30代の公認会計士の転職 家族との時間?夢?高年収?環境の変化による転職が多い年齢

監査法人から転職しようと思い続けて気がついたら30代になっていた方、
マネージャーになりたくないから転職しようかな、
事業会社に転職し働いていたもののなんかモヤモヤしている30代の会計士、
ハイクラスな転職を目指す30代の会計士、
結婚して悩み始める会計士、
いろんな30代の会計士がいますが、このあたりの年齢になってくると、自分だけの問題ではなくなってくるので転職するにも注意が必要です。

コロナ禍前後で30代会計士の転職市場は変わっている

まず、会計士の転職市場として、2020年より前と後で転職市場は大きく変わってきています。

コロナ前の2020年初頭までは、超絶売り手市場と呼ばれていた時期であり、多少スキルが足りなくても転職ができる時代でした。
コンサルなどでもまだ会計士登録していない修了考査前の会計士試験合格者の方を1年後に採用する約束をしての内定出しも結構ありましたが、現在は監査経験で5年以上やコンサル、事業会社経験が無いと不可などハードルが上がっている(正確には通常からやや売り手市場に戻った)ところも増えています。

今も会計士の転職市場は売り手市場ではあるのですが、この時ほど楽々転職というわけにはいかないということは知っておきましょう。

なお、現在も会計士は不足しているので売り手市場ではありますが、30代会計士の方ですと、例えば2014年から2019年あたりに1度転職活動をしている方が多く、結構簡単に転職できたな、という感覚を持っている人が多いのですが、この頃と比べると転職市況は変わっている部分もあるので、油断せず注意が必要であることは確認しておきましょう。

ちなみに、本記事はコロナ禍前に元々記載していたものとなりますが、コロナ以降で変わった部分などを適宜加筆・修正しアップデートしているので、若干継ぎ接ぎ感が出ていたり、不自然な挿入がたまに出て来たりしますがご了承ください。

そのうえで、30代の会計士の転職事情について見ていきたいと思います。

30代で監査法人からはじめて転職する会計士の転職理由は家族との時間がテーマのことが多い

最近は20代で転職をする会計士が多いのですが、30代で初めての転職という方も少なくありません。

30代あるいはアラサー付近の年代の方で監査法人からはじめて転職するケースで多いのが、
男性でも女性でも家庭の時間が取れないというものは非常に多いです。
子どもが産まれたのを機に、家族との時間を意識する男性の方も多いです。
以前と比べると労働環境は良くなりましたが、それでも人によっては長時間労働も多いです。管理職(マネージャー等)になるとかなりしんどいですしね。

そこで、事業会社の経理であればワークライフバランスがとりやすいのではないかと考え転職を考える30代会計士の方が多いように感じました。
特に女性はアンケート結果などから見てもワークライフバランス視点で求人を探される方も多かったです。

確かに、ワークライフバランスという点では事業会社の経理への転職は理に適ってはいます。

ただ、注意していただきたのが、経理だからといって必ずしもワークライフバランスがとれるとは限りません。

経理部門にいる人も最近は転職するケースが多いのですが、意外と労働時間も長く、企業によっては純粋に経理だけの仕事をしていればよいというものでもないことも多く、かえって忙しくなるケースもあります。

また、飲食業をはじめとするサービス業の経理へ転職すると土曜日出勤などがあるケースもあるので、こうなると逆に休みが減ってしまうこともあるので、慎重に転職先を選びましょう。

基本的に大手上場企業の経理部門であればワークライフバランスが考慮されているケースが多いので、失敗は少ないのですが、非公開の求人が多かったり、内情や同じ経理でも配属によってはワークライフバランスがとりにくいこともあるので、経理部門への転職に詳しいエージェントから情報収集されることを推奨します。
また、最近はコンサルでワークライフバランスに優れたところもあるので、しっかり情報収集しておいた方が良いでしょう。

また、男性に多いのですが、なぜか奥さんに転職することを黙っている方も少なくありません。
事業会社への転職の場合、年収が下がることもあるので、奥さんに言い難いという方もいらっしゃいますし、
言う必要あるんですか?という方までいます。
奥さんの理解を得ないで転職した場合、後々家庭のトラブルに発展したり、内定承諾後にしぶしぶ内定辞退をしなければならなくなり、自身の信用を失ってしまったりと、問題が起きるケースも何件か見てきているので、
必ず家族と相談してから転職される方が良いでしょう。

嫁ブロックなんて言葉が一時期よく聞かれましたが、
年収が問題になるケースにおいては、事業会社であれば年収以外の福利厚生が充実していたり、一時的に年収が下がるものの、きちんと今後の見通しを説明することで説得できることも多いです。

企業ごとの細かいこうした情報は転職エージェントに相談することで教えてくれますので、
情報を取得したい方はエージェントの活用も視野に入れてみると良いでしょう。

なお、経理部門への転職という意味ではコロナ禍以降もかなり売り手市場です。一部の業界では採用が減っていますが、全体的に見れば経理人材不足が目立ち、採用依頼がかなり多い状況です。

30代を機に新しいキャリア・スキルを身につけたいと転職する会計士もいる

監査経験しかないことに不安を覚え、30代前半から中盤あたりの年齢で、新しい分野にチャレンジしようと考える方も多いです。

特に多いのが、コンサルに近い分野のアドバイザリーやFAS業界へと転職できないか考える方が多い印象です。

FASの中でもフォレンジックに興味をもつ会計士の方もいらっしゃり、監査法人での経験を活かして新しい分野へとステップアップされる方もいらっしゃいます。

現在の転職市況であれば30代前半で監査法人での業務経験しかなくてもアドバイザリー部門やfasへは十分転職ができます。
ただ、30代前半に限ります。30代後半以降になって監査経験しかないとかなりしんどくなってきます。

なお、FASといってもBig4系の規模の大きな案件を取り扱っているところから少数精鋭でコンサルを行っている独立系のコンサルまで様々あり、取り扱っている案件の内容次第で、求められるスキルや積める業務経験も大きく変わってきます。

どういったファームでどういった案件をこなしてきたかというのはその次のキャリアにも大きく影響してくるため、しっかりエージェント等から情報収集しておくべきでしょう。

30代の他の会計士が各ファームで経験を積んだ後どのようなキャリアを歩んでいるのか、どのようなところに転職してどのような働き方をしているのか、多くの転職実績をもとにした確かな情報を得ることができます。

30代ともなると単に業務内容だけを確認するのではなく、労働時間や転職後のキャリア等も含め確認しておく必要がありますので、しっかりリサーチしておいてください。

fasへの転職に興味のある方は、以下の記事も参考にしてみてください。

公認会計士のFAS業界への転職

M&Aなどの分野のコンサルティングに興味がある方は以下もご参考ください。

また、ファンドなどへの転職を検討される方も多いですが、この場合、M&Aアドバイザリー等を経験しておくと転職しやすくなります。
ただ、監査経験しかない方でも転職されたケースもありますので、転職を検討している方は確認してみると良いでしょう。

30代前半、中盤までであれば、現在の転職市況であれば新しいことには十分チャレンジできますが、35歳を超えてくると、公認会計士と言えど未経験分野への転職はかなり苦戦しますので、しっかり情報収集を行いキャリアについて考えてください。

ハイクラス・高年収の転職先を考える会計士も

20代、30代で様々な経験を積みハイクラスポジションや高年収ポジションへの転職を検討される方も多いです。
事業会社の経営に近いポジションや投資銀行など希望は様々ですが、
あなたの経歴次第では十分に転職が可能です。
ただ、投資銀行の場合、学歴等も重要視されるのでご注意ください。

このようなハイクラスの案件や高年収の求人はあなた自身のスキルのみならずタイミングも重要なので、
常にアンテナを張っておいてください。

また、ハイクラスポジションは公認会計士でなくてもいい募集が大半で、その他の分野のプロフェッショナルの方々と競合になることもあるため、ハイクラス向けの転職サイト等も併用しながら転職活動されると良いでしょう。

基本的に人脈による人伝の転職が多いポジションですが、ベンチャー界隈の責任者ポジションではVC経由でヘッドハンターへ案件が出ていたりするので、ヘッドハンティングサービス等も必要となるかもしれません。

いずれにせよ、このクラスの転職だと転職後も人脈は重要なので、人脈の構築は行っておきましょう。

なお、ヘッドハンティングサービス等に関しては、本記事の最後にまとめておきますので気になる方はご参考ください。

将来起業したい、独立したいと夢を追いかける会計士も結構いました

起業や独立を考えていたものの、日々忙しく業務をこなすうちに30代になってしまった方もいます。

起業や独立を見据えた方がすぐに独立せず、1ステップ踏むケースとしては、
コンサルを経験しておきたい、税務のスキルを身につけておきたい等のパターンがあります。

30代公認会計士が税務を経験するために会計事務所へ転職

いずれのケースにしろ30代前半までであれば問題ないと考えられますが、35歳を起点に転職が難しくなるケースも見受けられるので、30代中盤に差し掛かるという方に関しては、早めに転職に動いた方がよいケースもあります。

また、税務の経験となると、完全に税務に特化した会計事務所の場合、これまでの業務経験があまり評価されないので、大きく年収も下がってしまいます。
年齢を見たときにあまり年収を落としたくないとお考えの方は注意が必要です。

税務+会計士のスキルが活かせる業務が経験できる会計事務所(税理士法人)への転職であれば、公認会計士業務もやりつつ税務の経験を積むこともできるため、大きく年収を落とさずに税務経験を積むことができるので、こうした会計事務所へと転職される公認会計士が多い印象です。

また、独立という視点で行くとコンサルティングファームでの業務経験を積んでおきたいと考える会計士の方もいらっしゃいます。

最近だとM&Aに関するコンサルティングは需要・人気ともに大きいので、M&Aに関するアドバイス等を経験しておくのも良いかと思います。

売り手市場は続いている

コロナ禍の影響で一時転職市場は悪くなりましたが、現在は採用市場は回復し、むしろ人手不足に拍車がかかり、転職がしやすい状況へと戻っています。

そのため、公認会計士として転職するのであれば、30代でも選択肢はかなり広いと言えるでしょう。

また、これから会計士試験を受けるというちょっと年齢が高めの方(30代前半や差し掛かる年齢の方など)でも監査法人への就職は可能な状況です。

転職・就職するという意味では良い状況が続きますので、ご自身の希望が叶うよう転職活動を行って頂ければ幸いです。

30代公認会計士の転職事情

30代になるといろいろ環境の変化や心境の変化が起こってくる年齢です。

家族との時間を増やそうと、ワークライフバランスを意識した転職をし、
実際にワークライフバランスが取れたのですが、
仕事に刺激がな、結局忙しい業界にまた出戻り転職したことがあります。

ただ、後悔はありません。やはり子供が小さいうちは、家族との時間がとれてよかったと思っています。
今は、仕事バリバリできて良かったと思っています。

公認会計士の場合、完全に職を失うリスクは少なく、最悪の場合監査法人へと舞い戻ればいいのです。
今なら簡単に戻れます。この先しばらくは大丈夫でしょう。

なので、ワークライフバランスにしろ夢を追いかけるにしろ、今はチャンスの時だと思いますので、
思い切った選択をしてみるのも良いでしょう。

ただ、家族との相談は忘れないようにしてください。

どのようなケースの転職にしても、しっかり情報収集を行っておく必要があるかと思いますので、情報収集や30代公認会計士が転職するのにおすすめの転職エージェントを最後にまとめておきます。

マイナビ会計士

公認会計士の転職市場について熟知している落ち着いた方が担当だったので、安心して利用することができました。
転職相談や転職サポートが手厚いため、情報収集を目的とした利用という点でもおすすめですし、
転職活動において不安な点があるかたにもとてもおすすめできます。

30代ともなると人により状況は変わってくるものです。
初めての転職で不安だという方、ワークライフバランスを考慮した職場で働きたいとお考えの方、ハイクラスを目指すための転職をお考えの方など様々な方がいらっしゃいます。

マイナビ会計士では現在置かれている状況に合わせた転職サポートをしてくれますし、大手の人材紹介会社ということもあり、取扱求人の幅が広いので、様々な選択肢の中からキャリアを選択していけます。

あなたの状況に合わせた転職サポートを行ってくれるため、
落ち着いて転職活動を行いたいとお考えの方は是非登録してみましょう。

レックスアドバイザーズ
レックスアドバイザーズ

会計士のキャリアに精通しており、各人のおかれた状況をしっかり把握したうえで適切な求人の案内をしてくれます。
特に会計業界の知識は深く持っているので、各ファームの違い(給与・キャリア・働き方の面など総合的に)等の情報がしっかり手に入ります。
30代を迎えてキャリアとライフ両方を充実させたいケースでは相談の価値があると言えるでしょう。

最速転職HUPRO(ヒュープロ)

大学との共同研究による独自開発の「AI」を用いた転職診断が行えます。

10,000件以上のデータに基づいた解析を行っており、
有給消化率や残業時間、休日日数等のデータも踏まえているので、「キャリア志向」の方にはもちろん「家庭の時間を大切にしつつもキャリアアップできる環境で働きたい」とお考えの方や「子育てに理解のある企業へ転職したい」などそれぞれの希望にマッチした求人が見つかります。
事業会社の経理の求人を始めとして、監査法人・会計事務所・コンサルティングファームまで幅広い業界の求人を保有しているため、多くの選択肢の中からあなたの希望に合う求人の提案が受けられるでしょう。

AIによる転職診断だけではなく、
多くの税理士や会計事務所スタッフの転職支援実績のある専門のエージェントにLINEやメール、電話で24時間相談ができるので、転職相談を重視したい方にもおすすめです。

こちらを利用するメリットとしては、登録すると転職診断等のコンテンツが利用できるため、まずはどういった求人がありそうかといった求人サーチしたいという場合に良いでしょう。

BIZREACH(ビズリーチ)

ハイクラス案件が多いヘッドハンティングサービスです。

転職サイトではないので、あなたの経歴や希望を見たヘッドハンターからスカウトが届くサービスです。

ハイクラスポジションでは公認会計士ではなくても良いポジションも多いため、こうした多くのプロフェッショナルが集まるサイトの利用も必要になるケースもあります。

希望通りのスカウトがもらえるかどうかはあなたの経歴にもよるところがあるため、
現時点での転職マーケットにおける市場価値を客観的に確認してみたいという場合においても登録してみても良いでしょう。

ここでは一部のエージェントに関してご案内しましたが詳しく知りたい場合は公認会計士におすすめの転職エージェントを転職先ごとに紹介!などのページもご覧ください。

本ページで紹介したように、会計士が活躍可能な転職先は非常に多いため、どのようなエージェントを利用すべきか微妙に人により異なるケースもあるため、キャリアに迷っている方はご参考ください。

会計士の転職サポートの手厚さは業界トップクラス!<広告>

マイナビ会計士の転職サポートの手厚さは業界でもトップクラスです。

徹底した面接・職務経歴書対策が受けられるので、転職活動に不安を感じている方でも安心することができます。
ABOUT US
アバター画像
樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
公認会計士・税理士・経理などの士業・管理部門の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズで勤務し、転職エージェントや会計専門メディアの事業の立ち上げを経験。その後、株式会社インテグラルベース(厚生労働省特定募集情報等提供事業者51-募-000806)を創業。現在は転職・採用・人事に係わるコンサルティングや求人サイトの運営を行っています。 士業JOBでは、これまで培った人脈と10年弱に及ぶ転職や採用に関する業務経験・実績を活かして転職に役立つ情報の配信を行っている他、多数の人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。また、行政書士試験に合格しており、士業としての活動にも力を入れていく予定です。 執筆者・監修者・編集者情報へ