経理・財務の転職市場は超売り手 経理・財務の転職マーケットを考える

近年、企業の経理・財務の採用意欲は高い傾向が続いており、転職マーケットは売り手市場が続いています。
特に20代、30代の比較的若い世代の経理・財務・会計職の担い手が不足していることから、
キャリアアップや職場環境の見直しを目指す経理・財務職の転職は比較的実現しやすい状況となっています。

また、グローバル化等に伴う財務・会計の複雑化やM&Aの需要が伸びていることから、公認会計士を始めとする財務・会計・税務のプロフェッショナル人材の転職需要も大きく伸びており、若手から経験豊富なベテランまで様々な階層での転職需要があります。

ここでは、そんな経理・財務の転職市場について見ていきたいと思います。

経理・財務の転職市場は売り手市場が続いていく

経理・財務職の転職市場は現在も超売り手市場が続いており、2022年以降もこの傾向はしばらく変わらないでしょう。

もっとも、見かけ上の有効求人倍率は低い状況であり、1倍を下回っており、いわゆる事務員(単純作業員)的なポジション(パート・派遣)を求める求人はそこまで多くありません。

一方で、経理・財務として一定の経験(月次決算一人でできる、年次決算の経験有等)以上をお持ちの方を募集する求人は増え続けており、経験を活かして「年収を上げたい」、「よりレベルの高い業務にチャレンジしたい」、「キャリアアップを目指しつつ家庭の時間も大切にしたい」といった希望は転職により叶えやすくなっています。

昨今企業では業務効率化を推進する傾向が強くなっており、AIやRPAの導入が進んでいるので、今後は入力作業などの単純業務は少なくなっていくことは考えられることから、単に作業しか出来ないという方の需要は減少していくかもしれません。
ただ、経理・財務としての経験やスキルを活かして、会社やビジネスの意思決定に役立つ情報提供を行うといった部分など経理・財務の視点からアドバイスをしていくようなコミュニケーションを必要とするような業務はむしろ重要性を増していくと考えられます。

そのため、経理・財務の知識・スキルに加えてコミュニケーションスキルを磨いていくことで、転職市場における価値はどんどん上昇していくでしょう。

ただ、現時点では比較的経験の浅い方向けの業務も多く存在しており、若年層においては簿記2級程度の知識があれば採用されるケースも少なからずあることから、経理や財務に興味のある方は売り手市場が続いている現在のうちに転職し、経験を積んでおくのが良いでしょう。
また、大手企業では経理業務をシェアード会社等を作りアウトソーシングしていたりする傾向がありますが、日次や月次の提携業務の経験のしかない経理職の方は、採用需要も高いことからこうしたシェアード会社へ転職し経験を積むのも良いでしょう。
経験が浅かったとしても経費精算業務の効率化や経理業務の効率化等に取り組んだ経験があれば、評価される傾向にあり、経験を積むには良い環境です。
異動や転勤も少ないため、長く同じ場所で働きたいという方にも良いでしょう。

公認会計士や税理士などの財務・会計・税務のプロフェッショナル人材の経理・財務職への転職需要も豊富

監査法人に勤務している会計士や税理士法人等に勤務する税理士が企業の経理・財務部門へ転職するケースも多くなっています。
財務・会計を取り巻く環境は複雑化しており、IFRS対応や資金調達・M&Aに係わる戦略的な財務プランの策定など高度な知識・スキルを要する業務はたくさんあり、公認会計士等のプロフェッショナル人材が企業の経理・財務部門へと転職し活躍するケースも増えています。

組織の中で関係各所とコミュニケーションを取り、内部から経営を支え伸ばしていけることにやりがいが感じられる上に、監査法人等と比べるとワークライフバランスが取りやすい傾向にあることも転職先として人気の一つとなっております。

ただ、ワークライフバランスという点においては企業の経理部門に転職すれば必ず実現できるというものでもありませんので、以下の記事もご参照ください。

会計士の事業会社の経理への転職

英語などの語学力のある経理・財務人材は転職市場で引く手数多

近年40代の経理・財務部門所属の方を中心に英語の学習を進めている方が増えています。
M&Aを始めとして海外事業展開を目論む企業は多く、進出先とのコミュニケーションが必要となることから、比較的上位のポジションで勤務されている方は必要に迫られて英語のスキルを伸ばしている傾向にあります。

特にアジアマーケットを中心として現地法人とのコミュニケーションが必要となるケースも多く、語学力のニーズは上昇傾向です。

ただ、ビジネスの場における高度な交渉に求められる英語力が求められているというよりは、現地スタッフとのコミュニケーションが中心となってきますので、TOEICで700点以上取れるくらいのレベルを目指すのが良いでしょう。

現状、まだまだ語学力の高い人材は不足している状況ですので、高い英語力を武器にキャリアアップ転職を実現することも可能でしょう。
高い英語力を武器にUSCPA保持者が海外支店の経理部門長等を担当するケースもあるため、英語力を武器に戦いたいという方にとっても良い転職市況となっています。

経理・財務の年収相場はどうなっている?

経理職全体としてみると年収400万円~650万円程度となっています。

ただ、同じ経理・財務部門の求人でも、M&Aの戦略策定やベンチャー企業においては管理部門の立上げを担当するようなプロフェッショナルを求める求人においては、1,000万円を超えるものもあり、
ワークライフバランスを求める方からバリバリ成長していきたいとお考えの方まで様々なニーズに対応した求人が豊富にある転職市況となっています。

転職により年収UPを実現されるケースも多いため、年収UPを狙っている方はこの機会に転職を検討してみても良いでしょう。

転職をするには良い市況

経験の浅い方からプロフェッショナルを求める求人まで幅広い層の需要がある現在、転職をお考えの方にとってはとても良い状況と言えるでしょう。

なんとなく転職してみようかなと漠然と考えている方も多いかと思いますが、情報収集を行うことでイメージがつきやすくなるため、経理の転職エージェント等も活用しながら効率的に情報をキャッチアップしていき、今後のキャリアについて考えながらゆったり転職活動を行ってみるのも良いかと思います。

また、今すぐの転職をお考えで無かったとしても、今後必要とされる経理になるために何が必要となるかなどもエージェント側は求人需要からしっかり把握しているので、そういった昨今のトレンドを知るという意味でも相談してみるのも良いかと思います。

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