公認会計士のコロナ禍の転職活動 いま転職すべきか?

いま転職するべきか?

潜在意識としては転職をしたいと思っているけど、今の状況を考えたら転職は辞めておいた方が良いのではないかとお考えの方も少なくないでしょう。

転職せざるを得ない方々は別として、キャリアアップや待遇改善等を目的とした良いところがあれば転職をしたいという志向性の会計士の方々は転職活動自体を行っていないというケースが実際多いです。

「いま転職活動をしてもあまり良い求人が無さそう」、「数年後市場や状況が大きく変わっていそうだから今は様子見をする」など人によりお考えは様々ですが、では待てば良い市況がやってくるのかと言えば必ずしもそうとは言えません。

ここでは、主に会計士のコロナ禍での転職に関することを様々な角度で見ていきたいと思います。

同じコロナ禍でも2020年と2021年以降で転職マーケットが全然違う

コロナ前と後で転職市場が全然違うというのはなんとなくイメージはつくかと思いますが、そのコロナ禍においても2020年と2021年で転職市況は異なります。

まず、コロナの前の2013年頃から2020年前半までは転職マーケットは未曾有の売り手市場であり、公認会計士もどんどん様々な業界へ転職していました。
2015年~2018年あたりは事業会社への転職ブームとなった時で、経理・財務へ転職する会計士が急増しました。
実力がある会計士はもちろんですが、経験の浅い会計士も比較的会計業界以外での転職が可能となり、IPOの増加に伴うベンチャーでのCFO(IPO準備におけるCFO)需要の増加も会計士の転職を後押ししました。

転職マーケットは順調な状況が続いていましたが、そのような中でコロナの影響により採用市場は一気に冷え込むこととなりました。

2020年は厳しい転職市場だった

2020年は会計士に限らず求人が一気に冷え込んだ時期で、転職活動せざるを得ない方々も多くの人が苦戦されていました。

公認会計士のケースで行くと、例えば旅行関係の企業に勤務する財務や経理系ポジションの方、IPOベンチャー等においてIPOをストップ(著しい業績悪化)により転職活動を余儀なくされた方々は、選ばなければそれなりに転職先はある状況でしたが、良い転職先が見つからずに苦労するというケースが増えました。
監査法人への出戻り等会計業界で仕事をする分には問題無い市況でしたが、一般事業会社でキャリアを積んでいきたいとお考えであったケースでは企業の採用意欲の低下(先行きわからないし今採用しなくてもいいでしょう的な)により、仮に求人があっても内定までたどり着かないというケースも多いうえに、選考途中で採用停止というものも結構多くありました。

実力の有無に関わらず、運が大きく左右する状況であったことから非常に厳しい状況だったと言えるでしょう。

なお、会計業界での転職に関しては、一部を除いて他の業界よりは落ち込みませんでしたが、例えばFAS等では採用要件が高まりましたので、以前のように経験が浅くてもそれなりに簡単に採用されるということはありませんでした。

2021年は一気に求人が増えた

2020年は厳しい採用状況でしたが、2020年後半から2021年現在にかけて求人数はかなり回復していると言えるでしょう。

無論、飲食やイベント系など依然として厳しい業界はあるのですが、テクノロジー系企業の大きな発展やそのほかの一般的な企業では業績は回復し、実は意外と順調といった企業も増えているので、採用募集が積極的なところも多いです。

ベンチャー界隈でも新たに台頭してきた企業も多く、IPOに向けた採用強化を行う企業が増えています。

そうした背景もあり、事業会社の財務や経理部長のポジションで会計士(会計士じゃなければならないわけではないが)を求める求人はそれなりに増えました。

ただ、CFOというポジションを見た場合には変化も現れており、資金調達を始めとして攻めの財務を重視される企業が増えたことから、会計士から別の方へCFOをシフトする動きも多くありました。
※会計士ではダメということではなく、例えば投資銀行経験者が良いといった形です。

守りはある程度固めていた企業が多いので、攻めるための配置転換といった形です。
この辺りは企業によるところもありますので、エージェント等を通じて情報を取得されると良いでしょう。

会計業界で見てみると、転職という視点では依然として中小監査法人では人手が足りず積極募集するところが多い他、会計系コンサルでも採用募集は多くあります。

ただし、以前までと比べると採用のハードルは上がっており、人手が足りないから資格を持っている人なら誰でも採用しようといったところはほとんどなく、結構しっかり面接されるので採用難易度は高まっています。

選考通過のためのポイントをしっかり押さえつつ、もし現状足りないスキルや知識があるなら補っておいた方が良いです。

基本的に2021年現在は転職するには意外と良い時期ではあるのですが、採用難易度がコロナ前よりも上がっているので、面接対策はしっかりやっておいたほうがよいです。

後は、積極採用を行う企業やファームの特性が少し変わってきているのと、働き方やキャリアパスにも変化が現れる時期なので、情報収集をしっかり行うことをおすすめします。

2021年以降の転職マーケットは良くなるのか

いま転職するかそれとも待ってから転職すべきかという議論で行くと、特に転職する動機が無いということであれば、急いで転職する必要もないでしょう。
しかし、だからと言って転職しない方が良いと言っているわけではありません。

会計士で意外と多いのが、なんとなくコンサル、なんとなく事業会社、という形で転職をしてしまうケースですが、現在の転職マーケットは去年と比べれば確かに良いのですが、超売り手市場であった2014年~2019年までとは異なりますので、ある程度マインドを固めてから転職した方が失敗が少ないかと思います。

逆に、例えば具体的にキャリアの希望や転職したい先などがある程度明確なケースでは現在の市況であれば良い転職先と十分巡り合うことは可能でしょう。

そして、こういう時期に積極採用して伸びている企業は強い企業が多いので、大手にしろベンチャーにしろ成長が体験できる転職先となるでしょう。
そのため、目的をしっかり持っていれば良い転職が実現できるチャンスの時期でもあります。

具体的に転職マーケットが良くなるかどうかは正直わかりかねますが、今のような状況がしばらく続いていくのではないかなと思います。

ただ、会計士自身のキャリアを考えるのであれば、少なくとも監査経験のみだとこの先結構厳しいとは思うので、ある程度若い方であればコンサルなども視野に入れて転職活動だけでも始めてみる(情報収集)のも良いかと思います。

転職に備えて情報収集だけはしておいた方が良いが、、、

実際に転職するかどうかは別として、先々なんとなく転職という考えが頭にある方は情報収集だけはしておいた方が良いでしょう。

求人の傾向や採用傾向がどう変わっていくかはある程度頭に入れておいて損はありませんし、こういった市況の中でも転職される会計士の方はいますので、そうした方々が転職後どうなったのかといった情報を得ておくと自身の参考になるかと思います。

公認会計士におすすめの転職エージェントを希望の転職条件ごとに紹介した記事もあるので、具体的に転職をお考えの方はもちろんのこと、先々の転職のために情報収集といったケースもあるようでしたら是非参考にしていただければと思います。

ただ、エージェントを利用する際の注意点としては、公認会計士によくあるのが、「情報収集目的のために登録しました」と言ってしまうケースです。

エージェントは営利企業なので、転職が実現しないと売上がたちません。
そのため、エージェント自身の潜在意識の中で、転職してくれそうな人の方に手厚いサポートになってしまうのは致し方ないことなので、「良いところがあれば転職したい」というような形で伝えておくとバランスよく情報収集ができるかと思います。

なお、今どきは無理やり転職させようとかそういったエージェントはほとんどないので心配は無いと思います。

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樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
公認会計士・税理士・経理などの士業・管理部門の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズで勤務し、転職エージェントや会計専門メディアの事業の立ち上げを経験。その後、株式会社インテグラルベース(厚生労働省特定募集情報等提供事業者51-募-000806)を創業。現在は転職・採用・人事に係わるコンサルティングや求人サイトの運営を行っています。 士業JOBでは、これまで培った人脈と10年弱に及ぶ転職や採用に関する業務経験・実績を活かして転職に役立つ情報の配信を行っている他、多数の人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。また、行政書士試験に合格しており、士業としての活動にも力を入れていく予定です。 執筆者・監修者・編集者情報へ