法務部門には、文系出身者ばかりでなく理系出身者もおり、その理系出身者が重宝されている現実があります。
この記事では、法務部門に理系出身者が必要とされる理由や転職するメリット、キャリアプランについて解説していきます。
目次
理系出身者の法務部門への転職需要が高い理由は?
法務部門の主な業務は、契約に関する対応(契約交渉や契約書の作成・チェックなど)、商標や特許などの知的財産権に関する対応、社内規定の作成やとりまとめ、法令調査などがあげられます。
これらの業務をこなすために必要なのは必ずしも法律の知識だけではなく、理系の知識も必要となってきます。
契約や商標、特許などを取り扱う上では図面や技術的な内容の理解が必要になることが多く、これが理系出身者の法務部門への転職需要が高い理由となっています。
例えば、競合他社に知的財産権の侵害がなされていないかをチェックするといったケースでは、自社と競合他社の製品や特許における技術的な内容と自社の製品や特許の優位性はどこにあるのかを理解する必要があります。
ここで技術的な内容の理解に長けている理系出身者が重宝されることになります。
理系人材が企業法務に就職するメリットは何?
理系人材が企業法務に就職するメリットは、より企業価値を高めるような結果に導くことが可能である点です。
例えば、法律に詳しい文系出身者と組んで契約締結に向けて対応するならば、より自社に有利な契約を結ぶことができます。
法律の理解に加え、自社の技術的優位性を理解し契約締結に向けて業務を推進できるからです。
また、自社の知的財産を守るという観点でも、技術的優位性を理解することは必須です。
自社の知的財産権を守りつつ、簡単にまねのできない特許を申請するといった場合にも技術的な内容を深く理解できる理系人材は必要とされます。
さらに、法務部門に就職した理系人材は、業務を通して法律にも詳しくなっていきます。そのため、より技術的な内容を理解でき、かつ法律にも詳しいというキャリアが築かれることになります。
法律面・技術面の双方に詳しく、さらには自社の製品や技術を理解しているという人材は希少ですので雇用側の企業からも評価されることになります。
受け入れた企業側の法務部門の文系出身者も、理系人材から技術的な知識を多く学ぶこともできます。
このように企業の法務部門に就職した理系人材は、自身の強みを生かして仕事をすることが可能であり、さらに企業側にも多くのメリットをもたらすことができます。
理系出身者が法務へ転職するために必要なことは?
理系出身者が法務へ転職するために重要なことは、まず自分が持っている技術的な知識やスキルを正しく把握するということです。
そして、この技術的な知識やスキルが、転職先として考えている企業の商品やサービス・研究開発にどのように生かすことができるかを考えてみます。
理系と一口に言っても、その専門分野は様々です。
機械工学が専門の人もいれば、化学が専門の人もいます。ヒューズなどの電気系統部品に詳しい人がいれば、発酵食品に詳しい人もいるでしょう。
転職先の企業で、自分が持っている技術的な知識やスキルが商品やサービス・研究開発を理解するうえで役に立った時、初めて文系出身者にはないメリットがある存在としてアピールすることが可能となります。
生産もしくは販売している商品やサービス・研究開発に、自分が持っている技術的な知識やスキル生かすことができる企業を転職先として選ぶことが大切です。
また、転職先として考えている企業の調査・研究も大切です。
給与や業務内容、勤務地、休暇取得状況といった一般的な内容に加え、その企業の業界でのステータスや企業理念・ポリシーを必ず確認しましょう。
その企業の業界でのステータスや企業理念・ポリシーを理解することは、転職の際の知識として必要となるだけでなく、法務部門で働くうえでも重要となってきます。
商品や研究開発、サービスの特徴とステータスや企業理念・ポリシーがどのように結びついているのかといった点まで掘り下げて企業研究を行うとより効果的です。
弁理士は理系出身者が強みを活かせる!?
弁理士とは、企業や発明家が新しく生み出した技術やアイディアを特許・実用新案・商標・意匠といった知的財産権として出願するための申請書類作成・調査を行う専門家です。
特許などを出願するためには、まず同じものがすでに出願されていないか調査することが必要です。
このためには、技術やアイディアの内容を理解していなければなりません。
さらに申請書類作成のためには、新しく生み出された技術やアイディアの詳細な内容を理解し、新規性があるのはどのような点かを的確な文章で記述する必要があります。
申請内容には技術やアイディアの詳細を記載しつつも、簡単にまねのできないような工夫を凝らすことも重要です。
法律的にも類似の技術やアイディアを出願されてしまうことがないよう、逃げ道のない記載内容とすることも欠かせません。
このため、弁理士の業務では、法律的な知識と技術的な内容を理解できる知識の双方が求められます。
技術的な内容を理解するためには理系出身者が有利です。
また、法律的な知識の習得に関しても、体系的な学問である法律を理解するには論理的思考のできる理系出身者は向いていると言われています。
弁理士は取得するのが非常に難しいといわれる国家資格ですが、技術的な内容を理解できる素養をもっており、かつ論理的思考回路の理系出身者は文系出身者よりも向いていると考えることもできます。
理系出身者が法務部門へ転職するためには転職エージェントを活用しよう!
自分が持っている技術的な知識やスキルを正しく把握することが重要だということを先に述べましたが、自分の特徴を正しくとらえるということはなかなか難しいものです。
そこで、自分が持っている技術的な知識やスキルを客観的にみて、それらが生かせる企業を紹介してくれる転職エージェントを活用するのがおすすめです。
転職エージェントは、求人企業が求めている人材をきめ細かく把握しており、さらに求人企業の業界内でのステータスや企業理念・ポリシーといったことについてもより多くの情報をもっています。
このため、希望に合った求人企業や自分の知識やスキルを活かせる求人企業が見つかりやすくなり、転職の成功率が高まります。
法務の転職に強い転職エージェントの紹介
「理系出身の方向けの法務」に特化している転職エージェントというわけではありませんが、法務全般の転職におすすめの転職エージェントを紹介させていただきますので、是非ご参考にしてください。
・doda※大手の転職エージェントということもあり、理系出身者を必要とする製造メーカーやグローバル企業の法務向けの求人も多数そろえています。法務の転職実績も豊富なため転職をお考えであればとても良いでしょう。
・リクルートエージェント
※総合型の転職エージェントで求人数は10万件以上。
グローバル企業への転職にも強いため、幅広い求人の中から法務としての転職先を探すのにもってこいでしょう。
転職実績も豊富なため、過去の面接の傾向等のお話も聞けるため、転職活動のための対策にも良いです。
・MS-Japan
※管理部門への転職実績がトップクラスの転職エージェントです。
一般的な法務の転職はもちろん弁護士や弁理士の方が企業の法務部門へ転職するのにもってこいです。
士業としてプロフェッショナルに働いている方はもちろん、一般的に法務として働いている方にもおすすめの転職エージェントとなります。
・JACリクルートメント
法務に特化しているわけではありませんが、外資系やグローバル企業への転職をお考えであれば必ず利用しておくべき転職エージェントです。
担当してくれるコンサルタント自身のレベルも非常に高いので、ハイレベルの転職・グローバルの転職においてはとても頼りになります。
・ビズリーチ
テレビCM等でもお馴染みですが、ハイクラスの転職をするうえでは外せない転職サービスです。
法務といっても様々なポジションがありますが、企業の要職に近いポジションや上位のポジションへと転職したいのであれば登録しスカウトを待ってみましょう。あなたのスキル次第というところもありますが、良いキャリアを歩んでいれば良いスカウトが受けられます。
・LEAGL JOB BOARD
※法律系士業や法務の転職に特化している転職サービスです。
一般の法務の転職はもちろん弁理士が企業の知財部門や法務へ転職するケース、弁護士が企業へ転職するケースにおいてとても強く、法務を始めとして特に士業の方が転職するケースで利用すると良いでしょう。
・弁護士ドットコムキャリア(法務職)
※弁護士事務所・法律事務所の転職のイメージがありますが、企業の法務への転職にも強いため、特に弁護士資格者が転職するケースにおいてはとても有用と考えられます。
なお、弁護士資格者は弁護士ドットコムキャリア(弁護士)をご覧ください。
転職エージェントに関する情報を細かくお探しの方は管理部門(人事・労務・法務)におすすめの転職エージェントに関するページをご参照くださいませ。
理系出身者の法務部門への転職需要は高い!理系出身という強みを活かそう!
企業の法務部門では技術的な知識が必要とされることも多く、理系人材は重宝さる傾向にあります。
理系人材が法務部門への転職を成功させるには、自分が持っている技術的な知識やスキルを活かすことのできる企業の選択が重要です。
このためには、客観的な目線での企業紹介や情報提供を行ってくれる転職エージェントを活用するのがおすすめです。