会計事務所の選び方 転職に際して会計事務所選びで困っています

会計事務所は全国に3万数千事務所以上存在しており、全ての会計事務所の情報について把握している人はほとんど存在していません。

もっとも、3万数千もの会計事務所は存在しているのですが、その8割以上は個人で営んでいるようなところばかりですので、「転職」して「キャリア」を積んでいくことを考えると、実質的には全体の1割程度が転職先候補として検討可能な会計事務所となるかと思います。

ただ、それでも数千事務所は存在していることとなりますが、一般企業などと異なり、働く側の視点にたった情報公開(例えば採用ページ等)というのは各会計事務所は積極的に行っておらず、ご存知の通り、会計業界はブラックボックスといっても過言ではないというくらい情報の取りにくい業界です。

一部の大手の会計事務所は求職者向けに情報発信を行っていますが、中小会計事務所の多くは会計業界の就職専門媒体に採用を丸投げしていたり、ハローワークで募集しているだけなので、なかなか情報がとり難く、入社してみないと全くわからないという状況です。

求人票を見ると仕事内容には「申告、記帳、相談業務」としか書いていない求人先も多いため、そこから仕事のイメージが全くわきませんし、各事務所との違いも全くわからないというケースが非常に多くなっています。

そんな会計事務所業界ですが、ケースごとにわけて会計事務所に転職する際の選び方のポイントを見ていきたいと思います。

会計事務所といってもたくさんの種類がある

資産税に強い会計事務所、国際税務に強い会計事務所、飲食業に特化している事務所、SPCに特化している会計事務所など、このように何かしら特徴のある会計事務所はなんとなくでもイメージが沸きやすいかと思いますが、いわゆる中小企業向けの法人税務を行っているような普通の会計事務所の場合、各事務所で違いがあるのかどうかわかり難いかと思います。

まずは、そのような一般的な普通の会計事務所を転職先として選ぶ際のポイントを紹介したいと思います。
また、合わせて税理士試験勉強中の方は税理士試験勉強に理解のある会計事務所に勤務した方が良いので、そのあたりも説明します。

会計事務所のフィールド一覧は以下の記事でご案内しておりますので、合わせてこちらもご確認頂ければと思います。

税理士の転職先

一般的な中小規模の会計事務所へ転職する際の選び方

求人票を見ていてもどこの会計事務所も全く同じような仕事内容が記載されているので違いが判らず、比較検討のしようがないとお悩みの方も多いです。

多くの方が入所を検討するタイプの会計事務所について、あなたの置かれた状況や希望ごとに選び方を見ていきましょう。

クライアント業種や規模などを基準にして会計事務所を選ぶ

税務相談、税務申告、記帳代行など単語だけを取ればどれも同じ内容の業務です。

しかし、扱っているクライアントの規模や業種などのタイプにより身につくものは変わってきます。

そして、それらのクライアントをどうやって獲得しているかという案件流入ルートも実務経験を得るうえでは重要な要素となります。

例えば銀行と仲が良くて銀行系からの案件ばかりこなしているというケースでは、売上が安定している一方で、いわゆるそういった特徴の業務が多くなります。また、所長の個人的なネットワークで入ってくる案件が多いケースでは業務が安定しなかったりスポット業務が多くなったりします。

どういったクライアントを抱えていてどういった案件ルートがあるのかというところから業務内容やキャリアがイメージできますので、この辺は可能な限り確認しておきましょう。

面接の場でも教えてくれますし、ご自身でチェックするのが大変なケースもありますので、そうした場合はエージェント等も活用してみてください。

年収や給与面から会計事務所を選ぶ際のポイント

会計事務所は残念なことに比較的給与が低いところが多いです。

特に税理士科目合格者の方や勉強中の方、経験の浅い方はこの傾向にあります。

勤続年数が増えるにつれ年収が上がっていく傾向にはありますが、所長自身が事務所の規模を大きくしていくことを考えていない場合は永遠に年収が上がらないケースもあるので注意が必要です。

事務所の売上が増えなければ所員の給与が増えることはないので、このような事務所に入所してしまうと、いつまでたっても年収はあがりません。

また、スキルアップも望めないでしょう。

そのため、待遇面を気にするケースでは所長がどういう考えで事務所を運営しているのか、という視点が重要となります。

知名度はそれほどないけど、給与相場が比較的高い会計事務所もありますし、規模は小さく給与はそこそこだけど、家族的な雰囲気でとても働きやすいという事務所もあります。

規模のみならず、どのような価値観で会計事務所を運営しているかという視点も重要なので、応募予定境の所長先生の特徴もおさえておくとよいでしょう。

会計事務所の先生はSNS(フェイスブック等)をやっている傾向にあるので、こうしたものを活用して情報収集をしても良いですし、会計事務所に詳しいエージェント等を頼ってもいいでしょう。

ただ、最も確実なのは面接の場でしっかり経営方針などを確認することが重要です。

必ず面接中に質問をさせてもらう機会があるので、今後の会計事務所の展望を聞かせて欲しいと質問してみましょう。具体的に拡大志向なのか現状維持なのかがわかるような質問がよろしいかと思います。

また、合わせて昇給等も含めた給与体系に関する事項も確認する必要があります。お金のことは聞きにくいと思いますし質問の仕方を間違うと悪印象になるので注意が必要ですので、具体的な金額に関する事項では無く、昇給のタイミングや成果を上げればきちんとお給料を上げてもらえる環境にあるのか確認した方が良いです。

どうしても自分でこうしたことが出来ないという人は転職エージェントなどを頼るのが吉です。代わりにやってくれます。

税理士試験勉強中の方が税理士試験に理解のある会計事務所を転職先として選ぶには

税理士試験勉強中の方は税理士試験に理解のある事務所で働きたいとお考えでしょう。

実際に試験前には試験休暇をくれる事務所もありますし、資格取得のための専門学校のお金も補助してくれるところもあります。

税理士試験は10年以上も勉強を続けている人がいることからわかるように、働きながらのケースだと勉強に集中できず合格がどんどん遅れてしまう方も一定数いるのです。

そのため、税理士試験勉強と両立という視点で見ると、税理士試験受験生が働いている会計事務所を選ぶと良いでしょう。

こうした事務所では、税理士試験勉強中の方を応援しているような記載が求人票にありますので、そうした記載があるかどうかしっかり確認してください。
例えば、税理士試験勉強中・受験生応援事務所、として露出しているケースが大半です。

一緒に働く仲間が同じ税理士試験受験生だとモチベーションにも繋がります。

なお、一部の大手の税理士法人等では試験休みを1カ月近くとれるところも存在しており、資格取得を重要視するのであればこうしたところに転職すると良いでしょう。

自身でそうした求人を探す時間がないという方や面倒な方は転職エージェントの活用も視野に入れるといいでしょう。

また、そうした事務所は応募が多くなる傾向にあるので、表立って採用募集をしないケースもあるので、エージェント経由でしか求人が見つけられないケースも多いので、人材ドラフト等の求人媒体だけでなく、エージェントサービスも登録しておくようにしてください。

昨今は税理士試験勉強中の方の転職支援ですとHUPROの実績が高くなっており、AI等のテクノロジーとエージェント担当者さんによる人の両輪で良い求人をスピーディーに提案してくれます。
求人数がかなり多いので選択肢も豊富です。

基本的に会計事務所は採用活動を転職エージェント等に丸投げする傾向にあるため、会計事務所の転職に強いエージェントに登録することでこうした求人を紹介してもらうことができます。

転職エージェントに興味のある方は以下の記事も参考にしてください。

税理士の転職サイト・エージェントを紹介!

スキルアップの視点での会計事務所の選び方

資格をとっただけでは仕事はできません。

実際に税理士有資格者じゃなくてもいいから実務経験者が欲しいという会計事務所も多いので、税理士試験に合格することと同じぐらいに経験を積むことはとても重要です。

どの業界でも実務経験やスキルが一番重要なのです。

そのため、ある程度スキルアップにつながる実務経験がつめる会計事務所へと転職しないと意味がありません。

未だに親方日の丸的な考えの会計事務所も多く、「教育」なんてこれっぽっちも考えていない会計事務所は多いです。

また、単に補佐的なポジションで人を採用したいだけの会計事務所も多く、そういうところに転職してしまうとただの書類整理や入力業務しかできず、給料も上がらないしスキルも上がらないしという事態になることもあります。

なので、しっかり教育体制がしかれている会計事務所や育てていく風土のある会計事務所に転職することをおすすめします。

こうした成長できる会計事務所の特徴としては定期的に勉強会を開催していたりします。

人数の少ない会計事務所では、先輩、もしくは所長先生自ら業務を教えてくれるところもあります。

これから先、顧問先としっかりコミュニケーションを取り提案していける人材ならないと生き残っていけないので、ちゃんとスキルアップできる会計事務所に転職するようにしてください。

勉強中の方は、勉強時間も確保できて実務経験もつめて、スキルアップもできる会計事務所もちゃんとありますので、そうした先を選ぶようにしてください。

サービスラインから会計事務所の特性を予測し選ぶ

顧問料が安いということを推しだしている会計事務所もあれば、単価は高く記帳業務等はほとんどやらないコンサル的なことをメインに打ち出している事務所など様々ありますね。

上記はあくまで一例ですが、サービスラインからどういった働き方になりそうか、あるいはどういったキャリアが身につきそうかは想像がつくかと思います。

顧問料が安いことを売りにしているところは、記帳代行などを請け負い数をこなすタイプの会計事務所が多いので、高度な税務等は身につきませんが、業務効率化やIT化などのスキルが身につくので、将来独立を目指すケースではおすすめなこともあります。
ただ、このタイプの事務所にはブラック会計事務所も多いので注意は必要ですが。

一方で、高度な税務サービスを提供して単価を高くとるケースでは、コンサル要素が強くなり、実務(記帳や申告等)は少なくなる傾向にあります。

どちらが良いということはありませんが、どうなりたいかなどにより選び方が変わってくるということです。

基本的には面接時に確認するしかないケースも多い

選び方のポイントに関していくつか紹介しましたが、日々働きながら情報収集をするのは困難ですし、個人では手に入れられないケースも多いです。

そのため、個人的には基本的には面接の場で確認するようにしています。

必ず質問はありますか?の時間があるので、中小事務所への転職の際には以下のような質問はするようにしています。

  • どういったクライアントが多いのか?
  • どうやってクライアントを獲得しているのか?
  • 一人何件ぐらい担当しているのか
  • 税理士試験勉強中の方の働き方について

とりあえずこの辺りは確認するようにしています。

なお、残業時間含む労働時間などは必須事項なので昨今は求人票に必ず書いてあると思うので、求人票を見ればわかるかと思います。

そうした中で、現在は多くの企業・事務所で、労働時間の適正(残業時間を少なくする取り組みをしていて効果があがっている)といったことを記載していることがほとんどです。
ただ、気になるケースでは、例えば「なぜ残業時間を少なくすることができたのか?」といった背景を確認するような質問をするとよいです。
この他にも直接その事項を質問するのではなく、背景をそれとなく確認するような質問をすることで、角をたてずに確認することが可能です。

また、上記のように面接の場で確認するのが苦手という方もいますので、そのような場合は転職サービスを利用しましょう。

会計事務所に強いエージェントサービスというとMS-Japanレックスアドバイザーズが有名で実績も高いのですが、最近では先ほど記載したHUPROも実績が増えており、AI(アルゴリズム)等を活用した求人サーチなどのサービスがある他、登録すると、各会計事務所を詳細に取材した情報が見られるので、事前にいろいろ見たいケースではかなりおすすめです。

前者がハイクラスよりでキャリア相談重視なのにたいし、後者は税理士資格者から簿記2級レベルまで広く対応し転職条件に合致する求人を探すのに向いたサービスとなっており、両社ともタイプが違うので両方活用しておけば情報で困ることはないかなと思います。

専門特化型会計事務所の選び方と注意点

専門特化型の会計事務所といえば、例えば資産税特化型の会計事務所がありますね。
資産税に関する業務をやっていることは想像できるかと思います。

ただ、資産税特化型の事務所の中でもそれぞれごとにやっている業務内容は異なったりするので、どういった税理士になりたいのかの将来像に合わせて求人先を選択する必要があります。

資産税でも一定以下の金額の申告をひたすらこなすのが得意な会計事務所もあれば、コンサル要素が強い(不動産会社紹介したり等)ところもあったり、個人なのか法人も絡むのか、富裕層なのか一般曹なのかなど様々な要素を見て転職先を決める必要があります。

総合的に行っているところもありますが、特化している中でさらに特徴があるケースもあるので、このあたりは気を付けておきましょう。

また、特化型故に一般的な税務申告業務が出来なくなっちゃったという人もいるのでリスクとメリットを理解した上で転職しましょう。

会計業界で転職するにあたって

会計事務所業界で転職をする場合、人材ドラフト(求人広告)を使うか、会計事務所の転職に詳しいエージェントに頼るかのどちらかが選択肢として多い気がします。

会計事務所業界に長くいる方は、各事務所の特徴を押さえていたり、面接時の雰囲気でなんとなくこの事務所は良いのかどうか、判断することもできると思いますので、ドラフト等の求人広告サイトの活用でも大丈夫でしょう。

しかし、経験が浅かったり、それほど会計業界の転職マーケットに詳しくないという方は、一度は転職エージェントから情報を仕入れておいた方が良いと思います。
特に税理士試験勉強中でなかなか勉強時間が確保できないとお悩みの方は、なおさら転職エージェントを活用すると良いでしょう。

必ず税理士試験勉強中の方に理解のある事務所に転職できるとは限りませんが、
それなりに教育や育成、勉強に対するサポートをしてくれる事務所というのは存在しています。

日々の業務と勉強で忙しいとは思いますが、是非一度情報収集してみることをおすすめします。

また、情報収集や会計事務所選びに際して、一般的な転職エージェントではなく、先ほど紹介したAIを活用した転職サービスを活用してみるのも良いかと思います。
HUPROでは、独自開発のAIと専任のエージェントが希望にピッタリマッチする会計事務所の求人をスピーディーに提案してくれます。

残業時間や有休消化率、休日日数等のデータもふまえた解析を行っているので、ワークライフバランスも取りつつキャリアも大事にしていきたいとお考えの方や、税理士試験勉強時間が確保できる環境へ転職したいけどどのような会計事務所を選べばいいのかわからないといった方にはとても良いでしょう。
転職にかかる手間が大きく削減出来て、少ない負担でマッチする会計事務所が見つかります。

単にAIによるマッチングをやっているだけではなく、専任のエージェントにLineや電話、メール等でいつでも相談することができるので、安心して転職活動を行うことができます。

後はしっかり転職相談もしたいというケースでは、やはり安定的に実績が高い老舗のエージェント利用はおすすめです。

検討してみてください。

会計事務所の選び方は自身のなりたい像とリンクする

転職・就職に際しての会計事務所の選び方は、あなたの現在置かれている状況や将来どうなりたいかで大きく変わってきます。

税理士試験とキャリア構築を両立できるところで働きたいんだ、将来〇〇をやりたいから〇〇が経験できるところへ、人間関係が悪いから良いところへ、待遇改善が一番の目的、、、など様々な要素がありますが、まずはあなた自身の中の転職目的を明確にする必要があります。

なんとなくでもいいので、あなたの中で希望みたいなものはイメージしておきましょう。

それらに合わせてどのように会計事務所を選んでいくかという方法論を具体的に当てはめていくことになりますが、やはり求人票やWebサイトからだけでは判断ができませんので、基本的には面接の場で確認する事項が多くなってしまいます。

ただ、どうしても面接でこうした駆け引きや質問が苦手という方も多いので、そういう場合は会計事務所・税理士に強い転職エージェントから情報取得するのが良いです。

エージェントに相談すればあなたの希望・志向性も一緒に整理しながら会計事務所選びを行ってくれるので、参考になると思います。

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樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
公認会計士・税理士・経理などの士業・管理部門の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズで勤務し、転職エージェントや会計専門メディアの事業の立ち上げを経験。その後、株式会社インテグラルベース(厚生労働省特定募集情報等提供事業者51-募-000806)を創業。現在は転職・採用・人事に係わるコンサルティングや求人サイトの運営を行っています。 士業JOBでは、これまで培った人脈と10年弱に及ぶ転職や採用に関する業務経験・実績を活かして転職に役立つ情報の配信を行っている他、多数の人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。また、行政書士として事務所を開設しており、自身も士業として活動しております。 執筆者・監修者・編集者情報へ