税理士は転職回数が多いと転職で不利になる?押さえるポイントをチェック!

税理士は比較的転職回数が多い傾向にある職種であり、一般的な職種の方よりも転職回数が多いからといって転職市場で不利になるといったことは必ずしもありません。

ただ、例えば1年以内の転職や短期離職を何度もしているようだと当然不利になります。

そのため、無意味な転職は避けた方がよいと言えます。

中には転職回数が多くなりすぎてしまって少し困っているという人もいらっしゃいますが、そういった方は現状を理解した上でしっかりとした対策をする必要があります。

そのため、ここでは、転職回数が多い税理士が採用されるためのポイントなどをご紹介するとともに、転職回数がどのくらいなら問題ないのかなどを見ていきたいと思います。

転職回数が多い税理士は転職で不利になる?ならない?

税理士が転職活動をする場合、冒頭で記載した通り、転職回数の多さで不利になるとは限りません。

基本的に該当する業務の経験を有した即戦力が欲しいと思っている税理士事務所が多いため、転職回数よりも経験値・スキルが重視される傾向にあるので、転職回数の度が過ぎなければ大きな問題になることはないでしょう。

後ほど記載しますが、一般企業等では例えば30代で転職回数が4回あるいは5回を超えてくるとかなり転職回数が多いと判断される傾向にあり、書類選考や面接などで厳しくチェックされます。税理士業界でも5回を超えてくると多いなと思われるケースは増えるものの、その理由をしっかり回答できれば問題無いケースが多い他、そもそも転職回数が多いかどうかを気にしない会計事務所も結構あるので、一般的な職場で働く人よりも転職回数が多いことが転職で不利になるとは限らないです。

ただ、不利になるかならないかは転職回数だけでなく、1社でどのくらいの期間勤務しているかなども関連してくるので、採用担当者は過去の転職スパンについて疑問を持つケースもあり、一つの職場に定着できず長く働くことができないタイプなのでは?と感じるケースでは過去の転職について質問されるケースがよくあります。

面接の際に「長く働ける人物なのかどうか」を質問し、その回答や雰囲気で採用を決める場合もあります。

また、転職回数が多い人は、「何をしたいのか」を深く追求される可能性があります。職務経歴書からキャリアに関する整合性が感じられなかったり、一貫性が感じられなかったりするケースでは当然疑問に思うこともあり、意欲やキャリアプランの確認をされます。ここで論理的に破綻せずに過去の転職について説明ができるのであれば、転職回数が多くても問題無いケースも多くなっています。

ただ、あくまで傾向の話であり各事務所個別に採用方針が存在しているため、求人先ごとに対策が必要となるケースもあります。

採用側は転職回数が何回から多いと捉える?

少し古いデータですが、求人大手のリクナビNEXTが公開している年代別の転職回数割合データでは転職回数は以下のようなデータが提示されています。

年代/回数 0回(無) 1回 2回 3回 4~5回 6回以上
20代 76% 16% 6% 2% 0% 0%
30代 47% 24% 16% 8% 5% 0%
40代 38% 20% 18% 11% 12% 1%
50代 34% 21% 17% 11% 16% 2%

20代では8割近くの方が転職経験なしであり、30代でも転職経験1回以下の人が7割を占める結果となっています。
これは税理士業界での結果では無いこと、転職や副業が当たり前になった令和よりも前に行われた調査結果なので現在の基準に必ずしも的確に当てはまるとは言い難い部分もありますが、一般的には転職をする方は少数派であり、1回よりも多く転職していれば、ある程度転職回数が多い人と捉えることができます。

また、企業側への調査として転職回数何回から気にするかといった調査結果としては、転職回数が1回を気にする企業は約2%、2回は約10%でした。

ただ、転職回数が3回になると約50%の企業が気にしています。やはり転職回数が多くなってくると気にするという企業は増えます。

先ほど記載した通り少し古いデータではあるのですが、採用側のこの傾向は今でも多くあると感じており、採用企業側の話を聞いていて理由も無く転職回数が多い人の採用は避けたい(基準が3回より多い)という話をよく耳にしますので、働く側の価値観は変わっていますが、採用側の価値観はあまり変わっていないと言えます。

これを単純に税理士業界に当てはめることは難しいのですが、税理士業界においては転職回数の話が採用ヒアリングの場で出ることは企業と比べるとそこまで多くなく、どちらかというと、税理士試験合格科目数や過去の経験、実務にすぐに入っていける人が欲しいといった実務要件に関する要望が圧倒的に多いので、そこまで気にする必要は無いでしょう。

参考として、税理士20代後半であれば3回程度、30代であれば5回程度であれば問題無いと判断されるケースが多いです。

逆に転職によりスキルを高めてきたこと、今後それを活かして長く働き活躍したいことが伝えることが重要です。

転職回数が多い税理士が面接官に落とされる理由はこの2つ!

ここまでで記載してきた通り転職回数に関してはしっかりとその理由が説明でき、相手に納得してもらえれば問題無いケースが多いです。
そのため、転職回数が多い税理士は、面接官が重要視するポイントを理解しているといいでしょう。

面接官から転職回数が多いと思われた場合での不採用として、「すぐ辞めてしまうのでは」「経験が足りない」などと判断されやすいことが要因であることから、この2つに関して事前にしっかり対策しておけば避けられる不採用はたくさんあります。

まず初めに、転職回数の多い人が落とされる理由を具体的に説明します。

すぐ辞めてしまうのではと思われる

転職の回数が多いと、「すぐに辞めてしまうのでは」と懸念されてしまいます。

特に辞めるまでの年数を見ていて、1年以内に退職している場合は注意して面接をしているでしょう。

退職理由なども含めて審査をしますが、「気に入らないことがあると辞めるかも」と思われているのです。

会社側は意欲がある人や長期的に働ける人など、利益をもたらす人材を求めています。すぐに辞める人を雇っても効率が悪くなるだけなので、「辞めそう」と判断した時は落としているのです。

そのため、そういった印象を持たれないようにこれまでの離職理由と今回の転職理由などをしっかり整合性を持たせながら考えておく必要があります。また、必要であれば応募書類にも各会計事務所を辞めた理由も付して記載しておくと良いかもしれません。

経験が足りないと思われる

転職回数が多い人は、今まで経験してきた仕事の経験値が薄いと判断される傾向にあります。

税理士の場合1つのクライアントと長期に関わりサービスを提供していく傾向にあり、また、業務も日々の業務から年間を通じて行うもの、中長期にかけて実施する施策などもあるため一定以上の期間をかけて業務を行った経験が無いとスキル不足と判断される可能性があります。

一つの職場で長期的に働いている人の方が、1つの仕事に対する深堀、ビジネスマナーの理解度・習熟度が高い傾向にあると判断されます。

転職回数が多い税理士が転職に成功するためのポイントを押さえよう!

転職回数が多い場合、成功させるためのポイントとして「転職回数が多いことへの質問にしっかり答える(上記の懸念を払拭させる回答をする)」「転職理由で退職理由は答えない」「転職市場が活発な時期を狙う」があります。

これらをしっかりと理解することで、面接対策を強化できるでしょう。これから、具体的にご説明します。

転職回数が多いことについての質問にしっかり答えられるようにする

面接の際に、転職回数が多い人に対しては「なぜ転職をしたのか」といったようなことを過去の経歴に沿ってその理由をそれぞれ確認するような質問をしてくることがあります。

上記の落とされる理由で記載した通り、採用側としてはすぐ辞めてしまわれても困るので、厳しい突っ込みを受けることもあります。

しかし、転職回数が多いのは事実なので、その事実は認めつつ、仕事への意欲や展望を述べることがポイントです。採用担当者が納得できる受け答えができると、面接で成功しやすくなります。

無難なよくある受け答えとしては、過去の転職理由として、特定の経験・スキルを身に着けるための転職であり、その必要性があったことを示しつつ、今後はそれらを活かして長く働いていきたい事を具体的に説明するとともに、不足しているスキル・経験については真摯に学ぶ姿勢を示すことでしょう。

上記は一例ですが、長く働けそうであることと、スキル不足懸念を払拭させることを意識した回答をするとよいでしょう。

また、事前に職務経歴書等になぜ転職をしたのかを記載しておくことで、面接官の印象は緩和されます。

転職理由に不平・不満をあげるのではなく未来への展望を入れる

転職理由を聞かれた時には、「やりたいことがある」など今後の目標を伝え、前向きな理由を答える方が印象が良いです。

退職理由を話していると、「待遇が不満だった」「人間関係が良くなかった」など、知られたくない情報まで話してしまう場合があり、ついつい愚痴っぽくなってしまって不採用になるケースがあるので注意したいです。
面接官の印象が良くないのは当然として「この企業でも同じような理由で辞めるのではないか」と思われてしまいます。
前の職場で不満だったことや愚痴は、面接であまり話さないようにしましょう。

特に悪口に該当するようなことを言うケースでは信用そのものを失いますのでくれぐれもご注意ください。

それよりも将来の展望を基準に何がしたいから転職をするのか、あるいはしたのかが基準になっていることが望ましいです。

年間を通じて求人を探す

面接などを受ける際、他に応募者がいると比較した結果転職回数の多さが不利になることもあります。

そのため、採用母数の増える税理士試験後などが良いのではないかと考える人も多いのですが、必ずしもそうとは限りません。

例えば、税理士試験のある8月等は体制を整えるために、多くの事務所では複数人を中途採用しています。募集人数が多い時期なら、採用される確率も高くなるためその時期を狙うと良い、と見えますが、一方で応募者数も比例して増える時期なので一概に転職しやすいとは言えません。

結局のところ、不利な状況を抱えているケースでは年間を通じて自分の希望に当てはまる必要とされる事務所の求人募集がうまく出たタイミングで転職するのがベストであり、昨今の転職市況から求人は税理士試験の時期に関わらず出る傾向にあるので転職サイトなどに登録しアンテナを貼っておくのが良いと言えます。

税理士で転職回数が多いことを強みに変える

転職回数が多いゆえに業務に対する習熟度が浅いと思われる傾向があることは先ほど記載しましたが、複数社を経験しているからこその強みもあります。

例えば、各事務所・企業ごとに業務の進め方や切り分け方が異なりますが、多くの事務所の仕事の進め方を見ることでそれぞれの良い部分、悪い部分が見えてくると思うので、そうした業務フローに関しての事例を多く知っているからこそ所内の業務改善に役立てることが可能であることや、複数の企業で得たスキルや経験をアピールしていくことが可能です。

「身に付けたスキルを前の職場ではどのように活かしていたか」「この企業ではどのように活かしたいか」を具体的に説明できると、採用担当者が持つマイナスイメージをプラスに変えられます。

また、こうした実績についてはエピソードだけでなく、具体的な数値で説明できると、説得力が増すでしょう。例えば、残業時間○時間の削減に繋がった、○パーセントの無駄が減ったなど、可能な範囲で数字に当てはめてみましょう。

転職をきっかけに成長やキャリアアップができているのならば、次に就職した企業でも成長できると伝えられます。

そして、「採用されたらこの仕事がしたい」「この仕事なら役に立てる」ということを詳細に話すといいでしょう。

転職回数を増やさないために職場選びをしっかり行う

どのような理由で転職回数が多くなってしまったかにもよりますが、税理士特有のネガティブな転職理由としては所長との相性が合わないことによる早期離職が比較的多くあげられると言えます。

いずれの理由にしろ、面接時あるいは事前にしっかりとリサーチしておけば避けられることも多いので、税理士業界に詳しい転職エージェントなども活用しておくと良いかと思います。

また、ブラック会計事務所への転職を避けるための会計事務所選びのポイント所長と合わないから別の会計事務所へ転職したいなんかもご案内していますので是非参考にしてください。

転職回数が多い税理士が転職するためにはポイントを押さえることが必須!

転職回数が多い場合は、状況を整理し、個々人に合わせた面接に備えた対策をしっかりと行うことが大切です。

これを参考に、転職回数の多さをプラスにする転職活動をしてください。

忙しい税理士のためのAI転職診断!<PR>

最速転職HUPROのAIを活用した最速転職診断なら効率的にあなただけのあなたにマッチした求人を見つけることができます。 AI(人工知能)と専任のエージェントが手間なく・速くて効果的な転職活動をサポート! 税理士資格や簿記、税務・会計スキルを活かした転職先を効率的に見つけましょう。※会員登録(無料)後に転職診断機能等が利用できます。
ABOUT US
アバター画像
樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
公認会計士・税理士・経理などの士業・管理部門の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズで勤務し、転職エージェントや会計専門メディアの事業の立ち上げを経験。その後、株式会社インテグラルベース(厚生労働省特定募集情報等提供事業者51-募-000806)を創業。現在は転職・採用・人事に係わるコンサルティングや求人サイトの運営を行っています。 士業JOBでは、これまで培った人脈と10年弱に及ぶ転職や採用に関する業務経験・実績を活かして転職に役立つ情報の配信を行っている他、多数の人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。また、行政書士として事務所を開設しており、自身も士業として活動しております。 執筆者・監修者・編集者情報へ