監査法人のマネージャー(管理職)は激務?公認会計士のキャリア・働き方を見てみる

2019年以降、監査法人では働き方改革を推進しており、状況は良くなっているようにも見えます。

Big4監査法人を始めとする大手監査法人各社で取り組みの方向性はそれぞれ異なるものの、
3月~5月末までの繁忙期を除いては残業は少なくなり、8月あたりは長期休暇も取れる環境です。

忙しいこととは思いますが、残業規制や新規案件の受け入れを辞めるなど、制限を設けることで、現場で働くスタッフ層は精神的・身体的に参ってしまう方は一時に比べれば少なくなったようにも見えます。

実際にスタッフ・シニアスタッフ層の職員は残業は減っており、以前に比べれば早く帰宅できるようになっているという声も聞きます。

ただ、そうした反面、下の年次の層が処理できなかった仕事を管理職であるマネージャー等がさばかなくてはならなくなり、管理職層は逆に残業が増えて激務になっているケースも増えています。
肉体的・精神的に疲弊しているマネージャー層は多くなりました。

加えて、昨今は不正やミス防止のために監査手続きも複雑化しており、これまでと違った面で業務が増加していることも要因としてあげられます。

元々マネジャー層やその一歩手前で転職を考える公認会計士は多かったのですが、こうした背景もあり監査法人から転職される年次が上の会計士は増えてきているように感じています。

マネージャー等の管理職クラスの年齢になってくると、結婚し、子どもが産まれ、家族が出来てくる時期に差し掛かってくるのですが、
そうなってくると人生における価値観も変わってくることが多いです。

家族との時間や健康を意識するようになるため、ワークライフバランスを意識し、転職を考えるマネージャー層の公認会計士の方が増えてくる傾向にあります。

ただ、ワークライフバランスを意識しつつもキャリアを軽視しているわけではないため、この先のキャリアに悩む方も多いです。

そこで、ここでは、監査法人での激務を脱しワークライフバランスを実現しつつもキャリアも実現していくことに関してみていきたいと思います。

監査法人から事業会社の経理へ転職することでワークライフバランスと希望のキャリアを実現する

ワークライフバランスを求めて事業会社へ転職する会計士は多いですが、本当に大丈夫でしょうか?

公認会計士が事業会社の経理へ転職しても激務からは解放されない?

公認会計士の監査法人からの転職先として最もポピュラーなのが事業会社の経理部門でしょう。

激務や残業が原因で監査法人を退職するケースにおいては、ワークライフバランスや安定を重要視し、男性・女性問わず、福利厚生や制度設計がしっかりしている大手企業の経理・財務等への転職をお考えになる公認会計士は比較的多いです。

公認会計士を求める事業会社は増えており、現在の転職市況であれば比較的転職がしやすい状況です。

ただ、事業会社の経理に転職したら絶対に激務ではないかというとそんなことはありません。

確かに監査法人時代の繁忙期ほど忙しいという状況に陥ることはないでしょう。

しかし、上場企業では四半期開示があります。
四半期決算・開示業務が求められますので、人によっては割と一年中そこそこ忙しいといった状況に陥る公認会計士もいらっしゃいます。

四半期決算の開示を廃止する方向性の議論もありますが現状はそうではありませんので、公認会計士として業務をする以上割と忙しいというケースも多くあります。

また、人手不足の問題は監査法人だけではなく事業会社でも起きている問題です。
労働力不足からくる業務過多の可能性も考えなければなりません。

忙しさを緩和するために事業会社に転職したのに、1年を通してみると、かえって残業が増えたというケースも少なからず存在しているのです。

そのため、事業会社の経理へ転職すれば忙しくないというわけではなく、どの企業に転職するのかという部分で忙しさがある程度変わってくることは認識し、転職エージェント等からしっかり情報収集を行っておくことをおすすめします。

事業会社も忙しいというイメージを強く記載しすぎましたが、当然ワークライフバランスに優れた企業もたくさんありますので、情報収集が大切であるということです。

公認会計士の事業会社の経理での仕事内容とキャリアについて

キャリアという視点で見ていくと、この部分も企業により関われる業務に大きな違いが出てきます。

一般論で記載すると、公認会計士に求められる業務と言うのは、上記で記載したとおり、決算・開示業務となります。
その他、監査法人対応、国際会計基準対応や海外連結といったグローバルな部分への対応を求められることもあります。

高度な専門知識が期待される場面も多く、財務・会計の原理を理解している公認会計士は重宝されます。

公認会計士が事業会社の経理へ転職する上でのメリットとしては、
これまでは監査法人側の人間として外から企業の数字に向き合ってきたのに対して、企業の内側から数字に関与することができることでしょう。
業務を自分事として捉えやすく、モチベーションに繋がっている方も多くいます。
また、内側・外側から数字を見る経験はこの先にも活きていくため、キャリアアップにも大きく役立つでしょう。

監査法人のマネージャー等の管理職から事業会社に転職するケースにおいては、
管理職としての活躍、将来的な幹部候補としての活躍が期待されることもあります。

監査法人から事業会社の内部監査や経営企画など別部門でのキャリアの道も

ワークライフバランスを求めるなら内部監査も狙い目です。
実は残業が少ないことが多いという点と、年収は比較的高めです。

内部監査への転職を希望する方が少ないので詳細は省きますが、気になる方は以下の記事をご覧ください。

また、経営企画部門で活躍する公認会計士も多数いらっしゃいます。
中期経営計画の策定、予実管理、M&A戦略等を企業の内部から行いたいという方は多く、キャリアという視点では大きなプラスになるでしょう。
ただ、監査法人の経験しかないケースにおいては転職のハードルは高く、マネージャー職になる前のポテンシャルが評価される20代のうちに転職を目論んだ方が良いかもしれません。

経営企画に興味のある会計士の方は以下の記事もご参照ください。

経営企画での業務は単に財務・会計に関する業務をやっていれば良いというわけでは無く、ビジネス視点が求められますので、キャリアアップという点ではとても面白い業務です。

監査法人から事業会社へ転職することで激務を回避することはできる

ワークライフバランスという点とキャリアという視点で分けて記載したため少々わかり難い部分もあったかと思いますが、
事業会社へ転職することで、忙しさの緩和とキャリアアップの両方を実現することは可能です。

また、監査法人でのマネージャー等の管理職経験は事業会社の転職においても評価の対象になるので、30代中盤~後半くらいの年齢でも十分に転職ができます。

ただ、忙しさや関われる業務というのは企業ごと、ポジションごとによりマチマチなため、求人先に関する情報収集が重要となります。

そのため、転職の目的を達成するためにも具体的な個別の企業ごとの情報を集めるようにしましょう。

公認会計士向けの事業会社の求人は非公開の物が多く、情報がとり難い傾向にあるため、転職に際しては転職エージェントを活用するようにしてください。

事業会社の情報が豊富で事業会社で具体的にどのようなキャリアパスが描けるのかという情報をしっかり教えてくれます。

激務を回避したい公認会計士は会計事務所へ転職するという選択肢も

会計事務所への転職を希望する公認会計士はそこまで多くないのですが、忙しさを緩和するという点では狙い目の会計事務所も多数あります。
会計事務所は意外とワークライフバランスへの取り組みが進んでいるところも増えてきているので、大手クライアントに対する業務がしたいといった希望がないのであれば、中堅規模の企業を対象に業務を行っている会計事務所に転職することでワークライフバランスを実現することができるケースもあります。

キャリアとしては、税務を経験したい会計士、あるいは税務もやりつつ中小企業向けのコンサルティングやM&Aに関連したデューデリジェンスなど、新しいことにチャレンジしつつ監査法人で培った公認会計士としての経験を活かした業務ができるケースもあるため、キャリアアップという視点でも新たなスキルを身につけるチャンスはあります。

特に中小企業向けにサービスを展開しているケースでは、一気通貫で業務に関われるという点と経営者と顔を突き合わせて業務をすることも多くなるので、直に相手の反応を見ながら仕事をすることができます。

少し視点を変えてみるのも選択肢としては有りでしょう。

こうした会計事務所への転職も視野に入れるケースにおいては、レックスアドバイザーズを利用してみても良いでしょう。

公認会計士及び会計事務所の求人が豊富という点と、会計業界に対する知識が深いエージェント担当者が多いので、希望に叶う転職先が見つかりやすい他、会計士としてのスキルも活かしつつ新しい領域も経験できるといった求人等の紹介も受けられることも多いので、幅が広がります。

また、事務所の内情や残業時間や有休日数等も考慮して転職先をしっかり分析しているため、激務で苦しんでいる会計士が転職する際は客観的なデータを根拠に求人を提案してくれる同社の転職支援サービスはマッチするものと考えられます。

残業等で悩む管理職クラスの公認会計士は増えておりますが、転職により状況を改善することは十分可能です。

IPO支援を行うコンサル等で監査法人のマネージャークラスの働きやすい転職先もある

IPOやベンチャー支援を中心に行うコンサルでも監査法人勤務者を募集する求人は増えております。
IPOの件数も比較的好調なこともあり、まだまだ採用需要は高い状況です。
過去数年は経験の浅い若手をポテンシャル採用するところも多かったのですが、現在は管理職クラス(監査法人だとマネージャー前後)の経験がある方の募集が多い状況です。

働き方も柔軟なところがあるので、そうしたところへ転職することで、労働環境を改善しつつ、スキル・キャリアも伸ばしていくことは出来るでしょう。

ただ、監査法人でIPO支援に携わっていない場合、このケースの転職は難しいことも多いのですが、転職可能なケースもあるので転職会社等に問い合わせて見ても良いでしょう。
レックスアドバイザーズではこうしたケースでの転職先をいくつか保有しているケースがありましたので頼ってみても良いかと思います。

その他本記事に関連して事業会社への転職を解説した記事やワークライフバランスを重視したい方向けの内容の記事もございますので、気になる方はご覧ください。

会計士が転職でワークライフバランスを実現するポイント
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樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
2014年4月から公認会計士・税理士の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズに勤務し会計士の職業紹介事業や会計専門メディアの立ち上げに携わる。2018年5月に独立し、株式会社インテグラルベースを創業、現在は採用人事に係わるコンサルティングなどを行っています。 士業JOBでは、公認会計士や税理士の人材紹介事業で培った経験や人脈なども活用し、転職に際して役立つ情報の配信を行っている他、多くの人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。 執筆者・監修者・編集者情報へ