私は2023年1月に合格発表があった令和4年度の行政書士試験に合格しましたが、行政書士試験勉強を始める前に「どの程度の勉強時間を確保すれば合格ラインに乗ることができるのか?」をまず最初に調べ、それをもとに試験日までの勉強計画を練りました。
多くの方が仕事をしながらの受験勉強になるかと思いますので、しっかりとゴールを見据えた勉強をしないと途中で挫折したり満足のいく勉強ができず不合格になってしまう可能性が高いです。なので、行政書士試験の難易度と想定される必要勉強時間の目安をまず最初に押さえて学習計画を立てていきましょう。
目次
行政書士試験に合格するために必要な勉強時間は800時間~1000時間を目安にすると良いと個人的には感じた
私自身は900時間程度勉強し、行政書士試験に合格することができました。本試験では思ったより点数は低かった(208点)のですが、それでもギリギリ合格といった感じでもないので比較的余裕は持てた形となります。
私が受験勉強を開始する前に個人的に調べた必要な勉強時間は600時間から1000時間といったものが多かったです。実際に試験を受けてみた立場での感想としては概ねその通りだと感じました。
各予備校が過去の合格者の傾向などから必要な勉強時間(上記)を割り出してくれており、それらの数値を参考に何時間程試験日までに勉強すべきかや仕事などの都合から1日何時間くらい勉強できるか?などを踏まえた計画を立てました。
なお、600時間と1000時間では少し勉強時間に差がありますが、どの予備校もMAXが1000時間でしたのでそのくらい勉強すれば合格できる可能性は高いと考え、個人的な勉強時間の目標としては900~1000時間を目安に勉強を開始することとして計画を立てました。
2月1日から勉強を開始したため、9.5か月程度勉強時間が確保できたことから、月間100時間、1日平均約3時10分~30分程度勉強時間を確保(平日2時間、休日5時間等)することを目標としました。
ただ、現実的には一日平均3時間以上勉強することは非常に困難でした。実際は月に90時間、多くても100時間くらいの勉強時間になりました。直前期に1日5時間とか勉強して最終的に勉強時間をかなり稼ぎました。
おそらく皆さんも当初の目標よりも勉強出来ない可能性が高いと思うので、目標勉強時間は少しだけ多めに設定するといいかなと思います。
なお、そうした勉強の過程で800時間の勉強時間に達するころにはおそらく合格できるだろうといった感覚を得ることができたため、1発合格を目指す方などは最低800時間勉強すると合格可能性が高いと想定されます。そのため、余裕をもって900時間といった勉強時間を目標に設定するのも良いでしょう。
勉強時間600時間では足りないか?
私は勉強時間が計測される教材(スタディング 行政書士講座)を使ってやっていましたが、勉強時間が600時間(8月頃だったと思いますが)に到達した時点で既に合格できるかもしれないといった手応えはありました。ただ、一方で穴も結構ある段階でしたので、出題範囲や記述式の問題次第では不合格になる可能性が高い状態だったと思います。運が良ければ合格できるだろうといった感じの状態です。ただ、ハマれば合格できそうだと思いました。
600時間の勉強であれば頑張れば夏頃から勉強しても試験日までに間に合わせることは可能と思いますので、短期合格もできそうだなとは思いました。なので、行政書士試験日まであまり時間はないけどこれからものすごく勉強したら間に合うかな?と思っている人も諦めずに頑張れば合格できる可能性はあると思います。
ちなみに800時間程度に勉強時間が到達したときは先ほど記載したように割と高い確率で合格できるのでは?といった感覚を得るに至りました。
800時間勉強して以降は一般知識(時事)の勉強も結構やっておりました。多分50時間か下手したら100時間以上やったかもしれません。率直にその時間がものすごく無駄な時間でした。一般知識、特に時事ネタは勉強しても時間の無駄になるので頻出事項と個人情報保護法などの確実に出るところだけに絞ってやるのがよろしいでしょう。今後は一般知識がなくなり、行政書士法など勉強しがいのある分野が出題されることとなりますが、おそらく100時間程度の勉強時間を割けば十分な量であるとは想定されますので、勉強時間の総量は変わらないと判断してもよろしいかと思います。
なので、実質的には800時間少々勉強すれば高い確度で合格できるのではないか?というのが個人的な見解です。
一般知識と違って何を勉強すべきかが明確になるのでむしろ勉強はしやすくなるのではないかと思います。
合格に必要な勉強時間が大きく変わるということは無いと思いますので計画を立てるうえで参考にしてみてください。
行政書士試験の難易度自体はそれほど高いわけでは無い
行政書士試験に合格することの難易度はそれほど高いとは個人的に思いませんでした(楽だと言っているわけではありません)。
300点満点の試験で6割で取れれば合格(180点以上)なのですが、合格者数(合格率)を一定に保つために記述式問題で点数調整を行っていると考えられ、毎年約10%の方が合格しています。なので、実質的には10%の合格率の試験であると考えることができます。
上位10%が合格なので簡単な試験ではありませんが、一方で受験者の母集団のレベルというところで見ると意外と対して勉強せずに受けている層も多くいらっしゃり、受験資格も何も必要ない試験ですし何としても行政書士試験に合格しなければならないといった強い信念をもって勉強している人もそこまで多くなく、結構記念受験している人も多いと感じます。
そのため、他の難関国家資格と比較しても上位10%に入ることはそこまで難しいことではないと感じました。
ただ、だからといって楽な試験であるということが言いたいわけでは無く、しっかりと勉強した方であれば高い確率で合格できるレベルの試験であるということです(具体的には上記で記載したように1000時間近く勉強)。
自頭が良くないといくら勉強しても合格できないとかそういう試験ではありません。
勉強さえすれば多くの方が合格可能なレベルの試験だと実際に受けて感じました。
そういった意味で行くと、難しい試験ではないと言えます。
難易度の低い基本知識に該当する問題が多数なため基礎固めが重要な試験
勉強を開始する前までは行政書士試験は細かい法律知識をたくさん暗記する必要があると思っていたのですが、実際に過去問を解き始めてみると違うことがわかりました。
問われている知識そのものは意外と基礎的事項として勉強したものが多くあり、全60問中6割近いと思いました。そうした基礎知識を活かして思考して問題を解くものが多い傾向です。
中にはこんなの見たことも聞いたこともないけど???みたいな問題が出題されたりするのですが、実際に答えを導き出す上では基礎的な知識があれば解答できるようになっており、問題文と各選択肢をしっかりと読み込み思考することで解答を導きだせる問題もあったりします。
そのため、知識を詰め込む勉強をするというよりかは思考する訓練をしておくことが重要です。学生時代に国語が得意だった人はやや有利かなと個人的に思いました。
なお、実務面で見ても手引き等を読み込んで解釈をするということが必要になる場面は多そうですので、そうしたことを意識した問題になっているのかなと思いました。
行政書士試験は知識で勝負しようとすると難易度が上がる試験である
上記に関しては、逆に言うと知識の詰め込みで試験を突破しようと思うと非常に効率が悪く、勉強時間もかなり必要になってくると考えられます。
知識の当てはめで答えを出そうとすると膨大な暗記が必要になります。おそらく1000時間の勉強では足りない知識量でしょう。
上記で記載した通り思考させて解答を導き出すような問題の作りになっているのであれこれいろんな参考書に手を出し知識を増やす勉強をするよりかは、知識面では1冊の参考書と過去に出題された頻出事項をしっかり押さえ、過去問を活用して知識の定着と思考力を養うトレーニングをすると良いかと思います。
何度も記載しますが、基礎的事項を問う問題が本当に多いです。
何年も受験生をやっている方の中には基礎を疎かにする受験生が結構多いですので、基礎固めをしっかりやってください。
勉強時間の配分ややり方も重要
勉強時間の配分や勉強の仕方も重要になってくるかと思います。
仮に1000時間勉強をするとしても何にどのくらい時間をかけるのかというのが非常に重要です。
一般知識を除く行政書士試験の配点は、
- 基礎法学:2問8点
- 憲法5問:20点
- 行政法:19問76点
- 民法:9問36点
- 商法会社法:5問20点
- 多肢選択憲法:1問8点
- 多肢選択行政法:2問16点
- 記述式民法:2問40点
- 記述式行政法:1問20点
となっています。
基礎法学は範囲が無限大な割に配点は少ないので深入り禁物ですが、一方で基礎法学という名称の通り最低限の知識は押さえておく必要がある科目です。
憲法は非常に重要な科目であり得点源にしやすいので頻出事項をしっかり押さえる勉強をする必要があります。
行政法は満点が取れる科目であり、単純な暗記で正当しやすいのでここはしっかり時間をかけて勉強をする科目です。確実性の高い行政法が合否を分けるケースが多くなっています。
民法は記述式で2問出題されるためしっかりと押さえておく必要がある科目です。記述式は択一式の過去問で出ているレベルの問題が出題され、必要な知識としては基本的なので過去問を中心にしっかりと勉強を進めて基礎を固めておくのがよろしいと言えます。
商法会社法は5問20点と配点が少ないため捨て科目にする人も多いのですが、頻出事項がいくつかあり、2問程度はそうした所謂頻出事項からの出題となるため得点源とすることができます。会社法を勉強する余裕がないと言う人もいるかもしれませんが、そうした方も捨てるのではなく、この頻出事項はしっかりと押さえて勉強しておきましょう。なお、会社法は範囲はかなり広く膨大なので、会社法の勉強をしっかりしたいと思っている行政書士試験受験生も深入りすると危険であり、膨大な勉強時間が必要となってしまうため、基本的には頻出事項を中心に勉強するようにし、合格後にしっかりと会社法等を改めて勉強するようにしましょう。
こうした頻出事項を詳しく知りたいケースではおそらく行政書士試験向けの参考書を買えばわかるかと思います。
ちなみに私は過去問を13年分やり込みましたが、実際に13年分やる中でどの科目も結構同じような問題が出ていることがわかりました。特に商法などは範囲が限られているという印象を持ちましたので捨てないようにしてください。行政書士登録後も商法・会社法は結構必要とされる知識となりますし、行政書士試験そのものが後1問正解だったら合格だったのにといった形で不合格になりやすいので、点数が取りやすいところを捨てないようにしてください。
行政法と民法以外のメイン科目ではない科目は頻出事項を中心に勉強し、行政法では確実に満点近く取れるような勉強を行うのが良いでしょう。
過去問中心の勉強法がおすすめ
効率を考えると過去問を中心に知識の定着を行っていくのがよろしいかと思います。
もちろんテキストの読み込みも必要ですが、テキストを読んでいても内容が全く頭に入ってこないかと思いますので、最初のうちはテキストを1周読んだらすぐに問題集に取りかかるといった形で勉強していくのがよろしいかと思います。途中でわからないところがあってもそこで立ち止まるのではなく、どんどん次の単元へ進んでいくことが重要です。
行政法にしても民法にしても全範囲を見てからもう一度そこに戻って来て確認してみると理解できることも多いです。
なので、わからなくても立ち止まらずまずは1周するといった形で勉強するのがおすすめです。
そして、とにかくたくさん問題を解いているうちに点の知識が身につき、それが線で繋がっていきます。
そしてある程度過去問が解けるようになってきたらもう一度テキストを読み込んでみると良いでしょう。
結構頭に入ってくるようになります。そして細かいところもしっかりと読めるようになります。
過去問2週目以降は正誤だけでなく各選択肢の正誤の理由も1つ1つ言えるようにしていく
過去問を2回、3回とやっていくと答えを覚えてしまって作業をやっている状態になってしまうおそれがあります。
そうなると勉強しても意味がありません。
何度も過去問を回すことは重要なのですが、勉強効率を最大化するためにも意味のある勉強をする必要があります。
各選択肢がなぜ間違いなのか、なぜ正解なのか、その理由を一つひとつ解答しながら問題を解きましょう。
これは択一式試験の勉強対策ということだけでなく、記述式の対策にもなり非常に効率の良い勉強となります。
テキストや問題集は何種類も買い込む必要は無い
何冊もテキストを買っている人を見かけますが、正直そんなにたくさんいらないです。
独学であれば大手予備校が出しているテキスト1冊と過去問(最低でも10年分程度)だけでも合格できるかと思います。
何冊もやるよりかは1冊を完璧に仕上げた方が良いでしょう。そもそも何冊も勉強している時間は無いかと思います。
先程までで記載した通り基礎的な内容の問題が多いため、いろいろ手を出すよりも基本的な事項を完璧に仕上げる方が合格確率は高まると考えます。
判例集や六法も個人的には不要だった
判例集の読み込みやポケット六法などを読み込んでいる受験生もいらっしゃいましたが、私はそれらでの勉強は一切しませんでした。
ただ、これは判例の勉強が不要、条文を軽視しているというわけではありません。
代表的な判例は押さえておく必要はありますし、行政法などでは条文を暗記する必要性もあります。
ただ、それらを勉強するにあたってはテキストに載っている条文、過去問で出ている条文を勉強すればハッキリ言って十分です。
マニアックな判例を暗記していないと解けないような問題はほとんど出ないか、仮に出たとしても合否に影響しない、あるいは代表的な判例知識の応用で解ける可能性が高いです。
なので過去問で出ている判例、重要判例ををしっかりと押さえておけば問題無いと言えるでしょう。
条文も同様です。
ネットでも条文は確認できますしね。
ただ、たくさん勉強する時間があるという方は判例集を読み込むのは無駄ではありませんので、どの程度勉強時間が取れそうか次第と言えるでしょう。
1000時間以上勉強できそうであれば判例集の購入も悪くないかもしれません。
勉強の計画や配分、テキスト選びに悩むなら予備校やオンラインの行政書士講座の利用も検討
どのテキストを買うべきか、どの問題集をやるべきか悩むという方は非常に多いようです。
その悩んでいる時間は無駄です。
なのでそうしたことで悩みたくない場合は資格予備校の行政書士講座を受講するのも手段の一つです。
ただ、資格学校の行政書士試験対策講座は値段も高く、なかなか手が出せないという方もいらっしゃるでしょう。
お金に余裕のある方は大手の資格学校の講座を受けるのが最も効率の良い勉強ができるのでそれに越したことはありませんが、20万円近くする予備校も多いので、気軽に申込みをすることはできないかと思います。
なので、お金をあまりかけたくないが効率的・効果的に勉強をしたいという方はオンライン資格学校の行政書士講座を利用することも検討してみましょう。
ちなみに、私はスタディング行政書士講座を利用しましたが、5万円程度の出費で済みました(合格したらお祝い金1万円がもらえたので実質もっと安いです)。
こうしたオンラインの講座は講師の先生に質問したりすることはできないのですが、動画講義やテキスト、問題集がしっかりしているので確実に勉強効率は上がるかと思います。スマホでの勉強も可能なので効率的何も良い点です。
また、カリキュラムもしっかり組まれているのでテキスト選びだけでなく勉強方法や学習計画などで悩むこともありません。
なのでこうした講座の利用も検討してみてください。
行政書士試験は1年に1回しかない試験ですから極力1発合格するように効率的に勉強をしましょう。
なお、私が実際に使ったスタディングについてはスタディング行政書士講座の評判はどう?実際に使って合格した経験から解説!【安いだけじゃない】のページで実際に使った感想などを記載しております。興味があればご参考ください。
その他にもオンラインの行政書士講座は多数ありますが、使ったことがないので詳細は割愛します。
なお、オンラインの行政書士講座に関して1つだけ注意点をあげるとすれば、どこの講座を受講するにしても講師の先生がどういった方かチェックするようにしてください。
中には格安だけど本当にプロなんだろうか?と疑わしい講師もいらっしゃいます。特に昨今はSNSなどで誰でも講師を名乗ることができる時代です。
安いからといってたいしたことのない人の講座に申し込まないようご注意ください。
行政書士試験は900時間程度の勉強時間を確保すれば合格できる可能性が高い難易度の試験
最後にまとめとなりますが、行政書士試験は基本的に900時間程度勉強すれば高い確度で合格できる試験であると個人的には考えます。
楽な試験ではありませんが、難易度がめちゃくちゃ高くて運が良くないと合格できない、自頭が良くないと合格できない、といった類の試験でもありません。
きちんと勉強すれば合格できる試験です。
働きながら、あるいは子育てをしながらなど何かしら時間の制約を抱えながらの勉強をしている方が多いかと思いますが、1日2,3時間程度勉強時間を確保すれば1年で合格できる試験ですのでしっかりと計画を立てて合格を目指してください。