税理士試験の合格科目数は転職でどの程度影響するか?待遇に違いがある?

税理士試験科目合格者が転職活動をするにあたって、合格科目数やどの科目に合格しているかがどの程度採用に影響するかが気になるという方もいらっしゃるかと思います。

1科目の合格でも問題無く転職することは可能なのか?2科目あるいは3科目合格してからの方が評価されやすいのか?どの科目に合格しておいた方が良いとかあるのか?

など、人により様々な疑問があるかと思いますが、ここでは税理士試験における科目合格数や合格科目における転職事情について見ていきたいと思います。

税理士試験の合格科目数が1科目でも問題無く転職可能

税理士試験1科目合格でも応募可能な求人は十分あります。

税理士を求人募集している企業や会計事務所の募集要項を見ると、2科目以上あるいは3科目以上合格といった形で合格科目数や合格していて欲しい科目を具体的に記載している求人もありますが、単に「税理士試験科目合格者可」と記載しているところも多いかと思います。

そういった求人であれば1科目で応募しても選考の対象となります。

税理士試験は1科目から受験することが出来るので、税理士や税務会計スタッフを募集している企業にとっては1科目でも合格したということにとても大きな意味があります。

1科目だけの合格では不利かもしれないと自分で判断せずに、1科目合格でも募集可能な企業や税理士事務所を探してみましょう。

ちなみに、応募要件に「2科目以上」と書かれている事務所等でもご年齢とこれまでの経験・スキル(語学力等)によっては選考が進むケースがいくつかありましたので、こうした記載は絶対的なものではありません。

確かに1科目合格よりも2科目以上合格の方が転職先の候補は増える可能性はありますが、1科目でもOKな会計事務所が大半ですし、無資格者の採用もここ数年は積極的におこなっているので、何かしら転職したい理由があるのでしたら1科目のうちから動いてしまって問題無いでしょう。

1科目合格の場合は税理士試験突破までまだまだ道のりは長いので、税理士試験勉強と実務経験の双方の両立が取れる会計事務所を探し出し、合格と最低限の実務経験を優先させるように努めてください。

税理士試験の合格科目数は1科目よりも複数科目合格していた方が転職に有利?待遇も変わる?

税理士試験の合格は、1科目よりも複数科目合格している方が転職には有利なのだろうかと不安を感じる人もいるのではないでしょうか。

募集を見てみると、先程記載したように、税理士試験科目を2科目以上という募集要項もそれなりにあります。

それは、募集した企業や税理士事務所側からすると2科目以上の科目に合格しているということは、かなり本気で税理士を目指して勉強し熱意があると取れますし、その気概を感じてもらえたり、税理士としての最低限の知識は持っているだろうという考えからくるものです。

ですが、それは絶対的な事項では無いケースが多く、先ほど記載した通り、会計事務所によっては1科目でも選考通過するケースは多くあります。あくまで一つの基準にすぎません。

そもそも税理士試験科目合格していなくても問題ないという会計事務所もあるので、求人募集している税理士事務所について、どういった人を求めているのかその背景まで含めてしっかりサーチしてみてください。

この合格科目数に関しては深い意味がないケースも多々あります。

募集の背景を知ることも重要です。

後は、希望する企業や事務所がどのような業種の顧問先が多いのか、どういったサービスを提供しているのかを把握するようにしてください。

個人向けなのか法人向けなのかなど、どのようなサービスを提供しているかによって求めている科目や評価される科目が分かることもありますので、自分が持っている合格科目が有利なのかどうかを判断することが出来ます。

会計科目である簿記論・財務諸表論を除くと、法人税法や相続税法に合格されている方を優先する事務所もあったりします。

法人税法は難易度が高く、合格するのが難しい科目ではありますが、会計事務所の顧問先は基本的に法人であることが多いため、法人税法に合格していることで評価に繋がります。

また、資産税に関する業務がしたいとお考えであれば、こちらも難易度が高いのですが、相続税法を合格しておくと良いでしょう。

ただ、これらの科目に合格していなくとも現在の転職市況であれば転職は可能ですので、合格を目指して税理士試験勉強が整っている環境へ転職したいといった要望を叶えることなどは十分可能です。

待遇は気にする必要が無い

1科目合格よりも複数科目合格している方の方が年収が高い傾向にありますが、それは複数科目合格しているからというよりも、単純にその分長く業界にいるため一定以上のスキルがある傾向にあるから待遇が高くなっていると考えた方が良いです。

なので、現在の科目数と待遇とを結びつけて転職を考える必要は無いかなと思います。合格科目数が少ないうちは早期の合格と業務経験を中心に見た方が良いです。

勉強できる環境かどうかということとどのような業務経験が積めるかの2点を気にすべきでしょう。

税理士試験の合格科目数よりも年齢と実務経験の方が重視されることも?

先ほど記載したように資格の有無や合格科目も確かに重要ですが、一番大事なのは実務経験です。

税理士試験に合格するまでに10年以上費やしてしまう方もいらっしゃいますが、そうした長期化する方の中にはあまり実務を経験してこずに40代などの一定以上の年齢を超えてしまっているという方もいらっしゃいます。

仮に税理士試験(5科目)に合格しても、年齢に比して実務経験が浅いケースでは転職で苦戦する可能性はあります(転職できないということはありませんが、希望する条件の事務所へ行きにくくなります)。

そのため、現在のご年齢など各種状況と照らし合わせる必要はありますが、先ほど記載したように基本的には税理士試験の勉強をしつつも、しっかりと業務経験も積んでおき、大変かもしれませんが資格取得とある程度の実務経験の両方を意識しておいた方がよろしいかと思います。

いずれにせよ、税理士資格者であっても一定の年齢(40歳あたり)を超えたら転職においては実務経験がもっとも重要な要素となりますので、現在お勤めの事務所でたいした業務経験が積めないようであれば、税理士試験勉強とキャリア構築の両方が実現できる事務所へと転職することを考えてみてもいいでしょう。

税理士試験の合格科目数も確かに大切です。

ですが、実際に転職の時に重視されるのは、上記で記載したとおり、年齢と実務経験であるケースが多いです。

同じ経験が浅い人を採用するのであれば、年齢が高いよりも若い方がどうしても有利となります。

年齢を重ねている方に期待するのは、高いレベルの業務経験であったりマネジメント経験だったりします。

合格までに時間がかかってしまうというリスクはありますので、税理士試験勉強を応援してくれるような職場の中から経験したい業務ができる環境を探し出し、そこで身を置いてみるといったことを考えて、転職活動を行うと良いでしょう。

業界未経験で税理士試験1科目合格で転職に成功した事例はこちら!

男性で不動産業界で働いていたMさんは、26歳の時に税理士事務所への転職を決めました。

その理由は、不動産業界では相続など税金に関係している問題と直面することもありました。

そんな問題を目の当たりにしているうちに、税理士という仕事に自然と興味を抱くようになりました。

仕事をしながら税理士試験を目指し、1年後見事に簿記論に合格しました。

ですが、税理士業界の仕事は未経験であることと、合格した科目も1科目しかなかったことから転職に対する不安を抱くようになりました。

そんな時に、より転職のチャンスがつかめる転職エージェントに登録することを決めました。

Mさんは転職エージェントで、キャリアアドバイザーに自分の不安な気持ちをすべて打ち明けました。

キャリアアドバイザーによる丁寧な説明で、Mさんは1つでも科目合格していれば未経験でも税理士事務所へ転職することが可能だということを知りました。

いくつかピックアップしてもらった中で、Mさんは気になる求人を見つけました。

応募していた税理士事務所は未経験者を多く採用していたところで、自分でも転職出来る可能性があるのではと感じたのです。

キャリアアドバイザーは事前にMさんのことを税理士事務所に説明し、税理士事務所へ転職したいという意欲を伝えました。

そして、面接前にはその対策についても話し合い、Mさんは面接の時に役立つアドバイスをもらいました。

アドバイスの効果もあって、Mさんは見事に税理士事務所への転職を成功させました。

税理士試験に1科目も合格していなくても転職はできる

昨今は税理士試験1科目どころか簿記2級レベルでも採用してくれる会計事務所は多くなっているように感じます。

なぜ税理士を目指したいのかなど強い動機と熱意があれば勉強・実務両方の面でサポートしてくれる会計事務所は増えていますので、やる気のある方は良い環境をリサーチしてみるのも良いかと思います。
※参考記事:20代税理士・科目合格者は転職で引手数多!未経験でも需要は高い
※参考記事:簿記2級で会計事務所へ転職できますか?

そうした職場を探すにあたっては転職エージェント等に相談してみるのも良いでしょう。

年齢ごと、合格科目ごと等、様々なケースにおいてどういった転職を実現し、キャリアを実現してきたかなど各種事例を豊富に持ち合わせており、各人の状況とご希望にマッチする会計事務所の紹介が受けられる可能性はそれなりに高いように感じます。

また、昨今は税理士試験勉強に理解のある会計事務所も増えていますが、そうした情報を個人的に収集するのも困難ですので、情報源の一つとして利用してみるのも良いかと思います。

多くの税理士科目合格者の転職支援を行ってきた実績から、アドバイスをもらうことができますので、興味のある方は利用を検討してみてはいかがでしょうか。

本サイトでは転職エージェントの紹介もしておりますので、転職をお考えの方は是非ご参考ください。

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樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
公認会計士・税理士・経理などの士業・管理部門の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズで勤務し、転職エージェントや会計専門メディアの事業の立ち上げを経験。その後、株式会社インテグラルベース(厚生労働省特定募集情報等提供事業者51-募-000806)を創業。現在は転職・採用・人事に係わるコンサルティングや求人サイトの運営を行っています。 士業JOBでは、これまで培った人脈と10年弱に及ぶ転職や採用に関する業務経験・実績を活かして転職に役立つ情報の配信を行っている他、多数の人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。また、行政書士として事務所を開設しており、自身も士業として活動しております。 執筆者・監修者・編集者情報へ