会計事務所に勤めている人の中には、1年以内や2年程度と比較的短期間で転職してしまう傾向がある人も多いようです。
一体なぜなのでしょうか?
その理由や会計事務所業界での転職において早期退職とならないようなポイントについて見ていくと共に、1年程度の短期での転職が問題無いかどうかを見ていきます。
目次
会計事務所から1年で転職する人はどんな理由で転職している?
資格まで取得してやっと入社した会計事務所でも、1年ほど頑張ってみても職場ムードに合わないと感じる人も多いようです。
会計事務所の多くは従業員が10名以内など小さな組織ですので、人間関係で悩むことも多いです。
では、具体的にどんな理由で転職したくなるのでしょうか。その理由の具体例を挙げて紹介します。
入所した事務所の給料が極端に低いブラック会計事務所だった
別の業界からの転職を決意した人の中には、初期に入所した会計事務所がブラックであったというケースも少なくないようです。
最初は給料が安くても税理士試験の勉強のためと我慢しがちのようですが、1年くらい経つと我慢も限度を超えてくることが多いです。
当然未経験なので給料が安いことは覚悟の上で入所しており、常識的な範囲で安い分には我慢できると言う人も多いのですが、会計事務所の中には残業手当を支給しなかったり、未だに保険関係が整備されていない、きつい嫌な仕事を押し付ける体質の事務所も残念ながらあります。
先進的な事務所がある一方で、基本的には古い体質の業界なので、残念なところも結構多くあります。
もし別業界から会計事務所へ転職するなら情報収集をしっかりして会計事務所選びを行う必要があります。
※別業界からに限らず、会計業界の中で転職するケースでも情報収集は大事です。ホントに事務所ごとで全然待遇や雰囲気が違いますので。
試験勉強を支援してくれる環境がなく税理士試験との両立が難しい
会計事務所で働いている人は、税理士試験の勉強をしながら働いている人が多いです。
しかし、税理士試験は片手間で勉強して受かるような容易な試験ではありません。
職場に試験勉強に対する理解や支援するシステムがないと合格は極めて困難です。
その両立が困難で転職を決意することも多いようです。
会計事務所によっては、試験勉強を支援してくれる事務所もあります。試験勉強のための休暇制度や資格スクールへの通学支援をしてくれる事務所もあるのです。
雑用をやらされるばかりで決算やレベルの高い税務の仕事ができない
会計事務所は規模が小さく少人数のことが多いです。そのため、細々とした雑用的な事務処理業務を行う人材が不足しているケースが多いです。
その結果、雑用ばかりやらされて本来経験しておくべき業務が経験できない、あるいは自分の業務に集中できないという人も多いようです。
そんな事務所に長年勤めていると、大きな会計事務所で働いている人と比べると実務経験に差が出てしまうことがあるのです。
もし、雑用が多いなら、規模の大きい会計事務所に転職することをお勧めします。会計事務所の場合、従業員20名以上であれば規模が大きいと言えるでしょう。
そうした事務所においては実際の実務経験に加えて、スキルアップにつながる研修システム等がしっかりしているケースも多いです。
1年ならまだしも2年、3年と数年でスキルに大きな差が生まれてしまいます。
社員教育がままならずいきなり決算業務などの高度な業務をふられる
会計事務所に入社したてだというのに、新入社員研修も実施してくれない会計事務所もあります。
教育もままならず右も左も分からない状態で、いきなり決算をふられることもあるのです。
そんな状態であると、常に不安を抱えたまま仕事をすることになってしまい、そのストレスに耐えきれなくなるかもしれません。
ワンマン経営の所長と働くのが辛い
会計事務所はワンマン経営の事務所が多いのが現状です。
また、会計事務所の規模によっては親族経営をしているところもあります。
ワンマン所長がいる会計事務所ではサービス残業を強いられることもあるようです。
また、所長と人間性が合わない場合は、顔を合わせるだけで苦痛に感じる人もいるのではないでしょうか。
こうしたブラック環境に耐えられないなどで短期離職となるケースではエージェント利用をすることで避けられるかと思いますが、会計事務所の内情や税理士のキャリアを知り尽くした転職エージェントを活用することでミスマッチを防ぎ、短期離職を防ぐことができるでしょう。
参考として、税理士資格者や税理士科目合格者(税理士試験勉強中の方など)であれば会計事務所業界に精通しているレックスアドバイザーズに相談することで早期離職を避ける転職が実現できる可能性が高いと考えられます。
1年で辞めちゃってもその後転職市場で不利にならない?
1年での転職を数度繰り返すと流石に不利になるケースもありますが、一度や二度なら大丈夫と考えられます。
実際に半年たらずで転職される経験をしている方は多いです。
面接の際は、なぜ短期離職になってしまったのかという正当な理由(前向きに)がしっかりと説明できれば大丈夫です。
税理士業界の場合スキルアップを目的として比較的短期で転職をされる方は多いですし、転職理由はいくらでも考えることができるので、そこまで心配する必要はありません。
ただ、だからといって無意味に転職を繰り返すことはおすすめしませんし、転職理由の整合性が取れなくなるので、無駄な転職は避けるようにしましょう。
税理士が1年で会計事務所から転職するとしても未経験者や経験が浅い人よりも有利?理由はこちら!
税理士業界は人の入れ替わりが激しい業界です。
良くも悪くもスキル志向の方が多いので、レベルアップをしていくためには転職が必須というケースも多いため、割と転職に対する理解はある業界と言えます。
また、該当する業務にすぐに対応してくれる即戦力を欲しがる事務所はやはり多いので、例え前職が1年での短期離職だったとしても当該業務に対するスキル・経験があるのであれば欲しいという事務所は結構多いです。
たとえ税理士業務経験が1年であったとしても未経験者と比較すると、即戦力となるので、結局のところ経験を有している方が有利です。
※1年以内の転職を何度も何度も繰り返していたらこの限りではありませんが。
特に、求められる人物像としては、確定申告・決算の時期に一定の業務を一度以上経験した人材です。
なので1年での短期離職になってしまったからといって転職できなくなるわけではありませんのでご安心ください。
会計事務所から1年で転職する際の転職先は5つ!
税理士は独立してある程度大きな事務所を構えれば、年収が1億円を超えることも夢ではなく、昔は結構独立する人が多かったのですが、昨今は昔と比べて独立者は減り雇われを望む方が増えています。
そういった中において税理士の転職先はどんなところがあるのでしょうか。具体的な事例を紹介します。
大手の会計事務所
現在の年齢とスキルにもよるところがありますが、これまでの会計事務所が小規模な事務所であった場合は、もう少し大きな会計事務所に転職するのも一つの手段です。
ある程度若ければ大手税理士法人などへの転職も現在の市況であれば可能です。
事業会社等と違い、理由がしっかりしていれば短期離職も比較的許容されるケースは大手でもあるので転職可能性としては十分考えられます。
ただし、例えばBig4税理士法人に行きたいというケースでは、英語力や最低限税理士試験に3科目程度は合格していることが求められます。
TOEICで例えると800点以上のスコアが必要なケースも多いです。ハードルはやや高いです。
その他の準大手ということで見ると、小規模会計事務所の場合は小規模企業の税務を取り扱うことが多いと思いますが、大手会計事務所の場合、大企業の税務を取り扱うため、仕事の進め方が異なります。なので一定の年齢以上に達する前にキャリアチェンジしておく必要があるでしょう。
なお、先ほど記載した英語力に関して、国内企業クライアントも多いのでBig4税理士法人とは異なり語学力は必須ではありません。ただ、あった方が有利です。
大手会計事務所の場合、サポート体制がしっかりしているケースも多いため、大手企業の業務経験が無かったとしてもじっくり経験を積んでいくことができるケースは多いのですが、求められるものが変わることは理解しておきましょう。
中堅の会計事務所
Big4を始めとする大手の会計事務所は英語力が必要であるケースが多くなりますが、英語力が不要であることが大半な中堅の会計事務所に転職するのも良いのではないでしょうか。
中堅の会計事務所では英語力よりも税理士としての即戦力を求めているため、税理士経験が1年程度でも実務経験があれば採用されやすい状態です。
中堅事務所は小さな個人経営の会計事務所よりも、給与がよく自分の裁量で仕事ができるというメリットがあります。
また、教育体制が整っているケースも最近は多いので、税理士試験勉強を頑張りつつ実務経験を積むのに適した会計事務所は結構多いです。
事務所にもよりますが、中堅の会計事務所は、大手会計事務所よりもプレッシャーが少なくマイペースで働けるケースがあるのも良いでしょう。
コンサルティングファーム
近年税理士がコンサルティングファームへ転職するケースも増えています。
ただし、会計事務所の社員と比較すると多忙で、激務になることが多いようです。
コンサルティングファームでの業務経験は先のキャリアに多く活かせるという点と高収入・やりがいを重視する人にオススメの転職先です。
一般企業の経理
一般企業に転職しても、小さな個人会計事務所と比較すると給与形態は良いです。
一般企業でも、税務申告や決算の実務経験がある人を募集しています。
企業によっては、税理士事務所や会計事務所に勤めていた人を採用したがる傾向にありますので、そうしたところをうまく見つけられれば転職は可能です。
ただし、会計業界よりも短期離職者を嫌う傾向にあるので、1年程度での転職に際する論理的な理由付けは必須と言えます。
専門学校講師
会計の知識を生かせる仕事として、専門学校の講師という選択肢もあります。
税理士や会計士を目指す学生は常に多いため、講師の職は安定してあります。
学校案件となるため、夏季休暇や冬季休暇がありプライベートタイムもしっかり確保できます。
専門学校の講師は激務とはならないため、年配の人にもおすすめです。
ただ、これはあくまで選択肢の一つぐらいに見ておきましょう。
次は失敗したくない!1年短期離職とならずに転職するには
確実に短期離職を避ける方法というのはありませんが、早期離職になってしまう大きな要因は単なる情報収集不足というケースが多いかと思います。
所長先生とのミスマッチ、待遇のミスマッチ、仕事内容のミスマッチなど理由は様々ですが、最低限のことを調べなかったことが大きな要因と言えそうです。
ただ、会計事務所業界って内情が見え難いという問題もあるなと個人的に思っています。
中小事務所だとどの事務所も同じに見えるという大きな問題も有ります。
どの会計事務所のサイトを見ても、記帳代行、税務申告、MAS監査、巡回監査、スポットで相続などの同じようなものが並んでいるだけで仕事内容(キャリア)という視点で違いがわかり難いです。
後は、中で働いている人の顔が見え難い、実態がつかみにくいという問題はあるでしょう。
特に求人媒体経由での応募ですと写真が掲載されているケースも多くありますが、写真はいくらでも良く見せかけることができるので注意は必要です。
そのため、情報収集して転職するならエージェントからも情報を取得した方が良いと思います。
最初の方にも紹介しましたが、税理士資格者であればレックスアドバイザーズが会計事務所業界という点では恐らくトップクラスに業界に詳しく、情報がしっかりしているので良いかと思います。転職相談と情報提供力に定評があり、サービスの質が良いのがポイントです。ただ、税理士資格や科目合格以上であることが求められる求人案内が多いですので人を選ぶ形にはなるでしょう。
そのため、最速転職HUPRO(ヒュープロ)の利用も検討しておくと良いでしょう。求人の幅が広い(税理士資格者から簿記2級レベルまで広い)ため多くの方にマッチします。
そして、1年程度の早期の離職の原因の多くが職場環境・労働環境・労働条件などの各種環境や条件が合わないことにより転職というものが多いですが、同社ではAIなどのテクノロジーの力も活用して素早くそうした各条件に合致した求人先が見つかるとともに、エージェント担当者などからも内情等についてしっかり情報収集することができ、こういった求人条件に着目するケースでの転職利用に適しています。税理士有資格者から簿記2級レベルの求人まで数多くの案件を取り扱い、人とテクノロジーを活かした転職支援でミスマッチを防いでくれます。
この2つ利用しておけばとりあえず求人の網羅とキャリアの側面での悩み、事務所内情チェックは問題無いかと思います。
しかし、だからといってエージェント利用したら絶対に早期退職が無いとは言い切れません。それでもエージェントを活用して情報収集することで失敗リスクは下げることができるでしょう。
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