近年、司法書士や司法書士有資格者が企業法務へ転職を希望することが増えているようです。
司法書士事務所での業務とは違う企業の法務部へ、実際に採用されるためにはどのようなことに気をつければいいのでしょうか?
司法書士が企業の法務部へ転職するために必要な経験やスキルは?
いつでも独立できてしまう司法書士を一つの企業の社員として採用するためには、企業もそれなりの待遇を用意しなくてはなりません。
また、司法書士の資格を保持していたとしても、企業での業務経験が弱いケースにおいては、必ずしも司法書士資格が有利に働くわけではありません。
企業としての採用基準(履歴書の内容、職務経歴、どんな業務に携わってきたかなど)も自ずと厳しいものになってくると言えるでしょう。
そこで必要となってくるのが「アピール力」です。
司法書士の業務は書面などと向き合う作業が多く、営業力やコミュニケーション能力が培われるような場面を経験している人は意外と多くありません。
その為、自分をアピ-ルすることを苦手としている人も少なくないようです。
簡略化したわかりやすい文章を書くことは司法書士の得意とするところかもしれませんが、自己アピールという場面では「どんな思いで業務に携わっていたか」といったものが伝わりにくく、あまり強い印象を残せないこともあります。
これまでの経験をどれだけ詳細に自分の言葉で説明できるかどうかが、評価につながってくるとも言えます。
司法書士の得意分野である登記に関する業務はすべての企業で評価されるわけではないので、マネジメントの経験や企業の法務部では必要となってくる商業登記や裁判業務などの企業を相手にした業務の経験や知識があるなら積極的にアピールしましょう。
企業の法務部が転職する司法書士に求めることは何?
企業内に法務部門を持つとなると大企業が想像されますが、昨今ではコンプライアンスが叫ばれていることもあって、中小企業においても法律に詳しい人材の確保は進んでいくかもしれません。
町の法律専門家として司法書士のニーズが高まっていく可能性も十分あります。
先にもお伝えしましたが、法律との絡みもあり企業内弁護士のように司法書士を置くことはなかなか難しいのが現状です。
しかし、企業として司法書士の有資格者はとても魅力的に見えます。そして一度採用したならば長く自社で働いてもらうことを求めるのは当たり前のことです。
司法書士として登録はせず、有資格者の一法務スタッフとしての採用ならば、柔軟にこなせる企業内の業務も存在します。
司法書士には法的な問題を相談できる人材として、人事・総務・財務から企画・営業に至るまで様々な場面でニーズがあります。
そこで重要になってくるのが司法書士事務所ではあまり経験のない、企業の法務部ならではの業務です。
契約書等のリーガルチェックや商業登記、裁判業務などにも積極的に取り組み、経験を積んでスキルアップを目指しましょう。
スキルアップしていくということは同じ企業で長く働くということにもつながります。
それは企業にとってこれから転職してくる司法書士に求めることでもあります。
司法書士が企業の法務部に転職する場合、どんな企業を選ぶのが良い?
過去にどんな企業の業務に携わってきたでしょうか?
複数の同業他社の事情を把握していたり、業務内容を想像しやすい業種であれば理解もしやすく馴染みやすいでしょう。
また、司法書士有資格者が活躍している業種としては、得意分野である不動産関係をはじめ金融機関などがあります。
金融機関では住宅ローンに関する業務もあるため、様々な手続きや謄本処理のほか物件調査などを不動産鑑定士と連携して行うこともあります。
債権回収会社なども様々な書類の作成などがあるため司法書士が活躍できる業種です。
新しく法務部を立ち上げる企業がスタッフを募集する場合もあります。
しかしここで気をつけなければならないのが、企業での法務経験がない場合必ずしも役に立てるとは限らないということです。
法務の専門家として新しい法務部を任されることは、司法書士として得てきたスキルとは全く別のものが要求されます。
まず、一般企業の法務について深く知っておくことも必要でしょう。
さらに、人をまとめリーダーシップを発揮できるというスキルが必要になってきます。
司法書士事務所とは環境も求められるものも違うということを念頭においておきましょう。
司法書士が企業の法務部に転職する際、書類で落ちないようにするためにはココに注意!
企業の法務部への転職を目指す多くの人の中で、より目にとまる書類を作るには自分の強みを明確に詳しく書くことです。
例えば司法書士事務所での職務内容説明を「不動産登記に関する業務」「顧客説明」と書いたとしましょう。
とても簡潔で見やすく、誰にでも伝わる書き方です。
しかしこれでは、その業務の量や規模・事務所全体の業務における割合など、本来アピールするべきポイントが全く見えてきません。
これでは、他の応募者と差別化を図ることも難しいでしょう。
書類で落ちないためのポイントは、冒頭で企業の法務部で働きたいのだという意思表示をしっかりしておくことです。
あいまいな表現では採用する側に不安を抱かせてしまいます。続く職務内容説明で経験をしっかりアピールします。
在籍年数に応じて成長してきた点、それに応じて任される仕事がどのように変わってきたか、重要度や量なども書いておきましょう。
また、仕事に対して心がけてきたことなどを書くのもいいでしょう。
「顧客の要望に応えるために常に迅速に対応していた」のであれば、そういった事も書きましょう。
業務の為に前向きに行った行動は良いアピールポイントになる事もあります。
司法書士が法務へ転職するならポイントを押さえて転職活動しよう!
司法書士やその資格有資格者は企業にとってはとても魅力的な人材であることは間違いありません。
しかし法律的な問題もあるため企業内司法書士として働くことは難しいようです。
多くの場合法務スタッフでの採用となるかもしれませんが、企業の法務部で働きたいという意思と司法書士としての知識と経験を具体的にアピールして転職活動することを心がけてみて下さい。
転職にあたっては転職エージェント・転職サイトの利用を考えてみるのも良いでしょう。
求人の紹介はもちろんのこと、応募書類の添削、面接の際のポイント、転職可能性の可否、転職後のキャリアなど多くの参考になる意見をもらうことができます。
転職エージェントを利用したからといって必ず転職しなければならないというわけではありませんので、まずは情報収集の意味も込めて、一度利用してみると良いかと思います。
※大手の総合型転職エージェントということもあり、豊富な求人、充実した転職サポートが受けられます。
司法書士の転職に特別詳しいわけではありませんが、企業の法務へと転職するケースにおいては総合型の転職エージェントを利用し、企業への転職に対しての対策をするのは有用です。
・MS-Japan
※管理部門への転職実績がトップクラスの転職エージェントです。
法務の転職はもちろんのこと、司法書士等の士業の転職にも強く、司法書士が企業の法務部門へと転職するケースにおいてはとても頼りになるでしょう。
士業と管理部門両方に精通している数少ない転職エージェントですので、転職をお考えであれば必ず登録しておきましょう。
・リクルートエージェント
※ご存じの通り最大手の転職エージェントで、法務に限らず様々な領域で転職実績があり、登録しておきたいエージェントです。