公認会計士の転職を支援する会社が増えているのは何故?会計士が会計士を転職支援するケースも

最近やたらと会計士向けの転職サービスが増えているなと感じております。
また、本ブログのように会計士の転職やキャリアについて紹介するページも増えています。

なんで会計士の転職が注目されているのか少し見ていきたいと思います。

転職ビジネスを考えた際に公認会計士は全国に3万数千人しかいないので市場としては小さいが、、、

一昔前は公認会計士の転職支援を行っている会社なんてそんなに多くありませんでした。
それもそのはずで、人数少ないですからやっても儲からない、と考えられていたからです。

ただ、2013年か2014年ころの売り手市場に入ってからはマイナビ会計士等の大手の人材会社が会計士の転職サービスに乗り出したりしています。

そうしたことの背景を考えるにあたり、まず初めに簡単に人材ビジネスについて見てみましょう。

転職ビジネスにおける売上構造はものすごく単純です。

転職会社の売上構造

売上=【転職者の人数】×【転職者の年収】×【手数料割合(35%以上)】
※人材紹介事業をモデルとした場合です。求人広告と呼ばれる広告事業ではありません。

という計算式になります。

例えば年収500万円の人を一人転職させたら、だいたい175万円の売上になります。
大きな売上です。

公認会計士の場合で考えると、年収800万円以上の方も多いので仮に手数料が35%だったとしても280万円ほどの売り上げになります。

そのため会計士の人数そのものは少ないのですが、一人当たりの売上単価は他の職種に比べると倍近くにもなります。

公認会計士の人数は少ないが平均年収は高いので1人成功あたりの売上は高くなる。

会計士の転職者数は増えているもののそれでも少ない方。しかし転職会社の売上・利益率はすごく良い

監査法人から事業会社やコンサルへと転職される方が増えているので、会計士そのものの転職者数は増えているのは間違いありません。

ただ、それでもやはり人数は少ないです。

会計士の転職市場を考えた際に、3万人のうちの仮に10%(一般的な離職率で考えています)の方が転職したと考えると、だいたい年間3千人の方は少なくとも転職すると考えられます。

次にちょっと古い資料になりますが厚生労働省の入職経路に関する分析を見ると、転職者の総数のだいたい3.4%が民営の職業紹介を活用して転職している計算になります。

ただこれは全職種合計なので会計士外の方も含まれています。
この数値を会計士の場合に変更するのですが、会計士が転職を考える場合、転職者の3割以上は少なく見積もっても職業紹介経由であると考えられているため、

3千人×30%=900人

くらいは毎年職業紹介サービスを利用して転職している計算となります。
※2014年~2019年現在にかけてとなります。
※ここでは市場規模がわかればいいので凡その数値を計算して出しています。

1年間で正直たった900人(仮の数値です)だったとしたら、参入する意味あるのか、と思ってしまいますが、市場規模で見ると、

900人×280万円=25億

の市場規模くらいあると考えることができます。
結構大きいですね。

これらは転職する会計士の年収がだいたい800万円で紹介手数料が35%であると考えてのことですが、最近は紹介手数料が40%、50%ということも珍しくなく、凄いケースだと100%近いものもあります。

これは会計士以外の例えばエンジニア領域でも同じようなことは起きており、一般的に市場価値が高いと判断される職種についてはこうした傾向があります。

いずれにせよ人数が少なくても一人当たりの売上は激しいのです。

一般転職の場合、転職者は何百万人という単位になりますが、年収が300万円台ということもめずらしくないうえに、手数料も20%とか30%というものも多いです。
そのうえ転職支援に係る手間は結構大きいです。
※まともでない方も多かったり、面接を無断でバックレたりと結構そういうケースも多いです。

そのため、人数は多く売り上げはあがりますが、かかる手間と一人当たりの売上単価を考えると現場は疲弊します。

その点公認会計士は、企業側から会計士が欲しい、と積極的に求められている点と会計士自身が比較的まともで転職支援をする手間も実はあまりかからないのです。

それを考えると、会計士の転職市場というのは実はかなりおいしいので、ビジネス視点で見た際に、結構穴場だったりするのです。

そのため、ワラワラと会計士の転職支援をサービスラインに加える人材会社が増えてきたという実態もあります。
※もちろん儲かるからという理由だけでなく使命感を持ってどこの企業様もやっておりますが、ビジネスを作ることを考えた際は儲けのことを考えないといけないので、そのあたりの事情を説明しているわけです。

ちなみに会計士の転職というとMS-Japanが有名ですが、上場しているので決算資料が細かく見れます。

利益率の構造等見てみると面白いし儲かるんだなということがわかるかと思います。
※ただしコロナ禍では落ち込んでいます。

会計士が会計士の転職を支援する会社が増えているのはなんでか?

最近公認会計士が設立した人材会社等も多くなってきました。
まだまだ有名どころと言うとPCPさんぐらいでしょうけど、結構多いです。

なんで増えたのかということを簡単に見て見たいと思います。
なお、あくまで予想になり、断定するわけではありません。

会計士の可能性を信じている、盛り上げたいという思いで転職支援

会計士の場合、真面目な方も多く、少しでも会計業界が盛り上がればという思いをもって活動されている方も多いです。

会計士が持っているスキルや経験は他の場でも活かせることを積極的にアピールし、若い方への啓蒙活動を行い会計士そのものの人数を増やす活動や監査法人にいてキャリアに悩んでいる人のために少しでも役に立てばと考えていたりします。

また、会計士のポテンシャルを信じている方もおり、もっと積極的に動けば大きなことができるということも知ってもらいたいという想いから活動されている方もいらっしゃいます。

自身の経験からもっとこうすれば良くなる、という想いから始めている方も多い傾向にあります。

会計士同士の繋がりがあるから転職者を確保しやすく尚且つ儲かる

上記のように強い想いを持ちつつも、やはりビジネスとして成り立たないとやっていくことはできません。

会計士が会計士の転職支援を行う最大のメリットは、転職希望者である公認会計士の人材確保が比較的容易であることが挙げられます。

一般の転職エージェントの場合、転職を希望する会計士を確保するのに苦戦します。

上記までで説明したように、仮に年間900人しか転職しないとなると、転職者希望者を集めるのも大変です。

こうした点で行くと、会計士が会計士の転職支援を行う場合、少なからず知り合い経由で転職したいという方を紹介してもらったりと人脈を通じて転職希望者を仕入することが出来ます。

そして、単価が高いので大量に仕入れをする必要はなく、1人決まると280万円(最近は手数料40%とか普通ですので300万とか400万くらい売り上がります)売り上がるので、年間で数人紹介するだけでビジネスが成り立つのです。

これは、普通の人がやると難しくて、会計士と何の縁も無い方が転職ビジネスをやり始めても、恐らく転職希望者は集められないと思います。
それに転職相談をしようにも会計士の仕事や業務都合等に対する理解が無いと正直転職支援をすることはできません。

そのため、会計士の方が転職支援をやるということには意義があり、実はとてもおすすめのスモールビジネスとなります。

難点としては、会計士に相談したくない、という人も実は結構多いので、そういう人たちを取りこんでいくことは難しいです。

後は、意外と会計士目線での話が多くなり、客観的に市場をとらえたアドバイスが出来ない人もいますので、転職することを考えている人は、注意も必要です。
第三者の客観的な意見の方が役にたつケースも多いです。

特にキャリアの幅が狭い会計士の方が転職支援を行っているケースにおいては、有益な話がきけないケースも多いので気をつけましょう。

様々な経験をしている会計士資格者に話を聞くのが一番です。

結局は一番儲かるからという理由

ネット上で検索しても出てこないで本当に個人でやっている会計士の方もいらっしゃるのですが、なんだかんだ儲かるからやっていると言っている人もいます。

実際のところ転職者が集まる仕組みさえ構築できてしまえば本当に儲かる市場なので、それ故いろんな企業がどんどん参入してきているという背景があります。

そしてそうした企業が会計士は転職した方が良いと啓蒙しているということもあり、一時期事業会社に転職する会計士は増えたように思います。

その後、事業会社から結局出戻る会計士も増えましたけど。

会計事務所や税理士はどうなのか?

ちなみに、似たようなところで税理士の転職市場もありますが、こちらも参入は増えていますが、そこまでではありません。

会計事務所は意外と小粒でマニアックな事務所も多いので参入障壁が実は高いです。

あと、未だに閉鎖的な業界なので、人材ビジネスで売上をあげようと思うと、会計事務所の求人ラインアップを取り揃えることにまずは苦戦します。
あとハローワークフル活用の事務所も多いですし、求人を紹介する側もブラック会計事務所を紹介しないように選定するのが知識が無いと難しかったりします。

そのため、ちょっと手は出すのですが諦める企業もそれなりに多くあります。

会計業界特有の狭さや繋がりの怖さ、閉鎖感を理解していないと始めにくいです。
逆にいうと一回入り込みさえすれば楽です。

後は会計士と違って求人広告サイトの利用が割と多い業界なのもあるでしょう。

税理士が税理士の転職を支援するケースを考えて見ると、実はあまり多くなくて、ビジネスをやりたい税理士がそもそも少ないです。
最近は独立志向も減少傾向で、サラリーマンとして税務やりたいという人が多いということもあります。

会計士はビジネス視点が好きな人が多いので、同じ士業でも結構人柄に違いはあるなと感じています。

会計士の転職市場はビジネスとして見たときに有りなので転職会社が増えている

細かく書くと迷惑がかかるので数値などもザックリ記載しましたが、なんとなく会計士の転職市場は儲かるということが伝わったでしょうか?

私もいろんな職種の転職に関わってきましたが、利益率という点で見ると会計士の転職はトップクラスです。

会計業界の最大の弱点として、情報発信力がとても弱く、自分たちで採用の仕組みを作っていくということが出来ないところが多いという点があげられます。

それと同時に、会計士自身がキャリアに悩む傾向にあり、相談したい需要が高いので、人材会社としてはかなり良い環境で仕事ができる業界なのです。

そのため、一人ひとり丁寧にじっくり転職相談も行ってくれますし、業界知識も豊富な方が多いです。

儲かるって書くと悪いイメージを持つ方もいますが、儲かるから質の良いサービスが提供できるので転職したい会計士にとってはかなり良いことだと思います。

他の職種の転職エージェントに比べるとかなり丁寧に対応してくれるところがほとんどだと思いますよ。

最後にもし転職に興味のある会計士の方がいらっしゃれば、下記の記事などをご参考ください。

会計士の転職サポートの手厚さは業界トップクラス!<広告>

マイナビ会計士の転職サポートの手厚さは業界でもトップクラスです。

徹底した面接・職務経歴書対策が受けられるので、転職活動に不安を感じている方でも安心することができます。
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樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
公認会計士・税理士・経理などの士業・管理部門の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズで勤務し、転職エージェントや会計専門メディアの事業の立ち上げを経験。その後、株式会社インテグラルベース(厚生労働省特定募集情報等提供事業者51-募-000806)を創業。現在は転職・採用・人事に係わるコンサルティングや求人サイトの運営を行っています。 士業JOBでは、これまで培った人脈と10年弱に及ぶ転職や採用に関する業務経験・実績を活かして転職に役立つ情報の配信を行っている他、多数の人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。また、行政書士として事務所を開設しており、自身も士業として活動しております。 執筆者・監修者・編集者情報へ