に各ファームの違いを知りたいということであれば税理士とFAS業界に詳しいエージェントのどこかに相談しておけばしっかりとした情報がもらえます。

FASといっても大手から独立系中小まで幅広いため何がやりたいか次第で転職先が変わることに注意

なんとなくBig4FASへの転職に興味を持つ税理士もいるのですが、Big4などの大手FASがあなたにマッチするとは限らないので注意が必要です。

幅広く業務経験したいと思って転職するケースにおいては業務が細かく分かれている分業体制のBig4などの大手FASは向かない可能性も高いです。

一方で中小FASや新興のコンサルファームなどでFAS領域の募集を行うケースも多く、こうした場合は一気通貫で各種領域に携わるのでいろいろ経験することができたりします。

ただ、案件の質・規模などが不安定などのケースも有り、あなた自身がどういった経験をしたいのかによってどのファームが適しているのか異なるため、各ファームの違いをしっかり事前に知っておくことが重要です。

税理士がFASへ転職した際の良い点

FASで経験を積むことは大きなメリットもあります。

年収が高い傾向

基本的には一般的な税理士法人よりFASの方が年収が高い傾向にあり、年収が上がる方が多いため、その点はメリットと言えるかもしれません。

ただ、Big4税理士法人からの転職の場合はこの限りでは無く、下がる可能性もあります。

とはいえ、転職後に実績を積み、一定度以上の能力・評価を有するようになれば基本的にはコンサルティングファームの方が年収は高いです。

独立時の差別化

FAS業務ができる税理士というのはあんまりいませんので独立時に大きな差別化要素として役立ちます。

特に昨今はM&A需要が非常に高く、大規模案件だけでなく小規模案件も多く、うまくニーズを拾っていけば独立後も高い報酬が得られます。

転職においてもキャリアの幅は広がると思われる

人材紹介会社に勤務していた際に、FASにいる税理士のその後の転職事例をほとんど見たことがないので一概に確実にこうだと言えませんが、普通に考えてFAS経験者を欲する事業会社は当然多く、また、当然コンサル業界でも会計業界でも欲しいというところが多いので、選択肢は広がると言っても良いと言えるでしょう。

ただ、広がりますが、そっちの方向に行くと一般的な税理士とはキャリアのベクトルが変わってくるのでそこは理解しておいた方が良いかもしれません。

キャリア的な視点でもしっかり事前に情報を仕入れておく

先ほど記載した通り、FASといっても様々でどのファームでどのような経験ができるのか異なり、また、それによってその先のキャリアの選択肢も変わってきます。

会計士の事例になりますが、FASへ転職したのに財務DDしかほぼやっていないといった人もおり、果たしてそれが元々やりたかったことなのだろうか?となってしまうケースも多くあります。

抱えるクライアントの規模感・業種も異なり、それらに合わせて仕事の進め方も大きく異なりますので、それらを理解した上で入社する必要もあります。

税理士であろうと会計士であろうとFASへ転職する際には同じことが言え、何が目的でFASへ転職したいのか整理しておく必要があります。

また、あなたが知らないキャリア・可能性というものが存在している可能性もありますので、そのあたりの情報も知っておくことが重要です。

どういった経験値が評価されるのか知り棚卸しておく必要がある

大半の税理士が応募書類(履歴書・職務経歴書)を作成すると税務に関する業務経験しか書かれていないものが仕上がります。

選考時点で必要なスキルはファームにもよるため一概に言えませんが、一般的な税務顧問業務よりもスポットでもいいのでコンサル業務経験があった方が評価が高まる傾向にあるので、小さなことでも構わないので税務スキルアピールだけでなく、こうしたコンサル経験も入れた方が良いケースがあります。

この何が評価されるのかというところがファームごとに異なるものの、業界研究をしっかり行っておけば応募書類作成において何に力を入れてアピールすべきかは予測できるので、業界情報を知っておくことも選考通過においては重要であり、且つ面接時も同様と言えます。

また、この業界動向・情報を仕入れるのにエージェント利用はうってつけで楽ですのでおすすめです。

応募書類の作り込みを甘く見ない方が良い

税理士事務所の転職活動は実はかなり楽です。

税理士資格があって業務経験があれば正直応募書類はそんなに作り込んでいなくても書類選考で落ちるケースは少ないです。

FASなどコンサルへの転職においては、書類選考で門前払いされるケースも多いため、しっかり作る必要があります。あなたのこれまでの経験や魅力がしっかり伝わる書類になっているか、転職の理由から意気込み、将来どうなっていきたいのかまで含めた像が伝わる書類か、また、合わせて面接まで考慮した書類作成をしておくことを念頭に置くと良いでしょう。

内心的には意欲もやる気も高く、努力しているものの、それが書類にしっかりアウトプットできていないというケースは多く、また、他の応募者はしっかり作り込んでくる傾向にあるので、比較した際に負けないように最低限盛り込む必要がある事項について記載し、逆に不要な記載が多く冗長にならないように気を配ることも必要です。

面接準備も

面接が苦手な税理士は多く、税理士事務所以外の選考ですとこの面接で落ちる人も多いです。

先ほどの書類の部分と合わせて苦手な場合はエージェントなどを頼っておきましょう。

税理士がFASへ転職するなら年齢にも注意

税理士としての業務経験しかないのであれば、現実的には20代から30代前半ぐらいまでには転職したいと言えるでしょう。

もちろん年齢制限があるわけではないので、過去の経験などによっては30代中盤以降でも転職は可能ですが、一般的な税理士が有する経験値から考えると、入社してから新たに覚えなければならないことの方が圧倒的に多いため、若さやポテンシャルが評価される年齢のうちに転職しておきたいところです。

なお、あくまで大手税理士法人などの一定以上規模のクライアントを持つ税理士法人に勤務していたケースを想定しており、例えば町の税理士事務所などで個人の税務を行っていたようなケースですと仮に年齢が若くてもかなり厳しいと言わざるを得ないかと思いますので、そういったこれまでの業務経験都の親和性ともかかわってくる部分でもございますので、心配な方は今すぐの転職を考えているわけでは無かったとしても転職のプロ等に相談しておくと良いでしょう。

FASへの転職において情報収集するのに良い転職エージェントは?

税理士」が「FAS」へ転職するということを念頭に置いた際は、FAS業界に詳しいことと税理士のキャリアに詳しいことの2点が最も重要となります。

この2つに定評があるのがレックスアドバイザーズであり、加えて、業界老舗のMS-Japanの2社でしょう。

両社とも税理士の転職支援実績が豊富なのは恐らくほとんどの方がご存じだと思いますが、会計士転職にもかなり強く、FASへの転職実績が豊富なので、各FASの違いから内情、キャリアの違い、クライアントの違い、FASから先のキャリアに至るまであらゆる事例を持っているので、最低限どちらかは登録しておいた方が良いです。

また、FASも含めたコンサルへの転職という点において、例えばAエージェント経由では要件に合致せず応募できなかったがBエージェント経由では応募ができ内定まで行けたといった形で、エージェントごとにどのファームと特に親密性があるかが異なり、それにより提案レベルでの応募可否が異なったりするケースもあるため、確率を上げるために複数登録しておくことで応募漏れがなくなります。

また、Big4FASなどの有名どころを希望するケースではそれほど問題ないのですが、少数精鋭のファームを希望されるケースにおいては、求人を持っているエージェントがバラバラですべてを網羅しているケースが少ないので、そうした希望がある場合は猶の事2,3社登録しておくことをおすすめしています。

とりあえず最低限上記2社チェックしてみてください。

なお、税理士向け転職エージェントは以下で細かくご案内しているので利用を考えている方は参照ください。

税理士の転職サイト・エージェントを紹介!

FASへ転職したその後のキャリアも情報取得しておく

税理士でFASに興味があるというケースは少ないので、こうした希望をお持ちの場合、キャリアの目標も明確な場合が多いかもしれませんが、もしなんとなくFASに興味があるというレベルであればその後のキャリアにどういった選択肢があるのかも知っておいた方が良いです。

まず、先ほど記載した通り、FAS業界にもいろいろあるので業界内での転職が可能となり、更に別途領域の知見を深めるための転職も可能となります。

また、FASから事業会社への転職を目指すケースも多くあり、FASでは税務だけでなく財務面から経営戦略に携わるわけなので財務・経理で活躍することも可能であり、企業によってはFA業務を内製チームで行っているところもあり、その経験を高く評価してくれる企業も多いです。
加えて税務がわかるとなると結構需要高い可能性があります。

その他稀なケースですが投資銀行等の金融領域への転職も可能であり、20代後半から30代前半くらいまでであればFAS経験があればこうした領域の転職も可能です。

もちろん独立して会計事務所を開業する際のアイテムとしても有効です。

ただ、一つ言えるのは、税理士としてのキャリアではない方向性のものも多いので、なんでFASに行きたいのかをしっかり整理し、そこにマッチしたファームにいけるように動いてください。後々後悔する可能性も0ではないためです。

FASに関することだけでなくあらゆる面から情報を取得しておきましょう

税理士がFASへの転職を実現するのは難しかったりするので、転職を成功させるという意味で税理士に強い転職エージェントに相談しておくとともに、その後のキャリアについても分岐がかなり多いので、キャリア形成の視点で失敗しないためにも合わせてキャリア事例なんかを聞いておくと良いです。

なお、税理士ではなく会計士のFASへの転職について記載したページも参考になるかもしれませんので興味のある方は参考にしてください。

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樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
2014年4月から公認会計士・税理士の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズに勤務し会計士の職業紹介事業や会計専門メディアの立ち上げに携わる。2018年5月に独立し、株式会社インテグラルベースを創業、現在は採用人事に係わるコンサルティングなどを行っています。 士業JOBでは、公認会計士や税理士の人材紹介事業で培った経験や人脈なども活用し、転職に際して役立つ情報の配信を行っている他、多くの人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。 執筆者・監修者・編集者情報へ