税理士・税理士科目合格者の転職失敗事例 会計事務所への転職での注意点

スキルアップやワークライフバランス、税理士試験勉強時間の確保を実現するため、職場環境を変えようと転職したものの転職した先の会計事務所の方が劣悪だったというケースは意外と多いものです。

税理士や税理士科目合格者に限らず、どのような職種においても転職で絶対に失敗しない方法というものは残念ながらありません。

しかし、いくつかのポイントを押さえておくことで、転職失敗のリスクを軽減することは可能です。

ここでは税理士の転職失敗事例を見つつ、転職成功に向けてのポイントを解説していきます。

会計事務所の転職で後悔するよくある失敗パターンのページに更に詳しい情報を載せております。合わせてそちらのページもご覧ください。

税理士試験勉強の時間を確保するために転職したもののキャリア形成という点で失敗してしまうケース

昨今、労働環境という点においてはどの会計事務所も力を入れ始めており、働きやすい会計事務所は増えています。

また、税理士を目指す若者が減ってきたという背景もあり、税理士資格取得に理解のある会計事務所も増えています。

そのため、税理士試験の勉強時間を確保するための転職や試験勉強に理解のある事務所への転職ということであれば、転職エージェント等に相談すれば、どこかしらあなたに合う会計事務所の求人は紹介してくれるでしょう。

税理士試験勉強ができる環境への転職という点においては、失敗は少なくなってきています。

ただ、注意していただきたいのが、年齢の側面や資格の有無も重要ではありますが、それ以上に実務経験が重要視されるという点には気をつけてください。

まだ20代の若手ということであればそれほど心配する必要はないかもしれませんが、30代前後や中盤あたりになってくると、業務経験の方がむしろ重要な要素となってきます。

そのため、資格勉強を重要視するあまり、たいした業務経験が積めない会計事務所や企業へと転職してしまうと、後々詰みます。

資格の勉強をしつつも、どのようなキャリアを積んでいきたいのか、どのような税理士を目指したいのか、そこを意識して逆算して転職先を選ぶようにしてください。

もちろん現在の転職市況は売り手市場なので30代でもそれほど経験がなくても転職は可能ですが、税理士科目合格者の中には、気がついたら30代後半、40代になってしまい、たいした実務経験がないのですが転職できますか?という相談のケースも非常に多いです。

もちろん今の市況であれば転職はできるのですが、希望通りということにはなり難く、結果的に税理士試験に受かっても低年収のまま働かなくてはならないというケースもあるため、勉強で忙しいとは思いますが、キャリア形成にまで目を向けて転職先を選ぶと良いでしょう。

税理士試験勉強ばかりに目を向けず、キャリアについても考える時間をとると良いです。
こうしたケースでは転職エージェント等に相談すると、様々な税理士のキャリア形成の事例を持っているため、参考となる意見が聞けるでしょう。

残業は少ないと聞いていたのに実際はかなり多かったという例

最近は減りましたが、以前は残業を含めた労働時間に関する転職失敗は非常に多くありました。

繁忙期の残業見込み時間が大幅に違うといった問題に加えて、例えば、実は土曜日の出勤があった、代休取れると思ってたのに取れないなど求人票に書かれている事項と実態でズレが生じる事務所は結構多くありました。

昨今は多くの事務所でこうした問題は解消されていますが、それでも思っていたよりも忙しい、ということで転職後にギャップを感じて早期退職となってしまうケースというのはそれなりにあります。

そのため、求人票・あるいは面接時でもいいのですが、具体的に1人あたり何件のクライアントを担当して、どの程度まで自身で手を動かして業務を行うのかしっかり確認しておくことが重要です。

この辺りあいまいにしている求人が未だに多いので(明確化できないケースもありますが)、可能な限りでよいのでしっかり確認しましょう。

また、残業時間についても、昨今は求人票に平均残業時間などを記載するルールとなっているので恐らく表記があるかと思いますが、それも計測の仕方が事務所ごとで異なるので、どういった基準の残業時間なのか確認しておいた方が良いです。
全社員の平均残業時間なのか、あるいはあなたの同じ業務を担当する部門の残業時間なのか、確認しましょう。というのも管理部門やパートさんは残業が無いけど、別の部門のスタッフは月に40時間残業しているというケースも多いからです。

労働時間を気にする方(ワークライフバランス含め)はしっかり確認しておかないと後々公開するのでチェックしましょう。

なお、こうした事項はエージェントに相談すればだいたいのことは教えてもらえて、問題は解消するので、自分で出来な人はエージェントを頼ることも検討しましょう。

ワークライフバランス転職を検討している税理士の方は以下もご参考ください。

ワークライフバランスがとれる税理士法人・会計事務所へ転職

所長との相性が合わないケースでの転職失敗

一部の大手税理士法人を除いてほとんどの会計事務所は従業員数名~30名未満と小規模なところが大半です。
そうした背景もあり、所長のキャラクターが事務所内の雰囲気に大きく影響することから、所長と合わないと長く勤務するのが難しいです。

また、所長のみならず、少人数の組織において所内での人間関係が悪くなると居場所がなくなり、居心地が悪く転職せざるを得ないというケースもあります。

そのため、このケースにおいては、転職時の面接時に雰囲気を感じ取る必要があります。

小規模・中規模の会計事務所では所長が必ず面接を行うところがほとんどですので、所長との相性という点では面接時にある程度把握ができるものと思います。

会計事務所の所長というのは一般社会の常識とかけ離れた感性をお持ちの方も多く、なかなか人が定着しないところも多いです。
所長の非常識さに飽きれてすぐ人が辞めてしまうケースも少なくありませんので、ハズレを引かないように気をつけましょう。

後は、事務所の雰囲気という点においては、面接時に実際に仕事をしている所内を見せてもらえるか確認しておくのも一つの手です。
全ての事務所で執務スペースを見学させてくれるわけではありませんが、可能なケースも多いので、極力見ておきましょう。

執務を行う部屋にパッと入った時に感じる雰囲気や空気感等は非常に重要なので、あなた自身の感覚を頼りに確認を行ってください。

なお、現時点で勤めている会計事務所の雰囲気や所長と合わず、力が発揮できてなくて悩んでいるという方は、転職を視野に入れても良いでしょう。

職場環境が変わることで、大きく改善されるケースも多いですし、自身に合った事務所へ転職することであなたが正当に評価されるケースも多いです。

なお、こうしたケースも含めて転職失敗を避けるには事前の情報収集が重要ですが、そうした場合MS-Japanを利用するようにしましょう。

税理士のキャリアに精通しているのはもちろんですが、各会計事務所の内情だけでなく、所長先生の人柄まで含めてしっかり情報収集できているので、こうしたミスマッチが起こり難い傾向です。

また、HUPRO(ヒュープロ)という媒体とエージェント機能が合わさったようなサービスもおすすめで、登録すると会計事務所の雰囲気とか各種細かいデータがサイト上で見られるようになる他、転職診断等の各種コンテンツがあるので、そうした機能を活用することで良い事務所がサッと見つかります。
エージェントを利用したけどただ求人送り付けてくるだけで役に立たないといった感想を抱く方も少なくありませんし、ドラフトみたいな求人媒体だと転職先を探すのが大変で求人が見つけられないという悩みを抱える方が多いので、そういった方はこちらを利用すると良いでしょう。

スキルアップができない・思っていた業務と違うというケースでの転職失敗

例えばBig4等の大手税理士法人に勤務されている方の場合、業務が分業化されていることから横断的に全工程に関われる環境で仕事がしたいと転職されるケースがあります。
しかし、転職した先でも結局ある業務の一部しか任せてもらえないといった状況に陥り、また転職活動をしなければならないということもあります。

その他、法人を中心に資産税にも関われる会計事務所に転職したいということで転職される税理士の方もいらっしゃるのですが、
いざ転職してみたら資産税の案件はほとんどなく、事実上法人業務しかできなかったというケースもあります。

こうした業務内容や経験できる業務が思っていたのと違うというものは、事前に情報収集しておけば防げることが大半です。
ただ、求人広告等の求人票を見ても、実際のところどうなのかというのは正直わかり難く、先ほどの資産税の例でも、
たまたま1件やっただけなのに、スポットで資産税にも関われます等と記載していまうところも実際あります。

そのため、会計事務所業界での転職をされるケースにおいては転職エージェントを活用することで失敗のリスクは下がります。
彼らもすべての会計事務所について詳しく知っているわけではないのですが、
多くの税理士・税理士科目合格者の方からの転職相談を受けることで、
どこの事務所でどのような問題が起こり転職に至っているのかよく把握しています。

各員が抱える悩み毎に最適な会計事務所を割り出すことができるので、転職失敗のリスクを下げることができます。

もちろん税理士・会計事務所に強い転職エージェントを活用すれば絶対に失敗しないのかというとそんなこともありません。

担当エージェントのレベルが低い(経験が浅いなど)と、あなたの悩みの本質を理解することができず、少し外れた転職先を紹介してしまうケースも残念ながらあります。
そうしたレベルの低いエージェントにあたってしまったケースにおいては、担当者を変えてもらうという方法も取れます。
実際に私も担当の方と相性が合わず、変更してもらったケースがありました。

税理士の方は真面目な方が多く、そうした行為は迷惑がかかるのではないかと考える方もいるようですが、あなたの人生を左右する大きな決断をする場面でもありますので、気を使いすぎず、担当を変えてほしいと伝えてみるのも良いでしょう。もちろん本人に伝えるのは拙いかと思いますので、サポートセンター等に問い合わせてみると良いです。

また、最近は転職エージェントサービスにAIを取り入れることでよりミスマッチの少ない提案を可能としている転職サービスも増えてきています。先ほど紹介したHUPRO(ヒュープロ)ではAI等のテクノロジーと人の両方の良い部分を上手に活かした転職支援をしてくれるので、転職失敗のリスクを大きく軽減することができます。

税理士などの士業事務所領域においてもAI化が進んできておりますが、転職においても活用が進んでおり、近年非常に有用ということで実績が高まっていることから紹介させていただきました。
転職失敗はぜひとも避けて頂きたいと思っています。

基本的に2社ほどエージェントや転職サービスを活用することで、転職失敗のリスクを下げることができます。

また、近年は一般企業へ転職する税理士も増加傾向のため、
一般企業に興味のある方は以下もご覧いただければと思います。

税理士が転職失敗を避けるなら事前の情報収集が重要

キャリア的な視点と働く環境といった視点から税理士が転職失敗する例を見てきましたが、どちらにしても事前の情報収集が成否を分けます。

ただ、税理士業界は情報が取りづらいため、各事務所に精通しているプロフェッショナルから情報を取得されることをおすすめします。

税理士の転職という点ではMS-Japanが求人の量や情報の量、精度の視点から一つおすすめできるので、検討してみてください。業界に詳しい担当者もちゃんといるので、参考になる話が聞けます。

なお、転職エージェントを比較検討したい等あれば以下もご参考ください。

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最速転職HUPROでは求人数が多いのはもちろんのこと、各事務所の情報をしっかりと提供。また、スキル要件に基づく高精度なマッチングが可能なことから、自分にマッチした求人先をお探しの方におすすめ!税理士資格者はもちろんのこと、会計事務所スタッフ(科目合格者や簿記2級等)の方が税理士試験勉強に適した事務所を希望するケースでも良いでしょう。
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樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
公認会計士・税理士・経理などの士業・管理部門の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズで勤務し、転職エージェントや会計専門メディアの事業の立ち上げを経験。その後、株式会社インテグラルベース(厚生労働省特定募集情報等提供事業者51-募-000806)を創業。現在は転職・採用・人事に係わるコンサルティングや求人サイトの運営を行っています。 士業JOBでは、これまで培った人脈と10年弱に及ぶ転職や採用に関する業務経験・実績を活かして転職に役立つ情報の配信を行っている他、多数の人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。また、行政書士として事務所を開設しており、自身も士業として活動しております。 執筆者・監修者・編集者情報へ