転職事例をもとに公認会計士の転職先とキャリアパスを考えてみる

公認会計士武石 公認会計士の転職情報
武石
こんにちは。大手監査法人や事業会社での勤務経験を経て今は自分で会社を経営している武石です。
今回は、公認会計士の転職事例を見ながら、転職先やキャリアパスの一例を見ていきたいと思います。

※前回は公認会計士の転職に関する総論について解説しております。内容は以下よりご確認頂けます。

公認会計士武石

公認会計士の転職を監査法人・事業会社勤務、起業の経験者が解説!

2019年9月30日

公認会計士の転職事例と転職後のキャリアパス

武石
公認会計士の転職先やキャリアについて、監査法人から転職した事例を交えて見ていきましょう。

ここで紹介させていただく転職事例は、私の周りの友人を含め、過去に転職相談をしたことのある具体例となりますので、是非ご参考いただければと思います!
※特定を避けるために、一部脚色している部分もありますがご了承ください。

監査法人から会計系のコンサルファームへ転職しその後ベンチャー企業へと転職した公認会計士の転職事例

監査法人に勤務する20代後半の公認会計士の方が、ベンチャー企業のCFOへの転職を希望し、転職相談することになりました。

ポテンシャルは十分な方でしたがベンチャーのCFOとして活躍するにあたり足りない要素も多かったため、まずはコンサルティング会社への転職し、スキルアップをしてからベンチャー企業への転職をしてはどうかと提案しました。

監査法人でショートレビュー業務を経験していたものの、ベンチャー企業の多くでは単に会計・財務・資金調達などの財務に関する業務を行っていれば良いという環境であるわけでなく、管理部門全体の整備や事業を拡大させていくためのビジネスマインドも求められる傾向もあり、そうした部分の経験値の少なさがネックとなり不採用が続いていました。

当初の希望とは異なる提案をしたため、少しとまどっておりましたが、私に相談する前に別の転職エージェント経由でベンチャー企業の求人に応募し、不採用が続いていた経緯もあったことから、経験不足を認識されていたこともあり、コンサルティング会社へ求人応募してみることに納得していただくことができました。

監査法人での業務経験が十分に評価されたという点と売り手市場が続いていることもあり、コンサルティング会社への転職そのものはそれほど苦戦することなく採用に至りました。

その後、コンサルティング会社で3年間業務経験を積んだ後、晴れてベンチャー企業のCFOとしての転職を実現することとなりました。

転職の経緯と転職までの流れ
  • 監査法人からベンチャーCFOへの転職を希望
  • 経験不足によりベンチャーCFO案件は不採用が続く
  • 不足を補うため会計系のコンサルティング会社へ転職しIPO関連部門にて3年間勤務
  • IPO、FA業務、コンサルティングのスキルを身につけ念願のベンチャーCFOとしての転職を実現
武石
一見すると遠回りしているように見えるかもしれません。
しかし、先のキャリアも考えるとコンサルティングファームで多くの企業のIPO支援実務やベンチャーのビジネスモデルを見ておくことで、知識・スキルの幅が広がり、結果的に自身が企業の内部からIPOを実現させる際にも大きく役立ちます。
そこに納得し、まずはコンサルティングファームへ転職することを決めて頂けました。
コンサルティングファームでの仕事はとても大変だったようですが、そこでの経験は大きく活きており、ベンチャー企業への転職も成功させ、現在の仕事の大きな基礎となっているとのことです。

やりたいことがあるのであれば、それを実現するためには何が必要かを考え、少し回り道をしてでも地道にキャリアを構築していくことを考えてみるのも重要です。

転職のポイント

今回のケースにおいては、企業の中から自分のスキルや知識を活かして大きく成長させていくことに貢献したいというお考えも持っていたこともあり、それを考えるとコンサルティング会社での経験は将来大きく活きるであろうと思いました。
ご本人様もそのように感じたことから、修行する意味も込めて、まずはコンサルティング会社で勤務することを決めて頂けました。

武石
将来どのような公認会計士になりたいのか、それにより転職先やキャリアパスは大きく変わってきます。急がば回れではありませんが、目的を達成するためにステップを踏んだ転職も考えてみてはいかがでしょうか。着実に経験を積んでいくことが一番の近道だったりするものです。

監査法人から中小規模のコンサルティング会社へ転職した公認会計士の事例

監査法人に勤務するに20代中盤の公認会計士の方が、コンサルへの興味があり、転職相談することになりました。
コンサルへ興味を持ったきっかけとして、ある監査現場でのクライアントでの出来事を話してくれました。

監査法人での業務を通じてコンサルへの転職に興味を持ったきっかけ

売掛債権関連の科目を担当していたそうなのですが、前期末比較である事業売り上げに著しい変動があったことから、クライアントの経理の方に質問したところ、前期末比較で売上が減少したためとの回答を受けたそうです。

本人としては、なぜ売上減少したのかさらに詳しく確認したかったそうですが、チームのマネージャーから、気持ちはわかるけど時間ないし他の科目もあるから、監査調書には売上減少のためと記載しておけばいい、それ以上の確認は不要と言われ、少し、もやっとした気持ちを抱えながらも担当科目を終わらせたとのことでした。

監査は嫌いではなく、また監査法人の研修制度や繁忙期以外はワークライフバランスがとれていることは良かったと感じていたものの、上記の出来事をきっかけに、クライアントの財務状況や経営成績を分析し、改善提案をしたいと想いが強くなり、特に中小企業へのコンサルティングを行う中堅コンサル会社に興味を持ったとのことでした。

転職に至るまで

中小企業に対するコンサルティング業務を希望していたため、中小規模のクライアントを多く抱えるコンサルティングファームを中心に考えていくことになりました。

武石
どのような業種のクライアントを多く抱えているのか、クライアントの規模はどのくらいなのか、各業種・規模により求められていることが変わってきます。転職先選定にあたっては、どのようなクライアントを持っているコンサルなのか確認しましょう

また、クライアントに対してコミュニケーションを取りながら経営アドバイスを行っていけるようになりたいとのことでしたので、事業再生系のコンサルティング業務を中心に行っているファームを中心に転職先を検討していくこととなりました。

再生系のコンサル業務ですと経営者と密にコミュニケーションを取りながら仕事を進めていくことになることが多いため、やりがいを感じたようです。

武石
コンサルといっても様々な分野があります。
事業再生、M&A、IPO等どのような分野をやっていきたいのか、それにより選ぶべき転職先も変わってくるでしょう。
転職にあたっては、まだ20代中盤と年齢もお若かったので、監査業務の経験しかなくても転職すること自体に大きな弊害は特にありませんでした。

一昔前はスキルや経験がないとなかなか転職が難しかったのですが、ここ数年は人手不足が続いていることもあり、監査法人の経験しかない20代や30代前半までの公認会計士の採用も増えており、経験が浅かったとしてもポテンシャルが評価されて採用に至るケースは多くなっています。

公認会計士が中堅コンサルへ転職する際は注意も必要

大手と中堅コンサルの仕事の違いを把握しておくことは重要です。

大手のコンサルティングファームの場合、大手監査法人の時同様部門が細かく分かれており、業務が細分化されていることから、1つの分野に特化した業務が多くなります。
良く言うと、仕事のノウハウや業務の流れが確立されているため、特定の分野のスキル向上が見込みやすく、仕事に慣れるという点ではよいかも知れません。

ただ、提案業務そのものや全体を見通した業務というのは経験し難いため、公認会計士の転職理由でよくある、クライアントの顔が見えて全体に関われる仕事がしたい、というケースにおいては不向きなことも多いです。

一方で中堅のコンサルティングファームの場合、中小企業をクライアントとして抱えているケースも多いので、案件規模も大手のコンサルに比べると小さいことから一人で幅広く業務を対応する必要があり、業務範囲が広くなります。

そのためクライアントと直接コミュニケーションを取りながら仕事を進めていく経験も得られやすいでしょう。

様々なことが経験でき、公認会計士としての武器も増えるので一見良さそうに見えるかもしれません。

ですが、様々なことに関われるということは、それだけカバー範囲も広く大変です。
また、一つ一つの業務の習熟度という点においては、一つの分野に特化して業務を行っている人に比べると遅れる可能性はあります。

中小のコンサルだと、業務範囲は多岐にわたるものの領域は特定の場合もあります。どの領域でどんな業務をやりたいかを踏まえたうえで、上記で記載した通り、クライアントの業種やコンサル領域をしっかり確認するようにしましょう。

武石
大手と中小で経験できる業務範囲や身につくスキルが異なります。
よく大手のFAS系コンサルに転職したものの理想と違った、、、という悩み相談を受けることも多いです。
公認会計士として、コンサルとして、どのようにステップアップしていきたいのかお考えの上転職先を考えていくようにしましょう。よくお話を伺った上でどのようなコンサルティング会社が希望に合うのか、しっかり相談しながら一緒に考えましょう。

将来独立や起業も視野に入れているケースでは、中小規模のコンサルで業務経験を積んでおくと良いケースも多いです。

監査法人から事業会社の経営企画へ転職した公認会計士の転職事例

監査法人に勤務する20代後半のシニアの方が、事業会社への転職を希望し、転職相談することになりました。

企業の中で数字を作る仕事がやりたい、モノづくりに憧れを抱いての転職

大学卒業後、大手監査法人に入って5年ほど経ち、シニアやインチャージとして複数の上場企業の監査を経験し、監査のやりがいは感じていました。

しかしご本人のキャリア志向として監査法人でずっと働くのではなく、事業会社の財務経理として、資金計画や財務諸表作成に携わりたいという希望を持っていらっしゃいました。
 
詳しくご自身の経歴を聞かせていただいたところ、高校時代にはモノづくりに憧れを抱いていたものの、理系ではなく工学部への進学が難しかったことから、経済学部に進学し公認会計士を目指したということがわかりました。
 
そこで、事業会社の中でもグローバルに事業を展開する某製造メーカーの経営企画を提案しました。

製造メーカーへの転職を勧めた理由
  • 製造メーカーということで、学生時代からの憧れのモノづくりに携わることができること
  • 英語が好きで、監査法人入所後も英語の勉強を続け、法人研修や海外研修などにも積極的に手を挙げて参加し、監査法人にてリファーラル業務も行っており英語に対して全く抵抗がなく、むしろ海外子会社とのやり取りも機会があれば携わりたいとご本人が考えていたこと。
  • 経営企画として資金計画や経営層に対する財務資料の作成などを行うことができること。

といった理由が挙げられます。

ご本人にも非常に魅力を感じてもらい、その日のうちから会社ホームページや財務諸表、IR資料などの読込をされ、面接もスムーズに進み無事に内定を得ることができました。

会社からも、会計も英語もできる貴重な人材であるとの評価を得、入社後半年ほど経ってからお話しをする機会がありましたが、早くも海外子会社出張なども経験し、忙しい日々ながら充実した生活を過ごしているとのことでした。

武石
監査を通して様々な会社の財務諸表や内部統制を見てきた経験は、監査法人内にいると当たり前のように感じますが、外部から見ると貴重な経験であり、事業会社に入ってから、その知見を役立てることが可能です。

事業会社といっても、事業会社ごとに公認会計士に求められるフィールドは異なります。

公認会計士としてプロフェッショナルファームで働くという考えももちろんありますが、近年は組織内会計士の活躍も広がっているとおり、事業会社で活躍している公認会計士も増えてきています。

事業会社だからNGとするのではなく、業務内容にもフォーカスして検討されてみるのもお勧めいたします。

公認会計士が転職して活躍できるフィールドは幅広い。失敗を恐れずチャレンジしてみましょう!

公認会計士の活躍の場は広く、本記事で紹介した転職先以外にも様々なところへ転職し、キャリアアップしていくことが可能です。

また、転職という選択肢以外にも起業やボランティア(プロボノ)など、チャレンジできることはたくさんあります。

転職に限らず、何かに挑戦しようと思っている公認会計士の方は是非行動に移してほしいと思います!

武石
公認会計士のキャリアは幅広く、それ故迷ってしまう、悩んでしまうという方も少なくありません。
迷い、悩むことももちろん重要ですが、行動してやってみないとわからないこともあります。
転職する、しないは別にして転職活動をやってみることでわかることもありますし、何か別のイベントや企画に参加してやってみるというものでも良いかと思います。
何かやってみることで道が開けることもあるでしょう!

※公認会計士の転職について解説した記事もありますので興味のある方は下記もご覧ください。

公認会計士武石

公認会計士の転職を監査法人・事業会社勤務、起業の経験者が解説!

2019年9月30日
プロフィール
監修者:武石大介(公認会計士試験合格者)

株式会社エクスペース代表取締役
新日本有限責任監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人)退所後、ウェディング関連サービスの開発を手掛ける。
会計・監査で培ったスキルを活かして様々な事業を展開。
HP:https://make-smile.com/

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