公認会計士が転職する際、多種多様な選択肢があり、悩む可能性は高いのではないでしょうか。本記事では、公認会計士の転職事情に注目していきます。転職を検討している場合には、一読してみてください。
目次
監査法人でパートナーになるまで
公認会計士は、専門性を生かし、会計監査の業務を行えます。さらに、監査法人のパートナーになると、年収も増加します。ここでは、パートナーになるまでのステップを解説します。
ジュニアスタッフからスタート
一般的に監査法人に所属した公認会計士は、ジュニアスタッフという職位からスタートします。月収は30万円程度です。1年間の月収と賞与を合算した金額は、500万円程度でしょう。
シニアスタッフへ昇格
ジュニアスタッフとして働き始めてから3~4年程度で、実績が認められるとシニアスタッフに昇格します。シニアスタッフは、現場監督の役割を担っており、ジュニアスタッフに対して指導することが重要な職務です。
マネージャーでさらに経験を積む
シニアスタッフとして着実に成果を出し続けた人物はマネージャーに抜擢されます。マネージャーは、シニアスタッフの業務を監督、現場を統括するポジションです。最前線から退くものの、豊富な経験と実績が求められます。
なお、転職市場においては、監査法人のマネージャー経験はそれほど評価されないことも多いので、監査法人以外でのキャリアもお考えであれば、早いうちから転職エージェント等を通じてキャリアや転職先に関する情報を取得しておくことをおすすめします。
監査法人の共同経営者であるパートナー
パートナーは、監査法人の共同経営者です。法人の役員であると同時に、会計監査の最終責任者の役目を果たしています。現場で起きた不手際の責任を取る立場です。パートナーによる署名捺印は、企業が粉飾決算をしないことを意味しており、株取引に大きな影響を与えています。
監査法人のパートナーになるのは難しい?年収や待遇、退職後のキャリアは?
前述の通り、順調にキャリアアップを図ることができれば、監査法人のパートナーに着任できます。しかし、ただ会計士の業務を遂行しているだけでは、パートナーになるチャンスを得ることが難しいでしょう。ここからはパートナーについての様々な疑問を解説します。
以前に比べてパートナーになるのは難しくなった
数十年前までは、ほぼ全ての公認会計士が昇進していました。しかし、時代の変遷に伴って、監査法人でも出世競争が激化しています。以前よりもパートナーになることが困難です。それでも、根気強く監査法人で勤続した会計士がパートナーに昇進しています。
ここ数年は上が詰まっていて監査法人内での将来性が見えにくいということで転職される会計士は増えており、尚且つ監査法人での業務経験がそれほど外に出たときに評価されないということから、基本的には大半の方が転職されるという傾向にあります。
パートナーになれなくても監査法人には残れる
監査法人でパートナーになれなくても、マネージャーとして働く公認会計士は存在します。多くの人脈と経験を持っているマネージャーの大半は、パートナーの右腕、有能な人材を育成する指導者など、重要なポジションを任されているケースが多いです。
ただ、近年は優秀な人ほどマネージャーになる前に転職される方が多い傾向です。
また、それほど優秀ではない方の場合、居辛くて辞めるというケースも少なからずありますが、パートナーになれなくても首にはならないので、それほど優秀じゃなかったとしても監査法人に居残り続けることも可能ではあります。
シニアパートナーや理事長になると年収が増える
パートナーは、公認会計士の花形であり、誰もが憧れるポジションです。会計監査業務の全責任を負う代わりに、高額な報酬が確約されています。年収の相場は、2000万円前後です。パートナーに就任した後も、企業の業績アップに貢献できれば、順調に昇格するでしょう。パートナーを経て、理事長になると5000万円の年収になることもあります。
パートナー退職後のキャリアは様々
パートナーを退職した後は、多種多様なフィールドで活躍するチャンスがあります。独立することによって、色々な事業にチャレンジできます。長年にわたって会計監査の業務全般に携わってきた経験を活かせば、経営コンサルタントとして能力を発揮できるでしょう。
監査法人でパートナー目指さす転職する会計士の転職先は?
勤務する監査法人からの転職をお考えの方もいらっしゃるかと思います。
監査法人からの転職先を記載致します。
なお、詳しくは下記の記事で紹介していますので、詳細に知りたい方は以下の記事をご参照ください。
コンサルティングファーム
FAS系のコンサルティングファームは、転職先に適します。勤務する場合には、税務と会計のサポート両方を経験でき、やり甲斐を感じられるでしょう。また、外資系のコンサルティングファームも選択肢になります。外資系では、ITを活用した経営コンサルティング、新規事業の経営戦略に携われる可能性が高いです。
企業の経理や財務部門に転職が多い
大手企業は専門性に特化している人物や財務・会計の原則を理解しているプロフェッショナルをを経理・財務部門に配置する傾向があります。
経理などの業務・管理を任せる人材を見直した結果、業績が大幅にアップしているケースは少なくありません。
企業の要職のポジションへと就き、企業に転職したことによって、最終的に待遇が良くなる会計士もいらっしゃいます。
なお、会計士が企業の経理へ転職する際は注意点もたくさんありますので、会計士の経理への転職 転職に失敗する人も多いをご参照ください。
別の監査法人
監査法人は1つではありません。規模や形態の異なる法人がいくつも存在しています。現状の職場では自分の力が存分に発揮できない場合でも、他の監査法人で能力を活かせることもあるでしょう。
税理士法人
税理士法人が担う税務は、会計監査業務と似ている部分が多々あります。特に、会計監査の前線に立っていた経験がある人物は、税務をサポートも円滑にできるでしょう。同時に、法人の会計監査も担うことが可能です。勤務を通じて、税理士と切磋琢磨し、専門性を高められます。
商社
商社では、財務を的確に分析する能力だけでなく、ビジネススキルと論理的思考能力が必要です。しかし、就職のハードルが非常に高いため、採用試験の対策をしっかり練っておきましょう。高いビジネスセンスを持っている求職者が優先的に試験をクリアしています。
商社への転職に際しては、会計士の商社への転職の項目をご参考ください。
監査法人のパートナーを目指すべきか、転職すべきか
現職の監査法人でパートナーを目指すのか、それとも転職するのかを迷うことがあります。そこで考えて欲しいのは、次の3点です。しっかりと考えたうえで判断しましょう。
監査法人で数年経験を積んでキャリアプランを考える
大手の監査法人は、経営が安定しているため、安心して働き続けられます。定年まで勤続することを望む方は多いのではないでしょうか。しかし、昇格や人事異動の際に、今まで携わってきた仕事を振り返り、転職するべきか否かを考えることは大切です。キャリアプランを立てて、後悔しないようにしましょう。
また、監査法人ではたいしたスキルが身につかないとお考えの方もいらっしゃいますが、意外と手をあげれば何でもチャレンジできる環境のように個人的には感じます。
もちろん監査法人なので出来ない仕事も多いことは確かですが、監査法人内でもできることはありますので、キャリアについて一度振り返ってみると良いでしょう。
監査法人でできることは監査法人で経験しておいた方が良いです。
公認会計士の合格年齢でも転職適齢期が異なる
試験に合格した年齢によって、転職適齢期が異なります。20代前半に合格した人は30歳前後、30代前半に合格した人は35歳前後が転職適齢期です。また、公認会計士として働き始めてから約3年が経過した時、40歳を迎える場面も、転職を決めるタイミングに適しています。
転職は経済動向など外的要因にも左右される
どの分野にも通じる考えですが、転職は経済動向などの外的要因にも左右されます。目安となるのは、大手監査法人が積極採用を行なっているかです。大手監査法人が積極採用をしている場合は、「会計士そのものの不足」が要因なので、会計士の転職市場は業界問わず売り手有利となりますので、転職するには良いです。
万が一転職に失敗してしまった、、、なんてことになっても、極論出戻りが可能ですので、チャレンジしやすい良い状況といえます。
ただ、転職を考えるときの経済状況も考慮して、リスクの少ない職探しをする必要があります。
パートナーを目指すか、転職するかは監査法人で経験を積んでから考えてみる!
現在監査法人で働く人は、パートナーになれない現状があります。
パートナーを目指すか、転職するかを判断するときは監査法人で数年経験を積んでから考えてみましょう。
正直なところ、パートナーになれるかどうか以外の要因でも、監査法人から出たら通用しないような人も結構多いので、結果的に監査法人にいた方が幸せだろうな、という方も結構いらっしゃるのが実情なため、転職に関してはご年齢にもよりますがしっかり考えて転職をしましょう。
外的要因や会計士の資格取得年齢などによっても、転職適齢期があります。総合的な判断が必要です。
転職エージェント等に相談すると、転職した方が良い、と進められる可能性を危惧される方もいらっしゃるのですが、最近は転職しない方が良いとアドバイスしてくれる傾向も強く、また、転職した他の会計士の方がどのような道を歩んでいるのかしっかり教えてくれる傾向もあります。
そのため、迷っているという方は転職エージェント等に相談してみるのも良いでしょう。