大手上場企業で働いていると経理職は激務に追われてしまうということが噂されています。
これに対して、非上場の中小企業の方が経理の仕事が忙しいという議論もありますが、どちらが実態を反映しているのでしょうか。
目次
大手上場企業の経理が激務というのは嘘?
大手上場企業で働いている経理職の人が忙しいと言われている理由として挙げられるのが、上場することで公開しなければならない情報量が多くなり、それに付随して経理業務が増えていることです。
代表的なのが決算業務で、上場企業の場合には四半期に一回は決算をしなければなりません。
※半期に一回になりましたが、趣旨に影響はないのでこのまま記載しております。
非上場企業では年に一回ということも多いので、その現場で働いている人からすると繁忙期が年に四回もあるという時点で激務だろうと想像するのはもっともなことでしょう。
中小企業では決算期になると、連日のように残業をする必要が生じることも稀ではないからです。
ただ、決算の回数が増えると忙しくなるのかという点に対して疑問を持つことは大切です。
年に一回まとめて決算をしていたのが、三ヶ月分ずつ決算することになったわけなので、一回あたりの業務量は少なくなります。
業務負担の山や谷が緩やかになるので、正社員を雇用して業務負担を分散させやすくなるのも確かでしょう。
また、業務フローがしっかり構築され、IT/デジタルへの投資も上場企業の方がしっかり行っており、効率化できているという点でも負担は少ないです。
すると経理職は、上場企業では大きな負担を感じるような業務量に追われてしまうことは少ないとも考えられるのです。
非上場企業の経理の方が大手上場企業より激務!?理由はこちら!
非上場企業の方が大手上場企業よりも激務だという議論もありますが、実はこの主張にはかなりしっかりとした根拠があります。
上場企業と違って決算を四半期に一回行うのは義務ではないので、それよりも日常業務を優先して年に一回の決算にしているのが一般的です。
決算時期の繁忙期になると業務量が多くなって、苦痛を感じるほどになってしまうことも少なくありません。
一年間も溜め込んでおくと書類の紛失などのトラブルも発生しやすく、その対応に追われてしまうこともあるのは辛い点です。
その代わりに、日常業務はあまり多くはないかというとそうとは限らないのも事実です。
大手と違って経理業務を重視せず、最小限の人材しか確保していないことが多いのが主な原因となっています。
それどころか経理業務以外にも財務や税務、さらには人事、労務などの業務まで任されることも珍しくありません。
人件費をできるだけカットしなければならないという観点でみなし残業時間を設定し、サービス残業になっている時間が長いというケースもあるため、業務量だけでなく給与という観点からも厳しい状況に置かれていることが多いのです。
経理部門が激務でないかどうかは会社次第!2つのポイントがこちら!
上場企業でも非上場企業でも経理部門が激務に追われていることもあれば、ワークライフバランスを充実させていることもあります。
基本的には会社次第だということを理解し、適正な水準の業務量で済む職場を見極められるようになりましょう。
会社がどういう状況にあるかという観点から、経理部門の業務の実態を見極めるポイントは2つあります。
会社が稼いでいるかどうか
まず、十分に安定して利益を得るのに成功している会社かどうかが大きなポイントです。
安定した収益が上がっているなら、企業を大きくしつつ経費を削減するための施策を打ち立てて毎年予算を確保していくことができます。
業務システムを一新して、効率的に経理や勤怠管理などの多様な業務を行える仕組みを作り上げていれば、業務負担はかなり軽くなるでしょう。
また、人材の手当ても可能なので、経理業務の負担が大きくなった場合には新しい人材を雇って補ってくれる可能性も十分にあります。
経理部門の中でも業務の切り分けをして専門の仕事に特化できる体制を整えることで、一人一人への負担を減らしている現場も少なくありません。
これにも専門スキルのある人材の確保が欠かせないため、基本的に会社が稼いで人材を雇用できる状況がなければ実現することは不可能です。
会社の経営陣が経理部門に期待しているかどうか
もう一つ重要なのが、経営陣が経理部門に対してどんなスタンスを持っているかです。
利益が十分に上がっていたとしても、そのお金をどこに投入するかは経営陣の判断に委ねられます。
経理部門が激務に追われているにもかかわらず、それが当然だと考えて営業部門のインセンティブを上げたり、設備投資をして研究開発部門の活動力を高めたりする場合もあるでしょう。
どこにどのくらいの予算配分をして改革していくべきかはケースバイケースですが、経理部門に対する期待が大きい経営陣なら人材の手当てやシステムの改善も検討してくれると期待できます。
経理はコスト部門としか考えていないような経営陣の場合には、忙しいのに人を減らすといった対応をするリスクもあるので気をつけなければなりません。
経理に予算や投資に関する管理や提案を任せるといった程度の経営陣なら、きっと働きやすい環境を整えてくれます。
勤めた会社が経理が激務な会社だった場合は転職も考えよう!
経理業務はノルマもなければクライアントの対応をする訳でもなく、何が業務として正しいかもはっきりとしています。
決算に合わせて繁忙期が到来することもわかりやすく、スケジュールを立てて働いていけばワークライフバランスを充実させることも難しくはありません。
それでもなお激務になってしまうのは、現場に合っていないシステムを運用していたり、業務量に応じた人材の確保ができていなかったりするのが問題の場合がほとんどです。
その状況から脱却するには経営陣の意識改革をし、さらに現場の業務効率化のために努力をしなければなりません。
それが可能なら現職に留まるのも良い方法ですが、そもそも激務でそんな余力がない場合も多いでしょう。
もっと直接的ですぐに激務から解放されることができる方法は転職です。
経理部門の存在を重視していて、手厚い待遇を整えている会社を探し出して転職すれば業務量も適正になります。
転職を成功させるためにはある程度のキャリアや実力が必要になるので、まだ経験が浅い人は少し我慢して働く必要があるかもしれません。
しかし、経理に関連する資格を取得するなどの対策を立てて速やかに転職を遂げることもできるため、激務に追われて辛いなら転職も視野に入れましょう。
経理も含めた管理部門の転職であればMS-Japanが実績、求人の幅などを考慮すると一つ良さそうであると考えられます。
この他にも経理職向けのエージェントは多数あるため、転職をお考えのケースでは経理職に強い転職エージェントに関するページもご覧いただけましたら幸いです。
経理が激務かどうかは会社による!あまりに激務でしんどい場合は転職も!
経理部門の業務が多くて厳しいかどうかは上場企業か非上場企業かにも影響されますが、むしろ会社として経理職を大切にしているか、現場改革をできる利益を上げられているかによって決まる部分も大きいのが実態です。
経理のスキルはどの企業でも求められているものなので、激務に追われて辛いときには転職も検討してみましょう。