監査法人で監査業務を行っている公認会計士の方が2,3年もすると、監査に飽きたということで、先のキャリアも見据えて別の道を模索する傾向が増えています。
多くの方がなんとなくコンサルとお考えなのですが、ここ最近は監査法人のアドバイザリー部門へと転職・異動される方も多くなっています。
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なんとなくコンサルと考えている会計士は監査法人のアドバイザリーへと転職する傾向もある
なんとなくコンサルやりたいと転職の相談をする会計士の方は非常に多いのですが、なぜコンサルなのかというところまで考えていない方が多いです。
冒頭で述べたように監査に飽きたという方がかなり多いのですが、ここ最近は監査業務は今後AIに取って代わられるといった情報もたくさん飛び交っており、不安から財務・会計の知識を活かしたコンサル的な仕事をできるようになっておきたいということで、コンサル会社への転職とお考えの会計士の方も多くなっています。
監査業務に価値がなくなってしまうのかどうかは何とも言えないところですが、現実問題としてAIを活用した監査業務の研究は進められており、実用化も近いという話も聞きますので、プラスアルファのスキルを磨くために転職という手段をとることは悪いことではないと思います。
ただ、プラスアルファの知識・スキルを身につけられる先がコンサルティング会社だけとは限りません。
事業会社でも税理士法人でも高い価値を提供できる会計士になることは十分できるのですが、ここでは監査法人のアドバイザリーへの転職という視点で見ていきたいと思います。
監査法人はアドバイザリー業務に力を入れている
各監査法人はアドバイザリーに力を入れているので、監査法人のアドバイザリー部門への転職という点では現在の市況であれば転職は叶うと想定されます。転職エージェント等に相談すれば恐らく転職自体はできるのではないかと思われます。
そのため、どのようなことがやりたいのかといった自身の志向を整理すると同時に、コンサルティングファームでのコンサルと監査法人でのアドバイザリー業務で何が違うのかを少し理解しておいた方が良いでしょう。
コンサルと監査法人のアドバイザリーの違い
一般的な考え方とは多少ことなるかもしれませんが、ここでは監査法人のアドバイザリーとコンサル会社のコンサルの違いを簡単に説明します。
監査法人のアドバイザリー部門は、監査で培った豊富なノウハウを活かした数字の落とし込みを中心としたアドバイスやリスクマネジメント領域のコンサルが比較的得意なのではないかと考えられます。
一方でコンサルティング会社では売上を伸ばすための攻めの戦略立案であったり、プロジェクトマネジメントに関する領域が強いように感じます。
よく聞く例えとして、多くのコンサルティング会社が対象企業の売上を伸ばしていくための攻めのコンサルティングを行うのに対し、監査法人のアドバイザリーはどちらかと言えば守りのコンサルと言われています。
ただ、いずれもどちらかといえば、という程度の話なので、確実にこうだとは言い切れないところもあります。
両社の大きな違いという部分では、監査法人は関与先に対して監査の透明性を確保するためにできない業務というのも存在しています。
経営の意思決定への関与、財務や会計に関するシステムの設計・導入等のコンサルティングは行えません。
こうした事情があるので、一部制限はかかり、多少の違いは出てくるケースもあるという認識は持っておきましょう。
ただ、恐らく多くの方がスタッフレベルでの転職となりますので、そういう意味では業務内容に大きな差はないのでそれほど気にしなくても良いとは思います。
ただし、監査先ではないクライアントに対しては制限なくコンサルティングを行うことができます。
また、多くの業種のクライアントの監査を行っている関係で、そこで蓄積された知識やノウハウを活用した独自のコンサルティングを行うことができるので、監査法人のアドバイザリー部門でも十分面白い仕事をすることは可能です。
監査法人のアドバイザリーもコンサルティング会社のコンサルティングも全く業務が違うわけではありませんので、経験を積むという意味では転職のしやすい監査法人のアドバイザリー部門を転職先として選ぶのも悪くないと考えられます。
監査法人のアドバイザリー業務に興味のある会計士の方は、一度会計士の転職に強いエージェントに相談してみるのも良いでしょう。
どのような経験が積めるのか、キャリアパスはどうなっているのか、多くの会計士の転職実績を持っているので事例を交えて話を聞くことができます。
監査法人のアドバイザリーの方がコンサルティング会社よりも残業が少ない傾向
コンサルティング会社への転職を考えた際に、残業時間が気になるという会計士の方も多くいらっしゃいます。
結論から言うと、かなり残業は多くなります。
ある程度覚悟はしているかと思いますが、監査法人時代よりも仕事の時間が増えるため、転職をためらう方もいらっしゃいます。
一方で監査法人のアドバイザリー部門ですが監査法人に勤務している会計士ならある程度想像がつくと思いますが、ある程度残業は多いです。
しかし、コンサルティング会社よりは残業が少なく、ワークライフバランスが完全崩壊するというようなことにはなりませんので、残業が気になるという方は監査法人のアドバイザリー部門への転職が良いでしょう。
また、アドバイザリーサービスを提供しているのは大手監査法人だけではなく、中小の監査法人でも行っています。
中小の場合、Big4監査法人等と比べるとワークライフバランスに優れているケースもあるので、意外と狙い目だったりします。
案件の規模は小さくなりますが、中小監査法人にて監査とアドバイザリーの両方をバランスよくやりつつ、労働時間もバランスをとるといった選択をとる方もいます。
中小監査法人含め、監査法人内部の情報がとり難いケースもあるかと思いますので、このケースでは必ず会計士の転職に詳しいエージェントから情報を仕入れてください。
情報提供や転職サポートに優れたレックスアドバイザーズあるいはマイナビ会計士を利用することで、様々な視点から転職に関する役に立つ情報が得られるでしょう。
会計士の監査法人のアドバイザリー部門への転職まとめ
なんとなくコンサル、ということであればコンサルティング会社ではなく、監査法人のアドバイザリーも視野に入れてみて良いというのが本音です。
一般的なコンサルティング会社のみならず、監査法人系列のFASやアドバイザリー部門への転職も視野に入れて転職活動を行うことをおすすめします。
なお、アドバイザリーやコンサルに限らず監査法人からの転職に関して興味があるという方は以下の記事もご参考ください。
なんとなくコンサル、と考えていた方が全然違うところへ転職されるケースもあるので、まだ志向が固まっていない方は幅広く転職先を検討してみても良いと思います。