未経験でも会計事務所に転職できるが苦労する

会計事務所は未経験でも転職できるが苦労する

会計・税務・経理などの関連業務未経験から会計事務所へ転職しキャリアを積んでいく方はかなり多いです。

会計事務所というと税理士資格が無いと就職・転職できないと思っている方も多いのですが、ご年齢によるところはあるものの簿記2級程度から受け入れ可とする会計事務所も多いので、チャレンジしたいと思っている方は早めに業界へ飛び込み業務経験を積んでいくのが良いです。

特に近年は会計事務所業界は人手不足が続いており、実務未経験の方を採用し、教育していくところも増えていることから、これから会計事務所業界へチャレンジしようと思っている方にとってはとても良い状況が続いています。

会計税務分野では、高卒であったとしても日商簿記検定2級に合格していたり、税理士試験科目合格を目指すなど自分の努力次第で将来への道を開いていくことが可能になるものです。

求人情報サイトなどを参照して未経験者でも就業が可能な会計事務所を見つけた場合には、問い合わせを行なうのが良いかと思いますが、ここではそういった未経験の方が会計事務所業界へ転職することについて見ていきたいと思います。

※なお、本ページにおいて、例えば事業会社で経理経験のある方や銀行などでの業務経験を有する方などの関連領域の業務経験を有する方は会計事務所未経験であったとしても、経験者として見ています。関連領域における業務経験を欲する会計事務所は多いこと、十分に実務に活かせるからです。未経験者とは元営業マンとか元販売職員など全く関係ない職種からの転職を想定しています。

未経験者が会計事務所に採用されるためのポイントはこの3つ!

未経験の方が会計事務所に採用されるには、コツを掴んだ転職活動を進めることが重要です。

以下に、未経験者の方が会計事務所に採用されやすくなる転職活動のポイントを記載します。

年齢が若いうちに転職する(できれば20代、遅くとも30代前半)

未経験者の方を雇う会計事務所側は、ある程度の教育期間を設けることを前提に採用を行なうものです。

実務で通用するようになるまではそれなりな時間が掛かってしまうものですし、そもそも税理士試験に合格するまでに一定度の時間を要するため仕方がない部分もあります。

なんの経験もない若手を採用する理由としては税理士業界を目指す若者が大きく減少していることがあげられ、次代を担う人材が不足している要因もありますので、現在の若手はむしろチャンスの時期とも言えます。

勘定科目の仕訳から教えていくような会計業務に関する実務経験が皆無に近い方であっても、年齢的に若く将来に亘って自社で働く気持ちを感じることができるのであれば、採用する会計事務所の担当者も前向きな姿勢で採用活動を進めていくものです。

高卒で社会人経験が無いような方であっても、将来に亘って会計分野で働いていきたいと強く願うのであれば、自分のやる気を正直に面接時に話すことで会計事務所の採用担当者へ気持ちは通じていくものです。

会計や税務分野での就業に興味があるのであれば経験が無いことを気にするのではなく、積極的に会計事務で行われている求人募集へ応募していくのが良いでしょう。

若い頃であれば実務が未経験であったとしても、知識とやる気があれば会計事務所側も採用に積極的になっていくものです。

会計業務での就業を考えるのであれば、若い頃(20代)に転職活動を進めることが大切です。

最低簿記2級、可能なら税理士試験科目を1科目以上取得しておく

会計に関する実務経験が無い方の場合には、会計・税務に関する一定の知識や興味があることを証明することが必要になります。

自分が会計・税務に関する知識を保有していることを証明するには、簿記検定や税理士の科目試験を受けることが有効です。

多くの方が受験する簿記会計に関する知識を証明する試験である簿記検定には、レベルに応じた試験(1級、2級、3級など)が提供されています。

実務が全く未経験の場合には、簿記会計に関する入門レベルである簿記3級だけではなく、工業簿記の知識についても問われる簿記2級までの取得を済ませておくほうが良いでしょう。

簿記2級までを取得しておけば、会計事務所で就業することになっても基礎的な知識を保有していることになりますので、事務所の先輩のOJTを受けながら実務を進めることが可能になっていきます。

高校や大学などで学んだことが無い方であったとしても、簿記2級程度であれば数か月で合格することができますので、最低限簿記レベルの知識は身につけておきましょう。

会計分野での就業を続け、将来的には税理士事務所を開業したいなどの理由により大手の会計事務所への就業を検討するのであれば、簿記検定だけではなく税理士試験の科目合格まで目指すほうが良いでしょう。

税理士試験における試験科目である簿記論・財務諸表論の科目試験に合格しておけば、一定規模の会計事務所への転職も行えるようになります。

転職活動の前に自分なりに会計知識の学習を行なうことを検討するのであれば、簿記検定だけではなく税理士試験の必須科目でもある簿記論や財務諸表論までの学習を心がけましょう。

ただ、先ほど記載した通り、若いうちでないとポテンシャルによる転職は難しくなってきますので、現在のご年齢なども考慮して動くようにしてください。

20代後半ともなってくると早く業界に入って業務経験を積みつつ税理士試験勉強を始めた方が良いケースも多いためです。

気持ち

精神論はあまり好きではありませんが、何もできない未経験者がアピールできる材料としてはやる気などの気持ちの部分も重要です。

会計事務所で働くという事は基本的に専門職としてキャリアを積んでいくことになるのですが、性質上非常に責任の重い仕事であり、専門知識を有する業務のため苦労するのは間違いなく、また、税理士試験を突破していくにあたっては生半可な気持ちで臨んでもらってもすぐに諦めて辞めてしまう可能性も考えられるため、覚悟みたいなものを感じないケースでは採用したくないと思われるケースも多々あるかと思います。

そのため軽い気持ちでは無いこと、また、当該領域に対する業務への興味関心が高いこと、その理由などいろいろと事前準備はしておいた方が良いでしょう。

なお、全ての会計事務所で税理士資格者が求められているわけではありませんが、税理士にならなくてもいいといった方針の会計事務所へ転職すると、会計税務のプロフェッショナルとは違ったキャリアパスになり、思っていたのと違うといったことにもなりかねないので注意は必要です。

未経験で会計事務所へ転職することは可能だが一定期間苦労することを覚悟する

入所する年齢にもよるのですが、基本的に簿記2級レベルで未経験から会計事務所への転職(関連業務経験なし)というケースでは収入面において非常に苦労する可能性があります。

また、同時に税理士試験の勉強もしなければならないので、時間という意味でも苦労を要するでしょう。

収入面ではどのような会計事務所で働くかという側面次第ということもありますが、場合によっては年収300万円に満たないケースも多々あります。

ただ、何もできない状態で好待遇を望んだところで雇い入れしてくれる事務所は見つからない可能性もあるので、当初の数年はなんとか耐えて業務経験・スキルを身に着ける必要があります。

注意事項としては耐える価値の無い会計事務所へ就業してしまう(雑用しか経験出来ない等)と時間の無駄になってしまうので、会計事務所選びが重要となります。

あなたがなぜ会計事務所へ転職したいのかの目的・動機を整理し、それに少しでも近づける可能性のある会計事務所を選びましょう。

最低限のポイントとしては、求人票で仕事内容を確認しつつ税理士試験勉強中の方のキャリアを考えてくれるような記述があるかどうかをまずチェックしましょう。

会計事務所によっては自分(所長)のアシスタントとして安い給料でどうでもいい仕事だけを処理してくれる人が欲しいという事で採用をかけているケースもあり、そういった事務所ではたいした経験が積めないので注意が必要です。

研修やOJTを通じて税理士(補助者)としての業務の経験が少しでも体験でき、実務経験として意味のあるものが得られるところを選ぶようにしつつ、税理士試験勉強時間確保ができる事務所を選びましょう。

後は面接時に所長先生の人柄をチェックし、気が合いそうかどうかをしっかり判断してください。特に小規模会計事務所の場合は所長との相性がすべてを決定づけるので最も重要な要素となります。

実際に転職活動を進めてみると20代であれば歓迎してくれる会計事務所は多いので受け入れ先は見つかるかと思います。

30代以降は苦戦するかと思いますが、ハローワーク等も活用して求人を粘り強く探しましょう。

20代で未経験者が会計事務所に転職するなら転職エージェント利用はおすすめだが30代以上は求人紹介が少なくなる

最低ラインとして日商簿記2級は合格していることが前提となりますが、20代中盤ぐらいまでであれば転職エージェントを頼っても求人の紹介は受けられるかと思います。

というのも若手(20代)が欲しいという会計事務所は多く、冒頭で記載した通り高齢化が著しい業界なので20代若手を取り入れていく必要があると感じている事務所は多く、育てていく方針を取っているところもあるからです。

いってみれば20代ということだけで希少価値がある状態なので、転職エージェントなどに採用依頼をかけるケースも多くあり、また、エージェントに相談することで会計事務所業界についての知識が得られたり、どういった事務所で働くとマッチするか提案が受けられるので、エージェント利用も良いでしょう。

20代であればヒュープロ(HUPRO)では税理士資格者だけでなく簿記2級レベルの方の転職支援も豊富で求人も多く持ち合わせています。

税理士に強い転職エージェントの場合、簿記2級レベルの未経験者の求人を保有していないケースも多いのですが、同社においては20代未経験者向けの求人も一定度以上持ち合わせているため、まず初めに頼ってみるのに良いでしょう。

30代未経験で会計事務所へ転職したいならハローワークへ相談も

一方で30代を超えてくると未経験で税理士向けエージェントに登録してもご案内できる求人が無いといったようなことをやんわり言われる可能性が増えてきます。
ハッキリ言ってくれないので期待してしまう方も多いのですが、結構厳しいケースが多いです。
転職活動で苦労する可能性が高まります。

エージェントに登録した際に今はご案内できる求人が無いが紹介できる求人が入り次第連絡させていただきます、と言われたきり一向に連絡が無いという経験をしたことがあるという人もいるのですが、基本的にどのエージェントもそう多く30代以上の未経験者求人を有しているわけではありません。

それもそのはずで、コストをかけてまで一定水準より高い年齢の未経験人材を採用したいという会計事務所は少なくなっていくので、エージェントに求人依頼をかけるところが少ないからです。

これは会計事務所に限らずどの業界でも同じかと思います。

なので30代を超えてくるケースではハローワークを有効活用するのが良いです。

ハローワークだと逆にこのゾーンの募集が結構あります。というのも無料で採用募集できるので、未経験者枠などはこっちで募集しているケースがあります。

人がすぐやめるからという理由で採用をしているブラック会計事務所求人も多く、必ずしもポジティブな採用ばかりではないので注意は必要なのですが、経験を得るという意味では良い事務所も多くあり、単に地味だったり立地が悪かったりするケースで20代が行きたがらない会計事務所があり、そういうところは採用に困っているケースもあるので、30代未経験者の受け入れしてくれて勉強に理解を示してくれるケースもあります。

ただ、上記で記載した通り30代からすると年収300万円などは給与面はかなり安いと言わざるを得ないので苦労するかもしれません。なので、転職当初は苦しい思いをするかと想定されます。でも、実務経験を得るために耐えることで道が開けてきます。

こうした実務経験が積める会計事務所への転職においてはハローワークで求人をサーチし面接に行き、面接の場でいろいろと見極めて良さそうな事務所を選んでいきましょう。

もともと会計事務所はハローワークによる採用文化がきちんとあるので、結構求人は多くあります。

苦労して経験を積み税理士資格を取得すれば逆転も可能

税理士資格を有しただけでなんとかなるわけではありません。資格だけで食える時代はだいぶ昔に終わっていると思います。

ただ、実務経験を積み、実力さえ身につけば学歴など関係なく活躍できる業界です。独立も可能です。

20代若手が少ない業界なので経験が浅くても若いうちであればしっかり教えてくれる年配の良い先生はあらわれるものです。

諦めずに縁を信じて転職活動を行いましょう。

未経験が会計事務所に採用されるためのポイントを押さえて転職エージェントを活用しよう!

未経験の方が会計事務所への転職を考える際には、若い頃に進めることが大切です。

実務経験が無くても経理・会計に関する資格を取得していたり、会計業務に関する高いやりがいを持っているのであれば、会計事務所の採用担当者も前向きに採用を進めるものです。

状況にもよるのですが、当初は待遇面で苦労するかと思いますが、まずは実務経験を積んでください。経験があればキャリアアップ転職が可能です。

転職エージェントの利用も一定度おすすめなので、それらについて詳しく知りたい方は以下記事もご参考ください。
※ただし基本的にどこも経験者であることが前提となっているので、完全なる未経験者は当ページを参考にしていただいた方が良いかもしれません。

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樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
公認会計士・税理士・経理などの士業・管理部門の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズで勤務し、転職エージェントや会計専門メディアの事業の立ち上げを経験。その後、株式会社インテグラルベース(厚生労働省特定募集情報等提供事業者51-募-000806)を創業。現在は転職・採用・人事に係わるコンサルティングや求人サイトの運営を行っています。 士業JOBでは、これまで培った人脈と10年弱に及ぶ転職や採用に関する業務経験・実績を活かして転職に役立つ情報の配信を行っている他、多数の人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。また、行政書士として事務所を開設しており、自身も士業として活動しております。 執筆者・監修者・編集者情報へ