公認会計士の転職理由でよくあがるものは?飽きた、激務、ついていけないなど監査法人から転職する理由はさまざま

公認会計士の方に転職理由を聞くと、前向き、後ろ向き、さまざまな理由があります。
スキルアップやチャレンジ、危機感、顧客との接点を増やしたいなど、今よりもレベルアップしたいという前向きな気持ちが表れての転職希望は多いです。

後ろ向きなものとしては、「干された気がする」「人間関係」「飽きた」「ワークライフバランス」などがあげられます。

ワークライフバランスや飽きたという理由は後ろ向きとは言い切れませんが、Big4監査法人での働き方(繁忙期の)にネガティブな印象を持っている方はやはり少なくないです。

ちなみに公認会計士以外の職種の転職理由も似たようなものは多いのですが、どちらかというとネガティブなものをおっしゃる方が多い傾向です。人間関係・残業・もっと楽な仕事したい、など成長していくことを考えたものではなく、どちらかというと逃げの転職が多かったように感じています。

ここでは、公認会計士の転職理由と転職理由ごとにどのような業界へと転職していったのか見ていきたいと思います。

スキルアップ・キャリアアップが転職理由のベースとなっている公認会計士の転職先

ある程度監査業務経験を積んで次のステップへ進もうとお考えの会計士の場合、スキルアップ・キャリアアップを目的とした転職を検討される方が多くなっています。

監査業務の場合、どうしてもルーティンな仕事が多くなりがちで飽きが来るということもあり、もっとクリエイティブな仕事ができるようになりたいとお考えになる方が多いようです。

具体的には、コンサルに興味があるという会計士には多いので、例えば、FASや事業再生を行っているコンサルティングファームへと転職される方が多いです。
FASでの財務DDなどは監査法人での業務経験がそのまま活かしやすいこともあり、比較的転職しやすい傾向にあります。
一方で、戦略コンサルなどは転職が難しいため、実現される方はほとんどいません。また、できたと仮定しても、キャリア的にも方向性が違うと考える方も多いです。

FASへの転職に興味のある方は以下の記事もご参考ください。

公認会計士のFAS業界への転職

また、キャリアアップという視点で行くと将来的にベンチャーCFOになりたいという方もいらっしゃり、そうした方がコンサルティング会社へと転職されるケースもあります。CFOや経営企画は監査+ファイナンスの知見が必要なので、経験を重ねていくことが重要です。

注意点としては、スキルアップのつもりでコンサルティング会社へと転職したものの、監査法人時代のようにルーティンワークが多くなってしまうというようなケースもありますのでご注意ください。
例えばM&Aに係わるコンサルティング業務を横断的に一気通貫で関わりたいとと思っていたのに財務DDなどの部分的な業務しかできないなど、思っていたような業務ができないこともあります。必ず業務内容やキャリアパス等を確認の上転職するようにしてください。

上記は極点な例ですが、細かい部分も含めて転職エージェントを活用すれば業務内容のミスマッチは回避できますので、エージェントに相談しても良いと思います。

会計財務に関連するコンサルであればレックスアドバイザーズのような業界に詳しいエージェントに相談すると良いかと思いますが、一方で、もし戦略コンサルなどの会計士としてのアドバンテージがあまり関係ない領域に行くのであれば、コンサル業界への転職に詳しいエージェントの方が良いかもしれません。

転職エージェントに関しては希望する転職先ごとにおすすめの転職エージェントを紹介しているので下記の記事をご参考ください。

公認会計士の転職エージェント・転職サイトを紹介!

もっと顧客の顔が見える仕事がしたいという理由で転職する会計士も多い

大手監査法人の業務をしていると、全体の中で自分の行っている業務がどのような位置づけでどのような意味合いがあるのか?どのような役割を果たしているのか、よくわからなくなってくることも多いかと思います。
人から感謝されるということも少なく、やりがいという点でモチベーションが落ちてくる会計士の方も多くいらっしゃいました。

このようなケースでは中堅規模の税理士法人や独立系のFASへと転職される方も多くいらっしゃいます。
税理士法人では何も税務だけを行っているわけではなく、組織再編やM&Aに係わる業務を行っており、企業規模も中規模~大手まで抱えていて、案件規模もBig4程大きくないことから一つのプロジェクトに対して一気通関で関われるというメリットがあります。
また、クライアント(社長)との距離も近く、膝をつき合わせて業務を行っていくことからクライアントの反応も見えるため、やりがいを感じる方が多いようです。

その他ハンズオンで支援するコンサルティング会社等へ転職される会計士の方も多くいらっしゃいます。

将来の独立に備えて税務を経験するために会計事務所へ転職する会計士も

独立を見据えた転職を考える方は一定数いらっしゃいます。
実家が会計事務所をやっていてという方もいますし純粋に独立を目指してという方もいらっしゃいます。
会計業界での独立を目指すのであれば、基本的に税務は必要になるため、先の事を考えて税理士法人へと転職される方もいらっしゃいます。
税理士法人へと転職するケースでは上記で記載した通り、ただ税務をやっているだけの税理士法人ではなくコンサルティングを中心に会計士としてのスキルも活かせる税理士法人へと転職される方が多いです。

ワークライフバランスを理由に事業会社へ転職したいという会計士も多い

ワークライフバランスを理由に事業会社へ転職される方はかなり多い傾向です。

大手上場企業であれば、人事制度が整っており、ライフイベントに合わせて働ける仕組みがあるところが多くなっています。
また、人員体制もしっかりしているので、お休みが取りやすいのはもちろん、業務負荷が大きい時は助け合うことができ、ワークライフバランスは叶えやすい傾向にあります。

ただ、経理でも忙しい企業は多くあり、開示や内部資料、外部資料業務の作成にあたって、時間がかかるのはもちろんなのですが、各部門との連携が必要となり、コミュニケーションを行う必要があることから、精神的に忙しいケースも多々あります。

また、どのようなビジネスモデルで収益を上げているのかというのも結構重要で、スポット的に様々なクライアントから業務を受けているようなケースでは複雑な処理になることもあり、忙しくなることもあります。
逆に会費収入のような安定したストック型のモデルの企業は結構簡単です。

上記はあくまで一例ですが、事業会社と言っても様々なため、どのような理由にしろしっかり情報収集してから転職するようにしてください。
事業会社の経理等への転職におけるケースに関して記載した記事がございますので以下もご参考ください。

会計士の事業会社の経理への転職

企業内部から数字を作り、成長に貢献したいという理由など、やる気のある会計士は早期退職が多い

ワークライフバランス重視だけでなく、強いやる気を持って事業会社へ転職されるパターンも多かったように感じています。

やる気のあるパターンで考えると、事業会社の中で深く数字に関わり、会社を成長させていきたいとお考えの公認会計士は多いです。

実際に制度会計に関する部分のみならず、管理会計や経営計画の策定など、企業の意思決定に深くかかわる重要な業務に携わる方も多く、とてもやりがいのある仕事ができる場合もあります。

ただ、思っていた仕事内容と違うと感じるケースも多くなっています。

というのも、事業会社の場合、仕事が分業化されていたりするケースが多くなっており、完全に業務がルーティンになっている傾向にあります。
経営企画に近い数字を作る仕事であっても、全体の一部分しか任せてもらえないケースも多々あるため、やる気とは裏腹にクリエイティブな仕事ができないと悩んでまた転職される方もいらっしゃいます。

特に経理部門へ転職するケースでは、思った以上に単調でつまらないと感じるケースも多くなっています。

もちろんどのような企業へ転職するか次第なのですが、監査法人よりも単調でつまらないと感じる業務は多いというのは認識しておきましょう。

なお、ベンチャー企業へ転職するケースにおいては、逆にやることが決まってなさすぎる(何でも屋)という状況に嫌気がさし、退職されるケースが多くなっています。

何が言いたいのかというと、しっかり事前に下調べし、情報を得てから転職してください。イメージで転職してもロクなことはありません。

思っていたのと違った、という理由で転職を繰り返す

上記の事業会社の転職と関連した話にはなりますが、思っていたのと違ったというミスマッチから来る転職も多いです。

上記で記載した通り事業会社ならこうに違いない、と思い込んで転職して、やっぱり思ってたのと違うやということですぐに転職する会計士の方は一時期多かったです。

事業会社の場合、上記で記載したように思った以上にガチガチの分業であるということの他、業務のレベルが低く成長が感じられないということで再度転職を考える方も多くいらっしゃいます。

こうした転職失敗をリカバリーすることを目的とした転職では、監査法人に出戻り転職するケースと別の事業会社へ転職するケースがありました。

なんだかんだ監査法人が自分には合っていた、と感じて監査法人へと戻っていくケースも多く監査法人側も積極的に受け入れているのでこうした転職は問題ありません。

また、一度失敗したため、次はしっかり情報収集してから転職しようということで別の事業会社へ転職されるケースもあります。
いずれにせよ情報収集を怠ると面倒な転職活動を再度やらなければならなくなるので、事前にしっかり情報収集しておきましょう。
転職エージェント等を活用してみても良いと思います。

そもそも転職する必要があるのか考えて見ることも重要

ネット上では監査法人から事業会社に転職すればHappyになれるといった怪しい記事やコンサルへ転職すれば高いスキルが身につき付加価値の高い会計士になれるといったようなものなど、特定の個人の意見に影響されて転職をしてしまう方もいらっしゃいます。

近年はTwitter(X)などに大きな影響を受ける場合も多くなっています。

もちろん転職すること自体は悪いことではありませんし、情報を集めることは重要です。
また、個人的にはむしろ転職して自身のスキルを伸ばしていくことをむしろ推奨しています。

ただ、周りに流されたり影響を受けて自分の中での考えをまとめずに転職してもあまり良い結果にならないことが多いので、実際に転職先を決定する段階においてはよくよく考えてみる時間を持った方が良いでしょう。

ご自身の中でそもそも転職の必要性があるのかどうか今一度立ち返って考えてみると同時に、他人の意見やネットの情報を参考にしつつも、少し頭の中をリセットして他の情報をシャットアウトし、自分自身の心の中で転職が本当に必要なことなのかどうか振り返ってみましょう。

特にこれといった転職理由はなく、なんとなく転職したという方も多いのですが、後悔している方も少なくないので、情報収集や人に相談するだけでなく、自分の頭で考える時間も持つようにすると良いでしょう。

転職エージェントにはよくある転職理由ごとの転職先、キャリア事例がある

私も転職エージェントに勤務していましたが、だいたい転職を考えるきっかけは皆さん似たようなものが多くなっています。

それぞれの理由ごとにマッチしやすい転職先というのもある程度パターンはあります。

個々人の個別的な悩み等を加味して提案していくわけですが、そういった事例がエージェント側には多数あるので、初めて転職される場合などは相談しておいても良いかとは思います。

こうした理由をしっかり把握して転職先の提案をしてくれる傾向にあるエージェントとしては、マイナビ会計士レックスアドバイザーズが考えられるわけですが、比較的老舗で、ある程度パターンを知っているエージェントを使った方がいいです。

ここ数年は、転職エージェントサービスが乱立している傾向にありますが、中には会計士向けと言いつつ会計士の支援などしたことが無い人が運営しているサービスもあります。

そのため、まずは安定した実績のあるサービスを使い、標準的なよくある例などを知り、あなたが転職したい理由とうまく照らし合わせながら考えていくとよろしいかと思います。

会計士の転職サポートの手厚さは業界トップクラス!<広告>

マイナビ会計士の転職サポートの手厚さは業界でもトップクラスです。

徹底した面接・職務経歴書対策が受けられるので、転職活動に不安を感じている方でも安心することができます。
ABOUT US
アバター画像
樋口 智大株式会社インテグラルベース 代表取締役
公認会計士・税理士・経理などの士業・管理部門の人材紹介を行う株式会社レックスアドバイザーズで勤務し、転職エージェントや会計専門メディアの事業の立ち上げを経験。その後、株式会社インテグラルベース(厚生労働省特定募集情報等提供事業者51-募-000806)を創業。現在は転職・採用・人事に係わるコンサルティングや求人サイトの運営を行っています。 士業JOBでは、これまで培った人脈と10年弱に及ぶ転職や採用に関する業務経験・実績を活かして転職に役立つ情報の配信を行っている他、多数の人材紹介会社とも協業し、最新の情報をブラッシュアップしながら配信を行っています。また、行政書士として事務所を開設しており、自身も士業として活動しております。 執筆者・監修者・編集者情報へ